MTG版TCGホビーアニメ(システムに欠陥あり) 作:名無しのプレインズウォーカー
どうやら歩夢くんと
「じゃあ、頃合いを見てこっちも動こうかな」
こっちはこっちで動くからと言った以上、警察には連絡しないと。友人が事件に巻き込まれたと言えば何とかなるはずだ。
完全にスルーを決め込むほど冷たい人間になるつもりはないが、命を張るほど良い人でもない。二人には悪いが安全な場所から応援させてもらおう。
そう思って移動としようとすると、首をむんずと掴まれた。なにこれまた!?
「待て。一人で行く気か」
「げえっ! 黒フード!?」
自分を持ち上げているのは以前会った黒フードの男。いくらなんでもタイミング悪すぎでしょ! お前『ナヒリ*4』かよぉ! いや、使ってる色的に『ウルザ*5』か!
「一緒には行かなかったのか。何故だ」
「そりゃあ1人は状況を説明して警察呼んだ方がいいでしょ。友人がいなくなったって言って、場所と時間さえ言えばいくらすぐ動くでしょうし」
二人の友人である学くんが連れ去られた時は、現場の確認と情報収集のため、本格的な捜索は明日の朝まで待ってほしいと言われた。でも、続けて二人が消えたら警察も重い腰をあげるでしょ。
ホントは我が身がかわいいだけだけどね! だけどどっちもハズレとは誰も思わないじゃん? 『けちな贈り物*6』だってもう少しマトモな選択させてくれるよ!
「それまで二人で何とかなると思っているのか?」
「歩夢くんのデッキ改造は私も手伝いましたし、ほぼ『パイオニア』範疇とは言え完成度は高いですよ。札姫ちゃんには私の『レガシー』デッキをカスタマイズして渡してるんで何とかなりますって」
「!? 自分のデッキを渡したのか!?」
「だって出来るだけ力にはなってあげたいじゃないですか。流石に分かってて死なせるような真似はしませんよ」
「何かあればお前のカードは戻ってこないのかもしれないのだぞ? 悪く言えばあの子が返さない可能性もある」
「否定はしませんが、(自分の)命の方が大事でしょ? まぁ、あの二人に限って言えば、そんなことはありえません」
デッキを貸したのは……、信用に対する対価みたいなものだ。
歩夢くんは始めから結構信用してくれたし、札姫ちゃんには最初こそ突っかかれたけど、今では風呂に誘われる仲だからそんなに悪くない仲だろう。しかし札姫ちゃんの発育は凄かったな。中学生でアレとか、ワタシの未来は文字通り望み薄だろう。歩夢くんが私の素っ裸に絶句したのもよく分かる。ごめんね見苦しいもの*7見せて。
あの後擦り切れそうなくらい土下座してくれたあたり、相当良い子なんだと思った。誰かに悪感情を抱くのを、恥ずべきことだと思っているに違いない。初対面はどうかと思ったけど真面目さんだよねー。彼のお兄さんも、地味目なクラスメイトの自分にたまに声をかけてくれるから、そもそもの育ちが良いのだろう。ああいう人に上司になってもらいたい。
信用にお金を払うみたいで嫌だけど、言葉だけよりかは幾らかマシだろう。
首を後ろに捻っても顔は見えない。この距離でまともに顔が見えないなんて、どういう仕組みだ、そのフード。わずかに見えた口許は笑っているように見えるが。
「……そうか。ならば共に征くか」
「話聞いてました? 警察呼ぶんで、アナタも捕まりますよ?」
「今回は呼ばない方が良い。上辺の教主だけなら問題ないのだがな、奴等のスポンサーが厄介だ。警察を呼んでも動くのに相当時間がかかるだろう。現に友人が連れ去られたようだが、本格的な捜索はされていないのだろう? 仮に動いたとしても、気取られて逃走される可能性が高い」
「はっ? それアナタが通報を逃れる方便じゃありません?」
「事実だ。別に正義の味方ではないが、アイツがいると私の楽しみは減るばかりでな。今回やっと尻尾を掴めた」
本当か嘘かは判断が付かない。が、コイツが味方ならこの上ない戦力だ。歩夢くんが組織の幹部と戦った時に、黒フードの男について聞いたら、何も知らなかったようだし。『実物提示教育』についても反応はイマイチだったとのこと。コイツと今回の敵は、少なくとも協力関係ではないと思う。
そして、もし敵なら、私とこうやって話すことはあるまい。
「少なくとも、今回はあの子達に協力してくれると?」
「ああ。彼らの安全に関してはベストを尽くそう。絶対とは言えんが」
なら、任せよう。こういうのにありがちな無能な警察よりかはマシだろう。
「じゃあ、任せました。役立たずは家に戻ってますね」
「何を言っている。お前もだ」
「はぁ?」
襟首で吊るされている状態から、体勢が変わった。男の腕が背中と膝に回されて抱えられる。
腕太っ! 胸板逞し! ってやかましいわ!
