『何だかんだ相性の良い二人の世界』
「___よ、久しぶりセレス。」
「………。」
セシリーと同じ格好で慈善活動に励んでいたセレスディナを見つけ、思わず声を掛けてしまう。
そんな俺を信じられない物を見る目で口をあんぐりとさせ立ち竦む。
相変わらずエロいホクロと整った面を持つセレスディナ、アレからどうなったのか興味本位でアルカンレティアに来たは良いがセレスディナを見つけるだけでだいぶ披露してしまっていた。
正直さっさと帰りたかった為目的の人物を見つけ終わると、俺はそのまま回り右でテレポートで帰ろうと……。
「待て待て待て待て!!お前どの面下げて此処に来たっ!?」
「おい危ねぇだろもし転送失敗でもしたらどうすんだ。」
「知るかそんな事っ!!」
ズカズカと聖職者らしからぬ佇まいで此方へ駆け寄ると、怒りに満ちた表情で俺を睨んでくる。
「お前のせいであたしはどれだけ苦労してると思ってんだ…!!」
「自業自得だろ……あ、そういや魔王倒したぞ。」
一応報告しておかないとな。
そういや魔王が無くなった後の魔王軍幹部ってどうなってんだろ、魔王の娘とやらがまた魔王になるのを待つのだろうか。
まぁ現状残る魔王軍幹部の内二名はもう幹部を名乗る程でも無いが。
「ついで見たいに報告してきやがって…!!ちっ、まぁそれは良い。それよりそろそろあたしを此処から解放してくれよ、此れでも結構反省してるんだ。後彼奴等の相手はもう勘弁だ…!!」
クイッと後ろに親指を指す方向には、相変わらずエリス教徒にちょっかい掛ける顔見知りのアクシズ教徒の連中……まぁ確かにアレの相手は面倒だ。
だからこそコイツを此処にぶち込んだんだが……魔王も居なくなり平和になった今、コイツを留めて置く必要と無い……強いて言えば罪の償い位だ。
それも正直アクシズ教へ置いておくとまた別の罪を増やしてそうだし……そろそろ自由にしてやるのも良いかも知れない。
まぁそれもそれでアクアがゆるさないだろうが。
「頼むよ、ほら……あたしって面良いだろ?もし解放したら良い事してやるぜ?」
……舐められたものだ。
あれだけ良い思いをさせて貰っている俺にまだ出来る事があると、コイツは自身があるのだ。
勿論そんな事は到底許される事ではない、それは此れまでコイツに被害を受けてきた被害者を侮辱する行為他なら無いからだ。
ましてや今やあの三人も居る俺がコイツの誘いを受ける、それは勇者サトウカズマとしてあまりにも如何なものかと全員が口を揃えて言うだろう。
つまり俺はコイツの言葉をフル無視してテレポートで帰るのが次に取るべき行動なのだ。
「良い事って?」
「ふっ……あたしも清い身、そんなあたしにしか出来ねぇ事……。」
喉を鳴らし次の言葉を待つ。
周りを見渡し俺の耳元に顔を近付けると、少し火照った顔でまるで誘惑する様に……。
「……キ、キス……してやるよ…。」
「はい解散、それじゃあ元気でなセレス。」
「えっ?ちょ、おいま、待てってッ!!」
此れだから初心な奴は駄目だ。
「なーにがキスだボケ!!んなもんやろうと思えば幾らでも出来る立場何だよこちとら!!それにそのネタはもうダクネスがやって……ちょ、おい良い加減離せ!!」
「クッ…!!こ、此れでも勇気を出してんだ…っ!!お前聖職者のキスがどれだけ重い事か知らないのかッ!?」
「知るか!!キスじゃなくてそのまだ使われてねぇ身体を差し出す……とかなら分かるが、今更お前のキス何て貰っても嬉しくねぇ……のは嘘だが、キス如きであのイカれた奴らから解放するのは割に合わねぇだろっ!?」
