鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
※鴨志田卓視点
彼らが話し込むのを、ナビがペルソナのネクロノミコンを使って音声増幅かけて鮮明に聞いていた俺達。
良いのかな…と申し訳なさが勝つが、まぁ争った直後だから警戒していたと言えば理屈は通るだろう。
明智吾郎の独白を聞いた、心の怪盗団たちの反応は様々だった。
三島由輝
「…憎くて、同じくらい認められたい奴が居るって…マジでキツいんだよな。」
自身の経験から共感するもの。
奥村春
「やった事は許せないことだけど、やった理由やきっかけは突き放しちゃ駄目だよね。」
自身が被害を免れた心の余裕から、
切り分けて部分的に理解する姿勢を見せるもの。
新島真
「先生と一緒に、悪人を改心させて。歪む前は善人だった人を沢山見てきた上で思うけど…案外、ただ純粋な悪って少ないなって。」
それぞれの悪人らが持つ『裏』を知り、価値観を変えつつあるもの。
佐倉双葉
「なにがあろうとやる事は1つ!明智は徹底的に反省させてやる!責任持って、一緒に仇討ちじゃ!」
モルガナ
「…全会一致だな。」
そのモナの言葉に合わせて雨宮蓮が頷いた。
(…大丈夫?レンレンなんのこっちゃ意味不明になってない?)
そうした所で、坂本竜司がこちらに歩いてくる。
坂本を慮ってクイーンが前に出ようとするが、坂本の目線が呼んでいるのは俺だった。
目線を追って、それを理解したクイーンが少しだけこちらに振り向いた後道を空けてくれる。
一歩前に歩き、坂本と向かい合った。坂本の姿勢の悪さも含めて身長差があり、見下ろす形になる。
少しの、沈黙。
ばっ、と。坂本が急に動き…
土下座の姿勢を取った。
三島由輝
「!?」
鴨志田卓
「…。」
坂本竜司
「鴨志田!俺はよ!お前が大っっ嫌いだ!!」
「けどよ、お前が謝りてぇってのを無視して嫌い続けて、しまいにゃ関係ないお前の仲間をぶん殴った!…もうしねぇ!許してくれ!」
…。
彼がまず行ったのは、謝罪。
己の負い目を全て述べ、許しを求める。
鴨志田卓
「だそうだが…どうする?」
坂本が実際に戦った先である2人に問いかける。
新島真
「私は、犯人確保に抵抗されたようなものと思ってるから。」
(強っ。プロの考えだ…)
三島由輝
「俺も別に。改心前の鴨志田は俺も嫌いだし。俺も坂本みたいになっても何もおかしくなかったからさ。」
2人の返事を聞いて、軽く頷いてから。坂本へと向き直る。
鴨志田卓
「2人は許すらしい。後に残る怪我も無いし、俺も追及する気はない。それだけ嫌われる事をしたのは俺だからな。」
「謝ってくれて、ありがとう。謝罪を受け入れる。」
坂本竜司
「…ありがとな。」
土下座をやめて、坂本は立ち上がる。
その顔は何かを噛み締めるようで。
坂本竜司
「俺は、ずっとお前の謝罪を受け取ってなかった。けどお前は今、すぐ受け取った。」
「だから、これからは俺も受け取るわ。」
視線を彷徨わせて、右手を、後頭部にやりながら。
坂本竜司
「受け入れるか…許せるかは、わかんねぇ。」
「けど、許すかどうか、考えっから。…今の鴨志田のことを、ちゃんと見っからよ。」
鴨志田卓
「…ありがとう。」
「直近だと、修学旅行か。色々用意してあるから楽しみにしててくれよ?」
坂本竜司
「…おう。」
「代わりに、なんだけどよ…」
「吾郎の事も、ちゃんと見てやって欲しいんだ。」
こうして、坂本竜司は自分の肩の重荷を下ろして。
本題を切り出す。
坂本竜司
「吾郎が指名手配される前に、祐介と話してたんだけどな?」
一瞬だけ振り返り、喜多川から手当てを受けながらこちらを見やる明智を確認して
坂本竜司
「獅童をやるの、協力して欲しいんだよ。改心でも良いからさ。」
鴨志田卓
「…理由を聞いても?」
よく考えていたであろう提案。まったく原作にない話に、慎重さも高まる。
願ってもない提案だが、真意を探るために。
答えを出す前に一度問いかけた。
坂本竜司
「吾郎は、獅童をパレス使わずどうにかするつもりだったんだ。」
