鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
時間は、少しだけ遡り…シャドウ奥村への援護で【マハサイオ】を放った所。
奥村春
「貴女の相手は…私っ!」
認知存在は、右眼につけたスキャナーをそのままこちらに向けてくる。
クイーンをDownさせることで獲得した1moreにて即座に発射される【トリプルダウン】。
3段の銃撃が、身体をスプーンでアイスをすくうように抉り取る。
怯めば相手の思い通り、ここは絶対に、前に出るべき。
先生から貰ったパッチ薬が不快感を徐々に和らげてくれるのを感じながら走り、踏み込む。
踏み込んだ靴で、認知存在の足を思いっきり踏んだ。
武器を持っているのはこちらだけ。防ぐことはできない。躱す為に足に力を溜めていたものを縫い止め…勢いそのまま押し倒す。
シンプルなパワーでは勝っているという確信から、もう一度超接近戦に持ち込む。
ゴロゴロと転がったあと、こちらが上に。
自分の姿をした青い肌の宇宙人の顔面を全力で殴った。
認知存在は抵抗しようとするも、マウントを取られたこの状況では、中々抜け出すことができない。
3発、4発と拳が突き刺さる。
優位に立った事による、心の余裕。
その隙間に、ふと考えが浮かんだ。
6発、7発。
苦しい表情で、一方的に殴られる認知存在が…似ている。
この姿になったきっかけの、大怪我をした私に。
(…わかった。そういう事だったんだね。)
感じた違和感が、綺麗に腑に落ちる。笑みが浮かんだ。
右手。ロボットを握り潰せる握力で、その頭蓋を握りしめる。
キリキリと、何かが軋む音。
認知存在奥村春
「うぅっ、あぁあっ!!」
奥村春
「ねぇ。もう1つ、質問するね。」
「貴女は…私?」
認知存在奥村春
「は…?」
奥村春
「私は、お父様にそんな事を思ってない。ナビから聞いたの。本人とは違う考えの、自分を憎む存在を…自分の心が生むことがあるって。」
指の間に挟まる、アンテナにも触覚にも見えるそれは圧力に耐えきれずに曲がり始める。
もがく身体を、太ももを閉じる力で挟み強引に抑え込む。
奥村春
「だけどね、私、貴女がそうだとは思えないの。ただの認知存在じゃないって。私の心が…貴女を、私だって言うの。どうして?」
認知存在奥村春
「何を、言って…」
奥村春
「思い出したんだ。私、あの時…何かを落としちゃった気がしたの。心の、大事な何かを。」
「どこか、ふわふわして…現実味が無くって。怖い物が何も無くなって。」
「元々、現実味が無い世界だから、そういう物だって思ってた。けど、違ったわ。」
今はっきりと認知した。
『心』の…欠落。
認知存在奥村春
「…まさか」
奥村春
「シャドウは…仮面を取れば、本来の姿になるんでしょう?」
認知存在奥村春
「やめっ!」
空いている左手で、右眼につけたスキャナーを掴む。
そのまま、力任せに引っ張る。
抵抗に、認知存在は両手で私の腹を叩く。骨に響くような衝撃。痛い気がするけど、
認知存在奥村春
「痛い、やめ、怖い!痛ぁい!」
「助けて!お父様ぁっ!」
お父様へと助けを求める認知存在。憎んでいると認知しているのに、幼い娘として、依存を残していると考えているのだろうか。
ちらりと横を見れば、彼等は大技を放ち合っている。誰にも、私たちの話は聴こえない。
奥村春
「貴女の話…お父様が思っている、私の話。わかることもあったんだ。」
「私には、裏切り無しでは自由も無い。お父様を改心させると決めてから、心はとっくに決まってる。」
「だけど、そんな美しくない裏切り方…私は許せない!!」
引き裂け、伸びる皮膚ごと…その『仮面』を剥がす!
