この素晴らしいヒロインズと恋愛を!   作:おふざけちゃん

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この歳上妹と祝福を!

 

 

 

『十年後な世界』

 

 

 

「___お兄様ッ!?」

 

 神器。

 俺達日本人がアクア達女神から与えられた、人智を超えたチート能力。

 

 その力は凄まじい物もあれば、人の手に負えないとんでもない力を持つ物もあってしまう。

 そんな神器は持ち主が亡くなるとどうなるか……それは、本来の力が抑えられた唯の凄い道具に成り下がってしまう。

 

 だが、力を失った神器でさえ未だ解明も出来ず抗えない言葉に出来ない、そんな凄い力は健在であってしまうのだ……困った事に。

 だからこそ、そんな危険な物はエリス様が率先して回収しているのだが、やはり全てを回収すると言う事は現実的では無い。

 

 その結果どうなるか、エリス様の手に渡らないでいる神器はその強大な力を時に便利に、時に牙を向き、我々人類に襲い掛かる。

 長々と結局何が言いたいのか、とどのつまり俺はその神器に牙を剥かれた訳だ。

 

 愛しのアイリスに会いに行こうとした結果、何故か持っていたバズーカーの様な物をクレアが向けて来て、真顔で『これも実験の内だ』と得体の知れない物を俺目掛け容赦なくぶっ放す。

 アイリスの悲痛な叫びを耳に微かに聞こえながら、意識が朦朧とする中濁っていた視界が段々と晴れてくる。

 

 これは……俺が昔日本に居た頃に概念として流行った十年バズーカーとやらだろう。

 一体これを持ち込んだ日本人は何を思っていたのか、どうせなら殺傷能力のある本物のバズーカーを持っていけば良い物の……まぁ、今更考えても遅いが。

 

「___ごほっ!ごほっ!!……たくっ、良い加減クレアはもう一度スティールでパン……ツ…を…?」

 

「……カズ……マ…?」

 

 晴れた視界の先、何処もこれといった変化のない至って普通な王城であったが……あまりにも変化しすぎている者がそこに存在していた。

 記憶の限りでは長かった髪はある程度短く纏められ、俺を見上げていた筈の青い目が今度は逆に俺を見下ろしているでは無いか。

 

 金属鎧に身を包み、アイリス……と言うよりも、何処かダクネスとクレアを足して割った人物だと直感。

 少なくとも、俺の知っているアイリスでは無い事は確かだ。

 

 急にデカく成長したアイリスと目をパチパチと見合っていると、ポンッと掌を叩き一言。

 

「成る程、今日でしたか!」

 

 納得がいったとばかりに頷くアイリスの様な人、何が何だか分からない……訳ではないが、一つだけ確認したい。

 

「……アイリス……何だよな?」

 

「はい!!勿論ですカズ……あ、今はお兄様…ですね!!」

 

 そう言ってニコニコと笑うアイリス……声はほんの少しだけ変わっただろうか、笑顔も、仕草も、全てがアイリスそのものだと理解している……理解はしているのだが、どうしても目の前の人物がアイリスだと確証が得られないでいる理由がある。

 それは……。

 

「なぁ、さっきから俺の事カズマカズマって……えと、どう言う事だ?」

 

 そう、アイリスは俺の事をお兄様と呼ぶ……もしくは、カズマさんと敬称を付けて呼ぶのだ。

 だと言うのに……仮に未来のアイリスと仮定した目の前の人は、俺の事をカズマと呼び捨てなのだ。

 

 どう言う経緯でそうなったのか、フレンドリーなのは嬉しい事なのだが……何故お兄様呼びを止めてしまったのか。

 様々な疑問が浮かび上がる……が、その全てをアイリスが一つの動作で解決してしまう。

 

「えっと……これを見ていただければ分かると思います…!!」

 

「………な、る程……ねぇ……うん、いやまさかだな、本当に、うん。」

 

 少し照れながら左手の薬指を上げてくるその動作が何を示すか、言わなくても分かるだろう。

 つまり俺はこの先の未来、アイリスと結婚するのだ……ベルゼルグ・スタイリッシュ・ソード・アイリスから、佐藤アイリスへと……いや、逆に俺がベルゼルグ・スタイリッシュ・ソード・カズマになるのだろうか?

