この素晴らしいヒロインズと恋愛を!   作:おふざけちゃん

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この悪友周りに牽制を!

 

 

 

『職場恋愛な世界』

 

 

 

「___あの、アクア先輩...!!」

 

 そう言って真剣な表情で私を真っ直ぐと見てくる後輩女神。

 こうしてエリス以外の後輩と一緒に話すのは久々だろうか、少し前までそもそも天界に居なかったから当たり前なのはだが。

 

 そんな久しぶりに感じる後輩との会話は、やはりと言うべきか予想していたと言うべきか...色恋沙汰に関する話であった。

 あの男の。

 

「その...最近新しく入った後輩の男性、居るじゃ無いですか?」

 

「えぇそうね、私が連れてきたもの。」

 

「はい、それをこの前エリス先輩に教えてもらいまして...是非!!あの人の知っている事を教えて欲しいんですっ!!」

 

 ...やはり、あの男を連れてきたのは間違いだったかも知れない。

 私の我儘で天界に連れてきたは良いものの、まさか、本当にまさか此処まであの男が良い目で見られるとは思ってもいなかった。

 

 どうせすぐボロが出る、どうせ呆れられる、どうせセクハラして嫌われる、そう楽観的に考えていたのがいけなかったのだろう。

 何故引き篭もりニートしていたのか分からない程には真面目に職務を真っ当し、アクセルに居た頃のセクハラは何処へ行ったのか誰が相手でも...特に、女性相手は紳士に振る舞う様になってしまっていた。

 

 ...面白く無い、実に不愉快だと思ってしまう。

 良い事ではあるのだが、アレではカズマらしく無い。

 

 そう思い一度本人にそれとなく聞いてみたは良いものの、まさか日本に居た頃からマトモに働いた事の無い人生に飽きていただの、働く事が思ったよりも楽しいだの、アクセルでは最悪な印象スタートだったのを二度と経験したく無いだのと...まぁ、本人の成長っぷりが見られるから良しとしていたのだ。

 それが今や甘く見ていた私にツケが回ったのだろう、カズマと仕事する女神は皆一度見れば心を開き、三度も見れば懐柔されているでは無いか。

 

 その有能っぷりを何故私を連れて行った時に発揮してくれなかったのか、甚だ疑問ではある...が、其処も心優しい私が見逃してあげている。

 しかし、最近は見逃せなくなってきている...目の前の人物がそれを物語ってしまっているのだ。

 

「...まぁ、別に良いけど...あまり期待しない方が良いわよ?私にも、アイツにも。」

 

「それは分かっています、私以外にも彼に挑戦して...上手くいかなかった天使が、女神が、居るのも知っています。」

 

 そう言う意味で言ったのでは無いけれど......訂正する必要も無いだろう。

 しかしカズマの知っている事、か。

 

「そうねぇ...カズマさんは兎に角スケベね、うん。」

 

「そ、そうなんですね...。」

 

 そう苦笑気味に...いや、少し顔を赤くさせ頷く後輩。

 

「貴方大丈夫?少し顔が赤いけれど...まさか熱でもあるんじゃ無いかしら?」

 

「い、いいいえそう訳では無いんです...ッ!!」

 

 必死に手を振り異常性は無いと意思表示、ならば何故顔を赤らめているのだろうか。

 

「ただちょっと、何時ものサトウさんとは想像出来なくて...少し、こう...ギャップがあって、それで...!」

 

「重症じゃないッ!?『セイクリッド•ハイネスヒール』...ッ!!」

 

 これで多少は良くなっただろう。

 最近の激務で顔色が少し悪くなっていた後輩の生気を取り戻すと、複雑そうな顔で魔法の光の粒子を見つめる。

 

「これは、先輩がサトウさんと一緒に冒険していた時の魔法ですよね...。」

 

「?えぇそうね、あの時は本当に頭に血が昇っていたと思うわ...今では感謝しているんだけどね。」

 

 あぁ、嫌な事を思い出してしまった。

 それはカズマに下界に下された事でも、借金を背負った事でも、魔王城に閉じ込められた事でも無く、あの二人の事。

 

 ...元気にしているだろうか。

 もしまた顔を見合わせるその時があれば、二人も此処に連れて来ても良いかも知れない。

 

 そう浸っていると、後輩が心配そうな目で私を覗き込んでいた。

 

「大丈夫ですか...?」

 

「えぇ、悪かったわね...ちょっと当時の事を思い出しちゃったのよ...それで?カズマさんの事だったわよね!」

 

 今は無理矢理にでもカズマの事を考えている方が良いかも知れない。

 そう直感した。

 

「他には...お金にガメつく、かと思えば大盤振る舞いもしてくれて、怠惰気質で部屋にこもって、けど仲間のピンチには絶対助けてくれる...そんな安心感があったわね。」

 

「......。」

 

 惚けた様に私の話を聞く後輩、しかしこうも良い事悪い事キッパリしているのも面白い人間だと感じる要因だろう。

 良い事を話せばその分悪い事も出てくる、安心感がある反面...あぁ、アレも思い出してしまう。

 

「でも気を付けた方が良いわよ?カズマさん、私とあの世界に降りた最初の方は夜な夜なゴソゴソ___」

 

「___あれ?アクアじゃないか!!」

 

 随分のタイミングの良い奴だ。

 ゴソゴソが何なのか勝手に想像して少し顔を赤らめる後輩を尻目に、声のした方へと振り返る。

 

