この素晴らしいヒロインズと恋愛を!   作:おふざけちゃん

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この頭も身体も硬い変態と祝福を!

 

 

 

『バツイチ子無しな世界』

 

 

 

「___とっても素敵ですよ、カズマ様。」

 

「あ、あぁ…どうも……。」

 

 だだっ広い部屋に大人数で俺を囲む空間、そこで行われるのは俺の服と髪のセッティング、そして少しの化粧。

 初めての化粧に多々咳き込む事もあったが、この後の事を考えればそれも我慢だ。

 

 脇に大量のメイドと執事が俺を見てくる、そんな変な状況に居心地が良いかと聞かれれば断然悪いのだが……所々見覚えのある奴と目が合ってしまう。

 それにより少しだけ気持ちが楽になった様なならない様な、どうせならダストが隣で変な事を喋ってくれれば良いのだが。

 

「すいませんカズマ様、お客様が外でお待ちです。」

 

「…客?誰なんだ。」

 

「………スタイリッシュ・ソード・アイ___。」

 

 化粧をしていたメイドの手をそっと跳ね除け扉に走り開ける……其処にはおめかししたアイリスが緊張した面持ちで俺を見上げていた。

 

「お兄様…!!お久しぶりです!!」

 

「おぉアイリス!!お兄ちゃんの晴れ舞台に来てくれたんだな…!!いやぁ良い妹を持った者だ!!」

 

「お、お兄様…!!少し恥ずかしいです…!!」

 

 少し成長しただろうか、何時もより腕を上げ頭を撫でるとむず痒そうに、それでいて嬉しそうに俺に身を預けるアイリス。

 

「___花嫁が待っていると言うのにお前はここで浮気、随分と良い御身分だな?サトウカズマ。」

 

 ドレスに身を包みアイリスの右後ろに立っていた白スーツ、俺を見下ろしながらとんでも無い事を言ってくる。

 

「何が浮気だ、可愛い妹とのスキンシップを嫉妬すんじゃねぇよ白スーツ……後、俺はもうサトウじゃない。」

 

「まだ、サトウだ。」

 

 許嫁との一件以来多少はクレアとの仲も良くなってはきていたが……やはり、アイリさんに対する超えた愛は健在の様だ。

 コイツも良い歳だと言うのに何時結婚するのか、レインは何処ぞの馬の骨と恋に堕ちてさっさと護衛の仕事を止めこの地を去ったと言うのに……シンフォニア家の存続は危うい様だ。

 

「に、しても随分と似合わないな?それではララティーナに笑われてしまうぞ?」

 

「わ、私はとても格好良いと思います…!!」

 

「はぁ…アイリスはこんなに良い子だってのに、その近くに居るクレアは……はぁ…。」

 

 ギリギリと俺を睨むクレアとアイリスを抱き寄せ撫でながら勝ち誇った顔でクレアを見上げる俺、とても結婚式当日新郎側の状態とは思えない。

 まぁそれが俺らしくて心地良い。

 

 だからこそ、睨むクレアの目の奥は笑っているのだ。

 

「……それじゃあアイリス様、そろそろ他の方にも御挨拶に向かいましょう。」

 

「そうですね……お兄様、それではまた後で!!」

 

 手を振り扉を閉めると、またメイドと執事に囲まれる空間になる。

 と、クレアの近くに居たメイドが俺に近付き手を前に出してくる。

 

「あの、これ…クレア様がカズマ様へと。」

 

 その手の中には小さな手紙が添えられていた。

 その手紙を受け取り中身を取り出すと、流石貴族と言った所か綺麗な文字に綴られたクレアの思いを受け取る。

 

 其処に書かれていた内容、凄く簡単に言えば……私の親友を幸せにしろ、もし泣かせれば首を切り落としてやる、と。

 これは……当分はサキュバス店を利用する事は無いだろう、割引チケットを彼奴等に配る事を心に決め手紙を懐に仕舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞き馴染みのある音楽と共にもの凄くデカい扉を開けてもらい足を進める。

 教会外では聞き覚えのある野郎共の声、何処か緊張する心をほぐしてくれる野次により何とか平穏を取り戻した俺は長いレッドカーペットを突き進む。

 

 周りから好奇な目線、戸惑い、笑い、様々な感情を身に受けながら新婦の待つ祭壇を目指す。

 周りにはアイリス、クレア、一般貴族扱いのレイン、ダクネスの娘のシルフィーナちゃん、何時ぞやのアルダープの息子、バルターの野郎、生きていたのかゼーレシルトや涙半分恨み半分と情緒不安定なゼーレシルトの後ろに座るクリス、様々な人間に見守られ祭壇へと到達。

