この素晴らしいヒロインズと恋愛を!   作:おふざけちゃん

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このツンデレ白スーツと祝福を!

 

 

 

『子供で大人な遊びの世界』

 

 

 

 時刻は深夜を回る頃。

 ウトウトと夢見心地なアイリスの頭を撫で床につくのを待っていると、静かに扉が開けられる。

 

 もう深夜だと言うのに何時もの可愛気の無い護衛の服に身を包み、最終見回りだろうか欠伸をしながら部屋へと足を運ぶ。

 眠たい目を擦り俺とアイリスを見つめながら同じくベッドに腰を掛け、アイリスの髪に指を通す。

 

「……寝てる所を襲うのは感心しないな。」

 

「フッ……この状況でそう言われるのは貴様だろう。」

 

 完全に睡眠を初めたアイリスを二人で見下ろしながら互いに悪態を付く。

 初めて会った時から比べれば、かなりお互いの仲は良好になっていると言えるだろう。

 

 前程俺がアイリスへ遊びに来る事を嫌がる素振りも減り、寧ろ最近では是非と言わんばかりに良く手紙を寄越す。

 図らずとも文通する仲へとなった訳だが、話すとこれが以外に面白いやつだと言う事が分かってきていた。

 

 冗談の通じない危ない趣味を持つお硬い奴かと思っていたが、酒が入った場ではその胸の内を明かしてきた。

 自分は友達が居ない事、子供時代に子供らしい遊びをして来なかった事、成長するアイリスと離れた後の事を考えている事、非常に様々な悩みの内容であった。

 

 正直酒が入りマトモな思考が出来なかった俺が信憑性、的を得たアドバイスなの出来る訳が無かった……だからこそ、自分の生い立ちを詳しく話す事に。

 それがクレアにとってどう響いたかは分からない……分からないが、今こうして啀み合う事が減ったのを見るに良い事だったのだろう。

 

「それで、今日は何をするんだ?」

 

 俺がそう言うと、待ってましたと言わんばかりに鼻を鳴らし懐から何かを取り出すクレア。

 手の中に収まっていたソレは……所謂、野球ボールらしき物。

 

「見ろカズマ、此れは遥か遠い国に伝わるやきゅう?と言う遊びに使われる道具だ。本来大人数でやる遊びではあるが……二人でもきゃっちぼーると言うルールで遊べるらしい。」

 

「あー…うん、知ってる。何なら俺の国でも人気の遊びだったからな。」

 

「ほう!それは助かる、私はこの様な小さなぼーるは初めて見たからな。」

 

 アイリスを起こさない様細心の注意を払いつつ、静かに扉を締め外のだだっ広い庭へと向かう。

 この様にクレアと遊ぶ理由……その一つはクレア自身が述べた様に子供の頃に遊んでこなかった事が関係している。

 

 今更ではあるが、やはりアイリスから色々と遊んで欲しいと要求される事の多かったらしい……しかし今までは仕事を理由に断る事が出来たが、俺が魔王を倒した事により魔王軍の進軍はキッパリ停止、偶に来る野良の魔物の群れを倒すのみと平和に近付いていた。

 しかしそれは良い事であると共に、今まで遊びを知らないからこそ断ってきたクレアに遊びを断る体の良い言い訳が無くなったと言う事他なら無い。

 

 だからこそ色々な遊びを知っていて、アイリスの遊び係としての仕事もしていた俺に遊びを教えて欲しい……あの頃を知りたい、と文通合間に声が掛かった訳だ。

 俺もあの頃のあの世界を思い出せるし、こうしてアイリスとも会えるしと良い事尽くめだった為快く手伝って居るのだが……最近、クレアに変化が訪れた。

 

 最初こそ慣れない遊び、と言う其の物に慣れようと難しい顔をしていた……が、やはり何度も色々な遊びをする間に慣れてきた結果本来の遊びの目的であるストレス発散、楽しむと言った事が目的となってきた。

 そのお陰かせいかは分からないが、偶にクレアの方からアイリスに遊びに誘うらしく……それを嬉しそうにアイリスが俺に報告してきていたのを見るに……良い方向に進んでいるのだろう。

 

「偶には貴様も自分のしたい遊びを持って来ても良いのだぞ?私計りに付き合って貰って、少し申し訳無いからな。」

 

「へぇ、お前に申し訳無いって気持ちが合ったとは……。」

 

「あるに決まっているだろう……?」

 

 どれだけ関わっても初対面の頃の印象が覆るのは難しい、遊びをしている間に見せる笑顔よりも俺を殺そうと剣を振り下ろした殺意に塗れたあの表情が脳裏に焼き付いて仕方が無いのだ。

 何て言い訳していると護衛の少なくなった庭へと出る。

 

 真夜中だと言うのに星と月が綺羅びやかに俺達を照らす、随分と良い景色だ。

 クレアも見惚れているらしく互いに空を見上げる。

 

