鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
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昼
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助手席の武見さんを見る為、わき見運転をしまくっていたが無事に明治神宮に到着することができた。
時々危ないことがあり事故率が10%くらいあったように感じたので、以後気をつけようと思う…
お賽銭を投げ入れてぽそぽそと美和ちゃんの当病平癒を祈っている武見さん(激カワ)を眺め、自分も何か祈る事に。
(声に出さないと神様に聞こえないって言うけど、声に出すとマジでヤルダバオトとかいう神様に聞かれるんだよな。う〜ん、具体的じゃない言い回しだけど、意図的に隠そうとはしてないラインを目指すか。)
小声の鴨志田卓
「俺の事を慕ってくれる皆が…幸せに暮らせますように。」
「そしてできれば俺も、このまま幸せに暮らせますように。」
(頼むぞヤルダバオトさん、今んとこいい感じなんだし大人しくボコされてくれ〜〜……)
ド級の不敬、ド不敬な祈りを偽神に捧げたのだった。
…。
参拝も終わって、ランチタイム。
横の武見さんが半歩ほど前を歩き、予約したのだという店に連れて行ってくれる。
着いたお店は、高級そうな中華屋。ビルのちょっと高い階に入っている、床やら壁やら天井の照明やら…どこも妥協されて無い店。
外に面した壁がガラス張りになっており、ガッツリと外の世界を見下ろせる。
武見妙
「一度来てみたかったの。ランチならまだ手頃だし。」
(手頃言ってますがランチメニューの選択肢が4000前後なんですけど?もうちょっとで相性占いも川上先生呼ぶこともできる金額じゃあないっすか)
(あ、じゃあ安いか…)
ペルソナ5プレイヤーの麻痺した金銭感覚のおかげで、怯むこと無くお冷を受け取る。
武見妙
「辛いのは食べれる?」
鴨志田卓
「そこまで激辛は楽しめませんが、唐辛子や山椒の味は好きですよ。」
武見妙
「良かった。ここ、そういうのばかりみたいだから。」
ランチメニューの選択肢は少ないためにすぐ注文は終わる。しかしながらそれなりに客入りは多いため、料理が来るのは暇がかかりそうだった。
武見妙
「今日はありがとう。1人だと、湿っぽくなっちゃいそうだったからさ。」
鴨志田卓
「はは、乾燥剤にはなれました?」
武見妙
「うん。」
冗談めいた発言に対して、簡潔で素直な返答。
…かなり、心に響く。
武見妙
「…昨日、治験の最終調整が終わったの。大山田が約束守って協力してくれて…無事に、投与まで行きそう。」
「それが…ちょうど、今頃なの。」
鴨志田卓
「…投与する病院に行かないで、俺と居ても大丈夫なんです?」
武見妙
「知ってるでしょ?医療ミスの濡れ衣…美和ちゃんの家族はまだ信じてるから。大山田が誤解を解こうと謝ってるらしいんだけど…今頃言われたって、相手も混乱する。」
「会うとしても、薬が効いてからにするつもり。少しは信用して貰えるだろうから。」
「…だから、君を呼んだの。わかった?」
鴨志田卓
「ええ。俺で良ければ、いくらでも話し相手になりますよ。」
武見妙
「よかった。」
少しの身動き。足を組み替えるそぶり。
鴨志田卓
「俺のデータで、何とかなりました?小さい子供向けの調整は必要だったんじゃ…」
武見妙
「大山田、医局長なのもあって顔だけは広いから。凡人なりに稼いだアドバンテージだって言って、途端に規模の大きいプロジェクトになったの。」
「各所に頭を下げて、私をリーダーに据え直して。皆で虱潰しに君のデータを精査したらあっという間に終わっちゃった。」
鴨志田卓
「そう、ですか。やっぱ医局長って権力凄いんだなぁ…」
武見妙
「…ヤキモチだ。」
鴨志田卓
「う」
武見妙
「ふふっ…わかってるから。大山田を変えたのも、時間がかかる治験を予め全部終わらせられてたのも、君のお陰だって。」
鴨志田卓
「はは…完全に見透かされちゃってますね。」
武見妙
「鴨志田くんって案外嫉妬深いタイプ?」
鴨志田卓
「昔は…手柄を横取りされる事とか多くて。口下手だったものですから。」
「そもそも手柄を立てられること自体少なかったから、呪いそうな勢いで嫉妬してましたね…今はもう手柄を沢山立てれますから、脱却するべきなのに。」
…。
繰り返すが、憑依転生者は中学生以降誰も友達が居なかった。
つまりは、味方が居なかったのである。
