鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

170 / 213
今話については、これまでどおり独自解釈が多く含まれますのと…残酷な描写が含まれます。

奥村春の、ペルソナを得る前段階の覚醒については。
読み飛ばしても鴨志田転生をお楽しみいただくことが可能です。

その場合、原作の奥村春加入話のように…モルガナと二人組で行動して合流するところからお読みいただけます。

読者様の意思にて、ご自由に選択してください。
























この二次創作が、皆様のペルソナの記憶を振り返るきっかけになりましたら幸いです。


第164話 7/5(火) 覚醒:奥村春

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これまでの進行方向とは逆への、力強い引っ張り。

当然、引っ張られる者の事は案じられておらず…

硬い、無機質な通気口に力任せに擦り付けられる。

 

今は七月。制服は夏の装い。

つまりは…袖のない、肩まで腕を出した服装。

 

体育館の床で転ぶとできる火傷のような、

摩擦熱で皮膚が溶ける痛みが、ただ転ぶのとは比べ物にならない距離続く。

 

どうにか指を立てようとする。

…どこかの爪が剥がれた。

 

痛い。

 

そのまま、通気口を直角に曲がる。当然配慮などなく、遠心力でそのまま体を強打。

頭を強く打ち、視界が真っ白に。カメラのフラッシュを浴びたような光が瞬く。

 

ヨガでも曲げたことのない角度で身体を引かれ、チャリチャリと…骨盤から嫌な音が、骨の振動として直接耳に運ばれてくる。

 

毎日整えたのに、なんて現実逃避の考えが浮かんで…すぐに塗りつぶされる。

 

痛い。

 

肌が、熱と共にビリビリと痺れる。

通気口を流れていく速度が上がる。

眩しくロクに見えない視界から、私が引き摺られた後に、赤い線が見えるのがわかった。

 

ずっと、通気口の底面に着けている両腕が。

掴まれてる根本の生足が。

顎が。鼻が。

今、どうなっているのか知りたくない。

 

声も出せない。

 

今まで、とても辛かった。

だがそれは、心の辛さだった。

 

それに比べ、これは…ただ純粋な、身体の辛さ。

 

乱暴に地面へ叩きつけられた頃には、すっかり…体を動かす気力は無くなっていた。

 

 

 

息を吸うのも難しい。酸素が足りず苦しい。

意識して吸おうとしても、

 

奥村春

「ゴホッ!けふ、はぁっ!」

 

吸い込んだ分以上に、咳が空気を外に吐いてしまう。

平衡感覚が無くなり、息もできず、まるで宇宙にいるような苦しさ。

ボロ雑巾のように、蹲る事しか出来ない。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

目の前にはロボットがいる。

モナちゃんが倒したロボット以外にも、おもちゃのようなロボットもいる。

 

ロボット

『侵入者、発見。』

 

ロボット

『排除スルカ?』

 

 

 

モナちゃんの言葉が、私の耳に残っている。

これが、お父様が、社員に対して考えている姿。

 

 

 

ロボットが腹に蹴りを入れ、私は地面に大の字に転がる。

見下ろすのは、感情のない機械の目。

 

私は、これで死んでしまうのだろうか。

これは、ちゃんと覚めることができる夢なのだろうか。

こんな痛い夢、あるわけがないのに。

 

わけのわからない世界で、痛みが、これを現実だと認知させる。

 

もっと…父の言う通りに過ごしていれば、こんな目には合わなかったのだろうか。

お父様の、望み通りにしていれば…

 

 

 

モナちゃんの言葉が、私の認知に残っている。

私にも、力がある。抗う心が、力になる。

 

 

 

ロボットが、私の腹を踏みつける。

胃から何か、良くないものがこみ上げてくる。

ただでさえ出来ない呼吸が、液体で完全に塞がれる。

喉の中の黄色い液体を、外に出す空気も残っていない。

 

ロボット

『この顔、何処かで…』

 

ロボットは、私の崩れた顔を覗き込む。

 

 

 

モナちゃんの言葉が、私の心に残っている。

自分自身と、契約する。

反逆の意志があれば、怪盗服の姿になる。

 

