鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
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昼
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※三人称視点
荻窪、美味しいラーメン屋のある町の駅前にて。
坂本竜司
「モルガナはどうしたよ。」
三島由輝
「メッセ送ったら、既に双葉が連れ出してた。」
「女子会に男一人だって。羨ましい…」
坂本竜司
「いや…猫だからオス一匹だろ?」
三島由輝
「モルガナ、異世界で姿を変えられた人間だって言い張っててさ。」
「奥村さんと双葉は信じてないし、マスターや冴さんには猫だって嘘言ってるけどね。」
喜多川祐介
「どう見てもあれは猫だ。あの仕草は人には出来ないだろう。」
モルガナについて話す、男3人。
明智吾郎
「まぁ、認知の異世界は何でもアリだ。そういうこともあり得るんじゃない?」
それを見て笑う、明智吾郎が居た。
そう、今日は以前に話していたラーメン屋巡りの日である。
喜多川祐介
「どうであれ、猫の姿は飲食店には合わない。動きやすくて楽だ。」
明智吾郎
「まずは何処から行く?朝を抜いたから、近場が良いんだけど。」
坂本竜司
「おう!まずは駅チカの…」
いつもの2人に、1人ゲストを加えて。
男子高校生達の夏休み、ラーメン屋巡りが始まる。
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塩
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まずは、塩ラーメン。
出汁の旨味で真っ向勝負するシンプルなラーメン故に、誤魔化しようのない技術が光る1品。
竜司が選んだのは、貝の濃厚な出汁を味わえる名店。
ボンゴレや酒蒸しにも見られる貝特有の旨味が麺を経由し口の中で踊る。
油や塩分も控えられクドくないそれを咀嚼すれば、麺を食べている筈なのに大粒のホタテを頬張っているかのような錯覚さえ覚える。
まさしく、幾らでも箸を進めたくなるラーメン。
坂本竜司
「まずはあっさり系だろ。濃いの行った後に食うと味わかんねーし。」
喜多川祐介
「一理ある。添えられたゆずの風味が心地良い…」
三島由輝
「塩ラーメンっていうのに、カップ麺の成分表示見たら醤油とか入ってる事ない?」
明智吾郎
「ジュースみたいな定義は無いんだろ。味が塩ラーメンっぽいなら何でもアリなのさ。」
喜多川祐介
「このチャーシューも美味い。嗚呼、麺だけがラーメンでは無かったのか…!」
「幸福だ。デラックスを頼んだ甲斐があった。」
明智吾郎
「…追加トッピングをしないって言ったのは誰だっけ?」
喜多川祐介
「?」
「何も買い足していないだろう。」
明智吾郎
「…。」
「チッ、まぁ良い。金ならあるんだ。」
坂本竜司
「マジ!?んじゃ替え玉…」
明智吾郎
「あのな、
三島由輝
「おー、いい考え。TVで芸人とかよく言ってるよね。」
「…やっぱ芸能界って上下関係厳しいもんなの?」
青筋を立てて指導する明智に対して、その言葉を感じ入ったようにつぶやく三島。
明智吾郎
「当然。俺はまだ知識人のコメンテーターって風に別枠だったから良いけど…説教してるとこに居合わせる事はあってさ。」
「…年の差があろうと、歴の長さが絶対なんだと。深く関わりたくないね。」
新しい美食の出会い。その別れを惜しむようにレンゲでスープを掬いながら、明智は芸能界の裏を語る。
喜多川祐介
「白鳥が水面下で脚を動かすようなものだな。俺達が見ているのは切り取られたものに過ぎない。」
明智吾郎
「そうだ、竜司がよく見てるっつってた芸人の裏話教えてあげよっか?」
坂本竜司
「いやぜってーヤベー話だろ、流れ的に!」
「芸だけ見れりゃ良いんだよ、芸人なんだし。」
〜
小声の三島由輝
「俺にだけでも教えてよ。」
小声の明智吾郎
「廊下で土下座して金貸りてたんだ。惨めだよね。」
〜
三島由輝
「やばっ!…改心しとく?」
明智吾郎
「いや、多分…クズじゃないとあの芸は出来ないね。」
「芸人、自分のアイデンティティを何でも武器にする職業だからさ。」
三島由輝
「ああ、そういうウリがあるって奴ね。改心も難しいもんだなぁ…」
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豚骨
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次に、豚骨ラーメン。
