鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
若干、前話から時系列の巻き戻りがあります。
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〜〜
朝
〜〜
※大山田省一視点
いつものように起き、ニュースをチェック。
特に何もない、平坦なニュースを流し見して、政治家についての報道を見て文句を言ういつもの朝。
日曜日の為、時間はゆっくり。
ニュース音声
『獅童正義議員は、少なくない議員が去った中…立て直しを迫られています。』
大山田省一
「はぁ。内輪でグチグチやってて大変だねぇ。大金納税してやってんだ、さっさとキビキビ働けってんだ。」
妻が用意する茶を飲んで、パンを齧る。
金と地位を持つ故に、細かい費用だとかの政治に興味が無く、文句を言いたいだけの大衆。
気だるげに書斎に入り、ぼーっと過ごす。
医者は生涯教育だとか言って最新の医学について学び続ける必要があるとか面倒な義務があるが…あんなもの、権力の無い馬鹿のやる事だ。
昨日あった『迷惑電話』の事もあって…機嫌が悪い。
競馬にでも行くかと思い、乱暴に競馬新聞を開いた…
大山田省一
「全く…何が、お前にお前の罪を理解させてやる、だ。新聞社より、医者の地位のほうが高い。常識だろう…」
〜〜
昼
〜〜
時刻は…昼食にはまだ早い程度。
突然、胸に強い動悸。
事前の食事に心当たりのある食材なし、摂取物が原因の可能性は薄い。
エコノミー症候群に該当する姿勢の固定は無く、眼精疲労も見受けられない。
腐っても医者である大山田省一は、自己の異変を心因性の物と結論づける。
何故か、スルスルと頭が回る。面倒で、探求せず適当に結論づけたり 思考を放棄していた錆のような怠惰が取れ、物事の認知機能が正しい位置に戻った感覚。
…それは、すなわち。
自身のこれまで行っていた行動を…正常な目で振り返る事になる。
大山田省一
「一体、なんて、ことを……してしまっていたんだ…」
汗腺が大量に冷や汗を分泌する。不摂生により質が悪くぬめりの強いそれは、不快に顔を流れ、顎に大粒の水滴を作った。
『気づいて』しまった、己の罪。
明瞭になった認知に、『罪悪感』と名前のついた恐怖を、止め処無く生産し続けている。
汗が止まらない、今は真夏だっただろうか。
震えが止まらない、今は冬だっただろうか。
耐えきれない、己の罪を 誰かに裁いて貰いたい。
数え切れないほど、不幸にさせた患者。
彼らに、大山田省一という人間はどう認知されていたか。
…。
辞表を、震える手で書き終えた所で…
自身の携帯電話が鳴る。
表示される名前は、『生意気な女』。
武見妙の表記をそう変えてあるもの。
そうだ、ミスをなすりつけてしまったのは自分なのに…なんて登録を。
罪悪感が更に高まる。
そうだ、彼女に謝らないと。手の震えをそのままに、電話を取った。
…。
武見妙
「もしもし。処方は効きました?」
大山田省一
『…ああ、本当に、私はなんてことを…本当に、悪い事をした。許してくれ、頼む…』
『私を裁いてくれ。こんな罪人を殺してくれ、散々人の命を弄んだ私を!すまない、本当に、すまない…』
『辞表は書いた、これからすぐに出す!警察にも、すぐに自首をする…』
震えた声で謝罪をまくしたてる大山田の声が、電話から聞こえる。
武見妙
「…。」
診察室の椅子に座り、スピーカーで通話音声を流す武見妙の表情が…みるみる怒気に染まっていく。
武見妙
「甘ったれんな!!!」
大山田省一
『!?』
武見妙
「そのイスに座って散々好き勝手やって!間違いに気付いたら『ごめんなさい』で終わり!?小児科医にでも頭診てもらえば!?」
電話口で、大山田省一の息を呑む音がする。
武見妙
「周囲の奴等を不幸にして終わるなんて、医者失格だから!死ぬなら、汗水垂らして定年まで勤め上げてから死ね!!!」
大山田省一
『…だが、私は、大罪人で、医療ミス、ばかり…』
武見妙
「権力ばっか考えて、患者を見ないからそうなるの。その歳とその地位で、医療知識無いとか言わせないから。」
大山田省一
『…。』
武見妙
「裁いて欲しいなんて言葉、アンタに言う資格無い。心を入れ替えたなら、そのままキビキビ働いて。」
「わ か っ た?」
一際、圧の強い一言を
