フェリクスの兄ってこれ死ぬやつですよね?   作:Moa

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突撃!モニカの中の人!

グレンを狙う影の組織による密談があった。

 

「奴は王国の人間関係の要。あれ一人を掴むだけで政治の中枢に入り込める」

遥か昔から王の右腕を務めてきたフラルダリウス。その長子なのだ。そこをすり替えるのは大きい。そしてグレンは王子の個人的な友人でもある。

「はいはい。連れてくりゃいいんでしょ」

「可能であれば生け捕りにしろ。あの男の白魔法適性は研究素体としても優れている」

常識にとらわれない発想で詠唱を行い、実際に結果を出す異端児。あの男の前では体系も理論も意味をなさないらしい。

「『可能であれば』ね」

 

ディミトリ本人を乗っ取れればその方が良いのだが、流石に簡単ではない。常に従者が控えている。

一方でグレンなら人格が変わったことへの違和感も然程大きくないだろう。なぜなら「既に一度豹変した」からだ。本音を言えばあの時に殺しておくべきだったのだが……まあよい。

 

***

 

フレンと一緒に救出された少女、モニカをどうするかが俺の悩みだった。

……言ったところで信じてもらえないだろうけど、あれは偽物なんだ。クロニエっていう奴にすり替わってる。

 

エーデルガルトに懐いているモニカを観察していると、後ろから声がかかる。

「兄貴、まさかモニカに惚れちゃいました?」

「どうしてそうなる!?」

おいシルヴァン! 冗談なのはわかってるけど。

「なんか違和感あるんだよ」

どうしてモニカが敵なのか説明ができない以上、俺に言えることはこれだけだ。

 

どうにかして本性を現すところまで持ち込めればいいんだけど。ジェラルトを護衛するか? いや、あの人が守られてくれるわけないよな。俺が守るなんて言ったところで笑われるだけだ。

 

……あいつらなんでジェラルトを殺したんだ? 

 

よくよく考えると風花雪月には謎が多い。総合的には一度は復讐鬼と化したディミトリが民の為に立ち上がって帝国を倒してハッピーエンドなんだが。主人公の出自とかまあまあ曖昧じゃなかった? 察せってこと?

仕方ないだろ、他のルートやる前に転生しちゃったんだもん。

 

で、ジェラルトを殺すとどうなるかについて考えてみよう。女神の力を宿すベレトと、屈指の実力者であるジェラルトを倒せばまあ力は削げる。エーデルガルトの目的が女神殺しだったとする場合(いやわかんないけどね。あいつは教団を敵視してるんだろうって話をしていた気がする)、目的としては理にかなってる。

 

ただ、直感の部分がそれは違うと言ってるんだ。

あいつ別ルートでは味方になるだろ? だからエーデルガルトはジェラルト殺害の計画に加担してないと思うんだよな。そうであってほしくない、が正しいか。

 

黒鷲とは別グループの独断かなあ。それでもそいつらと手を組むのがエーデルガルトの「目的の為に手段を選ばない」性格を示してるけど。うちの学級は誰も手を組むとか考えなそう。俺以外は。いや、俺だって積極的に組みたいとは思わないけどさ。他に生き残る手段がなければやるよ。忠義の為に死ぬとかやだし。

ここ原作のグレンさんと違うところね。原作のって呼べるほど知らないけど。なんなら名前以外全部別物だぞ俺は。皆のグレンさんを奪ってしまった挙句俺なんかがその椅子に座ってることは誠に申し訳ないんだが。恨むなとは言えない。でも、ここにいるのは既に死んでるはずの俺だ。いつか肉壁くらいになれば少しは役立つと思うから今はまだ生きることを許してほしい。

 

そういえば炎帝の声優って誰? ボイチェン?

 

***

 

シルヴァンが教えてくれたデートスポット。あまり人が来ない場所がいいと伝えたとっておきの場所。俺は今、モニカと二人きりで話している。

「やあ、可憐なお嬢さん。君のことがもっと知りたくてね」

……奥義、シルヴァンの真似である。女絡みの問題を解決するならシルヴァンが得意分野だろう。クロニエにも適用されるかは知らんが。

「あたしもあなたのこと気になってたの。白魔法が得意なんだよね? 今度教えてくれない?」

「構わないけどあんまり期待するなよ。教えるの下手って皆には言われるんだ」

これはガチ。個の力は認めるけどそれ以上にならないって早々に諦められた。なんでその詠唱で成功するんだ、とかな。

 

「でもいいの? 婚約者がいるんでしょう?」

「元婚約者な」

「そう。それなら……。少し、目を閉じて?」

じっと見つめられている。今俺の中に選択肢が現れている。あまり無防備にはなりたくないのだが。

 

しばらく様子を見るが。

「ね、目を閉じてほしいな?」

これYESと言わないと話進まないやつだったりする?

 

仕方ない。ちょっとだけ目を閉じて様子を……。

と思ったところで腹部に激痛が走る。

目を見開く。ナイフがしっかりと。なんで? なんで俺刺されてるの!?

 

「こいつを持って帰れば……きゃはは!」

 

***

 

目が覚めた時には寮の自室にいた。ノックの音に開けていいよと答えると、ガバっと扉が開く。

「ああ、シルヴァンか」

「起きたんですね? いやあ良かった」

軽いノリでいるけど随分と心配してくれたらしい。声の雰囲気でわかる。

 

そしてシルヴァンは俺の記憶が曖昧だった間の事を教えてくれた。

 

俺とモニカが行方不明になった。シルヴァンが例のデートスポットで血痕を見つける。皆で捜索するとモニカが敵に化けていた。先生がモニカ……クロニエを討ち取った。そして俺を救出、と。

 

「もう倒したの?」

「先生が大活躍でしてね。凄く怒ってました」

「迷惑かけてごめん」

「なんであんたが謝るんです?」

「怒ってたんだろ」

「はあ? クロニエにですよ。生徒を傷つける奴は許さないって」

「そっか」

 

クロニエが根城にしてたらしい場所では、いくつか白骨が見つかっていたらしく。俺もそうなる可能性が高かったらしい。危なかった。

 

「ありがとう」

「俺達は当然のことをしたまでですよ」

 

「あんたがモニカを気にかけてたのって……まさかな」

 

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