鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第185話 7/18(月) 花火に揺らぐ『正義』後編

 

 

チーズ牛丼特盛温玉トッピングを頬張りながら、花火を待つこと数分。突然雨が振り始めた。

 

止む気配がないどころか、途端に強まって土砂降りになってしまい…屋上から屋内に逃げ込む。人が居ない分、濡れることなく避難ができた。

 

 

金城潤矢が良く利用していたクラブはガサ入れされ尽くし、物がほとんど無くなっている。

証拠として関係が無いとされた家具達に、それぞれ適当に座った。

 

 

 

明智吾郎

「まだ電気は通ってるみたいだ。」

「はぁ、最初からここで食べても良かったね。」

 

喜多川祐介

「結果論だ。外で食う体験に美がある。」

 

坂本竜司

「おっ、良い事言うじゃん!」

「美しい…スケッチブックが欲しい…ってヤツよ!」

 

芝居めいた吐息たっぷりの祐介の物真似が、何も似て居ないのに笑ってしまう。

 

坂本竜司

「そういや、吾郎とメメントスに行って絵描いたって聞いたぜ?」

 

喜多川祐介

「ああ。最初は、斑目や大衆の欲望の醜悪さを描いてみたが…川鍋さんや、吾郎からアドバイスを受けてな。描き足せば、良い作品になった。」

「他者からの評価に重きを置くのは良くないと考えているが…認められ、称賛を浴びるのは心地良い物だ。そう感じるのは変わらない。」

 

明智吾郎

「…。」

 

喜多川祐介

「言うな。承知している。」

「母さんの事もある。己の意見を…必ず見つけるさ。」

 

明智吾郎

「なら、いいんだ。」

 

祐介は、俺が手を出してから…駒とする為に、面倒事を解決してやった。探偵として、悩み相談には慣れがある。

気難しく、他者と異なる考えを持つ祐介を導くのはとても手間がかかり、疲れるものだった。

 

明智吾郎

「整理が付いたようで良かったよ。」

 

だから、この言葉は嘘に決まっている。

 

 

 

喜多川祐介

「斑目を殺した事には、何も後悔は無い。許してやる理由は…奴自身で全て霞に消している。」

「だが…育ての父に罪を問う痛みはあった。これ以上、付く相手は間違えないつもりだ。」

「これからもよろしく頼む。」

 

明智吾郎

「…ああ。」

 

この痛みは、嘘に決まっている。

嘘に、決まっている。

 

 

 

…。

 

 

祐介と、斑目一流斎のシャドウを殺害した時の事を…何故かまだよく覚えている。

 

瀕死に追い込み、奴は見苦しく命乞いしていた。

 

…きっと、うまくやれば『改心』の類が起きていた。

奴は命乞いに、パレスのコアであろう『本物の絵画』を見せていたのだから。

 

恐らくは、祐介が現実の斑目と何か話していたのだろう。

 

 

斑目によってサユリと名前をつけられる前のソレは、塗りつぶすことによってミロのヴィーナスのような想像の余地を与え価値を上げる()()がされていない…腕に、幼い我が子を抱いたものだった。

 

ただあの提案は良くなかった。

自身の記憶と認知が形作る世界に、贋作を作る達人の腕があれば。

お前の母を真似た存在を用意できるから、儂には利用価値があるから、と。

斑目が話し切る前に、祐介は斑目の首を刎ねていた。

 

イセカイナビの、無情なパレス消失通知を聞きながら…祐介は静かに泣いていたのを覚えている。

あの()()は、パレスと共に消えていった。

 

 

認めたくは無いが、心の強い男だ。

翌日から、何も引き摺る素振りを見せない。

 

 

 

 

 

つまり、祐介は。

 

『父』が『母』に行った所業を知り、

その『父』に、醜く命乞いをさせ…殺したのだ。

 

 

 

明智吾郎

「…。」

 

 

俺は…全てが終わった後、祐介の様に生きる事が出来るのだろうか?

 

 

 

…。

 

 

 

坂本竜司

「っぱ吾郎はすげーよな。なんでも解決しちまうっての?」

 

無駄に多い牛丼を突いていると、

竜司がまたいつものように称賛を浴びせる。

気分転換だ。耳を傾けてやる。

 

坂本竜司

「事件も、友達の悩みも、親子喧嘩なんかもちょちょいのちょいだろ!」

 

 

 

 

聞き流すべきだ

 

 

 

 

 

喜多川祐介

「たしかに吾郎なら、猫探しさえ完璧に解決してしまいそうだ。」

 

坂本竜司

「だよな。失敗するのが似合わねーっての?親から怒られたこと無さそう。」

 

喜多川祐介

「それは違うぞ。兄弟子がそうだったが…利口に育つ者程、幼少期はよく叱られる物だ。」

 