 

「……随分と緊張してるみたいね?」

 

 と、神父……基アクアがボソッと俺に語りかける。

 

「当たり前だろ……てかめぐみんは何処だ、彼奴本当に攫いに来ないだろうな…?」

 

「……それはそうとカズマさんその髪似合わないわね、水で元に戻してあげましょうか?」

 

「話を逸らすな…!!………そんなに似合ってない?」

 

 俺的にはちょっとイケてると思ったのだが……この後元に戻そう、何て思っているともう一度扉が開く音がする。

 そちらに釣られ目を向けると……どうやら、本命がお出ましの様だ。

 

 俺を見る少しざわざわとしていた雰囲気は何処へやら、皆息を飲む感覚に襲われイグニスさんに手を引かれベールで顔を隠したダクネスが此方に向かって来る。

 茶化す様な雰囲気も無く、外の野郎共も見惚れたのか皆静寂を纏っていた。

 

 綺麗、美しい、まるで物に評価を付ける様な、美術品を丁重に扱う様な、恐れ多い、手の届かない、ダクネスを知っている俺ですらそう思えてしまう雰囲気。

 ……やば、顔熱い。

 

 コツ、コツ、足音が近付きイグニスさんがダクネスの手を俺に渡す様に俺をニコリと見ながら差し出す。

 ……まさか、本当に貰う事になるなんてな。

 

 あの時冗談だと笑い飛ばした俺は少し勝ち誇ったイグニスさんに釣られ、緊張した顔を綻ばせ手を取る。

 

「……罰ゲームだけど、良いのかい?」

 

 ギョッとベール越しでも驚いたと分かる顔でイグニスさんに顔を向けるダクネス、まぁ自分の父から自分を罰ゲーム等と言われれば驚くか。

 だが、からかう様な、勝ち誇った様な、イグニスさんの表情を見れば……その言葉が冗談交じりの最終確認だと言うのは分かる。

 

「……俺も、ダクネ……ララティーナさんと似た者通しですから、寧ろ喜んでお受けしますよ。」

 

「そうか……なら、大丈夫そうだ。」

 

「フッ……宜しくな?似た者通し。」

 

 その言葉の真意を汲み取ったのか、プルプルと震え赤い顔で辱めを受けるダクネスの手を引きアクアの前に立つ。

 冗談交じりの雰囲気だと言うのも理解しているが、やはり親としてはクルものがあるのか懐のハンカチで目を抑えながら後ろに下がるイグニスさん。

 

「えー……ではコホン。新郎、カズマ。貴方は此処に居るダク……ララティーナを病める時も健やかなる時も富める時もなんとかかんとか……うん、ずっとずっと愛し合いますか?まぁするわよねぇ!!ダクネスも直ぐ他の女を見るカズマさんの手綱をちゃんと握りなさい?さっきチラッと席に居た可愛い子に目を向けていたもの。」

 

「待て待て待てお前良い加減にしろよ!?これ、結婚式!!アルダープの時のなんちゃってと違って俺とダクネスの真剣な結婚式、分かる!?」

 

「はぁ!?私別に間違った事言ってないわよ!!ほら見てみなさい、外の冒険者は皆私の言葉に頷いているわ!!」

 

 こ、この野郎…!!

 バッと外に顔を向けると肩をすくめやらやらと首を振る連中、何故ここまで信用されていないのか、普段の行いが災いを生んでしまう。

 

 此れだけ大きな貴族の結婚式、国の姫も見に来ていると言うのにその場は笑いに包まれ俺達の雰囲気へと段々変化していく。

 やっぴり、お硬い雰囲気は合わないな。

 

 と、肩を震わせクスクスと笑うダクネス……はぁ、まぁ本人が良いなら良いのだろう。

 

「さて、それじゃあ誓いのキスよキス!!こんなに可愛い姿をしたダクネス何て滅多に見られないんだから、さっさとベールを外して顔を見せて頂戴!!」

 

 冒険者のキスコールに包まれ、やはり少し小っ恥ずかしい気持ちを再び取り戻してしまいながらもベールに手を掛け上げたその先には……やはりと言うべきか、思ったよりも数倍美しいダクネスが広角を吊り上げ俺を見つめていた。

 ……見惚れてしまうな。

 

「……やっぱ、黙ってたら可愛いよお前。」

 

「一言余計だ……全く、結局私達らしい式になりそうだな。」

 