「HA・NA・SE! だからデッキは貸してるって言ったじゃないですか!」
「お前のことだ。どうせ別のデッキを準備しているのだろう?」
「――いや。まぁ、そうですけど」
いくらなんでも丸腰は怖いので、『モダン』用を弄って『レガシー』向けに調整したものを持っている。だが、流石に青のパーツは足りなかったので、本当に最低限だ。1ターン目にブン回されると手も足も出ない。
「ならば問題なかろう。征くぞ」
「へっ?」
そう言うと私を抱えたまま走り始めた。速ッ! TCGものにデュエルマッスルはつきものだけどさぁ! 人一人運んでこれとか明らかにおかしい。大分軽いけどね? 自分。
「離せこの不審者! クソッ、全員無事に帰れなかったら通報しますから!」
「それは困るな。精々努めるとしよう」
「このヘンタイ! ロ◯コン! ペ○フィリア!」
「……最悪ロ◯コンまでは仕方ないか」
「今なんて言った?」
すっごい不穏な発言をされた気がするんだけど。
で、何かMTGで世界征服しようとしている教団の本拠地に来たわけだが。さっきの話のとおり目当ては教主ではないらしい。どうも裏についているパトロンに、成果を求められたことが今回の事件の発端のようだ。そして今夜はスポンサーと教団の会合らしい。
移動中の説明によると、まず一部の大規模なMTG国際試合を国家間の代理戦争と、違法賭博の対象にしてプロデュースしているシンジゲートがあるらしい。そして黒フードが追っているスポンサーは、その代理戦争への参加と勝利のために『エターナル』レベルのカードと、実力者や将来の有望株を効率的に管理するため合法非合法問わず、水面下で動いているようだ。
「いや。たかがカードゲーム如きに全国民の命運を賭けるなよ。酒の席で決めた? 金も権力にも困ってないだろうにメチルアルコールなんて飲むなよ」と、思わず呟くと「そのとおりだ」と力強く頷かれてしまった。
お前変な所正気だな。やっぱ頭ウルザだよ。
そんなこんなで、やけにあっさりVIP用通路なるものに侵入したワタシ達。
下調べしているからだろうが、妙にスムーズだなと思って降ろされてすぐ、通路のむこうからそのスポンサーが現れた。
「久しぶりだね。兄さん」
「……泣き虫小僧が。何しに来た」
色々な疑問が氷解した。
お前ウルザじゃなくてミシュラ*8だったんかい! そのまま少し言葉を交わすと流れるようにゲームが始まった。お前らプレインズウォーカー*9かよ。しかも『ヴィンテージ』か。お兄さんが『ルールス*10』公開したな、フードの男はいきなり『Dooms Day*11』か。
酔っ払いの兄貴とカルト信者の弟。どっちが勝っても終わりだよこの国。
しかし眼光が鋭くて気圧されるが、顔は良いなお兄さん。元男の身ながら羨ましい。フードを取った男の顔もそっくりだった。兄に比べて目は優しいが。でもね。不思議なことに全っ然ときめかないの。身体は女なのに。不思議!