 

 そんな事を考えながら……何か、色々と起きたと言うのに其処まで驚かない自分が居る。

 勿論アイリスを選んだと言う事自体にはかなり内心驚いてはいるが、十年バズーカーだったり未来のアイリスだったり、この現象に理解が出来てしまうからこそ其処まで衝撃だとはならない。

 

 それよりも、俺は今この貴重な時間をどう体験しようか頭を巡らせる。

 どうせならめぐみん達を見に行こうか?アクアに変化はあるのか?ダクネスは領主として立派になっているのか?こめっこはめぐみんの様になっているのか?どれも気になって仕方が無い。

 

 どれから確認しようか、まずはクレアは老けたかどうか確認しようか……そんな事を考えていると、アイリスが俺の前へと立っていた事に気付く。

 

「ん?どうしたアイリ……スっ!?」

 

「ふふっ…ぎゅーです、お兄様…!」

 

 俺を包み込む様に抱き着いてくるアイリス。

 俺の知っているアイリスのハグは俺の腰に手を回し顔をお腹辺りに埋め、上目遣いでニッコリと笑うハグである。

 

 だがしかし今はどうだろうか。

 逆に俺がアイリスの様な立ち位置へと変わり、簡単に持ち上げられてしまいそうな程に力の差を感じる結果へとなってしまっている。

 

「こんなに小さかったんですね、お兄様……。」

 

「お、おう……アイリスは随分と成長したな…!!お兄ちゃんびっくりしたぞ。」

 

「そうですか……はい、アイリスは立派に大きくなりましたか?」

 

 ニコリと笑い……だがそれは幼さの残るあのアイリスの笑顔ではなく、大人になったんだなと感じる魅惑を感じる笑顔で俺を見下ろす。

 ……ゴクリと喉を鳴らしてしまう、まさか……アイリスに劣情してしまう日が来るとは……人生分からないものだ。

 

 もし今の俺をクレア等に見らればそく死刑だろう、そう思う程に顔が真っ赤になっている。

 ほぅとアイリスの吐息が耳に辺り、やがて我慢が利かないと思い始めた頃やっとアイリスの抱擁から解放される。

 

「ごめんなさいお兄様……少し、何時もしてやられるので仕返しがしたくなったのです……許してください。」

 

「………。」

 

 ドキドキと鳴り止まない心臓を落ち着かせる為胸に手を置くが、今の俺はアイリスの匂い、感触、声、その全てに思考を侵されている。

 そんな俺にクスクスと笑い掛けながら少し距離を取る。

 

「……そろそろでしょうか。」

 

 ポツリと言葉を漏らしたアイリス。

 

「少し名残惜しいですが…お時間ですね。」

 

 最後だと言わんばかりにもう一度また俺へ近付き……頬に一つ、キスを落とす。

 そのままクルリと嬉しそうに回ると、手をヒラヒラとさせながら口を開く。

 

「では、また十年後お会いしましょう……お兄様?」

 

 その瞬間、クレアに十年バズーカーを放たれた時の同じ感触にいたる。

 これは……元の世界へと戻るのだろう。

 

 もし今の世界へ戻れた時、俺はアイリスの顔をまともに見られるだろうか?

 逆に向こうの世界はどうなっているのか、そんな思考をしつつも俺は十年後のアイリスを忘れる事は無いだろう。

 

 それ程までに、アイリスに悪戯をされてしまったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___き、きき貴様アイリス様から離れないかっ!?本当に叩き切られたいのかッ!!」

 

「んーそう硬い事言うなってクレア、なぁアイリス?……全く、昔の初心なアイリスも可愛いなぁ!!」

 

「うぅ…!!あ、あのお兄様……?す、少し恥ずかしい……の、ですが…!!う、うぅ…!!」

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