鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第214話 8/4(木) 覚醒:新島冴

 

 

 

頭痛。

インパクトドライバーを押し付けられているような苦痛を感じる。脳を、ぐちゃぐちゃに掻き乱されている。

無視する。

 

 

『さぁ、ゲームを始めましょう?』

 

 

目を閉じ、黙って続きを促す。

 

 

『このテーブルに付けば、貴方は使命に囚われる。』

 

『貴方の歪みは、勝つための剣になる。』

 

『貴方の歪みは、勝つための鎧になる。』

 

ルーレット(うんめい)はもう回転を始めてる。貴方の掛け金は?』

 

 

「当然、オールインっ!!」

 

 

『…ノーモアベッド。』

 

 

身体に青い炎が走り、スーツの繊維が、その下の皮膚が焦げる臭いが鼻につく。生まれて初めて感じる、先程の銃撃など比べものにならない痛み。火達磨。

無視する。

 

 

『我は汝、汝は我…』

 

『貴方に、【手札】を配りましょう…』

 

炎が通り、スーツが灰になった跡は…露出の多い、黒のドレスに衣装が置き換わっていった。

 

指を鳴らす。

 

周囲に、取調室の面影は一切無く…

巨大なカジノのルーレット台の中央に、皆が立っていた。

 

 

 

 

 

 

新島冴

「…真は、こんな風に頑張ってたのね。」

 

新島真

「覚醒するのは、痛くて、消耗するんじゃ」

 

新島冴

「ええ、最悪の気分。」

 

 

 

手元には、いつの間にか警察手帳が握られている

手品のようにそれを黄色い薔薇に変え、頭の帽子に刺した。

黄色の薔薇の花言葉は、『嫉妬』に『薄らぐ愛』。

そしてまた…()の日に送る物として、よく選ばれる花。

 

 

指を鳴らす。

 

黄色は、周囲に舞う覚醒の蒼炎が染み込むように…青く変化する。

 

 

青の薔薇の花言葉は、『夢は叶う』、『神の祝福』。

長い研究の末に生まれた…不可能が、可能となった証明の花。

 

 

新島冴

「けど、ポーカーフェイスは基本でしょう?」

「それに、真の前でみっともない姿なんて見せられないもの。」

 

薄く微笑みを浮かべながら…汗一つかかず、涼しい顔で。

 

新島冴

「始めましょう、レビアタン。」

 

無粋にも、明智が放った【エイガオン】。

己が心の内を顕現させ…()()()()

 

 

 

キリスト教曰く、嫉妬を司る大罪の悪魔。

 

グリモワール曰く、最高四大君主の一つ。

 

ホッブズ曰く…社会契約によって誕生する、世に秩序を齎す絶対的な権力を持った国家そのもの。

 

 

 

 

原作にて、シャドウ冴の変身した姿であったパレスボス。

ニイジマ・レビアタン・サエが、彼女の仮面として立って居た。

 

 

新島冴

「これで…貴方の隣には立てるかしら?」

 

新島真

「十分だよ、お姉ちゃんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…。

 

 

※新島冴視点

 

 

 

どこか…この世界と『接続した』感覚がある。

ここは私の世界(パレス)なのだと、心が知っている。

 

(これが…私の手札。)

 

 

明智吾郎がロキと呼んでいたペルソナが顕現し、【メギドラ】が放たれる。

突き刺さる衝撃、すり減る命を無視して…新たなゲームを始めた。

 

巨大なルーレットに、同じく巨大な玉が乗る。

 

 

新島冴

「さぁ、賭けの時間よ。」

「ルールを守らない者にはペナルティを受けてもらう。敵味方問わず公平に、ね。」

 

(わかるでしょう?真。)

 

真に一度だけ目を合わせて、ゲームの説明を行う。

 

新島冴

「掛け金は…そうね、力でどうかしら?」

 

明智吾郎

「…構わない。」

 

背後にある巨大なモニターに、『力を賭ける』と表示され、ルーレットが回転を始める。

 

明智は緊迫感のある表情を浮かべてこちらを観察している。まるで、活路を探すように。

だけど分かる。アレは嘘。

 

真に顔を向けた時…彼はルーレットを見た。

間違いなく…このルーレットに備わったイカサマに気づいている。

 

 

 

だからこそ。これが通る。

 

 

 

明智吾郎

「全く…あれだけお硬い冴さんが、心の内ではこれだけ俗物だとは思わ…ッッッ!!!?」

 

 

この世界で私ができる事は、()()()()()()()

指を鳴らし、瞬間移動。

渾身の…ハイキック!!

