鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第204話 8/2(火) ありがとう、鴨志田卓

 

ーーー

 

Q.今回の戦術は、どういった方針だったのでしょうか?

 

A.それぞれのメンバーが主役になる戦術を、メンバーの数だけ作りました。

事前の研究と、インターハイ中の他のチームの試合を見て集まった情報を元に、相性を見極めて戦術を切り替えていたんです。

 

 

 

 

Q.かなり難しい挑戦かと思いますが、大舞台で皆が活躍できるような配慮もあったのでしょうか。

 

A.確かに、メンバーの思い出にはよく残るでしょう。その試合では自分が徹底的な主役になるんですからね。

ですが、それが目的ではありません。

 

秀尽高校のバレーボール部は、全員が優秀なんです。メンバーを選抜するのが惜しくなるくらいに、皆素晴らしく成長をしてくれています。

誰を軸にしても強いのなら、相手に合わせて切り替えて弱点を突けば良いなと。

 

 

 

 

Q.相手の作戦を調べて弱点を突く…口で言えば簡単ですが、時間も労力も途方もないのではないでしょうか。

どのような手法を?

 

A.シンプルに、頭数ですね。予定が合う2年生以上の部員全員で、じっくり観察と研究をしてもらいました。

 

 

 

 

Q.それは…凄まじい熱意ですね。

 

A.ええ、自慢の教え子たちです。

 

 

 

 

Q.鴨志田さんは金メダリストとしても界隈では有名でしたが…やはり、指導もオリンピック式のものを?

 

A.(考える素振りを見せる) 少なくとも、俺の知っている事は全て伝えたつもりです。

オリンピックの頃に経験したものと同じとは言えない、ただの体育教師の指導ですが。

 

 

 

 

Q.最後に、今回のインターハイを振り返って、感じたことを教えてください。

 

A.それでは…謝罪と、感謝を。 (姿勢を正す)

俺は、皆を疲弊させる心無い指導をしてしまった事があります。それも、何度も無数に。

離れて行った方々に深く、お詫びを申し上げたい。

そして、そんなダメ教師を信じて付いてきてくれた方々に…心から、御礼を言いたい。

その為に、今年は皆を、どうしても勝利に導きたかった。勝たせてやりたかった。

その一心で…心を込めて、指導をして来ました。

 

迷惑を掛けた皆に、これからも謝罪を続けていきたい。

俺の事を許さないでいい、ただ、償いたい…

 

(涙声で) 皆、今まで本当にすまなかった。そして…本当に、ありがとう。

 

 

 

 

 

Q.改めまして、優勝おめでとうございます。

 

A.(顔を拭う) ありがとうございます。これからの、部員達へのインタビューでも沢山、彼等を祝ってあげてください。

 

 

 

 

_____20XX年、全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会、優勝者インタビュー。

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

…。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜

〜〜

 

 

鴨志田卓

「よォし、後は遊んで眠って帰るだけだ!!」

「迷惑かけない範囲で好きなだけ騒いでくれ、乾杯!!」

 

部員達

「「「かんぱ〜いっ!!!」」」

 

 

 

 

山口県、秀尽高校バレーボール部の宿泊先ホテル…

 

インターハイの間過ごした、既に間取りを覚えつつある施設の宴会場にて、俺達は祝勝会を開いていた。

 

でっかい畳が並んだ床に座布団と机を並べて、

物凄く美味しいと言うわけではない、なんかいい感じのものを使った団体向け旅館の食事を食べる。

 

修学旅行がハワイの秀尽生には馴染みがないのかもしれないが、やっぱ学校での泊まり込み行事と言えばなんかこういうよくわからない柔らかい和食みたいなのだよなって料理。子供が苦手な食材や野菜も沢山入っている。

 

(普段食べる事のないこれが、ただただ美味しいだけの食事より思い出に残るんだよな。記憶が呼び覚まされる…)

(いや俺の学生時代の記憶に良いものは無いからしまい直そう…いっそのこと上書き保存しよう…)

 

 

 

怪盗団のメッセージでも、三島がみんなに自慢をしていた。

 

ーーー

 

心の怪盗団、グループメッセージ

 

 

 

奥村春

『そろそろ夜だけど』

『結果は出たのかな?』

 

新島真

『試合の時間はもうとっくに終わってる筈だけど…』

 

佐倉双葉

『負けておちんこでるか、勝って喜んでるんじゃね?』

 

新島真

『こら』

 

奥村春

『?』

(…。)

『あ』

『はしたないよ、双葉ちゃん』

 

佐倉双葉

『ごめんなさい』

 

 

 

(数十分のメッセージが無い時間)

 

 

 

三島由輝

『優勝!!!!』

(トロフィーを持った写真 大宅一子にデータを送ってもらった)

 

 

佐倉双葉

『勝って喜んでる方だった!!』

 

奥村春

『すごい!』

『日本一って事だよね?』

 

三島由輝

『その通り!』

 