「では、お嬢様につきましては、このワタクシめがお相手いたしましょう」
世界一(多元宇宙では多分3位*12)不毛な兄弟戦争の開戦を眺めていると、いつの間にか執事服の男が側に立っていた。
「お気を悪くされたら申し訳ありません。どちら様でしょう?」
「わたくし、あのお二方に仕える執事でございます。名を……そうですね。セバスチャンとでもお呼びください」
「今決めましたよね。それ。まぁいいです。バスにゃん*13はワタシに何のご用で?」
「わたくしと一勝負といきましょう」
つ、強い。この執事強いぞ。ツッコミどころを全部スルーして、ダリチュ納墓再活性*14キメてくる。
「ワタシ、関係ないですよね?」
「関係ありません。どうかこの哀れな執事めと、一戦交えていただけませんか?」
恭しく礼をしているが、完璧な角度で頭を下げたまま身じろぎもしない。これ「はい」選択しないと進まないやつだ。今切実に『テフェリーの防御*15』打ちたい。ファイレクシアの侵攻が早すぎる。
「分かりましたよ。あんまり強くないのでお手柔らかに。別に命賭けるとかないですよね?」
「ご所望でしたらどうぞ。わたくしは賭けませんが」
「賭けるか!」
相当ウザいな。コイツ。出来るだけ黙ってよう。するとどこから出したのか。いつの間にか7枚の手札が握られていた。
あわててデッキを取り出してカードを引く。マリガンは大丈夫そうだ。
「宣言なされないということで、先攻はお譲りくださるということでよろしいですね? 早速メインフェイズに入りましょう。『島』拓きそこから1マナ。『霊気の薬瓶*16』を唱えましょう。リアクリョンあればどうぞ」
どこまで計算なんです、これ。執事じゃなくて詐欺師か手品師の類じゃない? 取られたものは仕方ない。せめてプレイは冷静にやらないと。
「ノーレスポンス。着地どうぞ」
「ではターンお譲りします」
「ドローいただきます。メインフェイズまでに何か」
「呪文の詠唱までどうぞ」
『島』に『
……しまった。急いで始まったせいで『相棒』の公開を忘れていた*17。
「……すいません。『相棒』の公開を忘れていました」
「わたくしも確認なく先攻を取ってしまいましたから。問題ありません。公開どうぞ」
コイツ。
「……『相棒』として『空を放浪するもの、ヨ―リオン*18』を公開します。改めてメインフェイズ。『平地』をおいて『霊気の薬瓶』をキャスト」
「お嬢様のご友人は『デス&タックス*19』でしょうか? では失礼して、『島』を一旦塞ぎ『目くらまし*20』。このままですと手を滑らせて『薬瓶』を割ってしまうでしょう」
「……ノーレスポンス」
「では『薬瓶』は割れてしまいますね。お怪我がなくて良かった」
「割ったのはアナタでしょう? ターンエンド」
青が入っている以上『薬瓶』スタートは見過ごせない。打ち消されたのは痛いが、あっちもあまりやりたくなかったはず。それをカバーできるのが『薬瓶』なんだけどね。
「ではわたくしのターン。アップキープステップに『薬瓶』に霊気を注ぎましょう。カードを引きましてメインフェイズ」
「どうぞ」
「このターンは島を再開発するだけに留めましょう。どうぞ、お嬢様」
「アンタップアップキープ、ドローからメインに入ります」
ドローは、なるほど。青系には面白い引きだ。
「『平地』を置いて白1マナ『魂の導き手*21』」
「これは難しいお客様ですね。……えぇ。どうぞいらしてくださいませ」
「『導き手』がフィールドへ。続いて1マナで『霊気の薬瓶』。通りますか?」
「2つ目でございますか。悩ましいですね……。執事は同じミスはしませんとも。今度は間違いなくお届けいたします」
「『バイアル』が着地。ならターンお返しします」
「お待ちを。お嬢様のエンドフェイズに『薬瓶』を起動いたします。『激浪の形成師*22』がお迎えに上がります」
「そのままどうぞ」
大方の予想通り『マーフォーク*23』ね。こっちはいかに引き延ばせるかが勝負か。
どっちかに釣られないかと思ったけど、カウンターは打たないか。持ってて通したのなら、クロックはそれなりに握っているということか。
「僭越ながら手番をいただきます。アップキープステップに『薬瓶』にもう少し霊気を注ぎましょう。一枚引いてメインフェイズ」
「どうぞ」
『バイアル』のカウンターが2つ。『マーフォーク』はここからだ。
「『島』を歩いていると珍しい地形を見つけたようです。『変わり谷*24』をフィールドへ。『島』と『変わり谷』から2マナ、『ヴォーデイリアの呪詛抑え*25』を唱えましょう」
「通ります」
「『呪詛抑え』はクリーチャー以外の呪文への打ち消し効果と、自身以外の『マーフォーク』へのパンプアップ効果、つまりロード効果を持ちます。『形成師』は+1/+1修正され2/2。ではコンバットフェイズに入りましょう。『形成師』でお嬢様へ攻撃」
「ブロック指定まで何もありません」
「では『薬瓶』を起動。手札より『アトランティスの王*26』をフィールドへ。こちらもロード効果を持ちます。さらに『島渡り』も与えますが、いまは関係ありませんね。『形成師』は3/3となります」
「ボディ。残りライフ17」
3ターン目クロック3。普通に見えるが、次ターンは8点が見えている。『クロックパーミッション』で出していい速度じゃない。
「お嬢様の手番でございます。呪文の詠唱をするまでは、特に対応いたしませんのでご了承ください」
「ではアンタップ、アップキープに『バイアル』にカウンターを置きます。ドローしてメイン。残りの手札枚数をお聞きしても?」
「2枚でございます」
仕掛けどころか。『Will』を握っていると仮定して、どこで当てるだろうか。恐らく初っ端には使いたくないだろうが。
「手札の『封じ込める僧侶*27』を追放し、『孤独*28』を想起コストでキャスト。通る?」
さて、盤面の維持と手札二枚、どっちを取る?
