鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第205話 8/4(木) 疲れるレディにコーヒーを

 

 

 

〜〜

〜〜

 

 

佐倉惣治郎

「さて、アイツはどこまで進めたかね…」

 

昼下がり、14時頃のルブラン。

常連も帰り、店内は空っぽに。クロスワードでもするかと惣治郎がカウンターから出ようとした矢先に、入れ違いで来客が。

 

佐倉惣治郎

「いらっしゃい。」

 

店内を見回したその女性は、惣治郎に名刺を渡す。

青っぽい灰色の髪を流した、スーツ姿の女性。

 

新島冴

「私、こういった者です。少しお時間いただけますか?」

 

新島冴が、ルブランに来店した。

 

 

 

 

※新島冴視点

 

 

メガネの位置を調整しながら、名刺を見る店主の佐倉惣治郎。

 

佐倉惣治郎

「新島冴…成る程、アンタが。」

「ちょうど客も帰ったところだ。店の看板、返して来てくれるか?」

 

新島冴

「? …ええ。」

 

名刺を見て、こちらの顔を見た際の柔らかい表情に驚く。

事前の調査した内容を見るに、佐倉惣治郎という男は詮索を嫌い隠れていたように思えるのだが…

 

ご厚意に甘えて店を閉店にし、促されるままカウンター席につく。

彼はコーヒーを淹れながら聞く耳を持ってくれていた。

 

新島冴

「認知訶学について、ご存知ですよね?」

 

佐倉惣治郎

「…? 質問の意図がわからねぇな。」

 

バインダーを開いて、資料を取り出す。

 

新島冴

「自殺と()()()()()一色若葉さんと関わりがあると聞きました。精神暴走事件と認知訶学の関わりを探りたく…お話を伺いたいんです。」

 

佐倉惣治郎

「確かに、関係者ではあるが…」

「望むような情報は持ってねぇと思うが。」

 

新島冴

「それは私が決めます。」

 

佐倉惣治郎

「そうかよ。じゃあ…何から話せば良いんだ?」

 

 

聞かれたくないであろうこと。

それを最初から話題に上げても…彼の態度は変わらない。いや、少しだけ嫌そうな素振りは見せている。

なぜか、それ以上に『話す気』がある。

 

…佐倉惣治郎は、何の逡巡も無く質問に答える構えを取った。

(おかしい。明らかに…事前のプロファイリングと人物像が乖離してる。詮索する()()()()…相応の抵抗があってしかるべきだと思っていたけど。)

 

頑なな抵抗も強引に突破できるような『材料』も持ってきていたのだが…

一瞬、話が上手く行きすぎている驚きの為に返答が遅くなる。

 

佐倉惣治郎

「どうした?聞きたいことがあってわざわざ来てくれたんだろう?」

 

新島冴

「いえ…随分素直に話して頂けるんだなと。」

 

こちらも、素直に手札を開示する事にする。

協力的なのだ、戦おうとした非礼を詫びて良好な関係を結ぶ方が会話は弾むだろうという打算を持って。

 

それに対する返答は。

 

佐倉惣治郎

「そりゃあ、あんたの妹には世話になったからな。」

 

ポケットに入れていた名刺を取り出して、そう言う。

 

新島冴

「妹?」

 

佐倉惣治郎

「真ちゃんだろ?姉は検事だと聞いた。」

 

新島冴

「…真とマスターに、何の関わりが?」

 

驚きの答えに、つい…認知訶学の聞きたかった内容ではなく、その疑問を先に問いかけてしまう。

 

佐倉惣治郎

「ん、聞いてないのか?」

 

問いかけの際、眉間に皺は寄らない。

怪訝そうな、怪しむ姿ではなく

単純に驚いたような、何も警戒されていないとわかる顔

 

 

 

佐倉惣治郎

「その認知訶学を使って双葉を助けてくれたのは、他でもないアンタの妹達だろうに。」

 

新島冴

「え…」

 

佐倉惣治郎

()()らと活動してんなら、俺の情報なんざ聞いたところで意味は無ぇと思ったが。」

 

今の数秒で、莫大な情報の洪水が押し寄せる。

脳がダムとなり処理・変換しようとするもキャパオーバー。10秒ほどの、フリーズとして出力されてしまう。

 