感情を山盛りにして告げる武見妙
大山田省一
『…ああ、わかった。武見の研究についても…最大限便宜を図る。』
『本当に…申し訳ありませんでした。』
武見妙
「わかったら、態度で示して。」
通話が終了する。
武見妙
「…これでいいの?」
※鴨志田卓視点
鴨志田卓
「バッチリです!当事者からの言葉が一番ですからね。」
メメントスを昼前に切り上げた鴨志田卓は、何故か駐車場で待ってくれていた雨宮蓮と佐倉惣治郎から貰ったパンで軽く昼食を摂りながら…武見内科医院までやってきていた。
不良生徒程度なら自首なんかしないだろうが、大山田程の医療ミスしまくり医者おっさんの場合犯した罪も多く、極端な選択肢を取ってしまいやすそうだと判断。
校長や金城潤矢にやったような事を、武見さんに直接お電話で行って貰ったのだった。
怪盗団メンバーとルブランの方々は、宝くじが当たったという惣治郎の奢りで渋谷で食事をし 惣治郎の車で帰る事になって別行動。
何か運命のいたずらで獅童正義とかち合ってはいけないのでホテルビュッフェにだけは行かないよう伝えておいたが、獅童正義から逃げている惣治郎が居るしその辺りの場所選びは安心していいだろう。
結果、モルガナも置いて…鴨志田卓の完全単独行動となっている。
武見妙
「あんな…怒らずに狼狽える声、初めて聞いたかも。」
「あれが『改心』なんだ。」
鴨志田卓
「ええ。オカルトじみてますけど…効果は本物です。」
「大山田みたいな罪を重ねすぎている奴は、自首やら辞職やらしだすんで…止めてやる必要があるんですよ。関係者の武見さんのお陰でスムーズでした。ありがとうございます」
実際に経験をして、証拠を見せられたような気分の武見妙は…これまでの情報を反芻するように考え込む
武見妙
「人の精神を弄ろうって、昔から盛んな研究だもんね。ロボトミー手術とか。」
「でもそっか、厄ネタって理由がよくわかった。ちゃんと効果が見込める遠隔ロボトミー手術なんて、権力者が放っておかないか。」
鴨志田卓
「そうなんですよね…しかも、廃人にさせたり暴走させるのはもっと簡単にできちゃうんです。ただ壊すだけで良いなら、殆どの手順を省略できます。さっきの電話とかもね」
武見妙
「…研究者、嫌だろうね。そんな風に実用化されて。」
やはり、新薬を開発している医者として
研究する者の立場に寄り添う…ペルソナ5の核心めいた部分への発想が出る。
鴨志田卓
「…ええ、本当に。独占する為に、現在の研究者をこの方法で『始末』してるんですから。浮かばれません。」
武見妙
「うっわー…」
「鴨志田くんは、そういうのと戦ってるんだ?」
鴨志田卓
「はい。仲間も集まってきて…次が、予定してた最後の一人ってとこまで来ました。」
武見妙
「ノワール?」
鴨志田卓
「おお、当たりです。」
武見妙
「前、確か…モナ、ノワール、クイーン、ナビって言ってたでしょ?」
武見妙
「モナは猫で、ナビはメガネ引きこもり妹属性って言ってたから。最近の診察で2人割れたワケ。あとはニブイチ。」
「けど、数合わないんだよね。三島くんってどういう担当なの?部員みたいだったけど」
フタバパレス攻略時、外で雨宮蓮と一緒にスタンバイしてた時に名前を聞いたのだろう、三島由輝について言及する
鴨志田卓
「予定に無かったんですが…熱意を持って参加してくれたんです。やる気ある仲間に囲まれて、俺は幸せ者ですよ。」
武見妙
「ふ〜ん…スポーツっぽくてイイんじゃない?そういうの。」
そこまで話して、武見妙は机上の薬袋から何かを取り出す。
ちょうど、先程から気になっていた物だった
出てきたのは、アクリルスタンドくらいの大きさの小さな人形が5つ。
武見妙
「お礼。」
「治験も順調だし、研究成果で片手間に作ったの。」
「クロフォード・エンデ病の薬…異常を見つけて狙い撃つって話をしてたでしょ?アレの応用で、脳から出る司令系統の急な変化を察知して…まぁいいや。」
薬はプログラムのような物で、専門知識の無い人には何のこっちゃわからない説明になりがちである。
効果の厳密な説明を放棄し、概要として伝えるのは
武見妙
「言わばショック死しない薬。」
「まぁ、お守り程度だけど。」
鴨志田卓
「おおおお…ホムンクルス…っ!!」
(なんで病院でホムンクルスなんかそのままの名前で買えるんだって疑問だったんだけど…そういう薬ってことなのか…!?)
