鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第213話 8/4(木) 賽は投げられた

 

 

 

※新島真視点

 

 

負傷しているお姉ちゃんの、前に立つ。

黒い仮面を着けた明智を見据える。

 

明智吾郎

「ククッ、公権力だけで成功する訳がないんだよ。政治家のクセに、価値観が凝り固まってどうしょうもない。あんだけ廃人化を見せてもまだ軽視してる証拠だよ。」

「いや、政治家だからこそって言うべきなのかなぁ?」

 

明智吾郎

「どう思う?さ、え、さん?」

 

新島冴

「本当に…貴方が、廃人化事件の…」

 

 

怒りで、恐怖で、震える手。

姉の様子を見る。まだ…生きている。

 

出血部位は足?意図的か、失敗か…何にせよ、姉の命は消えていない。

 

 

 

明智吾郎

「ふ…あっははははは!ぃ良〜い吠え面だ!」

「この世界で俺を出し抜こうなんて、百年早いんだよ!」

 

ゆらりと。

一切のためらいなく銃口を向け、姉へ発砲。

ヨハンナを顕現させ、防ぐ。

 

金属がぶつかり、火花の散る音がする。

 

硬質の車体によるダメージ軽減。幾ばくかのダメージがフィードバックされるが…大治癒促進パッチで十分間に合う。

 

明智吾郎

「俺に楯突くつもりかぁ?あの性犯罪者ならともかく、()一人で守れるとでも?」

 

 

新島真

「…ふっ!」

 

口車に乗れば、冷静さを失ってしまうと判断。

思考リソースを言葉ではなく、現状の改善に回す。

 

殴る、外れる。

蹴る、外れる。

掴み、外れる。

 

銃を構えた腕を押し上げ、向きを逸らす。

明智のもう一つの、武器を持った手が腹へ伸びるのを、

明智の腕ごと背後に回り、関節を極めて抵抗する。

 

明智はそのまま体を回転し着いてきた。

武器の持ち手、後ろの尖った部分で脇腹を強く殴打。

緩んだ隙に腕の固定を外し、ノコギリのような赤い刃を振り下ろす。

 

メリケンサックで受け止め、刃の歪みに噛み合わせて固定。

 

新島真

「ヨハンナ!!」

 

明智吾郎

「ロキ。」

 

ヨハンナが【フレイダイン】を放つ前に…明智吾郎のペルソナ、ロキの【エイガオン】が仕上がる。

 

発射地点は、明智吾郎と完全に同座標。

呪怨に無効の耐性を持つが故ノーリスクでできる自爆。

 

 

 

明智吾郎

「自動効果か。」

 

 

…。

クイーンは【防御の心得】により、戦闘開始時に自動で自身に防御力上昇を得ている。

明智吾郎の【攻撃の心得】は、冴への発砲からカウントが始まり既に切れていた。

 

 

 

怨念が心を焦がす。歯の神経が染みるような、ズクンと響く苦痛。

 

吹き飛ぶものの…まだHPは緑。

 

少しでも時間を開ければ…明智の銃口は姉を向く。

手を止めるな。時間を稼げ。

姉を見習え。絶対に勝つつもりで…挑め。

 

 

明智吾郎

「へぇ?」

 

ヨハンナのエンジンを駆動させ…騎乗せず、共に走る。

 

 

クラウンに自身の知る武術を教える傍ら…アスモデウスと完全に独立して行動しているのを見て練習していた技。

カラクリが分からず、まだ殆ど独立は出来ないものの…ヨハンナの形状はバイク。

つまり、エンジンをかけさえすれば突撃してくれる。

私の持つ一面の様に、真っ直ぐに。

 

 

飛び跳ねて回避する明智。ロキを顕現させた直後…

 

 

仮面に戻し、瞬時に再召喚したヨハンナを()()()…鈍器としてフルスイング!!