「これはこれは、坊ちゃまが側におりながら『孤独』とは。残りの手札の枚数を伺っても?」
「2枚です。どうせ最後は1人なんだし、『孤独』とは仲良くすべきじゃない?」
「……おっしゃるとおりでございます。その『孤独』に対して、わたくしめは無力でございます」
だよね。手札にロードがいれば、返し3/3クリーチャー2体+αで殴れる。こっちは3マナ立ってるし、明らかに誘ってるように見えるもん。
最悪はこれを打ち消して『護衛募集員』から『オセロットの群れ』や『石鍛冶の神秘家*29』経由で『梅澤の十手*30』あたり持ってこられることだ。特に手札に直接『十手』を握っていた場合、このターン出てしまうとかなり厳しくなるはず。
「『孤独』が着地。『孤独』のETB能力、『導き手』の能力が誘発、まずは『孤独』で『呪詛抑え』を追放。続いて『導き手』の1点ライフゲインと霊気エネルギーを1つ獲得」
「お嬢様の指示通り『呪詛抑え』は農家になりました。達者なようです。2点分の穀物が送られてきました。いただきましょう。お嬢様の分はないそうです」
「いりませんよ。『マーフォーク』の作った野菜とかぬめってそうですし。では『想起』がスタックに載ってる状態でスタック。白1マナ」
「はて? もう1尾の『マーフォーク』も農場送り*31をご所望で?」
「えぇ。そのとおりよ。バスにゃん」
『儚い存在/Ephemerate*32』
「対象は『孤独』」
「……いささかやりすぎでは?」
「滅びよマーフォーク*33。この舘、磯臭いったらありゃしないわ。まとめて解雇しちゃいましょう」
「手札の『真珠三叉槍の達人*34』を追放して1点のライフを支払い、
「レスなし。『儚い存在』は打ち消されます」
私の手札は1枚。万が一の妨害もない。
「『バイアル』をアクティブ。手札の『オセロットの群れ*35』を場に」
『護衛募集員』は無かったけど、『導き手』と『オセロット』のセットは最初から持ってたんだよね。
「ふーむ。本館にペットを持ち込むのはご遠慮願いたいのですが」
「ペットじゃなくて野良。そんなに嫌なら追い出せばいい」
「致し方ありません。認めましょう」
「『導き手』の効果が誘発、1点ゲインとエネルギーを1個獲得」
これでお互いハンドレス、あとはトップ勝負。と言いたいところだけど、自分にはサイドに『相棒』がいるから実質手札が+1。長引けばこちらが有利。
「エンド時に『オセロット』の効果が誘発1/1の猫トークンが場へ。トークン反応して『導き手』の効果が誘発。計エネルギー3つ。残ライフ20。ターンエンド」
「およよ……『形成師』の頑張りが水の泡に。ではわたくしのターン。そろそろ年休を消化しましょう。アップキープステップに『薬瓶』に霊気を注ぐものもございません。ターンエンド」
「じゃあ。私のターン、『バイアル』のカウンターが2つに。ドロー、なるほど」
ちょっと噛み合いはイマイチか。あの一枚が『マーフォークのペテン師*36』だと面倒だ。大人しくしていよう。
「このままターンエンド」
「ではターンをいただきましょう。ドローフェイズまでは年休です。一枚引き、解雇を免れた『マーフォーク』達はやる気のようです。まずは洞窟の探検から、『魂の洞窟*37』を場に。指定は『マーフォーク』。『洞窟』から青を出し、青ダブルシンボルを含む3マナ」
『海と空のシヴィエルン/Svyelun Sea and Sky*38』
「意味は薄いですが打ち消しは不可能でございます」
「……ホント意味薄いなぁ。その効果」
この状況だと、それこそ『マナ税収』くらいしか引っ掛かるのないもん。でも
「働き者なのは良いことですね。ですがもう少し休んでもらっていいですよ。白2マナ」
