鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第175話 7/10(日)親子喧嘩

 

※引き続き奥村春視点

 

 

 

纏まった社畜ロボ達に、ミラディから、舞台上より一方的に【マハサイオ】が放たれる。

 

専務と同じような外見を持ち、数あたりの質が最も高い部長に対して弱点を突くことができ1more。周囲の社畜ロボを巻き込み大きく損害を与える。

 

新島真

「火力が増えた!押し切るわよ!」

 

モルガナ

「おう!…威を示せ、ゾロ!」

 

同様の事が出来るクイーンとモナが範囲魔法の連打を再開し、単純計算で殲滅力が1.5倍になった魔法の乱舞が社畜ロボの数をゴリゴリと減らしていく。

 

 

シャドウ奥村

「春、何を言って…」

 

奥村春

「私は、確かに…お父様からの愛情を感じない暮らしをしてきました!」

「政略結婚の相手もキモい男を決められて!」

「だけど私は言いなりに従ってた!それが…意思表示ができないからだとでも思っていらしたの!?」

 

TYPE係長に投擲され舞台に飛び上がったTYPEヒラが私に殴りかかるのを、斧ではたき落とす。

腕に取りつかれ、先ほどまでなら容易く握り潰していたものを…地面に叩きつけてから頭を踏み砕き。

握力の低下を感じながら。

 

 

奥村春

「すぅ…」

「お父様の分からず屋!!!」

 

 

シャドウ奥村

「な、何を言い出すかと思えば!」

「私の事を恨んでいるのだろう、否定したいが、憎まれている自覚はある。お前に理解は求めん!これまで従ってくれていただろうに何故()()の1つが聞けない!?」

 

奥村春

「私は、憎んでなんかないの!!!なんでわっかんないの!?!?」

 

シャドウ奥村

「!?」

 

大きな声で、お父様の姿勢が崩れ、浮遊する椅子が重心移動により大きく揺れる。

 

佐倉双葉

「お、親子ゲンカ…」

 

そのまま舞台から飛び降りて、お父様の元へと駆け出した。

 

止めるためにヒビ割れた体を動かす社畜ロボ・TYPE専務をクラウンが背後から腰を掴み…ブリッジするような姿勢で後ろにジャーマンスープレックス。

 

鴨志田卓

「行けぇっ!」

 

(先生が…皆が、守ってくれる。)

(だから私は…この気持ちを、目一杯ぶつける!)

 

怒った顔のまま、視線をあのシャドウに固定して。

立ち塞がるTYPE部長をミラディの【マハサイオ】で薙ぎ払い。

 

目の前にまで、到達する。

 

 

奥村春

「お父様…もう、終わりにしましょう?」

「私も、一緒に頑張るから。皆で、オクムラフーズを、素敵な企業にするんです。まだ、きっと間に合います。」

 

シャドウ奥村

「お、お前は今の企業の状態を把握していないから言えるんだ。平均残業率、過労で長期入院した社員へは見舞いでなく解雇通知を送った、批判の矛先を作るため、あえて低級の社員達が憎み合うよう仕向けた…」

 

奥村春

「うるさい!!!」

 

シャドウ奥村

「!?」

 

 

一刀両断。

普段出さない大声に、喉がかすれて声が裏返る。

このパッチ薬は本当に便利だ。傷ついた喉も勝手に治っていき、声が枯れる事が無い。

 

 

奥村春

「企業の事は把握してません!私が把握してるのは…お父様が、すっごく努力してる事!」

「『奥村』を、自分をこれ以上下げないで!お父様!!」

 

 

あと、2メートルほどの距離を。

 

歩けば同じだけ、お父様は離れる。

埋まらない、2人の距離。

 

乱戦の余波か、様々なものがこちらに転がってくる。

ロボットの腕、飲みきった薬瓶、()()()()()使()()()()()()

 

シャドウ奥村

「私が努力しているなど、こんな腐った方向への尽力など非難こそすれ何も評価される物では」

 

奥村春

「私は、ずっと見ていました!お父様が私を見れていない間も!」

「私が産まれてから今まで!全部が腐っていたなんて言わせません!」

 

シャドウ奥村

「なっ…」

 

 

奥村春

「運動会に来なかったこと、覚えていらしたなら!」

「さっさとその勘違いを治して、企業を立て直して!」

「私を遊園地に連れて行って下さい!!!お父様!!!」

 

その剣幕のまま、ずんずん歩み寄り…気づけば、2人は他の社畜ロボが居ない所にまで進んでいた。

 

