鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第156話 7/3(日) 『平和』な休日-①

 

 

 

〜〜

午前

〜〜

 

市ヶ谷の釣り堀。都内で、のんびりと魚を釣れるスポット。

きっと、釣り堀の中では人入りは多い方だ。だが、人が立てない水場のおかげで人口密度は少ないように感じられる。

 

若者の姿は少ないからか…その二人は少し周囲から浮いていた。

夏休みには、もう少し子供も増えるのだろう。

 

 

 

 

 

明智吾郎

「正直、時間の無駄だと思うんだけど。」

 

坂本竜司

「そう言うなって。こーゆー時間が一番考え事できっだろ?つまり心が鍛えられるってワケよ。」

 

 

明智吾郎

「はぁ…竿は?」

 

 

以前からも、兆候は出ていたが

原作のこの時期見せていた、取り繕われた雰囲気にヒビが入り

少し気を抜いたダウナーな雰囲気を纏っている明智吾郎。

 

坂本竜司に強引に誘われ、今日は釣りをしに市ヶ谷まで来ていた。

 

 

 

※明智吾郎視点

 

 

明智吾郎

「まぁ、視野を広げるのには繋がるか…」

 

餌を持ち前の器用さで要領よく取り付け、周囲のやり方を真似てキャスト。

 

その佇まいは無駄がなく、様になっている。

 

 

坂本竜司

「初めての動きじゃねー…」

 

明智吾郎

「要領よくこなせば、知らない事でもこれくらいはできるさ。」

 

魚が掛かり、引き揚げてみるも…途中で針が外れてしまった。

 

明智吾郎

「ダメか。要練習って所だね。」

 

坂本竜司

「いやいや、すげーって!教えてないのにどうやったんだよ。」

 

明智吾郎

「見様見真似、って知ってる?周囲を見れば、やり方は盗める。」

 

竜司は馬鹿だが、正直だ。

裏に含みのない、正面から受ける称賛。さらにそれがミーハー的な大衆からの物ではなく、ある程度の秘密を共有した者から。

 

…存外心地良い。

 

内心、機嫌を良くしながら。

竜司に周囲から見て学ぶコツを教えてやる。

 

(これくらい授業も真面目に聞きゃあ成績も上がるだろうに。)

 

坂本竜司

「はー、周囲の行動を…ん?」

 

明智吾郎

「どうかした?」

 

視線を追いかけると、こちらを向く女がいる。

竜司がバッチリ目を合わせてしまっていた。

 

坂本竜司

「いや、アレ…川上じゃねーかなって。」

「うわ、こっち来る!」

 

明智吾郎

「そりゃ、ガン見したら来るだろ馬鹿…」

 

女は、釣りの道具ごとこちらに歩いてくる。

首筋を掻きながら、それに対応するべく待ってやる。

 

 

 

 

 

川上先生

「今をときめく高校生、それも男二人で…なんで釣り?」

「もっと元気に遊んだら?」

 

坂本竜司

「川上こそなんで釣りなんだよ。」

 

川上先生

「…セ・ン・セ・イ。趣味なの、悪い?」

「大人には、釣り糸垂らしながら…振り返りたいものもあるの。」

 

そのまま、近くに座って釣りを始める…川上先生という人物。

よそ見をしながら竿を投げ…10秒も経たず、ちょいっ、と。

一匹目の魚を釣り上げた。

 

坂本竜司

「早っ!!!」

 

 

川上先生

「それにしても驚いたな。その子、テレビに出てた子でしょ?」

 

明智吾郎

「…初めまして、明智です。」

 

相手は大衆の1人で、竜司の関係者だ。緩んだネジを締めて、善人の仮面を被り対応してやる。

 

明智吾郎

「釣り、お上手ですね。」

 

川上先生

「無心でやれば、誰でもできるよ。教えてあげよっか?」

 

 

 

…。

川上先生は、原作と異なり精神も肉体も大きく回復しており

己の原点である、若者を教え導きたい心を思い出している。

 

しかし、その誘いは

明智吾郎のプライドに喧嘩を売る釣りエサとしては十分だったようで。

 

 

坂本竜司

「いーじゃん!川上…先生プロだぜ!こっから学べばサイコー効率だろ!」

 

坂本竜司の、称賛の眼差しを奪われた事もあり…明智吾郎の負けん気が燃える。

 

 

 

 

明智吾郎

「いや、不要です。いくらかコツは分かってきた所だ。」

「折角だし、勝負しませんか?」

 

川上先生

「いいけど…ハンデは何にする?」

 

自然な見下し。自身が上と確信する者が行う…

ハンデの提案ではなく、ハンデの内容の相談。それも、ルールを決める前に、ノータイムで。

 

 

邪魔者に辟易している中、

近頃できた友人に誘われ、要領よく釣りを成功させ…それを友人に持ち上げられていた矢先。何気ない、無自覚な挑発行為。

 

明智吾郎の脳内に、ゴングの音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

明智吾郎

「ハンデは要らないです。先行は川上さんからにしていただいても?」

 

普段の笑顔。

髪で隠れる部分に、血管を青く浮かばせながら

明智吾郎は涼しい表情でそう話す。

 

川上先生

「ん。10分くらいにしとく?」

 

坂本竜司

「センセー、それじゃシロートは一匹も釣れねーって…」

 

川上先生

「そっか。じゃあ20分くらい…」

 

明智吾郎の口角がピクピクとしているのに、秀尽高校所属の2名は気付かない。

 

明智吾郎

「いや、10分でいい。先生の時間を取りすぎてもいけませんから。」

「合計何匹釣れたか、で。」

 

