この素晴らしいヒロインズと恋愛を!   作:おふざけちゃん

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この銀髪女と祝福を!

 

 

『ドライヤーのない世界』

 

 

 

 時刻は深夜を回る頃。

 時計のないこの世界で俺は暗闇に包まれた窓を眺めつつ、何も考えないでいた。

 

 ベッドは一つ、ギリギリ二人で寝れる事も無い大きさである。

 そんなベッドと数少ない家具が散りばめられたこの部屋に来る羽目になった理由……それは、義賊帰りだと言えば理解出来るだろう。

 

 今日も今日とてクリス改めお頭のお願いを聞く為黒装束に身を包み、誰が持ち込んだか分からない厄介な元神器を回収。

 場所が遠出な事もありギリギリ空いていた宿へと滑り込んだまでは良かったのだが……。

 

「………ラブホ、だよなここ……。」

 

 金が掛かっていそうなシングルベッド、見慣れたとばかりに俺達の部屋の鍵を渡して来る受け付けのおばちゃん、先程部屋を探索していた時にクリスが見つけたのであろう俺が開発した……ゴム。

 何故置きっぱなしなのか、何故見なかった事にしなかったのか、疑問は募るばかりか俺は見なかった事に。

 

 クリスは余りにも俺と言う人間を理解していない、俺だって男だ……やる時はやる。

 ラブホに二人っきり、片方はシャワーを浴び終えもう片方はたった今シャワーを浴びている最中……部屋に残された避妊具。

 

 誘っているのか?そう声を大に叫びたい衝動を抑え込み、何とか意識から外そうと窓を眺めて早数分、風呂場の方からガチャリと音が鳴る。

 そちらへ目を移す……と、タオルで銀色の髪を乾かしながら此方へと歩み寄る薄着なクリス。

 

「………?どうしたのカズマくん?」

 

「どうしたも何も、自分の行動を振り返れば良いんじゃないか?」

 

 如何にも不貞腐れていますよと言わんばかりの雰囲気を出しながら、見つけた衝撃で投げ飛ばしたコンドームへと指を指す。

 そちらへ視線を移すと暫く沈黙した後、何か悪い事を思い付いたのかニヤリと笑う。

 

 と、タオルを投げ捨て此方へ歩み寄ると俺の隣へと腰を掛け手を重ねる。

 

「何さカズマ、照れてるんだ?」

 

「……べ、別にそう言う事じゃねぇよっ!?た、たたただ俺だって男だって事をクリスはちゃんと……!!」

 

「知ってるよ。」

 

 その一言にドキリッと心臓が脈を打つ。

 何時もピュアで、恥ずかしがり屋で、天然なクリスは何処へやら、今や女神様へと似合わない魔性な女へと変貌。

 何か悪い物でも食べたのかと心配になりそう……だったが、気付く。

 

「………そっちこそ、今更何照れてんだ。」

 

「………。」

 

 やはり無理をしていたのか、近付けた顔は今や真っ赤に染まり少し下を向いていた。

 何を思っての行動だったのか、さっぱり理解は出来ないが、兎に角今は安心だ。

 

 ……と、ふと銀色の髪へと目が向いていく。

 

 浴びたてホヤホヤの髪は未だ水を残し生乾きの状態であった。

 当の本人はまるで気にしていないとばかりに苦笑い気味、本当に何を思っての行動だったのか理解出来ないが今はそれよりもこの生乾きの髪だ。

 

「なぁ、乾かさないのか?」

 

「え?……あぁ、ほら。私って盗賊職だから、初級魔法とか使えないんだよね。」

 

 もう慣れたと最後に言葉を残す。

 が、折角ここまで綺麗な髪だ……大事にしないのは勿体ない。

 俺はクリスの正面へと立ち上がると、キョトン顔のクリスの髪目掛け。

 

「『ウィンドブレス』」

 

 初級魔法を唱え風を頭髪へと流す。

 

「……別に態々しなくても良いのに……。」

 

「俺がやりたいから良いんだよ、折角綺麗な髪が勿体無いと思ってな。」

 

「ふーん。」

 