共に立ち並ぶファラミアとエオウィンは、自らも気付かぬうちに手を取り合っていた。
『一時の猶予/Reprieve*39』
お守りが本当にお守りになるとは思わなかった。大抵打っても、押し切られることの方が多いのだけれど。
「それは白い『差し戻し』? ですが『打ち消して』戻す以上、打ち消せない呪文には無意味のはず……」
「この効果は打ち消すのではなく、スタック上にある呪文を『手札に戻す』だけです。『打ち消す』処理がないので、『魂の洞窟』を経由しても有効ですよ」
ディスクがスタックの処理を受け付けた。1ドローの指示が表示される。
「……どうやらそのとおりのようですね。『シヴィエルン』が手札に戻ります。貴女のターンです」
「ターンもらいますね。アップキープに『バイアル』カウンターを載せて3つに。ドローワン、メインに入って『不毛の大地*40』をセット」
おっと。右手がピッカピカ。『猶予』のドローも、通常ドローもドンピシャの引きだ。
「『バイアル』起動。手札の『護衛募集員*41』を場に呼び出します。『護衛募集員』のサーチ効果で、そうですね……。『溌溂の牧羊犬 フィリア*42』を手札に。『導き手』の効果を処理。『瞬速』持ちですが……、変なの構えられても困るので『フィリア』もだしてしまいましょうか。2マナで『フィリア』、『導き手』が誘発。コンバット、『オセロット』のみでアタック。アタック時『導き手』が誘発、『オセロット』に+1/+1カウンターを二つ乗せ、『飛行』をあたえます」
「スルー。残り18点ですね」
「『絆魂』で3点ゲイン。ライフ25点。そのままエンドフェイズへ。このターンライフを得たので『オセロット』の効果が誘発。『昇殿』の条件を満たしているのでトークンが2匹出ます。再び『導き手』が誘発。ライフ27、エネルギー4個。処理後に『不毛の大地』をアクティベート。対象はそちらの『
「……たまくつ……ですか。えぇ。破壊されます」
3マナ目を封じた。『シヴィエルン』を出すには『バイアル』を3にするか、青マナが出る土地を引くことに賭けるか。
「ここまで増えると使用人ではどうしようもありませんね。天変地異でも起きなければ」
「『サイクロン*44』はまだ赤道くらいじゃないですか」
「そもそも本館の立地は完璧ですので、『サイクロン』が来ることはありません。ターンをいただきましょう。アップキープステップ、『薬瓶』に……霊気を加えましょう。カウンターが3つに。一枚引きます」
落胆も困惑も常に微笑み混じだったバスにゃんが、ほんの僅かだが100%やらかしたように眉をひそめた。もしかしたら『バイアル』の裏目を引いたかもしれない。
「ターンお返しします」
「ではわたしのターン。アップキープに『バイアル』を4に。ドロー。まずは攻撃ですね。『オセロット』と『フィリア』でアタック。攻撃時に『フィリア』と『導き手』の効果が誘発。『フィリア』のブリンク対象は『募集員』。対応は?」
「何かしらおもてなししたいところですが……、生憎諸々手違いがありまして。歓待の準備が出来ておりません」
「では『フィリア」から解決して『募集員』をワタシのターン終了時まで一時追放します。更に『導き手』でエネルギーを3つ払い『フィリア』を4/4飛行に。通るなら計7点です』
「テイクいたします。残りのライフは11点」
「『絆魂』で3点ゲイン。メイン2に『Karakas*45』をセット。『平地』から3マナ出して『ヨ―リオン』を手札に」
「……仮に『変わり谷』が『島』だったとしても、挽回は難しいですね」
「『ペテン師』握ってます? 『レガシ―』以下だと単色デッキでも色事故が発生しますからね」