「……星が…綺麗だな、カズマ。」

 

「あぁ……月も綺麗だぜ?」

 

「……そうだな。」

 

 ……何だ、からかいがいの無い奴だ。

 

「さて、やろうか。どう言ったルールなんだ?」

 

「ルールって言うルールは無いけど、お互いに投げ合うんだよこれを。」

 

 そう言ってクレアの手に向けてボールを振り被る、とビビるかと思ったが何の躊躇も無しに片手で掴み取る。

 流石訓練されていると言える、全くビビらず瞬きもせず。

 

「ふむ、では私もそちらへ……フンッ!!」

 

「ブッ!?ねぇ!!何処目掛けてんだッ!?」

 

 とんでも無い剛速球で俺の顔目掛け振り被るクレア。

 速度はあるがコントロールが悪いったらありゃしない……この世界の藤浪じゃないか。

 

 ただ初めてやったと考えればかなり伸び代のある肩だ、一度この世界で野球の大会を開いて見るのも面白いかも知れない。

 

「済まない!!だが感覚は掴めた……さぁ来い!!」

 

「うーし……おらっ!!」

 

 今の今まで振り被りボールを投げる事をしてこなかったからか、肩に物凄いダメージが入っている……が、楽しいから良いだろう。

 少し運動してからすれば良かった、明日筋肉痛確定だろう。

 

「……随分とコントロールが良いな、愛の感じる投げ方だ。」

 

「そりゃまぁ受け取り易い様に投げてるからな……ほら、クレアも俺の左手に向けてよ。」

 

「良し、任せろ!!」

 

 俺の左手真っ直ぐ見つめながら振り被る……と、綺麗に剛速球で左手に収まる。

 が、キュルキュルと音を立てながら手の内に留まる……もの凄く手が熱い。

 

「どうだ!!上手いだろ?」

 

「あぁ……俺も負けてられねぇな!!」

 

 そうしてクレアとのキャッチボールが始まった。

 互いに雑談も交えつつ、初めてやる遊びに心を昂らせているのか笑顔の絶えないクレア。

 

 此れだけ楽しそうにキャッチボールしてくれる女性……少なくとも、日本に居た頃には絶対に出会えなかっただろう。

 面も良く、スタイルも良く、一緒に酒が飲め、子供みたいな遊びを楽しんでくれるそんな女性……あれ、コイツ案外高スペックじゃね?

 

 だと言うのに貰い手が現れる様子も無い……本当にアイリスに全てを注いで来たのだろう。

 だが、只の貴族として消化するには勿体無い程に面白い人間だ……遊びを知らない事を本人は悔しがっていたが、俺からすれば今のクレアの方が幸せそうだと思えるが。

 

「___ふぅ、そろそろやめよう。とても楽しい……が、このままでは明日の仕事に支障が出てしまう。」

 

「はぁ…はぁ…そ、そうだな。」

 

 体力の差が明確に出てきた。

 やはり普段から運動している奴と部屋でゴロゴロしている奴とでは出来る遊びも限られる、そろそろ本格的に体力作りを初めなければ。

 

「……。」

 

「……。」

 

 遊びも終わりそれぞれ部屋へと戻る頃、互いに疲れが出ているのか無言のまま廊下を歩く。

 あー……風呂入りてぇ。

 

 大浴場に一人で入る事を想像するだけで気分が高まる、風呂は命の洗濯だからな……だだっ広い浴槽を全て自分の物として身体を清めさせて貰おう。

 やがてクレアの自室である場所へと辿り着き、扉を開けそれじゃあと手を挙げ風呂場へ向かおう……と、足を止める。

 

「……どうした?」

 

 俺の運動着の裾を持ち俯いているクレア……コイツ、息荒いけどそんなに疲れてたっけ。

 

「あー……俺風呂入りたいからよ、そろそろ行って良いか?」

 

 やがて周りをキョロキョロとし始め、時間も時間なので誰も通らないのを確認。

 と、片目が髪で隠れた顔で俺を見上げる……何処か、運動後の疲れからか顔を赤らめている。

 

「その、何だ……あー、まぁ…。」

 

 言い淀むクレアからの言葉を待ち、運動後の疲れのせいで上がった息を整える……まぁ鼻息が荒くなるのも仕方が無いだろう。

 

「……入ってけ、偶には……な?」

 

「……尚更風呂に入ってからの方が良いんだけど。」

 

「私は此の儘が好ましい、良いから…ほれ。」

 

 半ば強引ではあるが、クレアに引き寄せられた久しぶりに私室との御対面であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの、その……クレアは寝坊何ですよね?」

 

「えぇ、とても珍しい事では有りますがクレア殿は今身支度を済ませていますので……もう暫しお待ち下さいアイリス様。」

 

「……えっと、じゃあ何故お兄様も見当たらないのですか…?」

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