 

 

寸前で躱す明智は、咄嗟に私を突き押し体勢を崩させる。

痛む頭によって落ちたパフォーマンスではよろめきを制御できず、床に手をついてしまう。

 

 

明智吾郎

「…嘘か、狡い真似を!」

 

ロキが顕現し…崩れた私に追撃を準備した。

地面に転んだ状態で、それを眺める。

 

 

新島冴

「ペナルティは本当よ?今、『反撃』したわね?」

 

そして空から…トランプカードが降って来る。

 

 

…。

新島冴、明智吾郎に【ペナルティ】が発動。

()()()H()P()()1()()()()()

 

 

己がパレスの恩恵によって与えられている力を。

目の前の脅威へ全て注ぎ込む(オールイン)

 

明智吾郎

「!!」

 

覚醒前と何ら遜色ない…特大の倦怠感。

お互いに、死に瀕する。 脳裏が、走馬灯の編集を始める。

しかしこの場合、体勢の差で私が後手。正しく…必死。

 

 

 

しかし。

人数有利を取っているのはこちらだ。

 

新島冴

「ルーレットの結果は赤。ラッキーね?真は強化されたみたい。」

 

真は私に何か魔法を使った後…ナックルダスターを握りしめ、明智吾郎の懐に飛び込むっ!

*1

 

 

明智吾郎

「チィッ!!」

「女狐がっ!!!」

 

新島冴

「ここは私の世界よ?」

「この世界の勝者は…私達だけでいい!」

 

一撃に重みはなく、当てることが目的の連打。致命傷を負った今、全てが有効打になる。

 

レビアタンから、機銃を掃射する。

真が与えてくれた活力を全て振り絞って使う…【ガトリング砲】。

この世界は不可解だ。銃弾なのに…威力を抑えられる。

敵味方お構いなしにばら撒いた弾丸は、真に数発命中しても何ら問題ない。

 

新島冴

「掠っても仕留められるわ!」

 

新島真

「任せてっ!!」

 

 

対して、あちらは一発の被弾も許されない。

体力が完全に尽きている倦怠感の中、数回打ち合った末に。

 

 

 

 

真の鉄拳が、土手っ腹に突き刺さった。

吹き飛び、地面に倒れ伏す明智。

 

 

 

新島冴

「…手札は?」

 

新島真

「事前情報じゃ、特にない筈。」

 

視線を外さず、真は懐から薬を投げ渡してくれる。

 

新島真

「よく聞く薬。飲んで。」

 

新島冴

「ええ。」

 

包装も何もない、そのまま渡された錠剤を躊躇いなく飲み込む。たちまち抜けていく疲労、血が満ちていくような感覚に舌を巻いていると…明智吾郎に動きがあった。

 

 

明智吾郎

「…仮にも、パレスの主か。」

 

明智吾郎は、軍資金(たいりょく)が0になった筈。なのに立ち上がる。その姿は、先程と打って変わり…綺羅びやかな白い王子の衣装。

 

…。

原作の明智吾郎では、コープ活動を相応に進めぬ限り手にはいらない筈の【食いしばり】が発動した。

 

 

明智吾郎

「…覚えてろよ。」

 

そんな捨てゼリフを吐いて。

明智吾郎は目にも留まらぬ速さで消えていった。足跡には、()()()()()()()()()()

 

真は、それを最後まで警戒して見つめていた。

 

 

 

 

緊張が切れたように

私はふらりとへたり込む。

 

新島真

「お姉ちゃん!」

 

新島冴

「…ごめんなさい、限界よ。」

 