完全に動揺が顔に出ましたね。すぐに笑顔で誤魔化しましたけど。こうして見ると『シヴィエルン』の調整って絶妙だったんだなって。リターンは大きいし、間違いなく強いけど実際使うとリスクがあるっていう。出た時は『マーフォーク』が最強になるって思ったんだけど。
その手札が2マナロードだったらまだ分からなかったかもしれない。
「エンドフェイズの処理に入ります。先ずは『募集員』が帰還して『フィリア』が5/5に、『導き手』が誘発。『募集員』のETB能力で持ってくるのは……無難に『孤独』にします。『オセロット』の能力が誘発して猫トークンが2体出現。『導き手』が2回誘発。最終的なライフは33、エネルギーは4つ」
「一通りの処理が終わった後に『薬瓶』を起動いたしましょう。『シヴィエルン』を場に」
「ノーレスポンス。改めてターンエンド」
『Karakas』で戻すのはコンバットフェイズ前でいい。ワンチャン『フィリア』バウンスもあり得る。
「『薬瓶』はそのまま、ドローいたします。……遅刻気味ですね。『激浪の形成師』をキッカーコスト込み、2マナで詠唱しましょう。『Karakas』が波に飲み込まれます」
「沈む前に『シヴィエルン』には『Karakas』に旅行へ行ってもらいましょう。レスポンスで『Karakas』をアクティベート。『シヴィエルン』を手札に」
「お嬢様。『シヴィエルン』はまだ元気ですし、せっせと働く『フィリア』に休暇を出させては?」
「帰り際には海に沈むかもしれないでしょ。だったら『マーフォーク』のが良いわ」
「確かに」
対応はなく、『シヴィエルン』が手札に戻る。『護法』は付けられても、ロード効果がないのが辛い。
『では戦闘フェイズに入りましょう。『形成師』は自身の効果で2/2に。更に『アトランティスの王』によって3/3かつ『島渡り』を得ています。酔ってない『形成師』で攻撃』
「受けます。残りライフ30*46」
「ターンを終了いたします。お嬢様がお申し付けくだされば、すぐに10尾ほどの『マーフォーク』が駆けつけるのですが?」
「ではアップキープに『バイアル』のカウンターを5に。ドロー。ワタシ、魚より犬・猫派なんです。白2マナで『ナカティルの最下層民、アジャニ*47』をキャスト。何もないでしょうし、『導き手」が誘発、更に『アジャニ』がお兄さんを呼んで、また誘発」
「どおりで追放ばかりされるわけです。悪役令嬢としてご自身も追放されますよ?」
「魚以外は帰ってきてますよ。『バイアル』をアクティベート。『ヨ―リオン』投下。『導き手」が誘発して、『ヨ―リオン』のETB能力が誘発。ブリンク対象は……『護衛募集員』』
このデッキは能動的に使えないけど、大体自作自演で変身する*48んだよね。『アジャニ』。カードデザインと実際にやることが真逆で笑ってしまう。サイコパスかな?
「仇は後ろにいますよ。『アジャニ』。仲間の猫達を死地に追いやろうとしているのですから」
「人に罪を擦り付けるのはやめてくださいよ。みんなお腹を空かせていますが、なんと目の前にお魚がいっぱいいるじゃないですか。ではトークン5匹と『オセロット』、『フィリア』が襲い掛かります。『導き手』の効果は適当なトークンに。『フィリア』には『ヨ―リオン』を追い立ててもらいましょう。合計打点は……15点でしょうか。ご飯の時間です」
「従業員を見殺しにする訳には参りません。
「そうですか。ありがとうございました」
ふと横を見るとまだゲームが続いてる。長引いてるのか?
「こっちは終わったんで、早く勝って欲しいんですけど」
「今マッチ2本目だ。必ず勝つ」
「そう……。んんっ!?」
今、変なこと言わなかった?
「大事なことなんでな。こういう時はマッチ戦で決まるべきだ」
「ん、ん、んぅ〜〜〜〜〜???????????」
いや。えっ。あっ? うん? これワタシがおかしいの?
