鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第242話 8/11(木) セイギ→マサヨシ

 

※鴨志田卓視点

 

 

 

倒れ、姿が普通の獅童正義の姿に戻っていくシドウ・サマエル・マサヨシ。

 

(いつ服着た?)

(…自己肯定感高いんだろうな。最強の形態の見た目がムキムキの自分自身ってさ。)

(けどそれにしちゃ上半身に対して下半身が貧弱っていうか…モルガナのゾロなんかもそうだしもっとロビンフッドの整った筋肉見習って欲しい)

 

 

不可侵の領域が無くなって、怪盗団が集まってくるまでの間に。

クロウは微笑んでこちらに手を振った。

 

 

シャドウ獅童は、懐から銃を取り出して彼に向けて…

 

バキュン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥村春

「あ。」

 

普通にミラディの【テトラカーン】が間に合い、銃弾はシャドウ獅童の肩に。

 

シャドウ獅童

「んぎっ…クソッ……」

 

 

…。

久しぶりに恐怖や緊張を取り戻した中、目の前で父親が撃たれる経験をしたノワール。

貼る大気功のSP回復を頼りにカーン系スキルの他者使用をみっっっちり練習しており、既に職人の域に達している…

 

(やば、シリアスなドラマとかで撃たれるなりかばうなりして誰か殺されるタイプのムービー銃反射してる。)

(ノワールも完全覚醒してくれたことだし、もう第2第3の邦和さんが来ても安心だな。うんうん。)

 

顕現させかけたアスモデウスをキャンセルしながら、満足げにメンバーの活躍を見る。

 

 

明智吾郎

「ありがとう、ノワール。」

「やっぱり…持つべきものは仲間だね。」

 

クロウは礼を言ってから、シャドウ獅童へと向き直って。

 

明智吾郎

「さて、獅童(とう)さん。」

「先生からありがたいお話がある。死にたくなけりゃ、傾聴するんだね。」

 

シャドウ獅童

「…わかっ、た…。」

 

 

 

膝をついたシャドウ獅童は、よろよろと、近くの机を支えに立ち上がり。クラウンの方を向いた。

肩を落とし、息を吐いて…真っ直ぐ、こちらを見据える。

議員としての矜持か、先ほどまでの瀕死具合を見せない素晴らしい取り繕い方だった。

 

…。

原作と違い、その瞳はまだ輝いている。

 

 

シャドウ獅童

「鴨志田先生。貴方の身辺は全て調べた。以前に秀尽の校長から聞いた情報も…()()()の情報も、全て。」

「取引をさせてくれないか。先生の計画に従う。この国を善くする為に…尽力させて欲しい。」

 

持ちかけたのは、己との取引。

 

シャドウ獅童

「心を改変した者を、自身の協力者として引き入れて居るんだろう?任せて欲しい、私が居れば日本を牛耳ったのも同然だ。」

「俺の『舵取り』の知識だけでは、この沈んだ国を全ては救えない。しかし、先生の示してくれた異世界のまた別の利用法…改心を使えば、この国はきっと救える…っ!絶望して見捨てた愚民達が、国を富ます尖兵となれる!」

「教えてくれ、俺は何をすれば良い?」

 

 

これまでの、鴨志田卓という人物が行ってきた足跡を知ったうえで。

獅童は取引を持ち掛けていた。

己を改心させた後に何を成すつもりか問いかける。

 

 

 

鴨志田卓

「…頼みたい事は、一つ。」

「罪を己の口から告白して、逮捕されて欲しい。」

 

シャドウ獅童

「…。」

「はぁっ!?」

 

 

 

クラウンが答えたのは…原作の改心と同じもの。

 

 

 

シャドウ獅童

「な、何故だ!俺は、国家の指導者となる!…利用価値もあるだろう、先生の計画に、よく合う人材だろう!?あのジャンクフード屋より、よっぽど…」

 

鴨志田卓

「…本当に申し訳無い。純粋に、俺の力量不足なんだ。廃人化事件として世の中に浮上している都合上…誰かがしっかりと詫びる必要がある。」

「政治家は人気商売だ。罪を隠したままできることでも無いし…ケジメつけようとしても、誰か一人でもタレコんだら終わりだ。」

「俺じゃあお前を救えない。獅童正義を、獅童正義の立場のまま助けられないことを…心苦しく思う。」

 

