フェリクスの兄ってこれ死ぬやつですよね?   作:Moa

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ペアエンド:シルヴァン

シルヴァンは頭いいなあと思う時とシルヴァンはアホだなあと思う時が交互に訪れる。

女の子に振られてヤケ酒してるのはアホな方のシルヴァン。話を聞くと、一日遊ぶだけなら楽しいけど真剣交際の相手としては不合格だったらしい。わかる。

こいつちゃんとした人と結婚できるんだろうか。真面目な人はシルヴァンの浮気癖を見て逃げちゃうんじゃないか? そこに目を瞑れる人もいると思うけど、その場合って別にそんなシルヴァンのこと好きじゃないから成立するんじゃないかな。紋章目当てとか。シルヴァンは俺の前では暗い感情見せないけど、本心では嫌なはずだ、そんなの。平気なふりしちゃうけど。

「俺がイングリットを口説くわけないじゃないですか。兄貴がいるのに」

「いなかったら口説いてたの?」

「ないですねぇ。ってか兄貴がいない世界って想像できないなあ」

そうか? 俺はありありと想像できるけど。俺がいなくても、シルヴァンはそんなに変わらない。なんだかんだやっていけるやつだ。

 

「ところで、話は変わるんですけど。今後のゴーティエについて……」

あ、今頭いい方に切り替わった。わー。すごいなー。

 

シルヴァンの話を色々聞いて、俺は素直に凄いと思った。

スレンとの和平を成すことができれば英雄の遺産がなくてもやっていけるようになる。そうすれば紋章の有無で兄弟を分断する必要もなくなる。理屈はわかる。わかるけど、本気でそれをやるのは簡単な事じゃない。

 

「俺に助言できることなさそうだけど」

「兄貴が話聞いてくれるだけで助かってるんですよ」

「そうか?」

「だって兄貴は今までできなかったから無理とか言わないじゃないですか」

「どんな事でも最初は誰もやったことない状態から始まるだろ」

「そういうとこですよー」

 

人懐こさ(そう見せかけているだけで、本質的に彼が警戒心の強い性質であることは俺がよく知っている)を最大限に生かして入り込む手腕は相変わらずだ。例えば女の子相手に何を話すべきか、シルヴァンは計画を立てて実践中も臨機応変に対応を変えながら動いている。逆に俺は何も考えていない。

 

「俺、兄貴に会えてよかったって思ってるんですよ」

「いきなりどうした?」

 

「実の兄には殴られるなんてしょっちゅうでしたからね。そんな時、『兄貴って呼んでもいいよ』って言われたの凄く嬉しかった」

「そう言ってもらえると俺も嬉しいよ」

シルヴァンを少しでも守りたいと蒔いた種は、決して無駄じゃなかったらしい。

 

思い出した。全部、俺がしてほしかったことだ。グレンになる前の俺に。

 

***

 

【後日談】

ゴーティエ辺境伯となったシルヴァンの心の支えであり続けたのは、彼の兄貴分グレンであった。

シルヴァンはしばしば「理想の兄だ」と口にしたという。

修道院で働き出したグレンを兄のように慕う人間は多いが、シルヴァンは「ま、弟分第一号は俺ですけどね」と主張して憚らなかった。

 

***

 

余談:「第一号」について。フェリクスは反則だから数に入れないことにするそうです。

番外編案

  • ベルナデッタ(引きこもり)
  • ヒルダ(みんなの兄とみんなの妹)
  • リンハルト(もしかしたら仲良く)
  • フェリクスの反抗期の話
  • 幼馴染組以外の青獅子の絡み
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