骨を煮出して作るそれはラーメンの中ても最上級の調理時間を必要とし、手間暇をかけた店主の努力の結晶に他ならない。
特有の茹で時間を短く仕上げる極細麺は他にはない食感を生み、醤油塩味噌など他のどれとも重ならない特別な魅力を感じさせる1品。
トロットロのチャーシューとの親和性も素晴らしく、
誤魔化しが効かないのが塩ラーメンの長所と言ったが…こちらは数多の味を向上させる手段を利用できる、いわば何でもアリな食の総合格闘技のような長所があると言えるだろう。
坂本竜司
「シメは決まってっから、先にこっちだな。」
「博多トンコツ、マジ、ノーライフ!」
喜多川祐介
「同じ乳白色のスープで、ここまで差が出るか…!」
「ネギに紅生姜で色彩も見事な調和だ。ラーメンの丼というのは、店主の心をぶつけるキャンバスなのだな!」
明智吾郎
「店内は換気も行き届いてるね。床もヌルヌルしてないし、流石激戦区の荻窪で生き抜くだけはある。」
三島由輝
「外の換気口からしてたような豚骨臭、どうしてもムリなんだよね…味は好きなんだけどさ。」
坂本竜司
「人、選ぶよな。味はケッコー誰でもウケんのによ。」
卓上の紅生姜を追加で自分と吾郎の鉢に乗せ、
吾郎に紅生姜を戻されながら、竜司が不思議そうに豚骨ラーメンを見つめる。
スープからは食欲をそそるような香りしか漂ってこない。しかし、店外の換気口などには万人受けしない独特の臭気が排出されている。
明智吾郎
「体育会系だから、汗に似てて嫌ってなりやすいんじゃない?ほら、その系統の嫌な臭いを知ってるから同じように感じるんだ。」
三島由輝
「あー、それかも。俺納豆も受け付けないからさ。」
「去年、どんだけ注意しても臭い1年が居たんだ。あの鴨志田が注意してもだぜ?」
坂本竜司
「はぁっ!?マジかよ…あの鴨志田で…?」
三島由輝
「直してこなかった罰だとか言って体育館の外周を走らせたら5倍くらいキツくなってさ…」
坂本竜司
「うげ…やべ、今想像したら不味くなる!」
喜多川祐介
「誰かと行動を共にするなら、体臭は対応が必須なのだろうな。」
「竜司はどのくらい迷惑を掛けているんだ?」
坂本竜司
「掛けた前提かよ!…いやまぁ、掛けてたけどよ。」
「自分で洗ったりすると、なんか知らねーけど臭うんだよな。働いてくれてる母ちゃんに洗ってもらうのも申し訳ねーし…スプレーで誤魔化すと、寧ろ悪くなんだよアレ。」
「吾郎も一人暮らしだろ?どうやってんだよ。」
確かに、と言った表情で皆の視線が明智に集まる。
聞く側に回ると宣言するかのように、一同は麺を頬張った。
明智吾郎
「自慢じゃないけど、洗濯は自宅でやってなくてね。全部クリーニングとコインランドリーで済ませてる。」
坂本竜司
「んぐ…っ、全部!?」
「社長かよ…」
喜多川祐介
「社長はコインランドリーを使わないだろ?」
坂本竜司
「ああ、そっか。じゃあ使い捨てか?」
明智吾郎
「…。」
「一度、奥村さんにでも聞いたらどうだい?着た服ってどうやって洗ってるの?…ってさ。」
悪戯っぽく笑いながら、そう冗談を言う明智。
三島由輝
「ん、送ってみた。」
明智吾郎
「え?」
坂本竜司
「どうよ?」
三島由輝
「『ヘンタイ』って…」
明智吾郎
「ク、フフッ……マジでやりやがった…ッ!」
三島由輝
「あ〜!ハメたなコイツっ!」
「証拠だ!写メ送ってやる!」
怒りの表情で、三島がスマホを取り出し。内カメラを起動。自撮りする為に背後を向く。
パシャリ、と。
むっとした三島の後ろでカウンターに並びラーメンを食べる、
年相応の楽しげな笑みを浮かべた男3人の写真が撮影された。
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醤油
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※明智吾郎視点
坂本竜司
「うっし!ラストは行きつけの…」
三島由輝
「ご、ごめん!先、お手洗い行っていい?」
「血界◯線…じゃなくて決壊寸前っていうか…」
最後のラーメンの前に、三島が待ったをかける。
顔色は青ざめており、相当な腹痛に襲われていることが伺えた。
明智吾郎
「アレだけ生のニンニクを摂れば当然だろうね。」
「ちょうどそこにコンビニがあるし、寄ろうか。」
喜多川祐介
「俺は中で何か見ていよう。竜司はどうする?」
坂本竜司
「…そうだな、吾郎と外で待ってるわ。」
「ちょうど、話したいこともあるしよ。」
祐介の付き添いを受けながら、三島はコンビニへと入っていく。
コンビニの自転車置き場のあたりで立ち、竜司と2人で待つことに。
(三島は素だろうけど…祐介は空気を読んだな?)