明智吾郎

「こんなゴミに謝る必要は無いと思うけど…計画の中で唯一の例外となるのはわかる。」

「お前さ、殺さず、罪を全部吐き出した後は刑務所でぬくぬく暮らせっていうのが納得できないの?最大限の恩情だろうに。」

 

シャドウ獅童

「そうだ、頼む…この国は腐っている。俺が変える。この気持ちで…正しい目で見つめれば絶対にいい国を作れるんだ、今なら分かるんだ!俺を…裁かないで欲しいぃ…っ!!」

「間違いに気づかせてもらった、正道に戻してもらった。なら、この国を富に溢れた『強き国』にするために尽力したいっ!きっと今なら!方便ではなく本当にそれを達成できるんだ…頼むっ…!」

 

 

黒い仮面をつけて…不機嫌そうに獅童正義を見るクロウ。

武器であるギザ刃の剣に手を掛け…抜き放ちはせず、ため息と共に肩をすくめて。

 

会話を任せるとばかりにパピヨンへと視線を投げた。

 

 

三島由輝

「…じゃあお前さ、自分が改心したとして、すぐに迷惑かけた奴等の前で土下座できんの?誠意の金とか包める?」

「迷惑かけた全員が納得とか満足するまで謝り続けて。今も、転校した奴のとこにまで行ってるんだぞ?」

「スカルもどっさり貰ったよな?」

 

 

坂本竜司

「おう。…母ちゃん、すげぇ楽になったって言ってる。」

「鴨志田は結局、俺は許せるかわかんねぇ。償いだけ受け取ってもいいって言われたから…そうしてる。」

「まず、今の鴨志田だけ受け取ってんだ。前の鴨志田と分けて。」

 

「けどな?最初は、全部ひっくるめた鴨志田を許すかどうか、迷ってたんだよ。迷うだけのモン、鴨志田は俺に寄越してたんだ。…結局、できなかったんだけどな。」

「お前はできんのか?」

 

 

シャドウ獅童

「当然だ!全てに謝罪を行う!その為に地位とカネがいる!皆を不幸にさせた補填を行う為のものだ!そこの鴨志田さんもそうなのだろう!?俺も、残りの人生を全て使って償う!」

「悪意飛び交うこの国を、もう迷わず、正しく航海してみせる!この日本を、素晴らしい国に復活させて…国民の皆様の最大限の幸福を目指す!これまで社会へ与えた悪影響を…取り返すほどの貢献をしてみせる!頼む、この通りだ…っ!!」

 

 

 

(この場でその即答は、説得力落とすだろうに。)

 

…。

要約すれば。

獅童正義は、人任せで利己的な『愚民』の為にこの国を『富国』にしてやると。

その為には、少しばかり『犠牲』があっても仕方無いだろうと発言している。

 

そして、彼のパレスだが…自分の支持する者だけを乗せて動く船の形を取っていた。

周囲がすり寄ってくる立場に甘え、酒池肉林に溺れ、権力に酔っていた。

 

思うのだが、彼の()()()()()とは…

その権力と、愚民への蔑視に対してなのではないだろうか?

 

この日本を良くしたい、目的の達成には多少の犠牲は仕方ないという思想はただの、歪んでいない彼そのものの思想なのではないだろうか?

その思想の認知が歪み、他者を害して当然、邪魔者は犠牲となって当然という形になっただけで…為政者として相応な、どうしても取りこぼしが生まれるような選択を躊躇わず取れる精神性を持っているのではないだろうか?

 

悪く言えば…俯瞰した(マクロな)目線しか持たず、個別の要素(ミクロ)を軽視する思想があるのでは無いかと。

『これまで犠牲としてきた被害者の方々』と。一纏めに認知しているのではないだろうかと考える。

 

佐倉双葉は、改心をしてもコミュニケーション能力が向上するわけではなかった。それと同じように。

 

原作にて、佐倉惣治郎が話していた。

あの男は、上昇志向の塊だと。

弱者を踏み台程度にしか思っちゃいないと。

 

その志向は歪みでも何でもない、ただの思想なのではないだろうかと解釈する。

 

 

 

 

 

 

喜多川祐介

「…俺が吾郎の立場なら、斬るだろう。」

「好きにやれ、吾郎。」

 

明智吾郎

「…。」

 

獅童正義()の元へと、明智吾郎()は歩く。

 

 