「これが終わったらサイドボードの時間を取る。MTGはサイドボード後が本番。忘れてないだろうな?」
「もちろんだ兄さん」
「しかもBO5*49かよ」
本当は仲良いだろ。お前ら。
そんなんだから彼の名前を関したエキスパンション群、ウルザブロックは当然のように阿鼻叫喚の地獄絵図を生み出した。調べればすぐ出るレベル。
前話では書かなかったが、プレインズウォーカーとはプレイヤー自身のことも指す。多元宇宙で次元を渡れるのは、基本的にプレインズウォーカーだけであり、あらゆる世界を探訪するプレイヤーもそこに結び付かられる。時々混乱するため注意。
ちなみに最後、本当に頭ウルザになった。そしてその状態でも生きてた。
その決別の場面は『兄弟仲の終焉』としてカード化されている。
ドミナリアがファイレクシアの侵攻にあった際、テフェリーは故郷のザルファーごと時の流れの彼方に避難した。その魔術の再現したカード。
後の影響や他国との関係はともかく、国を守るために最大限の努力をするし、その後やったことの責任を果たそうとするし、ちゃんと家庭を築くし、多元宇宙の危機には引退から復帰して中心的な役割を果たす。テフェリー自身は強大なプレインズウォーカーながら珍しくかなり出来た人間なのだが、カード化すると多数の人間から恨み言を言われる。
だが、とある日本人プロによってある『コントロール』デッキのキーカードの一つとして組み込まれ、世界大会で大暴れしたことがあった。
現在『モダン』で禁止カード。現役の頃は5マナまでいけば『ヨ―リオン』が何とかしてくれるという感覚で組まれたデッキも多かった。
カードパワーも理由だが、公式声明文による禁止の理由を大雑把に言うと、「シャッフルがめんどくさい」
『薬瓶』が採用されること、勝利手段がクリーチャーによるビートダウンのため勘違いされるが、その実態はクリーチャーを用いた『コントロール』デッキという方が正しい。実際長期戦は得意。
だったのだが、最近は低マナ域のクリーチャーが強すぎて、『コントロール』するというより『強いる』場面も出てきた。
英語で書くとDeath&Taxes。逃れられぬものという意味。愛称は『デスタク』
なんか逃げるのをやめたらしい。
攻防兼ね備えたマーフォーク。ただし他の多くのロード能力持ちと違い、自身のスタッツは1/1なので注意。たまに思い込みで計算を間違える。筆者もこれを最初に書いている時、間違えた。
またクリーチャーは打ち消せないのもあって、やはり『オークの弓使い』がキツイ。書いてると様々なカードが思い浮かぶのだが、「このカード強いけど『オーク』で落ちるな」と思ってしまう。ダメだあのカード。
ただし、大半のピッチスペルはあくまで唱えているため妨害できず、『全知』のように0マナで『唱えられる』カードにも無力。あと自分自身にも適用されるため、『薬瓶』を封じてしまうことに注意。筆者も何回かやらかしている。
昔『モダン』で禁止だった。
実際にアリーナで使っていて、『全知』から『エムラクール』を出されて「うわ負けた」と思って一応盤面とライフを確認したら、「あれ? エムラだけじゃ死なねぇ」という事態が発生。追加ターンのドローを見て相手は爆散した。最後までやるって大事。
でも何故かアリーナの『タイムレス』ではこれよりヤバい『露天鉱床』と『レンと6番』が使えてしまう。なんでぇ?
ちなみに1期最終盤で一部だけ映ってる場面です。明らかに重要そうな場面なのに、情報が少なすぎて憶測を呼んでいます。
ちなみに兄は当時、最悪の仮定として話しただけであり、全部が全部をやろうとしているわけではありません。ただ、いつ巻き込まれてもおかしくない以上、国内の戦力は常に把握しなくてはいけないと思っているので、色々動いているだけです。
つまり大体は黒フードの早とちり。
あとおもしれー女判定入ってます。テンプレですね。
本当に皆さんありがとうございます。高評価はもちろん、好意的な感想やためになる感想をいただけたので続きが書けました。こんなマイナーテーマで日間短編1位取れるとは思っておりませんでした。
消耗激しいので続きは難しいですが、何かの間違いで書けた場合はよろしくお願いします。