 目を薄めされるがままになる。

 真正面から見るクリスの顔立ちは、やはり女神と言うべきかこの世界の中でもかなり秀でていると感じる。

 そんな顔を前に俺は身もよじろぐ思いに駆られるが、それよりも銀髪に目がいってしょうがない。

 

「……上手だね、他の娘にもやってたの?」

 

 何処か棘を感じる台詞、何だか今日のクリスはお頭と言うより……。

 

「日本で弟のをな、アイツは昔は俺にベッタリだったからな……。」

 

 アイリスとは又違った可愛さを持っていたが、やはり引きこもりの兄など兄では無いのか段々と素っ気なくなっていった。

 これも又成長だと割り切ってはいたが、やはり寂しさと言うのは自ずと湧き出てくる。

 

 だからこそこの世界でアイリスがお兄ちゃんと呼んでくれた時、心くるものがあったのだが。

 何て昔の事を思い出しながらクリスの髪を乾かす事数分、俺は先程の行動をまた思い出してしまう。

 

 ……これ、聞いても良いやつなのか?

 

 先程の台詞と言い行動と言い、今日のクリスからはめぐみんの面影を感じてしまう。

 それは唯の嫉妬なのか、好意なのか、鈍感系主人公ではない俺でも真意を確かめ倦ねていた。

 俺は学んだのだ、ここで口を開けば碌な事にならない……ならば向こうから何か話してくれるまで待つのか得策だと。

 

 そう決め込み更に髪を乾かす事数分、そろそろ乾かし終わるだろうと言う頃合いにクリスが口を開く。

 

「……カズマはさ、女神って何だと思う?」

 

 哲学が始まった。

 

「あー……まぁ、何かしらの事柄を司る存在…?かな。」

 

「うん、じゃあさ……女神って人間だと思う?」

 

「……いや、人間とは又違った生き物なんじゃないか?。」

 

 何を言いたいのだろうか。

 俺の答えに暫しの沈黙の後、髪を乾かし終えると俯いていたクリスが顔を上げる。

 

「……じゃあさ、女神は心があると思う?」

 

「そりゃ……あるだろうよ。」

 

「じゃあさじゃあさ___」

 

 そうクリスが言ったのも束の間、前にっていた俺の肩を掴みベッドへと引き込んでくる。

 図らずとも俺がクリスを押し倒した状況な訳だが、俺の右手にはクリスが引き込んだ証拠であるクリスの腕がある。

 

「___女神はさ、恋……しても良いと思う…?」

 

「………。」

 

 その問いに、俺は答えれずにいた。

 幾ら童貞引きニートのカズマさんと言えど、クリスの言いたい事は分かっているつもりだ。

 この世界に来てから数多の好意を受け取ってきた俺が感じたクリスからの好意は、めぐみん達と同じ好意であった。

 

 正直、意外と言う言葉以外見つからない。

 まさかクリスが、そんな考えに脳を支配され問いに答えれないでいると、クリスの顔が俺の顔へと接近。

 

 もう目と鼻の先と言わんばかりの距離感で、色っぽい吐息が顔に当たっているこの状況。

 まともな思考など出来る訳もなく、クリスと言う女性に魅了されていた。

 

「女神様ってさ、え…えっちな事をしたら女神としての力を失っちゃうんだよ。」

 

「え?」

 

 とんでもない事をカミングアウトしてきやがった。

 この状況で、まさかそんな事を言われるとは思っていなかった俺は折角スタンドアップしてくれたリトルカズマさんには申し訳ないがその姿をお披露目する事は無さそうだ。

 

「……でもさ、クリスはどうなんだろうね…?」

 

 戻ってこいリトルカズマさん、仕事だ。

 

「……んで、結局の所クリスは何を言いたいんだよ。」

 

 心では強気な俺もまだ確証性が無いと日和る。

 そんな俺にクスクスと顔を綻ばせると、俺の耳元へと顔を近付ける。

 

「私専属の、髪を乾かす人になってよ。」

 

「……毎日?」

 

「勿論。」

 

 そう確認を取ると、クリスは俺のまだ何か何か探そうと五月蝿い口を封じ込んだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ!?エリスの霊圧が…消えた…?」

 

「何言ってるんですかアクア……ほら、次はアクアの番ですよ!!私のアークウィザードを止める事が出来るでしょうかッ!!」

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