俺の弟とその幼馴染たち四人組の中で、一番最初にメンタルケアを施すべき相手は誰か。
皆さんお分かりですね、もちろんシルヴァンです。
なんでかっていうと俺関係ないからなんですよ。他3人は俺が死んだことを引きずるんだけどシルヴァンは違う。俺が生きてようが関係なく病む。それで女遊びに走るし、主人公に「殺してやりたい」と嫉妬を露わにする。これは紋章の有無によって人生を縛られてきたシルヴァンの実家事情なわけだけど俺に何かできることがあるかというと特にない。とはいえシルヴァンの親だってただ馬鹿なだけじゃない、はず。紋章があるってのは要するに戦力なわけ。辺境伯ってやつは要するに国境の最前線を守る役目だから (中世の貴族とか全然わかんないけどこの話題だけは風花雪月をプレイする前から知ってた。他に有名なのだと「実際の中世ヨーロッパにジャガイモは存在しない」辺りか)シルヴァンのことはどうしても期待するしかない。いやあ、これ貴族としては理にかなってても親としてはどうなんだ? この後、愛情が偏ったせいでシルヴァンは兄に恨まれて、兄が事件を起こすんだけど……。
だからって、何もしないのも後味が悪いよな。
ということで4人が集まるときには俺は必ずシルヴァンと積極的に話すことにした。
「どうも。……あんた、なんで俺に話しかけてくるんです? 殿下でもフェリクスでもイングリットでもなく俺に」
「フェリクスはいつでも会えるし」
「それもそうか」
「シルヴァンは平気なふりするのが得意だから、誰かが見ておかないとと思ったんだ」
「いやあ、俺そんなに弱くないですって」
「じゃあそういうことにしておくよ」
本質的にシルヴァンは優しくて賢い子だ。「紋章を持って生まれた俺は兄にどれだけ酷い仕打ちを受けても黙って耐えないといけない、俺が生まれたせいで兄上から全てを奪ったのだから」と思ってしまうほどに。俺が同じ立場で同じこと思える自信はない。溺愛してくれる親に告発して兄をもっと早く家から追い出していたかもしれない。
とはいえ俺の家、フラルダリウスでそんなことが起きるはずがない。そもそも俺には紋章がないので、(原作のグレンがどうだったかの記載を見た覚えはないが、どこかに書いてあるんだろうか?)追い出されるとしたら俺の方。仮に立場が逆だったとして、あれを追い出せと喚いたところで俺たち兄弟を平等に扱ってる父上がそんな事をするわけがない。平等に厳しいともいうんですけどね。
ある日シルヴァンにこんなことを言われた。
「あんたが俺の兄上だったらよかったんですけどねえ」
「なら兄貴って呼んでもいいよ」
「本当!? よろしくお願いしますね、兄貴」
気まぐれに頭を撫でてやるとふにゃりと笑顔を見せてくれる。いやあ、このシルヴァンって男は思ったよりも可愛いな。これが実兄に酷い扱い受けてるってマジかよ。兄貴として守ってやらないとな。
それからシルヴァンは相変わらず女の子に声をかけている。そんなだから第一印象が「女の敵」になるんだぞと思うが、余程のことにならない限り俺が介入する問題ではない。
「兄貴、全然女の子に興味示さないですよね。一途ってのともちょっと違うし」
「それどころじゃないから……」
死にたくないからね!
「趣味くらいは見つけてもいいと思いますけどね。そのうち真面目すぎてぶっ倒れるんじゃないですか?」
「難しいな……まあ、考えてみるよ。俺も女の子を口説いたほうがいいのか?」
「やめといた方がいいです。イングリットに殴られたくないでしょ」
痛いのは嫌だしな。