どんな状況でも相手を殴れば憑依転生者が悪いことになり、好かれようと子供ながらに考えて…学校を掃除したり花に水をやったりしても、他の生徒が先に名乗り出て皆からの褒めを総ナメした。
告発しても全員がライングループを使って口裏を合わせてくる。好かれようとするのは良いことだけど嘘は駄目だと教師に諭されたのは大いに傷ついてしまった。
今当時を思えばイジメとも言えない可愛いものだが、当時の心にはかなり悪影響があった。
外遊びと違って友達が居なくても遊べるゲームに傾倒し、それでも人との繋がりを恋しがって対人系のFPSやカードゲームを始めてしまったのが運の尽きだったのだろう…
ペルソナに出会っていなかったら、こうして過去を振り返る事も出来ない人を妬み続ける変人…いや、化け物が生まれたに違いなかった…
武見妙
「…イジメ?」
鴨志田卓
「いや、ハブられてたくらいですよ。特に小中学校は俺以外全員が仲良くて、俺以外全員が俺と仲悪い素敵なクラスが出来上がることが多かったんですよね」
心配そうに、過去に寄り添う態度を取ってくれる武見さん
武見妙
「何があったらそんな…に…」
自分で言って、ハッと気づいた素振り
顔を手で隠して下を向いて
笑いを堪えながら、絞り出すように。
武見妙
「お、おしり…?」
鴨志田卓
「まぁアレもそうなんですけど、今思えば…」
「転んで給食のカレー全部ぶちまけたり、工場の社会科見学にうっかり納豆食べてきて学校ごと出禁にさせたり、かくれんぼ中で本気で隠れすぎてプールの時間潰して全教師で捜索始めさせる事になったのも原因にあるかなと睨んでいます。」
武見妙
「…それでイジメまではしなかったの、かなりモラルあるクラスメイトじゃない?」
武見さんが肩を持つ先が変わった…。
鴨志田卓
「今振り返ってみると、正直俺もそう思います。」
(その状況で他責思考になってたの結構認知歪んでたよな俺。ペルソナと出会ってFPSやる量減らして…ペルソナで人と関わりを持つ楽しさ吸ってセルフ改心みたいにできたから良いけどさ。危ないよほんと)
武見妙
「因みに何処に隠れたの?」
鴨志田卓
「学校の向かいにある民家の車庫に寝てました。」
武見妙
「外…」
…。
しばらく、他愛も無い雑談を楽しみ…提供された高級中華を2人で食べた。
麻婆豆腐は固定で、サイドの数品が変わるようなランチメニュー。
鴨志田卓
「ぅん!具体的には何も分かりませんけど、家じゃやらない拘りが複数詰まってるんだろうなって味ですね。」
武見妙
「ね。市販も美味しいけど、しっかり刺激ある方が私には合うかな。」
鴨志田卓
「子供も食べれるような甘口って多いですもんね。麻婆豆腐とか特に。」
武見妙
「モルガナはこういうのも食べれらるの?」
鴨志田卓
「ええ、好みとして甘いほうが喜びますが。」
武見妙
「味覚は身体寄り…いや、猫の味覚ってどうだっけ…」
高級な絶品料理だと言うのはわかる。目でも、夜に来た場合の値段を見てどれだけ価値あるものか理解できた。
けど、目の前の武見さんと会話をできる幸せで…具体的な味をイマイチ記憶に残せなかった。
…。
食事が終わり、四軒茶屋までの帰り道。
車内で、武見さんがふと口を開く。
武見妙
「…佐倉さんの容態は?マスター経由でかなり良いとは聞いてるけど。」
病弱そうな女の子繋がりで、以前関わった佐倉双葉が話題に上がる。
異世界関連のシークレットな話だからか、二人っきりの車内まで聞くのを待ってくれていたのかもしれない。
鴨志田卓
「かなり良いですよ。UFOに乗って飛び回ってます。」
武見妙
「へぇ…あの消えたり出たりした時に?」
鴨志田卓
「そうですそうです。内科に皆で行った時、真面目そうな女の子とモルガナが居ましたよね。あの2人がそれぞれバイクに乗って、車になるんですよ。」
武見妙
「人の心を変える施術は危険があるんでしょ?乗り物が要るくらい広い所なの?」
鴨志田卓
「場所によってまちまちですね。双葉の心はものっすごく広かったです。」
武見妙
「直感的には小さそうなのに。ほら、小心者って言うでしょ?」
鴨志田卓
「あ〜確かに。考えたこと無かったです。」
「やっぱり他学問の知見とかあると、認知訶学の発展も捗りそうなんですけどね…」
武見妙
「確か、悪い大人が悪用しているんだっけ。研究者が囲い込まれたりしてるの?」
(う〜ん、そのあたりあんまり知らないんだよな。丸喜がクビになったりしたのはロイヤルの話だから、P5無印じゃ具体的にどうなってるかってわからんし。改心直前の時に獅童正義と一緒にいる認知訶学の研究者くらいか?出てきたの)
どう返事を返すか、少し考える素振りを見せる。
そうすると、武見さんはくすりと笑って
武見妙