自分で清い身だとか言っておいて、中身は清くなるべくしてなったただの売れ残りじゃねぇか!!同じく清い身だと言うのにあれだけ積極的なめぐみんを見習って欲しいものだ。
そんなこんな暫く押し問答をしていると、互いに疲れてきた為一度手を離し体制を整える。
「……分かった、良いよ。どうせお前には色々と辱めを受けさせられてんだ、もうこの身体にお前に汚されきってんだ……。」
「……おい、辞めろそんな諦めた目で俺を見るのを。おい目を瞑るな身体を震わせるな!!」
「まぁ冗談だ、あたしはこれでも本気で好きになった相手にしかそう言う事はしたく無いんでね。」
フンッと鼻を鳴らし腕を組み俺を睨みつけるセレスディナ……コイツ、そりゃ売れ残るだろうな。
あれ?でも確か……。
「でもお前パンツ見して金を借りる、ヤクザ商法してなかったっけ?」
「あれはお前のせいだろうが……ッ!!」
ギリギリと思い出したく無い事を思い出させられる頭を抱える、どうやら俺との日々は鮮明に脳裏に焼き付いているみたいだ。
アレほど楽しい日々もそう無かったのも朧気ながらに覚えている、もしまだ傀儡化に出来ると言うのならして欲しい。
今度は解放後も鮮明に記憶が残って欲しいが。
と、ふと最初の話題を思い返す。
「あ、なぁ今更だけどよ。お前をアクシズ教徒から解放するって話、もしかしたら出来るかも知れねぇぜ?」
「何っ!?そ、それは本当か…?」
「あぁ、今度新しい商売を初めようと思ってな……それのアシスタントをして貰おうかと。」
挨拶ついでに訪ねるつもりだったのを、アクシズ教徒の勧誘のせいですっかり忘れてしまっていた。
懐から日記を取り出すと、その日記に覚えがあるのか先程まで何処かワクワクしていた様子だったセレスディナがピシャリと動きを止める。
「部屋を漁ってたら出てきたんだよ、お前との日々の後書き的な場所にほら……大量のお前との官能小説。」
「………。」
「これをお前に物語風に書いて貰おうと……どう?今のままが良いか、俺と一緒にお前自身の官能小説を書き続けるか……選んで良いぞ。」
頬をピクつかせ黙り込む、どちらの方が良いかなど考える必要もなさそうだが……それ程までにこの日記に悪い思い入れがあるみたいだ。
俺を睨見つけながら暫くの間無言で考え込む、その答えを聞く為数分程待っている……と、日記をグシャッと掴み顔を上げる。
「……書けば……書けば良いんだろッ!?恋愛経験も、男も知らない私が!!私自身の!!官能小説を!!なぁッ!?」
「やる気はバッチシみたいだな、言い忘れてたけどこれはバニルも絡んでるから描き終わったらバニルにも提出しに行かなければ駄目だからな。ウィズにもついでに最終確認的な意味合いで見てもらうらしい。」
「あぁぁぁぁぁぁ嫌いだ!!お前の事は大っ嫌いだぁッ!!」
頭をガシガシと掻き毟り座り込む、まぁ金も無ければ生活環境も地獄なここよりも恥を捨て金を得た方が良いに決まっている。
暫くの間周りにギリ迷惑になるレベルの声量で叫んだ後、バッと顔を上げ俺を睨みつける。
「絶対売れるんだろうな、もし売れなかったらお前を殺してあたしも死んでやるからな!!」
何て重い告白何だ、とても清い身から出た言葉とは思えない。
「安心しろ、もし売れなかったら俺がお前をペット件ダクネスのサンドバッグとして雇ってやるから。」
「………ッ!!」
そうニヤリと笑うとまるで悍ましいものでも見るかの様な恐怖に満ち溢れた顔で俺を見つめ、やがて全てを諦めたかの様に手を差し出し一言。
「……出来るだけ短い時間で売れてやる…!!」
「お前とは長い間柄になりそうだ。」
差し出された手に握手し返し、そう俺は確信しながら返事を返す。