鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
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放課後
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※三人称視点
考える素振り。
高巻杏
「う〜ん…悪いけど、私はパス。」
出た答えは、不参加。
2mほどの距離を空けて立つ、明智吾郎に対して。
高巻杏はそう答えていた。
放課後の駅地下モール。人通りがまだ少ない…花屋の近く。
一度鴨志田で得た男性への嫌悪感。心が弱っていた時には優しく接した雨宮蓮にほいほいお茶をしばいてしまったが…今の心は万全。
探偵王子のその笑みに若干の警戒心を覚え…路上でないと話さないと固辞したのだった。
坂本竜司にも行った、鴨志田は本当は悪人の為打倒する必要があるという話を伝えた後…詳しい説明をする為に場所を変えよう、と。
明智吾郎が話した矢先の拒否。
取り付く島の無さに、明智吾郎は内心驚く。
もっとも、坂本竜司の時にもチョロすぎて驚いていたのだが。
高巻杏
「今はモデルに専念したいし…鴨志田先生が内心変わってないとしても、私にした謝罪とか、お金は本物でしょ?」
高巻杏
「志帆たちバレーボール部は元気になったし…学校もすっごく明るくなってね。バーベキューも、ディスティニーランドもすっごい楽しかったし。友達も増えたんだ。全部ホント。」
明智吾郎
「バーベキューに、ディスティニーランド…?」
高巻杏
「…あぁウソウソ!やっぱディスティニーランドだけ嘘!行ってない!」
高巻杏
「まあ、その、だからね?鴨志田先生はキモいけど、された嫌な事分くらいは…貰うもの貰ってるんだ。」
「急に、初めて会う人よりかは…鴨志田先生の方を信じたいなって。ごめんね?」
高巻杏の、鴨志田卓への好感度は未だ低いままだった。
しかし、高巻杏自身の幸福度はとても高い値を示している。
そして、その現在の幸福の原因に鴨志田が居ると理解している。
鈴井志帆への性的暴行、飛び降りによる入院という、一線を越えていなかったこの世界では。
鴨志田卓へ嫌悪感こそあれど、まだ恨みは持って居なかった。
十分、金や手間を惜しまず謝罪すれば取り返しがつく範囲だったのである。
伝えたら鴨志田卓が泣いて喜びそうな事だが、好感度は低いため伝えられることは数年無いだろう。
これで、勧誘は失敗。話は終わるかとなった矢先…
明智吾郎
「…わかった。」
「これは、捜査に使う証拠で…誰にも言わないで欲しいんだけど。」
懐から、明智は1枚の写真を取り出す。
高巻杏
「…えっ?」
それは、扇情的な服装をした新島真と親しそうに話す鴨志田卓が写っていた。
あまりに驚き、写真を手に取る。
明智吾郎
「君に言い寄っていたのをすっぱり辞めたと聞いたけど」
「ただ、女を乗り換えただけみたいだよ?」
…。
明智吾郎の書いた筋道。
鴨志田卓への感情を確認しがてら、証拠を用意せずに説明する。竜司の様にそこで乗り気なら、あとはメメントスにでも行けば良い。
それで駄目なら、手に入れている衝撃的な事実を曲げて伝える。
怪盗団として色々吹き込まれた者や…鴨志田卓への悪感情が一切無い信者は堅牢だろうが、鴨志田卓が被害者へ張った信頼の膜は、まだまだ薄く、破るのは容易。
そして、ダイエットのリバウンドのように、破れた信頼というのは大きな落胆や怒りを生む。
まさに、高巻杏は『収穫』しどきだと明智吾郎は考えていた。
高巻杏
「これ…生徒会長?なんで、こんな服装…」
写真を持つ手が震える。
鴨志田卓への嫌悪感が、気圧が変わったマシュマロのように、むくむくと膨らんで行く。
明智吾郎
「これを見ても…あの教師を信じられるのかい?」
信用の膜を、破る、直前。
高尾栄子
「あ、その格好!三島くんと会ってた奴じゃん!あの後鴨志田先生に捕まっちゃってたんだ〜。」
高尾栄子が、居合わせる。
呆けた顔でぼさっと駅地下モールを彷徨っていた彼女は、イケメンを見つけ誘蛾灯のように近寄って来たのだった。
明智吾郎
「…は?」
高巻杏
「…知ってるの?」
高尾栄子
「うん!可愛い服でしょ?これ着て、バレーボールの男の子オトそうと頑張ってるの!お昼頃に写真撮ったんだ。」
放課後サロンでバイトする系女子からしたらお洒落に見える服を指差して、眉間にシワを寄せ「ナイショだよ。」と前置いて教えてくれる。
これは彼女の誤解であり、新島真は真実の『異世界に潜って金城潤矢と戦ってた』がバレないようにそのままにしている。
しかし、誤解と言えど彼女の認知からはそれが真実であり…その為に、彼女の態度からは嘘を一切感じられない。
明智吾郎
「…それ、見せてくれる?」
明智吾郎は、訝しげな顔で距離を詰めてくる。
高尾栄子