「けどよ、色々ニュースとか見てっと…本当にできんのか?って思うんだよ。」
「吾郎を信用してねえってより…斑目の話とか聞いて、大人ってモンの怖さを知ったっつーか…折角パレス経由でどうにかできんだから、その方が確実だろ?」
「吾郎はパレスの中が危険だからっつってた。なら、戦力増えればゴリ押せるって訳じゃん?」
言葉遣いまで気を回せず辿々しくはあっても、緊張はしておらず。落ち着いて、言いたいことを述べていく。
坂本竜司
「祐介が、奥村は改心されてそうだって言ってた。秀尽も…その、良くなってんだろ?」
「もしかしたら吾郎はなんか隠してて、本当に鴨志田が良いやつかもしれないって祐介は考えてた。俺は違うっつってたんだけど…理由とか無かったし。」
「もし本当に鴨志田が良いやつだったら、組んで…獅童をやんの手伝って貰おうって話してたんだ。」
「虫の良い話だってのは分かってる。」
「ペルソナを使える奴が少ねえなら、俺達だって何かの足しになんじゃねえか?できる事なら何でもやる!だから…吾郎を手伝ってくれ!」
そう言い、頭を下げる。
謝罪ではなく、依頼の礼。
すでに俺達の目的を三島などから聞いていただろうに。
今のコレは別にしないでもいい依頼だ。
お前等の提案に乗ってやるとか、何とでも言えただろうに。わざわざ『坂本竜司達が依頼をする側』という立場を取った。
坂本は、ケジメをつけるために。
これ以上、自分で、自分を嫌いにならない為に。
2回に分けて、頭を下げてくれた。あの鴨志田卓相手に、だ。
遂にここまで来たかと。胸に熱くこみ上げてくるものがある。
明智吾郎との絆が無ければ、この日が来るのはもっとずっと遠かっただろう。
(よかったぁぁ〜!もう本当どうしたもんか答え出なかったんだよ!自分で落としどころ見つけれて偉すぎるよありがとうほんとに!俺頑張るからな!鴨志田卓を完璧に整えてみせるからな!)
(明智にも本当に感謝しかねぇよ…うう泣きそう、接触断つもんだから無理矢理呼び出すのも憚られてできなかったんだよな…チキンの俺を許してほしいほんと)
先程は死ぬかと思ったダメージによる脳への過大なストレスによりハイになっちゃって表に出てしまったが、今度は内心にしっかり押し留めつつ。
鴨志田卓
「…ノワール、喜多川との話は済んでるか?」
奥村春
「うん。誤解してた事も話したし…可愛いポストカードも書いて貰っちゃった。」
そちらを見ると、モノクロではあるがノワールの総攻撃フィニッシュみたいな絵がブランクカードに描かれている。
(そっかスキルカードの素材になるブランクカードって別にスキルカード作る以外のただのお絵かきに使っても良いのか。原作に囚われてると出ない発想だな…絵うまっ、描くの早っ。)
鴨志田卓
「なら、何も問題は無いな。」
「その話を受ける。最大限お互いの利益が高くなるよう調整するよ。取引成立だな?」
ダメ元で、やっと治ってきた手で握手を求めてみる。
案の定渋い顔をしていたのだが…
坂本竜司
「ここで渋るのは、
誰かさんからの影響。
小さく、そう呟いてから。俺の目を見て。
坂本竜司
「…よろしくな、鴨志田。」
力強く、手を握ってくれた。
その顔にまだ笑みは無い。ただ、確かに『進歩』はあった。
明智吾郎らとの、取引が成立した。
…。
喜多川祐介
「上手く行ったか。」
手を離して、3秒ほど後。
喜多川が明智に肩を貸しながら歩いてくる。
喜多川祐介
「お前のことだ、必ず出来ると思っていた。」
「よく頑張ったな。」
坂本竜司
「…うっせ。」
恥じらいを見せる坂本に、ふっと笑いかけてから。
担いだ明智ごと、こちらを向く。
喜多川祐介
「早速だが、薬を分けてくれないか。誓って刃は向けん。」
佐倉双葉
「よし、モナお願い。」
モルガナ
「…ああ、そう言う事だな?」
「そらよ!」
モナは何かを察した様子で、自身のペルソナであるゾロから【ディアラハン】を使う。
明智吾郎のHPが全回復。黙ってそれを受け入れ…ほっと息を吐く明智。
佐倉双葉