「あぁ……。」

 

 一度目はダクネスから、なら……二度目は俺から。

 目を瞑ったダクネスに顔を近付け……触れるだけの、優しいキスと一つ落とす……。

 

 黄色い悲鳴に包まれながら、唇を離す……頬を朱に染めたダクネスに此方もテンションが上がらすにはいられない。

 俺にしては上手く出来ただろう、安堵に包まれる。

 

「あら?カズマさんカズマさん、どうやら少し遅れて登場みたいよ?」

 

「は?誰が……って、彼奴か…!!」

 

 アクアの刺す遅れて登場してくる人間、誰かなど聞かずして分かってしまう……黄色い悲鳴とは違うザワザワとした外の冒険者の雰囲気から読み取れるに、そろそろ扉をぶち破って来るだろう。

 相変わらず派手好きな奴だ。

 

「おーと!!少し遅れてしまいましたねッ!!まぁ良いです、此処は悪い魔法使いが二人の結婚式の祝福に参りました!!さぁゆんゆん先ずはやってしまいましょう!!」

 

「う、うぅ本当にやるの…?これ犯罪じゃない…?」

 

「良いから早くして下さい!!貴方のショボいの上級魔法の後に、私の最強で最高の爆裂魔法でフィナーレを決めるのですッ!!」

 

 めぐみんに肩を揺さぶられ渋々ながら外に向かい詠唱を始めるゆんゆん、その後大きな爆音に包まれ上級魔法を空に放つ……周りからは驚きと歓喜の声。

 と、めぐみんが此方に振り返る。

 

「さぁ皆さん!!魔王討伐者であるサトウカズマとそのパーティーメンバーであり婚約者のララティーナを祝う魔法にしては少し、いやかなりショボいでしょう!!此処はこの私……そして美人店主、更にサトウカズマその張本人による特大爆裂魔法で宴の始まりを開催しませんかッ!?」

 

「「「うぉぉぉぉぉぉッ!!!」」」

 

 彼奴、演説とか滅茶苦茶上手いんだろうな。

 式場のボルテージは最高潮、実際に爆裂魔法を見た事のある冒険者は三発同時だと言う規格外の魔法にテンションを上げ、爆裂魔法を見た事の無い貴族連中はその脅威性を実際に目に入れる良い機会だと皆ソワソワしている。

 

「……どうやら、及びの様だぞ?」

 

「あぁ…一緒に来いよ、俺がどうやって魔王を倒したのか特等席で見せてやる。」

 

 ダクネスの手を引きレッドカーペットを駆け抜けめぐみんの所へと、席から頭を下げながら此方に向かうウィズと共にめぐみんの横に並ぶ。

 

「カズマ、これ使って下さい。」

 

 そう言って持っていた特製マナタイトを此方に投げるめぐみん、それを受け取り空に向かって手を向ける。

 

「結婚おめでとう御座いますカズマさん、バニルさんから今後の結婚生活へのアドバイスとして伝言をです。『汝、他の女にうつつを抜かすなかれ。まだ許される今の内に……』との事みたいです。」

 

 そう苦笑しながら俺に告げるウィズ……成る程、心に刻んでおこう。

 ダクネスにチラリと視線を向けると、ウィズの伝言に苦笑しつつも目の奥が笑っていないのを見るに強ち間違いじゃないのだろう……まぁ、新妻の嫉妬って考えたら可愛いものだ……うん。

 

「さて、それじゃあ宴の合図です!!いきますよカズマ、ウィズ…!!」

 

 バッと三人で空に手を向けながら、真ん中に立っためぐみんの杖の先から練り上げられた魔力を感じつつ魔法陣を展開。

 空に現れた巨大な三つの魔法陣、見る人は見れば絶望するかも知れないがこの街の住人からすれば当たり前の事……寧ろ周りの冒険者のテンションはどんどん上がっていく。

 

「では……いきます!!」

 

 破裂寸前、そろそろ放たれるその瞬間……俺達の声が揃う。

 

「「「___エクス……!!!プロォォォォォジョンッ!!!」」」

 

 静けさの訪れた一瞬、鼓膜が破れるかの如く爆音が空に響き渡る。

 雲に包まれ少し薄暗くなっていた空には快晴が訪れ、太陽の光が目に染みる。

 

 俺達らしく、俺達にしか出来ない、俺達の、俺の、ダクネスの、結婚式に終わりを告げ……宴の始まり。

 周りの歓声、残る爆音、拍手、それら全てを無視して俺とダクネスは互いに笑い合っていた。

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