鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
あれから数日が経って。
テレビのワイドショーにて、ある映像が流されていた。
それは数日前から繰り返し流れており…
獅童正義が自身の悪事に加担した犯罪者を羅列する映像と同時期に公開されたもの。
認知訶学について啓蒙する内容であり…人の心をおかしくさせる廃人化の他に改心という作用がある事と。
その効果について解説する動画だった。
下記はその途中からとなる。
〜〜
…そして、私達はこの施術のモデルケースとして選ばれました。』
(白一色のスタジオにて、膝から下だけを映像として切り取られた男が映っている。)
インタビュアー
『効果は?』
都内在住・教師
『抜群です。皆様に、これまでご迷惑をかけたお詫びをできるのが…嬉しくて堪らないんです。』
『心の歪みがすっかり取り去られ、とても晴れやかで…これまでに周囲にかけた迷惑を、正しく数えることができています。一生を掛けて…償いをしていきます。』
…。
(映像が切り替わり、別の人物が映る。)
都内在住・学生*2
『先生の事は、大嫌いでした。けど、今の先生はちゃんと尊敬できる教師です。』
『どれだけ長い刑罰を受けても、あの腐った性根が変わるとは思えなかったし…現行の制度で、相応しい罰を与えられると思っていませんでした。本当によかったと、心から思います。』
『認知訶学最高!って感じです!』
…。
(背景が白一色のみとなり、ナレーション文章の字幕が表示される。)
美しい声のナレーション*4
『認知訶学の研究が産んだ一つの成果は…新しい、心を歪めてしまった者の更生のカタチです。』
『トラウマに思い詰めた心はありませんか?』
『貴方の側に、心の歪んだ悪人は居ませんか?』
『是非、私達に教えてください。』
美しい声のナレーション
『心の怪盗団が…日本の、歪んだ欲望を奪い去って見せます。』
『この世界の為に、悪しき強者が強者同士で結託し、善なる弱者を淘汰する世界から…』
『手を取り合い、共に最大限の幸福を目指せる社会へ。』
『まずは一歩、踏み出しましょう。』
『悪人は…これまで行った罪と向き合う覚悟を。』
『善人は…彼らの罪と謝罪を、受け入れる準備をしていてください。』
『これは制裁では無く…歪んでしまった心への救済です。』
『これから変わっていく世界を見て…ご判断ください。』
〜〜
最後に右上に光っていた印象的なロゴが全面に表示されて、映像は終わる。*5
MC
「…さて、これが獅童正義の自首映像と共に出回っているものです。」
「でっかく僕らに犯人を突きつけてくれた明智くんは、一体どんな関係か?今日はじっくり深掘りしていきますよ〜!」
明智吾郎
「よろしくお願いします。」
番組の収録に参加する、明智吾郎。
以前と変わらぬにこやかな
…あの、招待状を奪い取った社長の持つテレビ局である。
認知の歪みを正し、正しい仕事への姿勢を思い出して貰えば自ら進んで協力してくれた。
事前に話すことは調整してあり、この手の番組によくある、付箋のようなめくる紙がついた巨大なボードを制作してくれている。平気で数万円かかる贅沢品だ。
MC
「まずは…獅童正義元議員が、抱え込んでいたと。」
明智吾郎
「ええ。彼が抱えてせき止めている認知訶学の研究に触れて…その成果が、悪事にのみ使われている事を知りました。」
MC
「それが、『廃人化ビジネス』と。」
「いや〜、悍ましいビジネスですね。人身売買とかと同じニオイがします。」
めくったボードには、でかでかとした見出しで『廃人化ビジネス』の文字が書かれている。
明智吾郎
「僕は…あの映像でも伝えた通り、獅童の事を憎く思っていました。」
「だから、息子だと彼に接触する前に…自分を捨てた様な男なんだから汚点の1つや2つあるんじゃないか?って疑ってしまって。」
「良い風に言えば、世論に流されず彼を見れた。悪く言えば…偏見です。」
MC
「はいはいはいはい。」
「そりゃ何も無かったら偏見だったね〜で終わりですよ。けど、何かあったんでしょう?」
明智吾郎
「ええ。何処かに、何かを手配した記録。そして…その結果、恐ろしい事件が起きていることに気づきました。」
MC
「昨日、政治家の大江さんが謝罪会見を開いたのは記憶に新しいですよね!廃人化ビジネスに参加し、4月にあった電車の暴走事故を手配したのは彼だと!」
明智吾郎
「ええ。そういったような手配が…つらつらと。」
「奴等も油断していたんでしょうね。こんな突拍子も無い技術、バレても信じられる筈がないって。」
「獅童がどこまで根を張っているかわからない。気付いた僕がやるしかない。」
「誰にも相談できない…孤独な戦いでした。」
MC
「蓋を開けてみれば大正解ですよね!獅童正義元議員が読み上げたリスト、アレの中に現役の特捜部長も居たんですから!」
明智吾郎
「えぇ。…本当に。」
「それに、僕が解決した事件の犯人たちには、共通点があったんです。」
MC
「ほう!」
明智吾郎
「…どれも、獅童にとって排除されれば都合がいい人間ばかりだったんですよ。」
MC
「!」
「つまりは、明智くんが解決していた犯罪者達は…!」
明智吾郎
「ええ。彼らはその多くが、獅童の手配による精神暴走によって犯罪者に
「僕が、可能性のありそうな事件を嗅ぎつけては首を突っ込んでいたのもあって…獅童は、僕の事を体の良い処理役とでも見ていたのかもしれません。」