武見妙はくすりと笑って
武見妙
「やっぱり知ってる。」
袋をひっくり返せば、ペンで雑に書かれた『Homunculus』の文字が。
P5にて、死神コープを完遂すると購入可能になる超高額アイテムがそこにはあった。
武見妙
「どう?欲しいものだった?」
鴨志田卓
「ええ、とっても!」
リジェネ系装備品の次に欲しかったものを手に入れられた鴨志田卓は興奮気味に話す
鴨志田卓
「これがあるとないとで安定感が変わる場面が多々あって!」
「戦闘中、確率で即死させてくる事があって。ちょうど三島がそういうのに罹りやすいんです。」
武見妙
「…えぇ?」
鴨志田卓
「この保険があれば、選択肢がグッと広がります。その効果を出さないよう過剰に注意する必要が無くなって、むしろ相手が即死使うのが隙になる訳ですからね!ほんっと感謝でしかない…嬉しい…!」
(フタバパレスでもアヌビスに即死のハマやらムドやら撃たせないようすごい気を使ったんだよな。即死行動がこれからはそのまま相手の1手テンポロスに変換されるの最高だよほんとに)
目を閉じ、ホムンクルス獲得のうれしさを噛み締める鴨志田卓
目を開くと
さっきの大山田省一との電話くらい怒った、武見さんの顔。
鴨志田卓
「あれぇ?」
思わず素っ頓狂な声を出す
武見妙
「ねぇ、鴨志田くん。」
「そう言えば私、具体的にどうやって施術するか聞いてないんだけど。」
診察室の、キャスターのついた椅子。
足のステップで、座ったまますぐに距離を詰めることができる。
ひと蹴りで、武見さんの膝が、こちらの膝とぶつかる。
武見妙
「突然消えて、何もないところから突然出てきて。あの消えてる間に、そんな危ない事してたの?」
鴨志田卓
「っあー…。」
武見妙
「しまったって顔しない。」
鴨志田卓
「ま、まぁ即死行動って言っても気を失うだけなので」
言い訳をしようとする鴨志田を尻目に
ホムンクルスを薬袋に戻して、鴨志田卓の手を取り、固く握らせてくる武見妙。
武見妙
「
「心配させるような事したら、ぶん殴るから。いい?」
鴨志田卓
「…はい、ありがとうございます…」
武見妙
「よろしい。」
「…この前の、佐倉さんみたいな。普通の医者が呼びにくい話があったら、ちゃんと呼んでね。」
「呼ばなかったら無茶する以上に怒るから。」
鴨志田卓
「うす…」
鴨志田卓、憑依転生者両名とも
人から心配されたり、無茶を怒られることに弱かった。
やればやるほど持ち上げられ、期待され続け 人から心配される経験が極端に薄い鴨志田卓と
シンプル人から雑談とか話しかけられない憑依転生者
飼っていたペットの事を同僚に話しても…へぇとかそうですかとかだけ言われて会話が長続きした試しがない。
推しから心配される大きな喜びに加えて…
その優しい怒りに、じんわり心へ温かさを感じていると
武見妙
「…。」
「ええと。」
さっきも、大山田に対して怒鳴っていたし…慣れない大声だったのだろう。顔が赤くなっている。
冷房を切ると暑く、つけると寒い季節だ。2016年くらいならまだ暑苦しさは控えめとはいえ…じっとりとした医院の気温のせいだろう。武見さんの耳に赤みがある。
武見妙
「新薬…正直もう、居たら早まるけど居なくても完成するくらいの進捗なの。」
「その上で、鴨志田くんにはまだ治験に来てもらう。意味、わかる?」
鴨志田卓
「…こ、これからも伺って良いんですか?その、正直言ってお返しできる事はあの大山田で最後なんですが…」
