誰かのために死にたいTSおじさんのデスゲーム満足死道中   作:覚絵テネ

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憧れを追いかける幸福な時間

 体が腐り落ちる夢を見た。どうやら酷使しすぎてしまったようだった。やりたいことのために、まだいける、まだいける、と我慢し続けた代償。

 代償にふさわしい終わりは得られるのか、これから明らかになる。

 

 羅刹が目を覚ますと、全身歯肉炎のような激痛だった。ホテルの一室に毛布付きで寝かされている。おなかが冷えないように工夫して巻いてくれているようだった。

 

「……ラット?ありがとう。」

 

「お礼を言うのはこっちです。………いや、礼を言うべきかはわからないかもです。命が助かるかわからないし。」

 

 ラットが羅刹の腰を指さす。そこからは絶えず血がにじみ出ている。呼吸のたびに死んでしまいそうなほどの痛み。

 

「大丈夫?腰?肝臓?ってあんまり生命に関わるイメージないけど……」

 

「……まあ、大丈夫だよ。」

 

 肝臓は血流の多い器官であり、それを失うことは大量出血による死を招きうる。……今回は、血管が潰し切られていた事によって大量出血は防げたようだ。まあ、たぶんそれだけではないが……

 

 〈生存人数 6〉

 

「片割れは?」

 

「……」

 

「そっか。惜しかった。仇は討ったんでしょ?じゃあ、そんな顔しないの。」

 

 悼む気持ちはない。ゲームで死んだ相手にそれは、むしろ失礼。ただ、個人的に惜しいだけで。目を瞑っていると、部屋の隅からか細い声。 

 

「た、助けて......」

 

 羅刹が耳を抜いた女の子。ここの運営の手術ミスか、まだ死んでいないようで。それをラットが縛り上げたようだ。「えっと……」自身でトドメをさせなかったようだ。

 

 はあ、とため息をこぼすと立ち上がる。

 

 何かをやるときはいつも気が重い。

 毎度、羅刹の世界は苦痛に満ちている。今日は少し楽かもとか、耐えた先に達成感が待っているかもしれないと思って毎回頑張る。しかし、結局は苦しいだけだ。

 この少女もきっとそうだ。だから終わりにしてあげよう。

 

 羅刹は微笑みかける。

 

「わかった。君はわからないだろうけど、もう残り五人になった。キミを殺す意味はもうない。縛らせてもらうだけだよ、安心して。」

 

 女の子の顔が希望に染まった瞬間、羅刹は全体重の乗った踵で女の子の頚椎を粉砕する。おそらく即死だった。女の子は自分の死に気づく暇もないようだった。殺さなくてはならないシチュエーションを何度も遭遇したゆえの手並みの良さ。

 

 『人間の死こそ究極のエコ が死亡しました。』

 〈生存人数 5〉

 

「……羅刹さんなりの優しさ、ですか?」

 羅刹は応えない。

 無言でベッドに戻る姿を見て、ラットはますます憧憬を募らせた。

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