「ダメ。アタシ、友達の名誉は守る派だから。いくらイケメンの探偵王子が言おうと…」
「ってぇえええ!?!?探 偵 王 子 だ ! ! ! ! ! !」
女子高生全力クソデカハウリングシャウト(修飾増し増しアブラカラメ叫び)により周囲が感づき、至近距離の明智吾郎を怯ませる。
駅地下モール全体に響く声。女性のものだというのもあり、注目が一点に集中した。
大衆が、明智吾郎の存在を認知し始め、ざわつきが増し、今にも飛びかかりそうな物まで居る。
急いで鞄を開け筆記用具を探したり、スマホのカメラを構える大衆達は…カカシに警戒してカラスが逃げるように、明智吾郎へ抜群の効果を発揮する。
明智吾郎
「チッ。」
「…今の話、考えておいてほしい。それじゃ。」
退散するしかなくなり、明智は注目を浴びている以上何も具体的な事を言えず…証拠と言っていた写真を乱暴にひったくって去っていった。
高尾栄子
「あっ、待って!サイン!」
高尾栄子は追いかけようとするも、道を塞ぐように大移動を始めた大衆に防がれ進めず…諦める。
すごすごと戻ると、高巻杏が待っており。
高巻杏
「…ありがとう。」
「栄子さん、だよね?」
高尾栄子
「ありがとうって何の話?むしろ、探偵王子と話してたの邪魔してごめんね。」
「バーベキューの時以来だっけ。またチョコフォンデュやろーよ!美味しくて機械買っちゃってさ〜。やる相手も居ないから持て余してんの。」
「…あっ!そうじゃん!何話してたの!?」
返答を待たない嵐のようなマシンガントークを高巻杏にも浴びせる。
高巻杏
「え〜っと…鴨志田先生が悪い人なんじゃないかって、この写真と一緒に言われたの。」
高尾栄子
「そうだったんだ…うん、見せたほうがマコトの為かな。これ、本当の内緒ね。」
高巻杏
「嘘の内緒があるの?」
高尾栄子はスマホを操作して、写真を見せる。
バーベキューの際に新島真にも見せていた。三島由輝と新島真が会話している写真。
その服装は、先程の写真と完全に同一。
高巻杏
「わ…」
高尾栄子
「さっきの写真、暗かったでしょ?夜に先生に捕まったんじゃない?それをすっぱ抜かれた!みたいな。雑誌でよく見るよ、そーゆー嘘写真。」
高巻杏
「うん、そうだよね…」
「あんがと。すっごく助かっちゃった。」
安心。胸に、少しは存在していた『信じたい』と思う心が…新たな証拠を起点に、膨らんだ嫌悪を宥めた。
高尾栄子
「気にしないで、アタシも明智くん見れてマジ眼福だったし。探偵王子がこっち見て話しかけたんだよ!?しかも近寄って来てさ!これも〜相思相愛だよね!?」
「…あ〜」
「はぁ〜。ツカサに騙されてたのも無理ないな…またときめいちゃってる。」
高巻杏
「ツカサ?」
高尾栄子
「そ。アタシ騙してたホストなんだけどね…」
「どっかで話す?久々再会記念日!」
高巻杏
「ポストが騙す…?」
「記念日はよくわかんないけど、いーよ。」
高尾栄子
「…はぁ、なんでも記念日って言おうとしてたなぁ…うぅ〜…。」
…。
高尾栄子はこの日、新島真にツカサの愛が嘘であることを証明されていたところだった。原作コープ終盤のあのイベントである。
原作と違って雨宮蓮は居らず真一人で栄子を待ち伏せ、つまりは一人で襲いかかるツカサに対処したのだが…荒事を見越して購入したクマよけスプレーで普通に一撃だった。
尚、合気道が使えないからではなく合気道使うと警察対応が面倒だからである。
しっかり録音・録画して流れるように警察に突き出していた落ち着きぶりに、栄子は自分の友達のハイスペックさに舌を巻いていた。
やり方を教えてくれる先生が居たからだと言うが、普通は実際に実行に移せないだろう…
そんな事が起こって。
ツカサに対しての感情だったり、凄い子が友達として全力で助けてくれる嬉しさだったり。ぐちゃぐちゃになってよく分からなかったメンタルが…
テレビで見る明智くんと出会えた喜びと、真が誤解されかけているピンチを助けた誇らしさで。
笑って、目の前の1歳年下の友達と話せる程度には整っていた。
高尾栄子
「他のバーベキュー組も来れないかな?メッセージ送ってみようよ。」
高巻杏
「じゃあカラオケは?たくさん入れるし、歌って喉も鍛えられるし!」
鴨志田の活動により生まれた蝶の羽ばたきは、新島真や高巻杏を伝播し、大きなハリケーンになって…取り付こうとする明智吾郎を振り払ったのだった。
申し訳ないのですが、品質向上のために明日休載いたします。
パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください
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原作と同じ本名表記
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わかりやすいコードネーム表記