新島真

『やったわね』

『双葉のパソコン見せて貰ったけど、どこも凄く強そうだったのに』

 

佐倉双葉

『私のナビのお陰だな!』

 

三島由輝

『ほんとに!』

『マジで感謝!』

 

佐倉双葉

『あれくらい朝飯前』

『簡単すぎてデザイン凝るほうが時間かかったもん』

 

 

 

ーーー

 

 

そう、実は…双葉特製の秘密兵器を用意していたのだ。

それは使いやすいUIのデータ集計アプリ。

 

まずは、バレーボール部のみんなで作ったそれぞれの戦術の弱点と有利な相手を徹底的に洗い出しておく。

 

そしてインターハイ本番中、試合に出ない部員達を使って全ての試合を全力で観戦。

アンケートフォームのような形でデータを作成して送信すれば、自動で集計されて相手の特徴と弱点を見つけ出す事ができる。

これによって観戦者同士の話し合いによる擦り合わせ等が一切不要となり、溢れるマンパワーをロス無く伝えてくれる歯車のような役割を果たしてくれていた。

 

実際にそういうデータ集計やらアンケートフォーム作成をやっている、マンパワーの押し付けが病的に上手い奥村邦和、

そして情報商材にも心得のある金城潤矢が口出しし、それら全てが双葉の技術力によって反映されたプログラム…素晴らしいクオリティのアプリだった。

 

完成後も眠り姫にならず12時間睡眠くらいで済んでいたので、まだ軽い仕事に入るのだろう。本当に双葉の技術力には恐れ入る…

 

 

 

 

俺がインターハイにて行った作戦は…まさしく、ペルソナの王道の戦略。

相手の弱点を調べて、ペルソナ(戦術)を切り替えてWeakを取る戦法だった。以前インターハイ予選で披露した作戦以外にも、メンバーの数だけ戦術を用意した。

それができる、情報収集力も部員の実力も揃っていたから。

 

思惑通りにそれは成功し…一つの生き物のように団結した、我らが秀尽高校のバレーボール部は。

まさしく、ワイルドで、トリックスターだった。

 

原作には、完全に無かったイベント。ある訳がない。

雨宮蓮は部活動には所属しない、鴨志田卓は逮捕される、奥村邦和は死ぬ。

 

なのに、なんでだろうか。

とても幸せだ。幸せすぎて…涙が出る。

原作では、立ち絵も姿も何も描かれなかったモブである部員たち。それら一人一人の顔が…とても眩しく見える。原作のキャラクター達と、遜色のない程に。

 

 

横の女子部員と親しげに話す者。

黙々と料理を食べる者。

歌い出す者。

それを指を指して笑う者。

隙をついて他人の皿に野菜を盛る者。

下着枚数管理ミスって下着無しジャージで残りを乗り切ろうとするが明らかに仕草でバレている者。

 

一人一人の名前が分かる。特徴が分かる。癖が分かる。

 

こんな時に限って腹を下しがちな奴。

目立つのは恥ずかしい割に注目されないと寂しくなる奴。

噂話が好きで好きで堪らない奴。

これだけ部活に打ち込んでおいてめちゃくちゃ頭の良い奴。

 

 

 

原作で見て、実際に見てみたいと憧れた光景を見たわけでも無いのに、なぜこんなにも幸せなのだろうか。

 

(ああ、本当に。)

(鴨志田卓が居る、秀尽高校という城に…残ってくれてありがとう。こんなに…鴨志田卓を受け入れてくれてありがとう。)

 

『鴨志田卓を受け入れた、と言うには語弊がある。三島なんて、改心前の俺は嫌ったままだろう?』

『俺の中に来た、お前が彼等に受け入れられたんだよ。』

 

(え…)

(…そう、か。そう、だったんだなぁ…)

 

気付かされる。

これは、原作には無い。しかし、実際に見てみたいと憧れた光景ではある。

充実した…学校での暮らしというもの。

 

ペルソナによって、画面越しのフィクションであっても心が救われた気がしたのだ。

実際に参加すれば…もっと、心が満たされる。

 

これでは、自分のかわりに娘を成功させようとしている東郷一二三の母親を笑えない。燻って、自分には必要がないと理由を並べ立てて誤魔化していた悲願が、いま目の前にある。

 

ただただ、胸が熱くなる。

 

(本当に、本当に…ここに来て良かった。)

 

 

 

 

 

 

…。

皆は、ペルソナ原作の、おおまかな共通した流れを覚えているだろうか。

最後の大型シャドウを倒して、影時間が終わる気になっていた時。

テレビを使った連続殺人事件の犯人を、無事に逮捕できた気になっていた時。

奥村邦和を、改心できた気になっていた時。

 

どんな映画でもそうだ。それは、ごくごくありふれたこと。

 

絶頂は転落の秒読みということだ。

 

 

 

 

パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください

  • 原作と同じ本名表記
  • わかりやすいコードネーム表記
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