川上先生

「いいよ、初心者ならそれが良いよね。」

「(最初は現実逃避にしてた釣りだけど…生徒達と対決かぁ。ふふ、なんだか楽しいかも。)」

 

釣りの極意を掴んでいる川上先生は、静かに、恐ろしい数の魚を釣り上げていく…

生徒達との、プライベートでの交流。危険だった、あの頃は考える事も無かった。

昔、教師を志していた時に考えていた事をふと思い出しながら、バケツに魚をひょいひょい放り込んでいく…

 

 

坂本竜司

「すっげぇ…釣り名人じゃん…」

「見ろよ吾郎!もう4匹目…ってうぉわ!」

 

坂本竜司は、明智吾郎の状態に驚く。

鬼気迫る表情で、大きく目を開き、口元に左手を当てて。

椅子に座った状態から、川上先生をガン見していた。

 

 

(無心になる、と言っても感情がどう関係している?竜司と比較してまず違うのは竿の動かし方。小さい動き。竿を動かさないほうが良いのならば、竿を置いているあの客が釣れず、竿さえ引いていないのはおかしい。)

 

(上半身の動きと足の組み替え頻度が他者と比べて遅い。竿に余分な体の動作による揺れが伝わってない。動きすぎると良くないのは、条件の1つでまず間違いない。この釣り場での最適な動きを推理する。完全なコピーは無意味。

動き自体の種類は少ない。ただの教師が釣りを勉強して正しく修練するとは思えない。独学か、軽い読書でも掴めるコツがあるはず。

パン職人が配合をその日に応じて変えるように、適切な静と動の配分があるはず。その判断基準を見抜けばいい。)

 

(あの動きで竿を動かした結果、餌はどのような挙動をしているか。それぞれの食いつきに共通点を見つける。全てを覚えて脳内で比較する。…他の人より水面を見る時間が少ないのに有効に釣れるのは、着眼点の良さなのか適正なタイミングなのか。 目線の向く先。途中他所見することはあれど、必ず水面を見るタイミングがある。投げる2〜5秒前。 投げた瞬間も見ていない時さえあるが…必ずこのタイミングでは見てる。魚を釣るための設計図をここで組み立ててるんだ。)

 

(餌は練り餌。入り口の看板、周囲の利用者の利用傾向から察するに『最高級練り餌』と呼ばれるもの。どんなサイズの魚も手当たり次第引っ掛けている。ただサイズが大きい魚は餌を食べてから釣れるまでが長く掛かってる。小魚しか釣れない練り餌を使えば、食べてから釣れるまでの期間が短い魚のみを狙える。ここで『差』を作る。魚に対して行うアピールを、小魚に対するものだけは完璧にする。)

 

 

原作主人公が教われば、戦闘開始時に敵の弱点を丸裸にできるような【名探偵の達眼】。

それを駆使して、釣りの用語ひとつ知らない素人から、釣りを全力で学んでいった…

 

(…わかった。見覚えがある。水槽に居る金魚への餌やりだ。餌が自然に水に落ちてきたのを装えば良い。簡単な事だったんだ、水に撒かれる金魚の餌はすぐに食い付いて…素人の針付きの餌は避けられる。不自然だからだ。)

(竿の動かし方は適当じゃない。自然に落とした後少し待って、食い付かなかったら持ち上げて自然に落とし直してる。これが真実だ。あとは猿真似にならないように詳細な条件分岐と秒数を数えれば…)

 

 

 

 

 

 

 

…。

 

 

 

 

 

 

明智吾郎

「…これで、18。」

「僕の勝ちだね、川上さん。」

 

休日にもかかわらず、シゴトをしている時にもあまりやらないほどに全力で頭を回してしまった。

頭痛を覚えながらも、無事に川上の記録を上回ることに成功する。

 

(魚のポイント勝負だったら確実に負けてた。直前で数の対決にすり替えて正解だった…)

 

 

 

 

坂本竜司

「やべ〜…アレに勝てんのかよ…」

 

川上先生

「…本当に初めて?」

 

明智吾郎

「もちろん。よい先生が居ましたから。」

 

 

 

余裕と優越感、さらに竜司の称賛が帰ってくる。

 

川上先生

「はぁ…やっぱりTVスターって違うね。おめでと、ジュースでも奢ってあげよっか。」

 

明智吾郎

「じゃあ、なにか缶コーヒーでも。」

 

坂本竜司

「俺、コーラ!」

 

川上先生

「はいはい。」

 

川上が立ち上がり、自動販売機に向かう。

 

 

 

坂本竜司

「これが見て盗むってヤツか…っべー、鳥肌立った。」

 

明智吾郎

「ハハ、リーダーの面目は保てたかな。流石に無茶をしたけどね。」

「思えば、新しい事を学ぶのは久しぶりだ。既に得意な物を、優位を活かすばかりで…」

「今日は初心に帰った気分になったよ。」

 

坂本竜司

「お!リフレッシュできたか?」

「こうでもしねーと、吾郎はずっとなんかやってるだろ?」

 

明智吾郎

「…参ったな、そういう算段か。」

 

自身への、気遣いや心配、優しさとも取れる言葉。

肋骨のあたりだろうか?治りかけた傷のような不快感を感じる。あまり覚えの無い…この頃、時折感じる事がある痒さ。

 

明智吾郎

「そうだね。気分転換になったよ。」

 

自動販売機で飲み物を買うついでに、景品交換所にあるお守りを手に取っている川上を見ながら

 

明智吾郎

「また適当に声をかけてくれるかい?竜司。」

 

友人にそう伝えた。

 

 

 

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