フィアンセの認知存在が乗っている脱出船に、お父様の背中が触れる。

もう、逃げられない。

 

シャドウ奥村

「…だが、」

 

奥村春

「だから!オタカラを取ったら認知は戻るんでしょう!?現実のお父様と、ゆっくり話をさせて頂きます!早くオタカラを寄越して!!」

 

 

シャドウ奥村

「…。」

 

お父様は、顔を歪めて…視線を下げる。

 

視界に入った手を、ふと開いて…己の手のひらを見つめる。

その手は震えて…異常を示している。

 

ゆっくりと見上げた顔は…戦いが始まる前よりもよっぽど歪み、ぐちゃぐちゃになった表情で…

 

突然、目を大きく見開いた。

 

 

 

シャドウ奥村

「…春っ!!」

 

先ほどまでの後退りは何だったのか、焦燥に満ちた表情でお父様が、椅子を踏み切りこちらに飛び込んで来た。

 

奥村春

「…お父様。」

 

敵意は感じず…受け止める。

成人男性の重み。数歩、たたらを踏む。

 

お父様の胸に、顔を埋める。

 

(…いつぶりだろう。)

 

お父様に引き寄せられながら…そんな事を、考えていた

 

 

 

 

 

 

…。

案外、あの浮遊する椅子は機動力がある。車輪を使わない分、360°動くことが出来るのもあり、狙いを定めることも、移動先を予測することも運が絡む。

その点、2本の足で立っている方を狙えば、命中率は高い。

 

 

 

 

 

 

 

シャドウ奥村

「危ないっ!」

 

奥村春

「え?」

 

 

バキュンっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥村春

「…お父様っ!?」

 

 

この音は、聞き覚えがある。

異世界でパピヨンが無計画に撃ちまくり、クイーンもたまに扱っている…銃を発砲する音。

 

私を抱き寄せていた力が弱まり、お父様は崩れ落ちる。

 

私の肩が、熱い。いや、痛い。

触ってみると…少し、血が出ている。

先程の【トリプルダウン】よりも軽いかすり傷。

運動場で転んでかさぶたを作るほうがよっぽど痛い。

 

…つまり、私には直撃していない。

私をかすった弾は…

 

 

シャドウ奥村

「ぐ、うぅっ…」

 

お父様の、胸の中に。

 

 

奥村春

「お…お父様。大変、薬、ええと、左のポケット、中…ちが、無い、えっと、」

 

焦り、緊張、恐怖。

『万全』の心は…それらを産み出してしまう。必要不可欠なものなんだってことはわかる。

 

(だけれど、今出てこないでっ!)

 

雇用主が直接狙われた事で、交戦を辞め周囲にギョロギョロカメラを動かす社員達。

 

鴨志田先生…ああ、クラウンが、こちらに走り寄り…声を掛ける。

 

 

鴨志田卓

「いよっし、成功だ!」

「安心しろ、これで助かるぞ!!」

 

奥村春

「え…」

 

 

もう一発、鳴った発砲音。

まるでどこから飛んできているか分かっているように軽く飛んだクラウンの背中に、ドヂュ、と着弾する音。

 

緊張により鋭敏になった聴覚が、やけに静かな空間に…舌打ちのような音が鳴るのを聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

※鴨志田卓視点

 

 

 

シャドウ奥村は素晴らしいことに、狙撃されても生きていた。

ラクカジャも使えるしポーカーフェイスのできるクイーンと、

ネクロノミコンに乗り込んで通話を繋いで喋る都合上、部外者に声を聞かせないで済むナビにのみ、今回の詳細な作戦を伝えている。

モナとパピヨンへは、そういった理由で2人が秘密裏に進めてくれる事柄があるからサポートしてあげてねと言ってある。

 

ナビにはこの戦場を俯瞰している部外者をこっそりサーチしてもらい、

 

クイーンにはナビが察知した怪しいタイミングにて、シャドウ奥村にラクカジャを掛けて耐久を増強して貰っていた。

 

上手く立ち回ればそもそも撃たせない立ち回りもできたかとしれないが、それをせず1発撃たせようとしていたのは…申し訳ないが、俺の利益のためもある。

 

明智吾郎、つまりは俺たち以外のペルソナ使いの脅威を実際に直面したことがない怪盗団達に、その証拠を見せる為。

 

そして、変に原作イベントを捻じ曲げ過ぎるとどんな影響があるか分からないため、特にメインストーリーの物はなるべく踏みたいのが本音だった。

 

結果は無事に成功。シャドウ奥村は致命傷を負わずに耐えてくれた。

 