武見妙
「良いの。」
武見さんの、まだ来てもよいという許可に嬉しくなり
失言に打ちひしがれながらも、力なく笑う。
自身たっぷりに振る舞う筋肉ムキムキアスリートの、犬なら耳をペタンと閉じているようなしょんぼりした笑顔。
鴨志田卓
「嬉しい〜…」
武見妙
「…。」
♪♪♪〜
武見さんは赤い顔で立ち上がり、少し不機嫌そうに診察室の扉を開けて
武見妙
「今日はおしまい。お大事にどうぞ。」
外に出ていくよう促した…
鴨志田卓
「その…また是非呼んでください。」
武見妙
「…。」
鴨志田卓
「シツレーシャス…」
…。
武見妙
「…はぁ。どうせ、ああ言っても無茶するんでしょ?」
来訪者が居なくなった医院。
武見妙は、独り言を呟く。
武見妙
「…。」
「余計な事、言っちゃったな…」
椅子に座り直して、ノックしていない、インクの出ないボールペンでくるくると、無意味に円を描きながら。
武見妙
「…アイドルにでもなった気分。」
〜〜〜
ラヴェンツァ
『我は汝…汝は我…』
『汝ここに、心の盃へ堅牢たる絆を浮かべ得たり』
『強き意志の宿る絆は』
『神の血を甘美な美酒とせん』
『今こそ汝、【死神】の究極たる秘奥に目覚めたり』
『無尽の力を汝に与えん…』
〜〜〜
ーーー
人形召喚 15SP
絆を深めた人間の認知存在を、
人形として杯の中に浮かべることができるようになる。
人形次第で様々な強化を受ける。
ーーー
ーーー
召喚可能な人形
・雨宮蓮
→Technical発生時、対象がDOWNする
・三島由輝
→獲得経験値が増加する(異世界から帰還するまで有効)
・武見妙 NEW!!
→自陣営に即死効果発生時自動発動し、それを無効。
・校長
→攻撃力上昇、激怒の状態異常が付着
・金城潤矢
→周囲に居る味方は防御力が上がり、狙われ難くなる
・一色若葉
→セーフルームか入口から、別のセーフルームか入口に移動する
ーーー
帰り道、いつの間にか。
新しい力の誕生を、心の内に感じる事に気付く。
(無限ホムンクルス!?最高か?けどどうして今…必要なイベント全部踏んだとか?けど、なら治験が残ってるのもおかしいし…)
状況が理解できず、心の内のアスモデウスと相談する
『すさまじい実力の医者なんだ、作った試薬が、原作以上に効果が出たんだろ。何せ、俺の体で治験したんだからな。』
『それが、この人形召喚とかいうシステムに組み込まれた、とか。一色若葉の人形もそういう節があるだろう。』
(あー!ありえる!主人公と鴨志田卓じゃ肉体がまるで違うもんな。別の研究成果を得れてる可能性ある。具体的にどういうデータを取れていってるか原作で描写無いし。)
自分の活躍を見て既に好きになっている者からしか好意を受け取ったことがなく、乙女心の機微に疎い鴨志田卓には、武見妙の、小さな心の動きはわからなかった。
態度から察するに恐らく好きなのだろう、から
確実に好いている、と分かった時。
人の認知というのは、大きく変わるものだった。
パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください
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原作と同じ本名表記
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わかりやすいコードネーム表記