顔色を見た真が仰天する。

そこまで、私は消耗しているらしい。

 

新島冴

「負傷者も居る…追撃は不可能。相手も、理解してる筈。」

「一度…体勢を整えましょう?」

 

 

 

…。

 

 

 

警備員たち

「支配人!大丈夫ですか!」

 

新島冴

「…貴方は?」

 

警備員たち

「警備の者です!なんて怪我…すぐに治療を!」

 

新島真

「もしかして、このパレスの主はお姉ちゃんだから…」

 

新島冴

「…そういう事。」

 

どこか、確信めいた感情がある。

彼らは私の手勢だと。つい先程まで…彼等を、このカジノで指揮していたと。

 

警備員たち

「っ、貴様がやったのか!」

 

新島冴

「彼女は私の家族。丁重に扱いなさい。」

 

警備員たち

「はっ!」

 

警備員たち

「失礼しました! …一体何が?」

 

新島冴

「侵入者の襲撃。被害者の護送を頼める?向こうに居るはずだから。」

 

警備員たち

「お任せください!」

 

新島冴

「ありがと。…真のケガは大丈夫?」

 

新島真

「うん。ちょっと突っ張るけど…もう痛くないよ。」

 

怪盗服の首元を引っ張り、見せるのは大治癒促進パッチ。

 

新島冴

「良かった。つくづくとんでもない薬ね…」

 

そして、今すべき発言…部下への指示と身内の心配を終えた後、押し黙り眉間に手を当てる。

 

そうでもしないと…止まぬ頭痛に叫んでしまいそうだったから。

 

 

 

…。

 

 

 

真が出してくれたヨハンナに横座りで騎乗し、パレスの入り口へ着いた。

付近には、鴨志田卓を抱えた警備員のシャドウを伴いながら。

 

 

暫くの待ち時間。疲労している私と、シャドウの警備員…沈黙を破ったのは必然的に真だった。

 

 

新島真

「…ありがと。私一人じゃどうにもならなかった。」

 

新島冴

「それは私の台詞。」

「無知の分野を、知ったつもりになって運用して失敗する。…指揮者として失格よ。」

 

 

彼が、敵勢力の主戦力なのは聞いていた。

今時SNSで個人情報は簡単に漏れる。彼の居所の調査を双葉さんに依頼すべきだった。

 

 

新島冴

「どうにかできたけど、こんな苦境を作ってちゃ人の上に立つ者として失格。…力に目覚める人が高校生な理由が分かったかもしれないわ。」

 

 

理不尽。圧倒的な力。詰み。

それらに抗い…心の強さで強引に勝ちに手を伸ばす手段が、この力なのだろう。

 

…つくづく、私好みの手札だ。

 

 

新島真

「お姉ちゃんの格好、このパレスのシャドウと同じなんだけど…似合ってる。」

「何ていうか…勝負服?って感じ。綺麗だよ。」

 

新島冴

「流石に、家族にまじまじと見られると恥ずかしいのだけど…そうね。内心こんな気分で…いつも、法廷で戦ってた気がする。レビアタンだってそう。」

「衣装に負けてないなら良かった。真も、かっこいい衣装じゃない。このバイクにも良くマッチしてる。」

 

新島真

「ふふ、嬉しい。なんだか…素直に受け取れる気がする。不思議な格好同士だからかな?」

 

それぞれ、非現実的な服装で。しかし自然な。

仲睦まじい…家族の会話をしていた。

 

 

 

 

 

 

新島真

「どうして…裁判所をカジノだって思っているの?」

 

それは、自分で既に推察をしてから行ったであろう質問で。

 

新島冴

「刑事裁判って…起訴すれば、殆ど無罪にはならないの。有罪率99.9%って話、高校のカリキュラムで習わなかった?」

「当然よね、無罪なら起訴しないんだもの。検察が用意した、必ず勝てる場所が裁判所って事になる。」

 

「刑事裁判で審議されるのは量刑。有罪、検察の勝ちは決まっていて…どれくらいの罪の重さかを決めるの。それが…カジノの様だと思ってた。」

「勝負をしていると思っても…実際は運営者の掌の上でしょ?機械を使ったギャンブルなんてイカサマもし放題。」

 

