鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第171話 7/10(日)予め、春を告げる

 

 

 

奥村春の真摯な想いに、高蔵さんは快諾してくれた。

 

お陰で翌日。最速とも言って良い速さにて、奥村邦和の改心が始まろうとしている。

 

 

〜〜

〜〜

 

※奥村春視点

 

 

奥村家、リビングにて。

春は、己の父親と対峙していた。

 

日曜日だというのにお父様は寝間着から着替えを済ませており、片手で何か食べ物を齧りながらスマートフォンを触っている。

 

 

 

 

奥村邦和

「話とは?今は忙しい、学生の悩みなら学友にでも…」

 

奥村春

「では、本題から申し上げます。」

「私、調べたんです。お父様の…経営のこと。」

「社員に対して行っている事と…周りの企業にも、何かをしてるって事も!」

 

奥村邦和

「!」

 

奥村春

「責める気はありません。私の願いは1つだけ。」

「心を入れ替えてください、お父様。」

 

奥村邦和

「…。」

「話はそれだけか?」

 

会話を断ち切り、お父様はその場を去ろうとする

 

奥村春

「お父様っ!」

 

そしてこちらに、背中を向けたまま語る。

私に、顔を見せないまま。

 

奥村邦和

「お前は今、私が指示した事をしていれば良い。」

「それで、お前は幸せになれる。大人しく私の船に乗っていろ。」

 

奥村春

「…絶対、入れ替えさせて見せますから!」

「オクムラフーズを、ブラック企業なんて呼ばせない為に!」

 

 

背景が黒く染まり

一瞬、お父様の姿が変わって見える

 

 

奥村邦和

「責める気が無いのなら、こちらも調べた事を追求する気は無い。」

「お前はこの件に関わるな、春。」

 

奇妙なヘルメットを被ったお父様は…首だけで振り返ってこちらを一度見てから…何処かからの電話に応答しながら歩き去ってしまう。

お父様が忙しくしているのは、理解している。5月頃からだろうか…怒った様子で誰かと電話で会話をして以降、忙しさのギアを1つ上げたような印象があった。

 

鴨志田先生から聞いた話や、ニュースの内容と照らし合わせると…廃人化による、同業他社への妨害が無くなったのだろう。

今のお父様は、その実力だけで、歪んだ手助けにより急成長した企業を支えている。なりふり構わず、部品となる社員の心を壊しながら歯車を回している。

 

奥村春

「お父様、ごめんなさい…私は言いつけを破ります。」

「私が、貴方の初心を思い出させる…っ!」

 

様々な意味合いで…冷たさを感じる背中を見送った後。

 

私はソファに置いていたモナちゃん入りの鞄を持って。心の怪盗団の集合場所へと向かった。

 

 

恐れなんて、何もない。

 

 

 

 

 

 

…。

 

 

 

 

 

 

※奥村邦和視点

 

 

 

日曜日、オクムラフーズのオフィスは社員達で賑わっている。休日を返上し、身を粉にして働く社員達だ。

 

奥村邦和

「…。」

 

それを、一段高い場所から眺める。

視察に対しておべっかを言いに、貼り付けた笑顔の係長が寄ってくる。軽くあしらう。

 

ある日、

獅童正義が見せた…政界という船へ誘うチケット。

それは突然白紙に戻った。話は無くなり、残るのは『情報を漏洩すればお前は終わる』という脅しのみ。

 

都合よく重なる同業他社の不祥事のお陰で…今のオクムラフーズはブラック企業と呼ばれるほどの圧力の中急成長を続けていた。向上する利益を規模拡大に投資し、社員へは還元せず、ここまでの企業にへと漕ぎ着けた。

しかしその『幸運』が無くなった今、オクムラフーズに入ったヒビは拡大を続けている。

 

次は貴様らが搾取される番だと、家族を犠牲にした恩を仇で返した貴様らが、と。そんな感情を確かに抱いていた。未だに、胸に濃く渦巻いている。

この歪んだ憎悪と共に、私は宇宙に呑み込まれるのだろう。

 

だがしかし、小さな工場からここまで育てた企業をただ崩壊させては、親より授かった奥村の名が汚れる事になる…

 

 

高蔵副社長

「営業部署の視察か?邦和。」

 

奥村邦和

「…高蔵か。休暇はどうした。」

 

高蔵副社長

「返上だ。社長と同じく、な。」

 

奥村邦和

「そうか。」

 

どこからか、高蔵が隣にやってくる。

そのまま社長室へと向かった。道中、どちらも会話は発しない。

 

奥村邦和

「高蔵。」

 

社長室の中に入りすぐ、高蔵の目を見て問いかける

 

奥村邦和

「春に入れ知恵をしたのはお前か。」

 

高蔵副社長

「…何の事か分からないな。」

 

奥村邦和

「娘を使うな。」

 

高蔵副社長

「…娘を使うのは、自分だけだとでも言うつもりか?」

 

奥村邦和

「そんなわけが無いだろうっ!」

 

どこか見下した目線を見せる、『先代派』の高蔵の胸ぐらを掴み、感情をぶつける。

 

奥村邦和

「いや……。」

「違うっ!」

「春は…春は!」

 

高蔵副社長

「…昨日、春さんから相談を受けたよ。婚約者と反りが合わないとな。」

「望まぬ政略結婚で、春さんは不幸になってる。誰のせいだ?」

 

奥村邦和

「…。」

 

聞いたことのない、聞こうとしたことの無い、…聞いてみたかった、娘の胸の内。

家族の口からではなく、血の繋がらない他者からそんな事を聴く。

 

心と体の両方を襲う脱力感。手が緩み、高蔵は拘束から逃れる。

 

 

奥村邦和

「…だとしても、今のオクムラフーズに残るより、よほど良い。」

「理解、されるつもりはない。これが春を、一番…」

 

高蔵副社長

「…不器用な男め。」

「午後から1件、アポイントメントがある。それまで、ここで報告書の確認だ。」

 

 

改めて社長室を確認すれば…自身の机に、積まれている書類が見えた。

 

意図してなのか、今の…『脱出計画』に必要な職務を纏めてくれている。

行動をコントロールされるようで癪だが、お膳立てに合わせて行動することにした。

 

 

 

 

春だけは…崩壊するこの宇宙船から、逃さねばならない。

その先は、春にとって楽園では無いのだろう。私は最低の父親だ。

 

だが、私ができたのだ。きっと春も…再起できるだろう。

その為の芽を…()してみせる。

 

 

 

 

揺らいだ心を落ち着け、職務へ取り組み始めた。

 

 

 

 

高蔵副社長

「さて、頼むぞ…怪盗団。」

 

副社長の呟いた内容が、その耳に入ることは無い。

 

 

 

 

パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください

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