認知存在奥村春
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あああっっ!!!」
溢れ出すものは、血ではなかった。
綺麗な、綺麗な…青い炎。
認知存在の姿が溶けて、黒い鎖を伴いながら…柄のついた仮面と扇子を持ったナニカが現れる。
私が立ち上がるのに合わせて、ゆっくりと起き上がった。
…。
パレスと呼ばれる世界は、心の海から引き寄せた物を各自好きなシャドウの姿に歪めて、その防衛機構とすることができる。
それらは、ワイルドの素養を持つものなら己の力にできる、ペルソナと表裏一体の存在たち。
つまりは、極限状態により心から溢れ落ちたペルソナが…パレスの作用によって歪められ、その場に存在を固定されてしまう事もあり得るのではないだろうか。
認知存在奥村春
『…思い、出した。私は…ここのシャドウじゃない。』
『貴女の心に浮かび、揺蕩う者…』
彼女の名前は…まるで、昔からずっと知っていたように心に浮かんできた。
奥村春
「ミラディ。」
「これで、本当の力が使えるね。」
認知存在奥村春
『…。』
ミラディ
『ええ。』
豪奢なドレスを纏った…私のペルソナ。
こちらに歩み寄り、身長差のある私へと、扇を持つ手を差し伸べてくれる。
ミラディ
『我は汝、汝は我…』
『美しい裏切りで、自由の門出を飾りましょう?』
青い輝きが、自身の付けている仮面へと流れ込んでくる。はっきりと感じる…『繋がった』感覚。
途端に体にぶるりと震えが走る。
腹部がズキズキと痛み、銃撃を受けた傷が治りかけた箇所が痒みを訴える。
恐ろしい目にあったあの記憶がフラッシュバックする。
どれだけ危険な大立ち回りをしていたかと驚き、今更緊張が走る。
武者震いが止まらない。
どっと、不快な脂汗が私の全身を覆った。
…堪らず膝をつく。しかし、隙間の埋まった心に湧く感情は緊張や恐怖だけではない。
奥村春
「ミラディは…優しいんだね。私の心を…取り出して、守ってくれてたんだ。」
「ありがとう。もう、大丈夫。」
もう一人の自分への…感謝。
それを言葉にして、立ち上がる。
体を満たしていた、全能感が消える。正しい認知機能が、心に帰ってくる。
しかし、己が弱くなったとは思わなかった。
ミラディを伴い、未だに戦闘を続けるお父様を見下ろす。
鴨志田卓
「弱者から搾り取って得る金銭には限界があるだろ、そんな稼ぎ方で娘さんに顔向けできるのか?」
お父様は、クラウンに問いかけられていた。
シャドウ奥村
「…黙れっ!そんなもの、とうに理解しているっ!」
「だから、ここから逃がすのだ!傾くのも時間の問題の…この腐った企業からな!」
お父様の認知は歪んでいる。
シャドウ奥村
「所詮、奥村は『敗北者の血筋』だ!機を見誤った私は…直に大衆の非難の的になる!」
「屈するつもりは無い。この宇宙船を作ったのは私だ!しかしこの宇宙船に大きな穴を開けたのも、紛れもない私だ。」
お父様の考えは間違っている。
シャドウ奥村
「オクムラフーズが、『オクムラ』フーズである…最期の1年となるかもしれない!貴様らに、終わらせられてたまるか!」
「私の死に場所は、私に決めさせて貰おう!!やれぇっ!!」
…。
奥村春
「お父様っ!!!」
指示に従い社員が突撃する、ほんの少し前に。
私は、感情を剥き出しにした大声で叫ぶ。
奥村春
「これ以上…『奥村』を貶さないで下さい!!」
傍に、ミラディを伴いながら。
違和感を感じられていた方は申し訳ございません。
ここから、正しく原作の心を持ったノワールとなります。
パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください
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原作と同じ本名表記
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わかりやすいコードネーム表記