シャドウ獅童

「ああ、吾郎。お前のことは…本当に、とんでもない事をしたと思っている!何人も愛人を作って、避妊もせず…ストレスのはけ口として最悪な事をした!国民の皆様の笑顔で、幾らでも充電すれば良いと言うのに…」

 

明智吾郎

「もう、喋るな。」

 

シャドウ獅童

「ここまで躍進できたのは、正しく吾郎のお陰だ。とんでもない孝行息子だ!誇りに思う!感謝している!」

「皆にも言ってくれ!この国の舵は私が取る!私がやらねば、誰がやる!?適材を適所に収めるよう、先生らに…!」

 

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

 

シャドウ獅童

「ぐっ、ぐぎっ、ぎ……」

 

地面に伏せる獅童の頭を…クロウは2度、靴底を擦り付けるように踏みつけた。

その姿は、白いプリンススーツへと変わっている。

 

 

 

明智吾郎

「…くくっ。昔なら、『これ』に靡いたんだろうなぁ…」

「悪いね、余りに滑稽で…気が変わったんだ。お前は生きた方が余程苦しそうだよ。」

 

赤い仮面を外して、その怪盗服と裏腹にドス黒い笑みを浮かべて

 

明智吾郎

()()()()()()()()()()()。家族の絆はもう…良い代替品を見つけたんだ。」

「俺からも謝罪をさせて欲しい。祐介の様に殺してやれなくて悪いね。お前には…最期までなるべく長く、濃く苦しんで死んで欲しい。」

「惨めに何も成せず、ただただ罪悪感と戦って欲しいんだ。最初で最後の息子からの頼みを聴いてくれよ。…お父さん?」

 

 

シャドウ獅童

「…そんな、吾郎…それでは!」

「た、頼む、息子に何か言ってやってくれ!」

 

上体を起こして、周囲を見渡す獅童のシャドウ。

 

佐倉双葉

「ふっ、お前に相応しい言葉がある。」

 

わざわざ近寄り、しゃがんで。至近に目を合わせ…ナビが。

 

 

佐倉双葉

「ざまぁ〜!」

 

満面の笑みで。その言葉の暴力を繰り出す。

 

シャドウ獅童

「はぁうっ!!!?」

 

佐倉双葉

「ふぅ、性格悪いのお終い!安心しろ、お前なんて居なくても素敵な国にしてやるぞ。私頑張る。」

「ゆっくり刑務所で過ごしておけ、お母さんが昔よく言ってたぞ?」

「何もしないのが一番のお手伝いだってな!」

 

 

 

シャドウ獅童

「ま、待ってくれ!」

「ならあのジャンクフード屋の罪はどうした!散々、多額の献金と共に競合他社の廃人化依頼を提出してきた!」

 

それを聞いてすぐ、スタスタと。何か落とし物でもあるように軽い足取りでノワールが近寄る。

 

シャドウ獅童

「皆様の助けがあれば…今度こそ大衆達を、正しき道へ導いてやれる!舵を取ってやれる!国を全てだ!あの者はたかが会社一つだろう!?」

「何故俺よりも位の低い者に機会が与えられて俺には無___っ!?」

 

 

伏して命を乞うシャドウ獅童の手を、無言で踏みつけ。

学校のほうきでも持つように刃を下に向けた斧を叩きつけ、小指を飛ばす。

 

奥村春

「私は、貴方との交渉に言葉を使うつもりはありません。」

「…次は手首。」

 

酷く冷たい声で、そう言う。

 

シャドウ獅童

「ヒィッ…」

 

奥村春

「ごめんなさい、続けて?」

 

鴨志田卓

「…ああ。」

 

(こ、怖ぇええ〜!!!圧漏れてる、圧漏れてるこっちに!ひぃ!)

 

内心の恐怖をカモシダ表情筋が完璧に抑え込んでくれ、無事にシリアスな表情で頷く事が出来た。

 

 

鴨志田卓

「金城潤矢も助けたんだ、お前もどうにか助けたかった。…無力な俺をどうか恨んでくれ。」

「そして、俺の仲間達を恨まず…慎ましく品行方正に余生を過ごして欲しい。」

「歪んだ欲望を持つ者から一人の大衆として。元の場所へ戻ってくれ。」

 

 

シャドウ獅童

「そ、そんな!頼む、後生だ!!本当に__」

 

モルガナ

「オタカラ、出たぜ!」

 

新島冴

「時間切れみたいね?獅童正義。」

 

シャドウ獅童

「つぅっ…!!」

 