 

 

折角、楽しそうな非日常が始まったと思ったのに。

はらわたが、煮えくり返る。

吐瀉物なんかよりもっと熱く煮え滾ったものが心から溢れ…ボロボロな心の隙間を埋めた。

 

 

 

ロボットの足が持ち上がり、もう一度、降りる前に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、それを右手で掴んで握り潰した。

 

ケーブルと部品が溢れ、慌てて飛び退くロボットを。

立ち上がり、追いかける。

 

いつの間にか、手に握られていた斧を

 

奥村春

「うわぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!」

 

薪を割るように振り下ろす。

煮え滾る想いが収まるまで、何度も、何度も。

 

 

 

ぐしゃぐしゃのスクラップになったロボットが、モナちゃんがやった様に消えていき…身体の痛みも消えている事に気付く。

 

光沢があり、自分の姿が反射する斧を見れば。

私は、まるでおとぎ話の登場人物のような装いに変身していた。

 

顔には…格好いい、モナちゃんやゾロに似た仮面が装着されている。

 

先程の負傷は夢を見ていたように消え…しかし、痛みはいつでも鮮明に思い出せる場所に記憶されているのだった。

 

 

 

 

 

…。

奥村春という少女は、原作のP5無印にて唯一、ペルソナの具現化を伴わない部分的な覚醒を果たしている。

主人公らに公開されない形で、モルガナと共に。

そして、明智吾郎を除く怪盗団メンバーの中で、最後に覚醒を果たしたにも関わらず…最も加入時のレベルが高い。

坂本竜司が4、高巻杏が5。

そして奥村春は…36。

 

モルガナが数日メメントスで特訓をさせたからかもしれないし、ゲームのお約束だからと言えばそれまでだろう。しかし…無理やりな解釈としても、こうは考えられないだろうか?

 

奥村春はペルソナの素養という点では平凡な1人であっても。

反逆の意志は、頭抜けて強靭な物を宿していると。

 

 

 

また、彼女の怪盗服は銃士、ペルソナは三銃士に出てくる女傑『ミラディ』。コードネームは『ノワール』。

すべて、フランスに縁がある。

フランスには仮面舞踏会に代表されるような仮面が山程あるのに…ノワールの仮面は、黒一色の、のっぺりと顔を覆うドミノマスク。

ただの、主人公との重なりを避け…黒い仮面のペルソナ使いとする為の仮面デザインと言えばそれまでだが。

 

自身の反逆の意志の現れ、不思議な世界で戦う為の姿に。

モルガナとそのペルソナ、怪傑ゾロの影響を受けていると…解釈をすることはできないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

ロボット

『侵入者を、排除せよ。』

 

機械音声が鳴り、私を取り囲んでいたロボットが、その姿を変える。

 

極めて健康に戻った体に、恐怖や緊張がすっかり消えた心で。落ち着いて敵を見据えると。

 

モルガナ

「ハル!!!!」

 

私が落ちてきた通気口から、モナちゃんが飛び出してくる。その体は私のものであろう血に塗れており…先程までの、自分の悍ましいまでのピンチに笑ってしまう。

 

奥村春

「ふふっ。」

 

モルガナ

「ハル、お前その姿は!」

 

気が動転したような、細まった瞳孔が、私の無事を知って徐々に緩んでくる。

 

奥村春

「モナちゃんの、ゾロ?は来なかったけど…魔法少女にはなれたみたい。」

 

モルガナ

「良くやった!ワガハイがサポートしてやる、華々しい初陣と行こうぜ!」

 

奥村春

「うん!」

 

先程のヒトデに顔が生えて、色が紫に変わって気持ち悪くなったような敵に対し

 

帽子を格好良く傾けて、決めポーズを取った。

 

(決め台詞も考えなきゃ。)

 

突然の、初めての戦いだというのに。

私の心は踊っていた。

 

この世界に来る前より、ずっと。

 

 

 

 

パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください

  • 原作と同じ本名表記
  • わかりやすいコードネーム表記
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。