「これで全回復だ回復したか回復したなヨシッッ覚悟ぉぉ!!」
そこをネクロノミコンで轢くナビ。
明智吾郎
「ぐぅっっ!?」
坂本竜司
「…あぁ!?な、何やってんだテメェ!」
奥村春
「双葉ちゃんのお母さん…明智くんに廃人化されたんだって。」
坂本竜司
「っ」
新島真
「アレで手打ちにするってさ。…良くできた子でしょ?」
海で共に行動したり、心の怪盗団の女子として仲良く過ごしている2人がフォローを入れる。
歳の差こそ2年程だが、子供らしいナビと大人びた2人では年齢差がそれ以上に見えるような雰囲気を帯びた関係だった。
喜多川祐介
「そうだな。甘んじて受けろ、吾郎。」
明智吾郎
「…分かってる。」
鴨志田が逸脱しているだけで、明智もとんでもないハイスペックなステータスを持つ。
ロケットブースターを蒸した乗り物の追突程度では大事に至らない。
3mくらい明智を地面に擦り付けてから俺の近くに帰って腕組みをしているナビのもとに、そう時間は掛けずに戻ってきた。
佐倉双葉
「事前に、お前を2回轢くって予告してた。」
「終わり!」
明智吾郎
「…ありがとう。」
賢い明智は、ナビの極端に省略された文脈を理解できる。
感情に整理をつけて、機会を与えてくれたのだと。
…。
原作でも、倒れる明智吾郎に佐倉双葉は慈悲を見せていた。
怪盗団にメジエドを名乗る者が宣戦布告をしたことをサイテーの罠といいつつ、それが無ければ今のわたしは無かったと。
どこからやり直したって良いと、そう話している。
ここでは、自分自身で友の手を借り立ち上がった為に思う存分
明智吾郎
「まだ、遅くないと言ってくれるのなら。
「…改めまして。」
「明智吾郎です。獅童正義の打倒の為…これから、よろしくお願いします。」
そうして。
明智吾郎達が、仲間に加わった。
鴨志田卓
「ああ。全力で更生を手伝わせてくれ。」
「ただ自首するだけじゃ償えないようなものもあるだろう?暫く、この世界での仕事は続けてもらう。」
「綺麗さっぱり片付いた残りの人生をどうするか、じっくり考えておくといいさ。」
明智吾郎
「そうします。」
そう笑う顔は、もう張り付けただけの仮面ではなく…
一人の自分として受け入れ、吹っ切れた清々しい笑顔。
皆相応に疲弊しており、ナビ曰くやべー奴が出没しているとのことなので一度帰りたいのだが…外では明智吾郎が絶賛指名手配中。
集まり直すのは日が空きそうなため、警戒してもらいつつ明智に『計画』の概要を話しておく。
奥村邦和を軸に各自協力を依頼している、獅童正義を打倒するための超特大の計画だ。
明智吾郎
「…成る程。確かに効果はありそうだ。」
「けど、折角俺が参加するんだ。政治家含めた妙に法則性のある犯罪者を逮捕していた探偵王子が、ね。」
「こんな『嘘』を付くのはどうかな?」
イタズラを仕掛ける子供のように爽やかな笑顔で。
明智が計画に、素晴らしいアクセントをつける提案をする。
その態度で悪巧みをしていると、明智と獅童が会話する裏切りの種明かしトークが想起されるが…
内容は真逆の、獅童正義を陥れる為の計画。なんだかおかしな気持ちになる。
(…あそっか、別に明智がこのタイミングで参加してくれるんならそうできるのか。やっぱ原作知識だけじゃなくて知能も大事なんだなぁ…応用力が違うわ。)
明智吾郎
「…って内容。」
「人の掌のうえでただ踊るのは、獅童と重なって癪に障るからね…協力者として、ベストを尽くしたいんだ。どうだい?」
モルガナ
「ほう、まさしく『予告状』だな!」
「ニャフフ、中々良い作戦なんじゃねぇか?」
明智吾郎
「お褒めに預かり光栄だよ、モナ。」
佐倉双葉
「禊に必要な善行はまぁだまだあるぞ。はげみたまへ。」
明智吾郎
「…そうさせてもらうよ。機会をくれてありがとう。ナビ。」
佐倉双葉
「くるしうない。ふん。」
無事に内容も決まり、解散することに。
犯罪者が逃げ回ることに関しては、ウチにはプロフェッショナルの金城潤矢がいる。
そのため、明智には俺と一緒に来てもらう手筈だ。
解散前に明智が親友2人へ声をかけていた。