伸びた背筋は折れずとも、その視線は俯いてしまいながら。言葉を重ねる。

 

新島冴

「…私は勝つ事に依存してる。けどね、それを恥ずかしいとは思ってないの。恥ずかしいのは、いつの間にか勝つ為なら…正義が揺らぐ事も、平気で出来てしまえたこと。」

「今回も、立派な捜査妨害よ。どちらが悪かもわからないまま…精査せず、身内に手を貸した。この理由のわからない手段を使って、現職の刑事を攫って記憶を処置した。」

「…検察としての勘を無視して、姉として、真に接した。検事失格よ。」

 

 

検察官となってから行ったこれまでの行為に、罪悪感は沸かない。どんな認知であろうと、国家の安全の為になる事に尽力してきたのだから。私がいなければ解決しなかった事件も山ほどある自覚がある。

 

けれど…自分を責める感情も、そこには確かに存在していた。

真の方を向けない。

 

カジノの認知の元となっている裁判所が…揺らいで、私の前に見えた気がした。

 

裁判長(まこと)の、判決(へんじ)を待つ。

 

 

 

 

新島真

「姉としては、100点満点だったよ?それじゃダメ?」

 

新島冴

「!」

 

姉として。

親代わり…保護者としてじゃなく。

 

姉と、私を見てくれている。

あの頃の、まま。

 

 

新島冴

「…ふふ。」

「そうね。なら、いいのかしら。」

 

 

 

…。

 

 

 

新島冴

「今回は、失敗もあったけど…失敗は、負けじゃないのよ。」

「失敗はただの過程。まだ、結果はわからない。時間があるならやり直して、体力があるなら立て直せば良いんだから。」

「逆に、成功もただの過程である事に代わりは無いの。勝ち負けが決まるまでに足元をさらわれないよう…気をつけないとね。」

 

少し血の気が戻ってきた。ヨハンナから降りる。

 

新島冴

「…私、出世ができて嬉しかったの。持てる力も、振るえる力も増えて。」

「なのに…『いつかしよう』って考えてた、真に向き合う事をずっと後回しにしてた。出世して、余剰の時間はあったのに。」

 

新島真

「…お姉ちゃん。」

 

 

隠してきた、心の内を曝け出していった。

 

 

新島冴

「犯人をこの目に見据えた以上、使える時間が減るかもしれない。真も受験生だもの。時間が合わない日が続くかもしれない。」

「だけどこれからはその忙しさを、真と過ごさない理由には絶対にしない。」

「真が、良ければだけど…これからも、貴女の姉として振る舞わせて?」

 

 

新島真

「…うん。」

「自分の事にいっぱいいっぱいだったり…忙しそうなお姉ちゃんに、気を使っちゃったりして…あまり、踏み切った相談とかできてなかったの。進路の事とか。」

「一段落したらだけど…また、じっくり話したいな。」

 

 

その返事に、安心したような喜びの表情を浮かべて。

私は満足気に頷いた。

 

 

 

…。

 

 

 

新島冴

「ねぇ、この衣装って…後から布とか足せないの?」

 

新島真

「…。」

「ごめん、考えた事も無かった…」

 

 

 

 

ーーー

レビアタン / 審判

耐性:物理

弱点:呪怨

 

スキル

・メギドラ

・タルカジャ

・呪怨反射

・【一刀両断】(単体物理ダメージ)

・【百烈ビンタ】(単体物理ダメージ+目眩)

・【ガトリング砲】(全体1〜5回ヒット銃撃)

・【狂戦士の舞】(全体万能大ダメージ)

 

※『運』が高く、『耐』が低い

※P5原作にて使用した特殊名称スキル、【一刀両断】【百烈ビンタ】【ガトリング砲】【狂戦士の舞】を実行できる。

ルーレットやワープはニイジマ・パレス内限定行動。

 

ーーー

 

 

*1
【ディアラマ】

パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください

  • 原作と同じ本名表記
  • わかりやすいコードネーム表記
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