鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第203話 7/29(金) 蘇れ、蘇れ、蘇れオクムラ

 

〜〜

午前

〜〜

 

 

 

鴨志田卓たちバレーボール部がインターハイに挑んでいる頃。奥村邦和もまた、大きな戦いに臨んでいた。

 

 

 

※奥村邦和視点

 

 

オクムラフーズ、本社…

 

大規模な方針転換を示した後初めての、月末の重役会議である。

 

 

社畜・TYPE部長

「今年度も利益は上昇しておりましたが…成長分が殆ど消滅する見通しです。」

 

奥村邦和

「そうか。それは素晴らしい事だな。」

 

社畜・TYPE部長

「一体何をお考えに?貴方はそういった『馬鹿』を一番嫌ってたはず。」

 

奥村邦和

「よく考えろ。利益は溶けて消えたんじゃない。我らがオクムラフーズはしっかりと金を稼いだ。」

「その金が…私や、君達以外の懐に入った。これの何が問題なんだ?」

 

社畜・TYPE部長

「…人件費のコストが上昇した事への言い訳はよして下さい。」

 

奥村邦和

「はっ、笑わせるな。人件費ではない。」

「我が社の社員が利益を得た。それに何も変わりはないのだ。」

「オクムラフーズという船は成長し…完成した。次は、乗組員全ての幸福追求を目指すステップだ。」

 

社畜・TYPE部長

「…失望しました。」

 

奥村邦和

「結構。失望した君も、私は愛する社員として守る準備がある。」

「不作だったレタス、品質の落ちない安定供給先を見つけたのは君の部下だったろう?金も休みも私が工面しよう。労いの社員旅行にでも行ったらどうだ?」

 

一つ一つの質問に、堂々と答えていく。

社員の声を、一つ一つ聞いていく。

 

当然、彼等は末端の社員ではない。末端の社員達が利益を得て自分達が減るような方針には拒絶反応を示す。

だがしかし、ここを変えなければ…オクムラフーズは変わらない。

 

彼等に、その思想の種を蒔いたのは私だ。

私が責任を持って、処理する必要がある。

 

情を見せた隙にを突き、何か行動を起こそうと試みられても防げばいいのだ。

今の私になら、それができる。

 

私の、二の舞にならないように。

政界へのハシゴを外されたような絶望を味あわせないように。丁寧に、丁寧に。

 

 

…この会議は、夕方まで続くことになる。

 

 

 

 

 

〜〜

昼休み

〜〜

 

オクムラフーズの持つ、工場の1つ。

 

その近くの喫茶店にて昼休みをとる社員達が居た。

 

 

 

社畜・TYPEヒラ

「なんか暇だなぁ…」

「いや、休憩時間に暇ってなんなんだよって話なんだけどさ。」

 

社畜・TYPEヒラ

「わかるわー。突然『昼休みを1時間キッチリ取る!』な〜んて言われてもな。しかも、1時間超えたら罰金とかじゃなく1時間超えなかったら罰金だろ?」

 

社畜・TYPEヒラ

「主任、なんでかわかりました?」

 

社畜・TYPE主任

「いんや。」

「社長が急に方針転換発表したいうてるけど、どういう意味なんかサッパリや。」

「来月から給料上がる言うのに休み増えてるん何なん?」

 

 

暇を持て余した者たちが、柄でもない喫茶店でメロンソーダをしばいている。

最初に現場の者たちに流れたのは、困惑だった。

 

人材を適切に回し、生産ラインや店舗の負担を算出。

適切な人員配置で休みを産み出し…労働量の早期改善が見込めないところには特大の給料アップにてやる気を補強。

 

突然メスが入り始めた労働環境に…餌を貰いすぎてビビるネコチャンのようなリアクションをしていた。

皆がこぞって裏の意味を疑うのも無理はないのである。

 

 

 

 

社畜・TYPEヒラ

「どっか遊びに行こうかな…」

 

社畜・TYPEヒラ

「あ〜、遊びかぁ。最後に行ったのいつだっけ…」

 

社畜・TYPE主任

「もう、好きに行けるで。」

 

ヒラ社員

「お〜。」

「…あれ?なんで、涙が…」

 

主任

「…俺達、よう頑張ったな。」

 

ヒラ社員

「はい…。」

 

 