「僕はただの、餌に食いつく魚のようでした。」
MC
「いやいや、そんな事言わないで!明智くんが頑張っていたのは僕と視聴者さん達はちゃ〜んと分かってる!」
「警察や検察とも協力して、あれだけの事件を解決に導いたじゃないですか!」
明智吾郎
「はは。そう言ってくれると浮かばれますね。」
…清々しい程までの嘘をついていく。
しかし、事実もきちんと含まれている。
例えば獅童の手配によるものなのは紛れもない事実だ。その中に、自分達の都合がいいような嘘を混ぜているだけ。
話の流れを打ち合わせているこのメインキャスターは…実はTV社長とズブズブの仲だったらしく。
印象操作の達人として、界隈では腕を買われていた者らしい。
既に彼も改心させており…世界の真実を包み隠して大衆の目を濁らせた、なんて恥じて泣いていた所をTV社長にて激励、説得されている。
初心を思い起こさせてくれた、素晴らしい理論を広める為に。大衆へ認知訶学への悪印象を持たせない為に協力してくれているのだった。
嘘のつき方なんて、悪事にしか使えない技術。そう考えていた明智吾郎だったが…
世の中を良くできる人員の一人である自身が、獅童正義や廃人化事件を断罪しつつ表向きの身分を手に入れる為に必要な嘘。
結果的に世の中が良くなるような嘘。
自身に利益があると共に、大衆らにも大きくメリットがある。
困るのは獅童正義くらいだが、彼は改心して裁きを求めているため…罪滅ぼしに自ら進んで泥を被る。
チクリと胸が痛みつつも表向きの嘘を重ねていった。
皆の同情や、自分を認めるような目線。アイドルのように愛する目線が彼には心地よかった。
喜多川祐介や坂本竜司と交流した時に満たされた、己の白い心。
それとは違う黒い心の一面が、満たされていくのを感じる。
明智吾郎
「(最近は…お前の事はおざなりだったよな。ロキ。)」
「(
…。
MC
「他にも、子飼いの外食チェーンを育てるために同業他社を暴走させて営業妨害をしていたと!」
「オクムラフーズの急成長には目を見張るものがありましたが、まさかそんな影のサポートを受けていたからなんて…奥村社長も驚いたでしょうねぇ!」
明智吾郎
「同感です。考えても、仕込んだアルバイトが暴れるくらいしか思い付きませんよ。」
「認知訶学を知らない人間が…貴方の企業が成長しているのは同業他社の社員の精神を暴走させてるからなんですよ!なんて言われても戯言としか思いませんし。」
「自身の手腕によるものと増長し、部下を軽んじてしまっていた所を見つけて、認知訶学の力で助けることができました。今は素晴らしい人格者として…この計画に協力してくれているんです。」
メインキャスター
「ほあーっ!良いですねぇ!まさに心を修理するようなものだ!」
「では続いて、その心の怪盗団について話して行きましょう!」
そして、パレスボスを攻略した案件も1つだけ公表する。
結果を簡潔に言えば。
獅童正義を諸悪の根源だとして槍玉に挙げることで、
奥村邦和を助けることができていた。
明智は、罪悪感に痛む心を受け入れながら…容易く騙される大衆に愉悦を感じながら。
最善手に向けて駒を進める。
明智吾郎
「心の怪盗団は、認知訶学の名誉回復を条件に僕と協力関係を結んでくれたんです。」
「今は獅童正義の張った根を剥がすために大々的に活動をしてくれていますが…『浄化』が済んだ後は規模を縮小予定だとか。」
MC
「ああ、ずっとの予定では無いんですね!てっきり日本国民全員狙うのかと。」
「革新的な技術…人々の声も、自分も狙われたらと思うと怖い!なんて聞きます。そこんとこ、明智くんは何かご存知で?」
明智吾郎
「そうですよね、人を廃人にも善人にもできる施術です。既に多くの被害者が居る以上、まだ多くの超えるべき壁があると思います。」
「けど…只の外科手術だって、最初は受け入れられるのに凄く時間が掛かったんです。これからまた認知訶学の研究が進んで、方法も確立して行って…今の医療のように受け入れられる日が来ると信じています。」
MC
「おおっ、成る程ね〜!明智くんは、認知訶学をそう考えていると。」
「確かに、昔はコンピューターといえばフロッピーディスクだとかワープロの時代で、こんな不便な物なら紙と鉛筆でいいじゃないかって思ったものです!」
「今はまだ、危なっかしいように感じる技術ではあるでしょう。これからに期待したいですね!」
「ではせっかくなので、ここでアンケートを!『認知訶学は怖い?』スイッチオン!」
MCが声をかけて、観覧席の者へとアンケートを促す。
原作でも見られた、某有名長寿番組のパロディらしき要素のアレである。
効果音が鳴り、表示される数字は49。
1人を除いた全員がボタンを押したことになる。
MC
「うお、手厳しぃ〜!」
明智吾郎
「そりゃそうですよ。ずっと廃人化や精神暴走についてコメント出してた政治家が、その犯人だったんですから。」
「協力してもらえた礼として…僕もこれから、認知訶学のイメージ改善に尽力できればと思ってます。」
MC
「良いですねぇ、凄くいいと思いますよぉ!」
その後も明智吾郎とMCの話は続き…大衆達への認知訶学の良い印象の発信が行われていくのだった。
…。
ちなみに、先ほどのアンケートでボタンを押さなかった一人とは…観覧席に座っている雨宮蓮である。
何処から嗅ぎ付けて来たのか着席しており、あの明智吾郎であろうとしっかり驚かせていた…