この素晴らしいヒロインズと恋愛を!   作:おふざけちゃん

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第37話

 

 

 

『学校に通う世界』

 

 

 

「___はい!先生!!カズマくんが早弁しています!!」

 

「あ!テメェこらバラすな!!」

 

「成る程...!!お兄様の様に私も!!」

 

 教科書を立て弁当を掻き込んでいると馬鹿な女神がバラしやがった。

 それに比べてアイリスは何と可愛らしい事か、偉大な兄である俺を慕って己も弁当を食い始めたではないか。

 

 呆れ気味なダクネスに消しピンで遊ぶめぐみんとゆんゆん、真面目に教科書に目を向けるクレアに隠れて本を読むレイン。

 授業など聞く耳持たずと言わんばかりに眠るダスト、に椅子を蹴りちょっかい掛けるリーン。

 

 魔王討伐を終え平和に近付いた俺達は今、ベルゼルグ王国第一王女、ベルゼルグ • スタイリッシュ • ソード • アイリスの元来からの夢であった学校へと通っている。

 場所はレッドプリズンを貸し切り、レッドプリズンの制服を着て行われる...本当に学校らしい学校。

 

 皆見慣れないローブに包まれ様になっているめぐみんとゆんゆんを尻目に、それぞれの思い描く学園生活を行っていた。

 つまり、俺のこの早弁も俺らしい学校生活への行動の一部、何ら咎められる事は無い筈!!

 

「えーではカズマ君は後で職員室に、それでは皆さん三時限目の授業を終わります!!アイリスさん!」

 

「は、はい...!起立!礼!」

 

「「「有難う御座いましたー!!」」」

 

 何の迷いも無く俺を名指しするウィズ、基ウィズ先生。

 ...まぁ、アイリスが居る手前先生に歯向かう姿を見せるのは如何なものだろうかと。

 

 校則には歯向かうが。

 休み時間となり各々が談笑したりする中、俺は億劫な気持ちで席を立ちウィズの後を着いていく。

 

 とは言っても、送れなかった高校生活とやらの再現を楽しくできている為、この呼び出しも又心の何処かで嬉しく思う自分も居るのだが。

 ...と、クイッとローブを後ろに引っ張られる。

 

「んぉ?...って、何だよめぐみん。」

 

 実に似合っている格好のめぐみん、彼女は職員室へと用は無かった筈だが。

 

「いえ、最近カズマとあまり話せていないと思いまして。」

 

「...俺今から怒られに行かなきゃなんだけど。」

 

「ではサボりましょう。着いてきてください、このレッドプリズンの卒業生しか知らない秘密の屋上への階段がありますので!!」

 

 この街の殆どがこの学校の卒業生である為、秘密もくそも無いと思うが...まぁ、今のめぐみんに引っ張られては俺も争う術が無い。

 力の差が激しいのだ、悲しい事に。

 

 やがて教室を通り物置を通り、中庭を通り用務員室を通り...実に複雑な経路をズンズンと進んで行く。

 何故こうも周りくどいのだろうか、この街は。

 

「あ、そう言えばこの後小テストがあると聞いたのですが...ちゃんと勉強していますか?」

 

「逆に聞くがしてると思うか?」

 

「いえ微塵も。」

 

 まるで分かっていたとばかりに真顔で答える、随分と信頼されているものだ。

 

「大体テスト何てのはなくても生きていけるもんだろ?実際、アクセルの街じゃ勉強何て二の次だしな。」

 

「カズマ、此処は学校ですよ?優秀な者だけが卒業でき不出来な者は淘汰される場所です!」

 

「そんな物騒な学校を俺は知らない。」

 

 まぁ、この世界では正解なのかも知れないが。

 

「しかしどうも不思議な気持ちですね。カズマとこうして校舎を歩くと言うのも...何だか、心地が良いです。」

 

「...そうか。」

 

 そう照れ臭い事を急に伝えてくると、腕の裾を掴んでいたの己の腕をスルスルと移動させ俺の手に絡みつく。

 そのまま所謂恋人繋ぎへと...ローブのせいか、体温が熱くて仕方がない。

 

「どうですか?レッドプリズンでの生活は。」

 

「可も無く不可も無く、って感じだな。それに、この生活は俺の為じゃなくてアイリスの為だからな。」

 

「そうですか、私はとても楽しいですよ?」

 

 そう言うとめぐみんが此方を見上げる。

 

「何故だか分かりますか?」

 

「...さぁな。」

 

「カズマと一緒に居られるからです。カズマと同じ授業を、カズマと同じ教室で、カズマと同じ時間に...私の人生でこれ程楽しい時間と言うのもそうそう無いでしょう!そう思い切って言える位には。」

 

 ...コイツ今日は絶好調だな。

 もう快進撃が止まらないとばかりに、何時ものただのおちょくりレベルだと侮るなかれ。

 

 完全に惚れさせにきている!!