「いきなり聞いてごめんね。厄ネタって言ってたのに。」
「新薬が完成したら…頭に余裕ができちゃったから。」
鴨志田卓
「良いことですよ。俺から言うくらいなら、その勢力に気付かれる事も無いでしょうから…そうですね。」
「あの佐倉さん、お母さんが認知訶学の研究者さんだったんですよ。それが…認知訶学悪用するぜ!って勢力に『始末』されちゃいまして。」
武見妙
「え」
鴨志田卓
「超絶天才の研究者を失い、世の中に発表される事が無くなって。更には研究成果を隠す方向に仕舞い込み続ければ当然新しく研究者になる者も居ないわけですから…推測ですが、ガッツリ遅延してるんじゃないかなと。」
武見妙
「…そうなんだ。」
鴨志田卓
「土木工事や採掘用にって作ったダイナマイトが戦争に使われまくっちゃったって話は有名じゃないですか。あんな風に、危険な利用も平和的な利用もすっごく役に立つ研究なんです。どうにか俺で…現状を解決して見せますよ。」
武見妙
「…。」
「夢、大きいね。金メダルの次は、世界平和を目指してるんだ。」
「応援してる。」
鴨志田卓
「ありがとうございます、そう言ってくれると…もう何も怖くないですよ。」
飛び出してきた化け物に頭からかぶりつかれそうなくらい、自信が湧いてくる。
武見妙
「…危ない目に遭ったら怒るって話、覚えてる?」
「人死にが出るような陰謀渦巻く危険なとこに身を投じてるんだ?ふ〜ん…?」
鴨志田卓
「なんでだろ、急に1つ怖い物思い出しちゃったな〜…」
自信の湧きが止まった…
武見妙
「たまには息抜きもしっかりしなさい。」
「一人で行きづらい店とかあればついて行ってあげるから…いつでも声掛けて。」
「今日の支払いが気まずかったなら…ふふ。その時に奢ってよ。」
鴨志田卓
「…。」
「うす。また…必ず。」
胸が高鳴る。
なんとまぁ嬉しい申し出に、喜んだからと思った。
だけども…この背中を伝う汗はなんだろうか。
憑依転生者が、鴨志田卓と共有している脳の中に。
3人の異性の姿が浮かんでいた。
違法に相性占いを超連打している占い師さんは置いておくとしても…これは…
この世界に来てから、積み上げてきた結果が。
この道を直進すると…直に、崖に出てしまうだろう。何処かで…ハンドルを切る必要がある…
そんな、とてもとても贅沢な悩みが産まれながら…車を運転するのだった。
※武見妙視点
武見妙
「…。」
夕方も近づいてきた頃。日曜日の東京は、当然歩行者も増える。
横断歩道の少ない車道をバカスカ横断する老若男女の非常識たちを警戒するからと口数が減った鴨志田卓。
少し暇になってしまった。今できることは無いのに…美羽ちゃんや、その家族の事を考えてしまいそうになる。
話しかけようと思っても、事実、目に見えて人の数が増えていた。急に減速することも多く忙しそうで、この不定期な揺れではスマホを出しても酔うだけだろう。
夏の日差しをクーラーの効いた車内で眺める贅沢を味わいながら…意図的に、何か別の事を考えようと意識する。
思い当たるのは、先程の鴨志田卓の話。
(学校で結構苦労してたんだな。それでもこんな真人間にできるバレーボールって何?)
(…いや、自分自身も大山田みたいな心変わりをさせたんだっけ。けど、あの昔のテレビ映像の鴨志田くんは皆から慕われるスポーツマンみたいに見えた。)
(美羽ちゃんが快癒したら…詳しく調べてみよっかな。認知訶学は厄ネタらしいけど、こっちはいいよね。)
この世界に来てから、積み上げてきた結果が。
初めて会った時から、己のことをうんと好いてくれているらしい異性。一緒にいて不快ではないし、進んで自ら恩恵を振りまこうとする。
もっと知りたい。
それが、アイドルがファンのTwitterアカウントを見て普段を知ろうとする好奇心のようなものなのか。
何割か含有しているのは確実だが、他にどんな不純物が含まれているかが分からない。
いまいち、解明して名前を付ける気にもならない。
ひとまず仮定するとしたら、この現状をもっと続けたい気持ちと呼ぶことができるだろうか。
…。
その気持ちが出力した行動は。その気持ちが叶う道を逆に進むものだとは…この時の彼女は欠片も考えていなかった。
パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください
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原作と同じ本名表記
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わかりやすいコードネーム表記