ボイスロイドが実在する世界に来たらヤンデレハーレムだった件について 作:美月海月
「はぁ……はぁ……」
入浴を終えて、俺は逃げるように自室へと戻ってきた。
姉妹と湯船に浸かった後、密着をしてきて胸とか色々当ててきたりしたが、それ以上のことは特になにも起きなかった。
だからこそ、俺の理性が限界というか……とにかく生殺し感が半端なく、もう爆発寸前なのだ。
「どうしよう、この部屋じゃなくてトイレの方がいいかな?」
この溜まったモノを発散しようと急いで自室まで来たわけだが、そもそもこの部屋で自家発電していいのだろうか?
今、姉妹は髪を乾かしたりして、入浴後のケアをしている。それらが終わった後どうするかを考えた時、この部屋に来る可能性が高い。
もし俺が1人で愉しんでいる最中に乱入されたらどうなることやら……。他人に、自分で慰めているところを目撃されるのはもちろん恥ずかしいことではあるが、そんなことを気にする余裕なんて生まれないような事態に発展するのは目に見えている。
「ていうか、このスマホ使って大丈夫なのか?」
実行する場所もそうだが、オカズどうするか問題も発生している。
自家発電の燃料にスマホを使おうと思ったのだが、これは茜ちゃんから貰ったものである。
まだ詳しくは調べていないが、恐らくGPSは仕込まれていることだろう。それだけならまだいいが、操作ログまでとられていたらおしまいだ。検索・閲覧履歴をぶっこ抜かれて、色々な意味でジ・エンドだろう。
……仕方ない、あまりやったことはないが妄想で抜くか。さっき散々見た琴葉姉妹の身体をオカズにするか。
「……トイレでするか」
スマホを持たず己の妄想だけでするなら、ここでやる必要はない。
そう思い、この部屋から出るべくベッドから起き上がろうとした。
――その瞬間だった。
「「マスター」」
ガチャリと扉が開かれ、俺がそちらへ視線を向ける前にスッと照明が落とされ、部屋全体が甘い暗がりで満たされていく。
も、もう来たのか……。ていうか、やっぱりこの部屋に来たか……。
俺が突然の来訪者に固まっていると、それらはあっという間にベッド側まで近づいてきて、そしてベッドの上に乗ってきた。
「マスター、ええ時間やなぁ。まさかもう寝る、なんてことはせーへんよな?」
「私、マスターの言ったことちゃんと覚えてるからね。まさに今、
ベッドに乗ってきた茜ちゃんと葵ちゃんは、そのまま起き上がっていた俺を優しく押し倒し、上から妖艶な笑みを浮かべながらこちらを見つめてくる。
葵ちゃんが言った、「雰囲気がある」というのは、今朝2人に食べられそうになった時に俺が逃れるべく、咄嗟に言い放った言葉。この先のことはもっと雰囲気のある時にしたい。確かに俺はそう言った。
ご飯を食べて、お風呂にも入った。そしてなによりも、今日一日を通して俺はずっと琴葉姉妹に誘惑をされ続けて、理性が崩壊寸前なのだ。
これは、葵ちゃんの言う通り、今まさにその時なのだろうか。いい雰囲気というよりかは、これ以上ない絶好のタイミングというべきか……。
「ウチ、マスターと1つになりたいんや……だから、ええやろ?」
「私、マスターと深く愛し合いたいの……だから、しよ?」
右耳に茜ちゃんが、左耳に葵ちゃんが囁いてくる。
それは愛の囁きのようにも、悪魔の囁きのようにも聞こえた。
ふと、彼女たちのことをしっかりと見てみる。
解かれた髪、上気した頬、そして茜ちゃんは桜色の、葵ちゃんは水色のベビードールを着ていた。
露出度でいえば、さっきの入浴時の方が当然多い。だが、透け感のある生地に、全部が丸見えなのではなくところどころが無防備な感じが、かなり色っぽい。
これらを持って、今俺のことを求めてきている。
「茜ちゃん……葵ちゃん……」
思い出せ。
俺はあんなに散々、ボイロたちに囲まれて生活してぇと言っていたじゃないか。
この世界に来て、茜ちゃんや葵ちゃんの好感度が高いことを知って、コッショリ待ったなしだ! って歓喜したじゃないか。
それを、彼女らがヤンデレだからってビビって、逃げ腰になっていいのか?
むしろ好都合だろう。俺はボイロたちとイチャラブしたい。ボイロたちは俺のことを好きで好きでたまらないヤンデレ。相性抜群じゃないか。
「あっ……」
「んっ……」
俺は、茜ちゃんと葵ちゃんを抱き寄せた。
いきなりのことで彼女らは、気の抜けた声を上げる。それすらも色っぽく聞こえた。
「茜ちゃん」
「ん、ぁ……んむっ」
茜ちゃんの唇に優しく口づけをする。
舌は入れず、あえての軽いキス。だけど、想いはちゃんと込めている。
数秒の後、唇を離す。
「葵ちゃん」
「うん……ちゅっ」
次に葵ちゃんの唇にも優しく口づけをする。
茜ちゃんの次だったからか、彼女は準備できていたと言わんばかりに俺からのキスをすんなりと受け入れる。
こちらも舌は入れない、プレッシャーキス。
わずかな間、唇を重ねて離す。
「俺は――」
もう、覚悟はできている。
「――俺も、2人と一緒になりたい」
ここまで来たのならやってやる。
なってやる、ボイロヤンデレハーレムの
俺が、琴葉姉妹の想いに応えた後。
俺たち3人は1つになった――。
***
「……ん」
ふと目が覚める。
カーテンからは朝日の光が溢れていた。どうやら朝が来たらしい。
そして次の瞬間に思い浮かんだことは、昨日のことは夢ではなく現実だったのかどうかということだ。もしかしたら昨日一日、ずっと長い夢を見ていた可能性も捨てきれない。
だが、それは一瞬にして杞憂で終わった。
左右の腕にしがみつくように眠る、生まれたままの姿の琴葉姉妹。
茜ちゃんの髪が右肩に、葵ちゃんの脚が左脚に絡みついている。
その姿を見て、昨晩の記憶が鮮明に蘇る。
「ついに……やっちまったか……」
まさか、この世界に来た初日に身体を重ねることになるとは。
いや、もちろんそのうち一線を越えるつもりではいたけれど、こんなに早いとは思わなかった。恐るべし、ヤンデレボイロ……。
だが、ヤンデレ琴葉姉妹とコッショリした俺に、もう怖いものなどなにもない!
ボイロヤンデレハーレム、思う存分堪能してやるッ!!