施策が始まってから…月が変わろうとしている今。

やっと、ロボットにさせられた者たちの心がほぐれようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜

〜〜

 

夏の夜の、長い夕日。

 

会議を終えて、家に帰る。

コートを掛けて、手を洗ってからリビングに向かう。

広い家だ、早足で目的地に進めば…

 

 

 

奥村春

「おかえりなさい、お父様。」

 

奥村邦和

「ああ、ただいま。」

 

笑顔の娘が、家に居る。

私が帰ってくるのがそんなに珍しいのか…最近は、春は夜にはリビングのソファで過ごして居ることが増えていた。

 

 

奥村春

「今日は重役会議でしたっけ。」

 

奥村邦和

「ああ。完全な説得までは行かなかったが…どうにか、採決は取れた。皆、本当に頑張ってくれている。よくここまで保ってくれた…」

 

奥村春

「お父様の会社の社員ですもの。」

「裏切る人なんて…。滅多に居ないんですから。」

 

春は断言しようとした所を訂正して話す。

娘に、自身が歪んでしまった原因を知られてしまっているのが恥ずかしい。

社員の裏切り、デマによって貼られたレッテル…傷ついた社のイメージに、かなりの損失が出た事件。

 

しかし、レッテルを貼っていたのは私だったのだ。

犯人以外の社員全員へ、恨みによってできたレッテルを。

 

 

 

ソファに座って、鞄から書類を取り出す。

 

奥村春

「…また残業?」

 

奥村邦和

「いや、例の計画の物だ。これについて、春と話がしたい。」

 

奥村春

「私と…?」

 

奥村邦和

「結論から言おう。」

「春が、このプロジェクトのリーダーになって貰いたい。」

 

奥村春

「!?」

 

 

奥村邦和

「鴨志田くんの書いた計画。オクムラフーズのコネクションを大きく必要とする巨大な『世直し』には…リーダーが必要だ。」

「オクムラフーズの立て直しをしている私には手が余る。…春が適任だと、私は思う。」

 

奥村春

「そんな、リーダーだなんて…」

「鴨志田先生は、」

 

奥村邦和

「春も共有を受けているだろう?その鴨志田くん本人が、自分がリーダーになるのは避けたいと言っているんだ。例の立場とリーダーは兼任できない。」

 

奥村春

「そうだとしても、こんな大きな権限、社員の方にもっと適任がいるんじゃ」

 

奥村邦和

「春達の行いはトップシークレットだ。なるべく人員を絞る必要があるとなれば…怪盗団の中から選ぶのが望ましい。」

「難しいアポイントメントは済ませてある。後は各所と調整して、作り上げていくだけだ。怪盗団の中で一番適性があるのは春だろう?親馬鹿の意見じゃなく、事実を言っている。」

 

 

奥村春

「…。」

 

 

奥村邦和

「再婚する気のない男の、一人娘だ…良ければ、会社を継ぐ事を見越した練習だと思ってやってくれないか。」

 

人心掌握術でもなんでもない、ただの『親からのお願い』。

だが、親として接することが長く出来なかった春には…こう話すのが良いと、心が言っている。

 

奥村春

「…はい、お父様!」

「私にやらせてください!」

 

 

これは本には書けないな、なんて事を考えながら。

やる気を出した愛娘に、自分の持つノウハウを教えていった…

 

 

 

 

〜〜

〜〜

 

奥村邦和

「良ければ、夜は何処か食べに行かないか。」

 

懐から取り出したのは、車の鍵。

 

奥村春

「…お父様が運転を?」

 

奥村邦和

「まぁ、な。免許は持っている。」

「…その、なんだ。鴨志田くんと話して、君達の移動手段の話になってな。」

「私も、助手席に人を乗せたくなった。」

 

奥村春

「…。」

 

奥村邦和

「ふ、不安なら、今から運転手を手配する。」

 

奥村春

「…あははっ。」

「それじゃあ…連れて行ってくださる?」

 

奥村邦和

「ああ、任せてくれ。」

 

 

その後、マニュアル片手に車を起動した私は…

店に着くまでの15分で、黒塗りの高級車の下部を4回擦っていた。

 

慣れない挑戦に慌てる様を…娘がおかしそうに笑ってくれる。

 

 

 

 

今日の疲れは全て消えた。

 

 

 

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