坂本竜司

「吾郎はそこんとこどーだったんだよ?」

 

明智吾郎

「…。」

 

坂本竜司

「吾郎?」

 

 

流すべきだ。今、訂正する必要はない。

なのに、口が開いてしまう。

 

 

 

明智吾郎

「…ゴミだよ。」

 

坂本竜司

「ゴミ?」

 

明智吾郎

()の母親は、ゴミみたいな男に捨てられた。」

「愛人関係ってやつさ。身籠ったと分かった途端捨てて、母はショックで早死に。」

「残った俺は色んな所を転々と。…反吐が出る。」

「怪盗王子だなんだ言われて、家族も居ない一人暮らし生活だ。あの男のせいで。」

「…俺が、この活動をしてる理由だよ。」

 

 

使えるものは何でも使う。

 

自分の素性も、同情を得たり相手の心に入り込むための情報にするつもりだった。

そうでもしないと、この記憶を減価償却できないと思っていたから。

 

思って…いたから。

 

…ただただ、意味も無く漏らしてしまった。

 

今の言葉を聞いていた、2人の方を向くことが出来ない。

 

ただの、サイテーな大人への反骨心。

それだけで、俺は手を汚している。

くだらない恨み。そう口に出すことはできても…

本心としてではなく、嘘として声が出てしまう。

 

 

あらかた具を食べてしまった、プラスチック容器に残る肉汁で汚れた白米は

覗き込んでも、己の表情は映り込まない。

 

 

 

 

 

近寄る足音が聞こえる。

 

 

明智吾郎

「チッ…笑うなら、笑えよ。」

 

坂本竜司

「…だれがっ、笑うかよ!」

 

明智吾郎

「!?」

 

ドカッ、と。

半泣きの竜司が肩を組んでくる。

 

喜多川祐介

「…辛かったな。話してくれて、ありがとう。」

 

もう片側には祐介が、人とズレた感性を持っている癖に背中に手なんて当てに来やがる。

 

明智吾郎

「…鬱陶しい、触るな。」

 

坂本竜司

「そうか、そうだよな!お前も辛いんだ。なのにこんだけ頑張ってすげーよ!」

「父親ってなんでこーもろくでもねぇ奴しか居ねぇんだろうな?俺等全員父親やばい組なんじゃね?」

 

喜多川祐介

「同感だ。メッセージのグループ名、それに変えておくか?」

 

明智吾郎

「止めとけ…」

 

喜多川祐介

「悪いな、もう変更済みだ。」

 

スマホを見ると、グループ名が『父親やばい組』となっていた。仮にも芸術家がやばいなんて表現を使うなよ

 

坂本竜司

「そうだ!鴨志田止めるついでに、吾郎の父親もどうにかしようぜ!俺達なら行けんだろ!」

 

喜多川祐介

「賛成だが、吾郎はこれまで狙っていないのがおかしい。なにか理由がある筈だ。」

 

坂本竜司

「そうじゃん!どんな理由だ?」

 

明智吾郎

「…。」

 

喜多川祐介

「俺たちがついてる。なんでも手伝うぞ?」

 

こちらの話を聞かないのに、突然こちらに話題を振ってくる。

本当に、うるさい奴等だ。

 

なのに…口角は、何故か下に向かない。

これ程までに、心に何かの負荷が掛かっているのに。

 

明智吾郎

「…。」

 

喜多川祐介

「メメントスなら吾郎は庭のように歩く。シャドウが居るならすぐに改心させているだろう。」

「つまり、パレスを作って居ると俺は見た。」

 

坂本竜司

「あー、それありそう。」

「そこんとこどうなんだ?」

 

 

 

 

 

…。

逆位置を向いた、戦車と法王。

だが…それは、鴨志田への配置であり

2枚のタロットは…その頭を、明智吾郎にへと向けていた。

 

 

 

 

認める。

絆されている自覚は、ある。

だが計画は変えない。2年かけた物を、情で消すことなどできない。

 

 

 

 

 

 

明智吾郎

「敵は、権力者でね。絶望させるのに、時間を掛けた計画を練ってるのさ。」

「ここまで、2人が協力的と思ってなかった。手伝ってくれるなら…俺も心強いよ。」

「また、頃合いを見て『現地』で話す。」

 

 

ただ…何をもって完全勝利とするか。

勝利条件に…()()を書き足すだけだ。

 

 

明智吾郎

「せっかく集まったんだ、人混みが収まったら吉祥寺に行こう。今日は趣向を変えてダーツなんてどうかな?」

 

…。

 

竜司がとんでもない暴投をして、トラブルになった。

 

楽しかった。

 

 

 

 

パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください

  • 原作と同じ本名表記
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