嘆くシャドウ獅童の目の前で、出現したオタカラをすぐさま取り外すビショップ。

船の舵を取る為の舵輪で、程よいサイズ感で奪いやすいデザインだ。

 

 

新島冴

「安心して、貴方の想いは私が無駄にしない。」

「貴方に託された全ての賭け金(悪事)を、全て暴いてあげる。」

「今よりずっと善い国ができるでしょうね?」

 

シャドウ獅童

「ぐっ、そん、なぁ……」

 

喜多川祐介

「早く帰って、自白する内容を考えておけ。」

()()は、既に現実世界のお前に手配してあるそうだからな。」

 

シャドウ獅童

「こん、な、所で…クソっ……」

 

 

最後の、最後に。

シャドウ獅童はクロウへ顔を向けた。

 

シャドウ獅童

「俺を…裁く、なら。俺の執務室の…レコーダーを、処分しろ…」

「お前の誕生日で開く隠し引き出しの中、罠として用意した俺の愛人リストを無視して…右の角から抜き取れ。」

 

明智吾郎

「…。」

「…随分な抵抗だったけど、改心が効いてるみたいで安心したよ。」

「さようなら。」

 

シャドウ獅童

「ああ。また、会おう…吾郎。」

 

 

 

そうして、獅童正義のシャドウは消えていった。

クロウがそれを見つめ、終わるまで立ち去る素振りを見せなかった為に…全員でそれを見ていた。

 

途端に揺れが生じる船内。

しかし原作と違って時間には余裕がある。

 

(やっぱ、あの薬でなんか促進されてたんだろうな。あとは金城達がうまくやってくれてると良いけど…)

 

天井が開いて思いっきり外が露出している本会議場は、つまり空を飛べれば帰りたい放題ということ。

 

ヨハンナに新島姉妹が2人乗りし先導、ナビ以外の残りをモルガナカーに乗せ、俺が全力でぶん投げる。

俺はネクロノミコンに頑張って牽引してもらい、

悠々とパレスから脱出した。

 

佐倉双葉

「あっやべっ」

 

…皆は悠々と脱出できたのだが、ネクロノミコンが手を滑らせて俺だけバタフライして帰る事になったのは御愛嬌だろう。

 

佐倉双葉

「ごめん!」

 

坂本竜司

「ごめん!?ごめんで済むのかよアレが!」

 

鴨志田卓

「(ぶくぶくぶくぶく)お〜う!(ぶくぶくぶくぶく)すぐ行くからな〜!」

 

新島冴

「彼、いつもああなの?」

 

新島真

「…2回目。」

 

 

 

 

◎◎◎

 

 

崩壊に伴って原作通りにパレスの船が爆発して俺が飲み込まれたりしたのだが、

メンバー達が耐久に慣れきってしまっており狼狽えずに待ってくれていた。

 

火の海で泳ぐのは新鮮な体験だった。

サウナで無理して長居してしまった時のような苦しさは辛かったものの、その程度の苦しさで海難救助ドラマで見るような光景を体験できる楽しさの方が勝ちエンジョイできた。ハッピー。

 

 

坂本竜司

「なぁ、流石にアレはやべーんじゃ…」

 

佐倉双葉

「ペルソナが使えるなら何も問題ない。…あ、ほら!お〜い!」

 

坂本竜司

「マジか…」

 

鴨志田卓

「悪い、待たせたな。」

 

 

国会議事堂近くの芝生へと放り出され、『これが竜司の湧いた芝生か…』と聖地巡礼を噛み締めた後に合流する。

ほんのり髪の毛が湿っていた。

 

 

三島由輝

「全然。」

「何か食べて帰る?」

 

新島真

「じゃあ、お姉ちゃんの行きつけの店は?折角霞が関に居るんだし。」

 

佐倉双葉

「店名何?ググる!」

 

 

何も動じずに夕食何食べるか話しているのを、受け入れがたい表情で明智達(新島冴含む)は見ていた。

春がモルガナを抱っこしつつ、どちらの組に混ざるか迷っている。

 

(む、無理にどっち所属するかとか気にしなくていいからな、なんかごめんな。)

(…まぁ、しばらくすれば染まってくるだろう。俺を大砲の中に投げ込めるくらいだし、冴さんもハイヒールで踏んだりしてるしさ。うんうん。)

 

 

今回の改心は、()()()()()()()だ。

手早く食事を済ませ、すぐに解散したのだった…

 

 

 

 

 

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