シャドウ奥村は、実はP5無印とP5RでHPの量が違う。

ロイヤルでは1、無印では…200。

防御力を増してやれば、高レベルキャラクターの銃撃1発ならギリギリ耐えられる。

 

(うおお良かった!P3でイベントシーン銃弾くっっっそ強いの散々見てたからマジで賭けだったんだよな…春にテトラカーン貼らせるのも考えたけどミラディ出てきてなかったし、この心理的負担じゃ作戦も頭から抜けるかもしれなかったし…ホッとするわぁ…)

 

 

佐倉双葉

「反応ナシ!アイツ、もうパレスから出てる!」

「マジやべー、撃つまでなんにもレーダー映んなかった!」

 

三島由輝

「今のエアロックの音…宇宙に逃げたってこと!?自殺行為だろ!」

 

 

 

 

 

 

 

ノワールは、閃いたように胸元に手を突っ込む。

ベリ、と乱暴に剥がした大治癒促進パッチをシャドウ奥村の頬にビンタ気味に貼り付けていた。

湿気により粘着が弱まっており、ぐいぐい押し付けている。

 

シャドウ奥村

「…血が、出ているぞ…春。」

 

奥村春

「お父様こそ、こんなに、沢山…」

 

シャドウ奥村

「も、問題、ない…治る範囲だ…」

「春が、生きているのなら…良かった。」

 

 

原作で…娘に躊躇いなく自爆を指示していた、あの奥村邦和とは思えない発言。

そもそもあの思考は、あの歪みは何から育ったか。

政界への誘い…次のステージへと進出する野心。

手厚いバックアップ。競合他社は…面白いように『自滅』していく。

多額の献金の見返りに、ぐんぐん伸びる業績。実用的な投資先。

原作の鴨志田卓でもそうだった…増長する、倫理に反する行為に抵抗が無くなる原因が揃っていたように思う。

 

 

多大な利益のある代わりに、奥村春の感情を無視した政略結婚。始まりは奥村春の高2の冬…つまりは、2年前の一色若葉が廃人となった出来事より、後。

精神暴走事件がすでに始まっている頃に決まったもの。

 

 

獅童正義の梯子が外された今。

政界進出に誘われたうえで…まだ足りておらず、なりふり構わず企業を伸ばしていたら突然裏切られた今。

 

歪みに塗りつぶされた娘への愛情を、もう一度思い出し…しかし、歪みを取り払うのではなく、歪みの上から、歪みを使って再構築された…愛。

 

どうしようもなくねじ曲がった感情が…愛情の形を取っていた。

 

 

 

シャドウ奥村

「許せと、言うつもりは…無い…」

「お前を、何も尊重しなかったのは…私だ…」

 

奥村春

「…。」

 

シャドウ奥村

「お前には、あの父とは違って…なんでも、与えてやれる父親に…なりたかった…」

「馬鹿な男だ、娘の一番欲しがるものは…あの父のような、人情だっただろうに…」

 

 

モルガナ

「…歪んで形が変わっても、まだ愛はあったみたいだぜ。」

 

奥村春

「…うん。」

 

鴨志田卓

「お前の命を狙って、現実のお前を廃人にしようとしてる者が居る。早く、心に帰るんだ。」

 

シャドウ奥村

「ああ、奴等か…」

「私は、守られて居たのだな。」

 

ノワール…自分の娘に抱き起こされて手を持ち、父親は

 

シャドウ奥村

「良かった…この気持ちを、テイクアウトできるのか。」

「また現実で…顔を見せてくれ。これまでの事を、謝らせてくれ。春。」

 

奥村春

「…。」

「はい、お父様。」

 

シャドウ奥村

「…それでこそ私の娘だ。私も、胸を張って…仕事ができる…。」

 

 

シャドウの奥村邦和は、そうしてゆっくりと光になり消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オタカラが乗せられた脱出船に乗り込み、オクムラパレスから悠々と脱出する。

 

 

春のフィアンセ

「一足早いハネムーンだ。これから何処に行く?」

「俺は綺麗な寝具があれば何処でも構わないよ。」

 

奥村春

「無理。キモい。」

 

春のフィアンセ

「え?」

 

 

既に乗り込んでいた春のフィアンセはノワールによってダストシュートから宇宙へ捨てられた。

 

 

春のフィアンセ

「うわぁぁぁぁぁああああっっっっ!?!?!?!?」

 

 

 

ナビの操縦で、現実世界に帰還した…

 

 

◎◎◎

 

 

 

パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください

  • 原作と同じ本名表記
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