畳み掛ける絶好のチャンスを、隙を突くでもなく心配そうに見守ってくれる佐倉惣治郎。

 

どうやら、一切の敵意がないのは確からしい。

 

新島冴

「…ごめんなさい。何も、聞いていなかったの。」

「教えてくれませんか。真が、何をしているか。」

 

佐倉惣治郎

「そうか…」

 

出し渋るというより、心配そうな態度で佐倉惣治郎は少し考える素振りをしてから、

佐倉惣治郎

「俺が詳しく話しても良いが、妹さんから直接聞いたほうが良いんじゃねぇの。」

「隠してた理由とか、言えない理由を俺は知らねぇからな。変に臆測で話を進めりゃこじれる可能性もある。」

 

そう言い、カウンターにコーヒーを出してくれる。

手に持ち、動揺が反映され震える黒い水面を見ながら。

 

新島冴

「…仰る通りかと。」

 

佐倉惣治郎

「これだけは断言しておく。アンタの妹さん達は…絶対に、悪い奴らじゃあない。誓って、廃人化や精神暴走事件の犯人じゃない。それに、嫌々やってる訳でも無さそうだ。」

「真ちゃん、何度も嬉しそうに言ってるんだよ。私が心の怪盗団の参謀だ…ってな。」

 

 

 

…。

佐倉惣治郎は、原作にて雨宮蓮が10股バレンタインで殺されかけたとしても女の子全員を宥めて帰らせることが出来る。一色若葉と出会うまでは、恋愛経験が豊富であった口振りも見せる。

 

コミュニケーションにおけるトラブルを察知する嗅覚に、対処するための手札。

ルブランのマスターはその無愛想な態度と裏腹に、拗れる話を整えるスペシャリストと呼べるのでは無いだろうか。

 

 

 

新島冴

「…。」

「そう、ですね。一度、真に話を聞いてみます。」

「検事として…姉としても。」

 

心の動揺を飲み込むように、コーヒーを一口。

…目が覚めるような、しかし後に残らない何処か優しい苦味。

鼻に抜ける香りは、熱が集まっているかのように曇った感覚を訴える前頭葉を晴らしていく。

 

 

新島冴

「美味しい…」

 

佐倉惣治郎

「働きすぎた女性に合わせたブレンドだ。」

「アイツ以外に出す気は無かったが…娘の恩人らの家族になら、許してくれるだろうさ。」

 

 

私越しに、誰かを見る視線。

恐らくは…故人の一色若葉を見ている。

そんな大切な思い出の味を、家族だからと出すほど…真は、この男から信頼を得ている。

 

コーヒーの助けを借りて、思考を続ける。

 

上に登るためなら、何でも使う。そう考えて、今日まで過ごしていた。だからこそ成功したのだと自負もある。

この思想によって勝つことができた戦いも何度もある。間違った思想だとは思わない。

 

 

(…家族が容疑者になっても?)

(…いや、駄目。)

 

 

思考停止は降参と同じ。

ちょうど、妹の新しい交友関係には関心があった。

弁護士の真似事だ。有罪となる証拠を探すのではなく…

新島真の、身の潔白が証明できるものを探そう。情報を纏めて…家で、話を聞いてみよう。

 

そんな思考にたどり着くのに…コーヒーが全て無くなるほど、時間を使った。

思考が遅かったからか、コーヒーが美味しかったからか。

きっとその両方だろう。

 

新島冴

「念の為、連絡先を交換しても?」

 

佐倉惣治郎

「ああ。」

 

何のためらいもなく、連絡先の交換は成功する。

 

 

新島冴

「コーヒー、ご馳走様でした。」

「また改めます。」

 

コーヒーによって、無事に混乱する思考を整えられた。急いで、帰路につくことにする。

 

 

新島冴

「お代は…」

 

佐倉惣治郎

「要らねぇよ。やる事は決まったんだろ?早く行ってやんな。」

 

新島冴

「…次に伺った際に、必ず。」

 

佐倉惣治郎

「いつでも待ってるよ。ルブランをご贔屓に。」

 

 

佐倉さんのご厚意に甘えて、ルブランを飛び出した。

 

 

 

 

 

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