 

新島真

「やぁぁぁあっっっ!!!」

 

明智吾郎

「っ!」

 

ヤクザの作品で見た、突拍子もない暴力。

しかしそれは私の思う『強さ』とマッチしており…認知が威力に乗る。

 

踏ん張りの利かない空中。ヨハンナを蹴って衝撃を殺された感覚はあった。けれど、距離は開く。

 

新島真

「お姉ちゃん!先生の居る部屋に隠れて!」

 

新島冴

「っ…!」

 

新島真

「急いで!絶対…通さないから!」

 

 

  

 

 

 

 

※新島冴視点

 

 

 

明智吾郎は接近せず…代わりに銃弾が、何発も飛んでくる。

真は、私の前にヨハンナというバイクを取り出して…弾を防いでくれている。

 

銃弾を受けたのは…膝。血を止めようと抑えれば…一塊のはずの膝が、いくつかの骨に割れているような感覚。

強く握れば、そのまま何処かに崩れてしまいそう。

こんなにも、懸命に守ってくれているのに…私は立つことさえできない。

 

 

 

明智吾郎

「哀れだよなぁ、冴さん?妹に守られて!何もできない!」

「こんな護衛無駄だよ!巻き込んで簡単に殺せる!協力者の切り札もこれで割れた!」

「クヒッ。負けを認めて降参したら…命くらいは助けてやるよ。」

 

新島真

「ううっ…!」

 

ヨハンナの顔…ヘッドライトにヒビが入る。

真の肩に、亀裂が入った。

服が破けただけじゃない。赤い皮下の()()まで見えるそこから…霧吹きを吹いたように血が舞う。

 

心を折る、言葉。

 

心を折る、光景。

 

新島真

「お姉ちゃんを…馬鹿にするな!!!」

 

 

 

…妹に、守られている。

私が姉で、真を守るべきなのに。

 

…私は、負けている。

勝たないと、いけないのに。

 

 

弱い女の私には、思い込みの力が必要だった。

私は強いって、ずっと言い聞かせ続けてきた。

強い女。妹を、ちゃんと守って愛してやれる姉。

 

 

そのはず、なのに。

いつの間にか…真は、私の前にいる。私を庇って、守ってくれている。

 

真は、強かった。守るべき対象じゃないことを。ようやっと理解した。

共に、助け合える家族だって事を…ようやっと認知した。

 

 

 

 

今度は私が、真に追いつく番。

 

 

 

(まだ負けてない。即死しなかった。)

(まだ負けてない。真が助けてくれた。)

(まだ負けてない。()()は、もう知ってる!)

 

新島冴

「…まだよ。」

 

倒れる、冴の周囲に…次々と、ステッカーが貼られていく。 

 

 

『everyone enemy(皆が敵)』

 

 

それは己を追い込み、同時に鼓舞する呪いの札。

 

 

『Winner Take all(勝者が全てを手にする)』

 

 

正しく認知しており、現実と同じ姿をしていた裁判所横のこの建物にまで。それが貼り付けられていく。

 

 

『Losing is not an option(負けることは選択肢に無い)』

 

 

新島冴が放つ『圧』により、建物全体が胎動する。

彼女を中心に『力』が渦巻いていく。

 

 

『Victory Addiction(勝利依存症)』

 

 

新島冴

「痛いほど知ってる。一度も失敗せず勝ち続けるなんて絶対に出来ない。」

「だから、何を使ってでも諦めない。」

「勝てば総取り、最後に、勝ち切るのは私。」

 

 

 

『Success(成功)』

 

 

 

明智吾郎

「チッ」

 

新島真

「…お姉ちゃん?」

 

 

壁を支えに、強引に立ち上がる。

抑えていた傷から、湧水のように血が出る。

 

一連の…激痛に出た生理現象の涙を乱暴に拭う。

傷口を抑えた血塗れの手により目元についた線は…一筋のアイシャドウのようで。

 

 

 

 

…。

『上』を目指すために。

それを至上の目的として、新島冴は突き進んできた。

彼女のシャドウの姿は、綺羅びやかな化粧に露出が多く扇情的なドレス。

出世の道を進むに際して『女』としての苦難を受けているが…己の性別に不満を持つのならば、絶対に象られない外見。

己の性別を呪いながらも…勝つための手札として受け入れる。彼女の、勝つためなら何でもする精神の顕著な現れなのだろうと解釈する。

 

こうは考えられないだろうか?

 

勝ち続ける為に歪ませてきた心は…抗うのに、最適な形をしていると。

 

 

 

 

彼女はずっと、抗い続けて来たのだと。

 

 

 

 

 

 

 

新島冴

「私は…まだ!!」

 

『負けてない!!!』

 

輝く瞳が…反逆の意志を燃やす。

 

 

 

 

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