 いやまぁもう惚れてはいるのだが。

 

「...もし、もし私がカズマの故郷であるにほんに居れば...カズマは学校を好きでいましたか?」

 

 何処か悲しい表情を見せる。

 

「それは...難しいだろうな。めぐみんのせいでも、おかげでも無いから。」

 

「そう...ですか。」

 

 めぐみんがいようがアクアがいようがダクネスがいようがアイリスがいようが、俺は日本の学校を好きにはなれなかっただろう。

 てかそもそも学校ってあんまり関係無いしな、俺が引き篭ったの幼馴染が寝取られたせいだし。

 

 ...あれ?そう考えると別に学校自体は嫌いでは無いのかも知れない。

 俺は面倒くさい事が嫌いなのだ、その筆頭が勉強なだけであって...まぁ、どちらにしろ変わりは無いか。

 

 ただ、一つ言えるとしたら。

 

「もし、万が一にでも日本で、学校で、めぐみんと出会っていたら...俺は、めぐみんに惚れてたろうよ。」

 

「フフッ...そうですか、奇遇ですね。」

 

 頭を肩にコツンとぶつけ此方に身を任せてくる。

 

「私も、好きになっていましたよ。絶対に。」

 

 果たしてどんな出会い方をしていただろうか、何処ぞの宇宙人や未来人を求める頭の可笑しい女みたいな出会い方でもしていただろうか。

 

「カズマカズマ、ローブを一度脱いで下さい。」

 

「おぉ、別に良いけど。」

 

「有難う御座います。では、はいどうぞ。」

 

 そう言って俺のローブを受け取ると、めぐみんも己のローブを脱ぎ俺に渡してくる。

 ...ん?

 

「お、おいめぐみん何で交換したんだ?」

 

「彼ローブです。知らないんですか?紅魔の里の男性連中は皆やりたくて仕方がない、非常に羨ましがられる事ですよ?」

 

「そ、そうか彼シャツ的なやつおい待て嗅ぐな匂いを!ちょ、ちょやめろ!!恥ずかしいから!!」

 

 良くもまぁ俺の前でそんな事が出来たものだ。

 圧倒的なフィジカルを発揮し俺からローブを離すまいと身を使い隠す。

 

「いーやーでーす!!触らないで下さい!!良いじゃないですかカズマも嗅げば!!ほら、愛しの私のローブですよ!?ずっと買い替えずに使っていますからボロボロではありますが、私の匂いがたっぷりと着いた一点物ですよッ!!!」

 

「嘘付けちょくちょく買い替えてただろうが!!ってそれは良いとして、恥ずかしいんだよ!!分かるか!?」

 

「知りませんカズマはもっと恥ずべき事がある筈です。」

 

 クソ!!何とも正論だ。

 めぐみんから奪い返すのを諦め、俺もめぐみんのローブを羽織る...うん、何だか女の子らしい匂いがする、うん。

 

 何か、こう後ろからめぐみんに抱きつかれている様な...いやこれあれだな、爆裂魔法の後に背負ってる感じだ。

 何ともロマンチックなかけらも無い情景描写が浮かび上がってくるが、めぐみんはと言うと...何とも幸せそうだ。

 

「...とか言って、本当はめぐみんがやりたかっただけじゃないのか?」

 

「?えぇそうですよ、当たり前じゃ無いですか。」

 

 何を可笑しな事を言わんばかりにキョトン顔、コイツに羞恥心は存在しないのだろう。

 

「ついでにコレも交換しましょう、少ししゃがんで下さい。」

 

「んだよ次は何を奪い取ろうってんだ...ッ!?」

 

「...相変わらずカズマは初心ですね。」

 

 そう言うと、めぐみんは俺から顔を離しニコッと笑う。

 ...本当に、狡い女だ。

 

「ではカズマ此方です、目的地に着きました。」

 

「んなナビ見たいな...って、此処は職員室じゃねぇか。」

 

「えぇ、早弁の件はコッテリ怒られて下さい。では私は先に席に着いておきますので!!」

 

 ...は?

 

「ちょ!?おいふざけんな!!屋上は!?この後もっとイチャイチャする流れだったじゃんッ!!」

 

「屋上は昔ブッコロリーがふざけて落っこちたので封鎖されてますよ!!」

 

 こ、コイツ...!!

 

「もしお腹が空いたら言って下さい!!私のお弁当分けてあげますので!!...って言っても、ゆんゆんのですがッ!!」

 

「てめ待ちやがれッ!!幾ら俺でもこれは流石に怒る...ッ!!」

 

 ガラガラ、そう扉が開く音と共に氷の魔女の異名を彷彿とさせるウィズがそこに居た。

 

「カズマさん...いえ、カズマくん。一体何処で何をされてましたか?」

 

 ...あ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...ん?め、めめめぐみんさんそ、そそそれはもしかしてッ!?」

 

「んー?おやおやアイリス気づいてしまいましたか...そう!コレは貴方が愛してやまないお兄様、サトウカズマのローブッ!!その愛しの相手である私が今、こうして、羽織っているだけではありませんか!!」

 

「狡い...!狡いです!!私もお兄様のローブを羽織ってみたいですッ!!!」

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