 其処には此処に居る事自体が変な事以外、至って普通こ、私の知っているカズマが立っていた。

 ...アレの何処が良いのだろうか。

 

「っと隣のは確か...この前一緒に仕事した人、って言うか女神様だよな?いやぁこの前はお世話になりました!!」

 

「え!覚えてて...!い、いやこちらこそ物覚えが良くて助かりました!!」

 

 ...思わず鼻で笑ってしまいそうになる。

 私の知るカズマは普通では無かった、やはり外面だけは良いのだ。

 

「それで、何の話してたんだ?俺も今から昼だから混ぜろよ。」

 

「はぁ?嫌よ!今は女子会中なの!!」

 

「ハイハイ隣空けろアクア、ごめんな割り込んで。」

 

 呆れた様に私を手慣れた様子で遇らうと、無駄に良い外面で後輩に薄っぺらい謝罪を入れる。

 そんなカズマに顔を真っ赤にさせブンブンと勢い良く顔を振る後輩、見ていて愉快な子だ。

 

「おいしょ...んで、寝る時の話だっけか?」

 

「うーわアンタスキルで聞いてたの?引くんですけどぉ...。」

 

「人の事コソコソ話してる方がどうかと思うぜ?おいコイツの後輩で良いのかよ、やっぱエリス様に従った方が身の為だと思うけどなぁ。」

 

 コイツ...!!後輩の前じゃなければ当時みたいな喧嘩が勃発していただろう。

 一触即発な雰囲気の中で、何かを閃いたのか悪い顔で私から顔を逸らすカズマ。

 

「良し、なら今度は俺がアクアの事について教えてやるよ。やっぱ後輩として先輩の事は知っておきたいだろうし、良いだろ?」

 

「そ、そうですね...!是非!!」

 

 私の話、と言うよりカズマと話すその行為自体に価値を見出してるだろうが...まぁ此処でそれを言うのは野暮だろう。

 

「先ずはだなぁ...。」

 

 そう言ってうんうん唸るカズマから発された言葉に、私はグチャグチャにされてしまう。

 

「コイツ、滅茶苦茶寝相悪いんだよ。」

 

「ブッ!!」

 

「...えっ...?」

 

 口に含んでいた飲み物を吹き出してしまう。

 

「でも膝はとんでも無い位柔らかくてよぉ、天然の枕だろうな。それでいて頭撫でるのも上手いんだよ、だけど馬鹿だな...兎に角、後借金もする。」

 

「ちょっ!!アンタ、それ以上喋るとブン殴るわよッ!?」

 

 やってくれた!!今の良い方だと私の良い所は全てカズマが身を持って経験した経験談では無いか、そんな事をしている関係だとすれば後輩に疑われてしまう。

 そう思うも時は既に遅し、話す内容に照れたのかはたまたまだカズマと話す緊張が抜けていないのか、顔を更に真っ赤にさせながら小声で、あぁそう言う...つまり二人は...などと良からぬ邪推を始めてしまった。

 

「ち、違うの今のはただの妄想!!言ってなかったけどカズマには酷い妄想癖があるの!!」

 

「それは下界の時のお前に対する周りの印象だろうが。」

 

「それはアンタが言いだしたんでしょうがぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 久々の言い争いに腹から大きな声を出すと、後輩がそそくさと退出の準備を始めていることに気付く。

 

「えっと、あの、その...じゃ、邪魔してすいませんでしたっ!!この気持ちはキッパリ諦める事にします!!周りの子にも言っておきますので...その、お幸せにして下さい先輩!!」

 

 行ってしまった。

 と、ピタリと動きを止めるカズマ。

 

 もう暴れる演技をする必要も無くなったのだろう。

 

「はぁ...やっぱり最初っからこうしとけば良かったんじゃないか?アクア。」

 

「あのねぇ、私からしたら有象無象の嫉妬よりも上からのお叱りの方が怖いの!!...それとも、カズマさんはもっと色んな子にチヤホヤされる方が良いのかしら?」

 

「...お前が嫉妬してどうすんだよ。」

 

 本当に、こんな奴の何処が良いのだろうか。

 こんなすけこましで、スケベで、怠惰で、口の悪いこんな男の何処が...。

 

 これを皮切りにカズマによって集る女神も天使も減るだろう、皆やっと気付くのだ...カズマの駄目人間っぷりに。

 と、ポンっと私の頭に手を乗せ撫でるカズマ。

 

 本当にただ撫でるだけ、髪はグシャグシャになり、折角のお手入れも台無しな...全く、本当に、本当に...。

 空いた手で私の頬に手を添えてくる、その手に私は少し目を細めゴツゴツとした感触を顔で感じる。

 

 先程の慌てた空気は何処へやら、カズマに懐柔された私は場所を忘れ思わずその胸板に飛びついてしまう。

 トンッと柔らかい音で私を受け止めると、少し困った様に、照れた様に、下手っぴな頭を撫で続ける。

 

「...許可、貰って来たぞ。」

 

「そう、だから最近見なかったのね...お陰でさっきの子みたいな子と一杯お話しする羽目になったわ。」

 

「俺の良い所はもう出尽くしたか?」

 

 そう冗談混じりに苦笑しながら伝えるカズマに、私を顔を上げ答える。

 

「まだまだあるわ!!」

 

 それは駄目な所が多いからなのか、私だけが知っていれば良いからなのか、それは私たちにしか分からない...分からなくて良い。

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