明智吾郎
「…こうも、考えてくれてると思ってなかった。」
「ありがとう、祐介。竜司。」
坂本竜司
「へへっ、良いってことよ!」
喜多川祐介
「随分素直だな?余計なことをするな、くらい言われると思っていたが。」
明智吾郎
「そう言われるのが好みならそうするけど?」
喜多川祐介
「いや、いい。素直なのは良いことだ。竜司くらいの素直さを目指せばいい。」
明智吾郎
「竜司はただの馬鹿だろ?」
坂本竜司
「おい!こちとら夏期講習も行ってんだ、二学期は見てろよ?」
明智吾郎
「My sole interest is uncovering the truth.」
「意味は?」
坂本竜司
「…??」
「いんたれすと…興味…とぅるーは本物だろ?」
「マジでうんこバーに興味がある?…悪い事言わねーから止めといた方が良いぜ?」
明智吾郎
「ククッ!ふっ、ふふ……」
喜多川祐介
「分からなかった単語を音だけでどうにかするのをやめろ。珍回答の温床になる。」
坂本竜司
「へい…チンカイトウしてすんません…」
明智吾郎
「は〜、笑った。」
「それじゃ、また後でね。」
喜多川祐介
「ああ、良く休め。」
坂本竜司
「ウチのアパートにでも匿えたら良かったんだけどよ…」
明智吾郎
「俺達が仲良くしてるのは調べられてる筈だ。警戒もされてる。」
「気持ちだけ受け取るよ。ほとぼりが冷めたらまた何処か遊びに行こう。」
坂本竜司
「お?ラーメン行っとくか?」
明智吾郎
「…そうだね、ものは試しだ。」
坂本竜司
「いよっし!さっそく調べて…メメントスだとネット繋がらねーな。後で調べっか。」
明智吾郎
「行きつけの店じゃないのかい?」
坂本竜司
「? ハシゴに決まってんだろ?」
明智吾郎
「…。」
疑いを避けるため、まとまらず先んじて現実世界へ戻っていく2人。
3人組のうち、明智吾郎だけがメメントスに残る。
明智吾郎
「絶対に裏があると思ったけど…まさか、本当にただの善人の集まりだったとはね。」
佐倉双葉
「アットホームな職場だ!」
奥村春
「その場合ブラック企業になっちゃわない?」
新島真
「…良い所でしょ?自慢の居場所なの。」
明智吾郎
「そうだね。…先日の件の埋め合わせは、また何処かで必ず。」
新島真
「気にしないで。次は、援護無しで1本取ってみせるから。」
明智吾郎
「はは、望む所だ。」
「…ありがとう。」
新島真
「償い終わってから言ってくれる?」
明智吾郎
「…わかった。」
「これから、よろしく。」
最後に握手をして終わる、そのやり取りをものっっすごく微笑ましい気持ちで眺めていると…俺の視線に気づいた明智が目線を彷徨わせる。
明智吾郎
「…ええと。『素』で話した時間の方が長い人が居ると調子狂うな…。」
鴨志田卓
「あれは、明智の一面だろ?どちらが素も何も無い。」
「場面に合わせて、好きに
雨宮蓮
…?
何故自分に振られたか分からないが、頷いておこう…
明智吾郎
「…なら、ありがたく。」
「皆には、印象良く見られたい。テレビでお馴染みの『一面』も使わせて頂きます。」
三島由輝
「…ねぇノワール、急に芸能人オーラ出てきてるように見えるの俺だけ?」
奥村春
「大丈夫、私も見えるから…。私も、あれくらい出来るようにならないとな。」
明智吾郎
「ハハ、良かったら教えるよ。次に時間が余った時にでも。」
色んな会話を重ねながら、それぞれ帰宅していく。
俺の胸はもう達成感やらなんやらでミッチミチに満たされていたのだが、まだ計画は始まってすらいない。
獅童正義の完璧な打倒に向けて、心の怪盗団は動き始めた。
パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください
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原作と同じ本名表記
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わかりやすいコードネーム表記