明智吾郎
「それで、話って?」
坂本竜司
「そんな改まってする話じゃ、ねぇんだけどよ…」
そう言う割に、竜司は言いにくそうに頭を掻いてから。
坂本竜司
「夏休み明けから…行くつもりなんだよ。陸上部。」
明智吾郎
「!」
坂本竜司
「前みたいに走れねーから、大会に出れる速さなんて出せねーけどよ…逆に言えば、混ざるのは今からでも間に合う。大会出る気無くてもマネやるなり、幾らでも出来ることはあんだからな。」
明智吾郎
「…そうか。」
「もどかしくは思わないのかい?」
坂本竜司
「そりゃ思う。けど…一度繋いだ事のある縁が、繋ぎ直せそうなんだ。なら、繋いどいた方が良いだろ。」
「繋ぎたくてもできねー縁もあるって、知ったからさ。」
竜司が話すのは、俺や祐介の話を聞いて自分なりに咀嚼した結果であろう言葉。
坂本竜司
「俺達3人の集まり、良い居場所だと思うぜ?けどよ、吾郎が指名手配された時…俺達は何もできなかった。」
「だからよ、誰かを助けるには…こういう繋がりを、沢山持っとかないといけねーと思う。」
「次、お前が困った時には…祐介や俺のコネで助けてやっからよ。」
明智吾郎
「そう話してくれる時点で、俺はもう助けられてるよ。」
「掛け値無しの信頼っていうのかな。現代では得難い物さ。」
その度胸を評価して、笑いかけてやる。
明智吾郎
「でも、どういう風の吹き回しだい?先生に歩み寄るにしももう少し後だと思ってたんだけど。」
「彼等の、
坂本竜司
「この前のメメントスの時…鴨志田から教わったんだ。発想の転換をしたらいいって。」
「アイツからの受け売りなのがシャクだけどよ…納得しちまった。」
「だから…俺を許すみてーに鴨志田を許せるアイツらは強えんだ、って思う事にしたんだよ。」
そう言えるお前も十分に強い、なんて言ってもコイツにはそこまで響かないんだろう。
明智吾郎
「そっか。」
「是非、応援させて欲しい。人心掌握術なら幾らでも教えてやるからさ。」
坂本竜司
「し、掌握はしねぇよ!ダチだ、ダチ!」
だから、少しふざけてやる。
まるで、会話の選択肢でズレた物を選ぶように。
正しい返答による好感度の上昇なんて要らない。
だって、もう既に俺達は親友なのだから。
帰ってくる反応は愉快なものだ。
竜司はボケも良いが、ツッコミも向いている。
(つくづく、俺には勿体ないムードメーカーだよ。お前は。)
坂本竜司
「そんで、俺とお前はダチ以上のダチだ。」
「あんなでかいモン背負っちまったら、何かと苦労しそうだろ?だから…俺も力になってやる。何でも頼れるくらい…鴨志田なんてハナクソに見えるくらいデケェ男になってな。」
坂本竜司
「一緒に腐ってよ。次は…一緒に助け合うんだろ?」
これからも続く関係。
その先にあるものがキラキラと輝いて見える。
今までに無い、明日への期待。これが…希望と呼ぶものなのだろう。
明智吾郎
「…だな。」
「期待してるぞ、竜司?」
坂本竜司
「おうよ!」
拳を重ねる、グータッチ。
竜司との固い絆を感じる…
…。
坂本竜司
「いよっし!最後のラーメンは特盛だな!」
何処か感慨深いような表情で少しだけ目を閉じた竜司は、パンッと拳を叩いてそんな事を言い出す。
明智吾郎
「流石に無茶だろ、止めはしないけどさ。」
坂本竜司
「?お前も食うに決まってんだろ。」
「行ったろ?何でも一緒って!」
明智吾郎
「はぁ?それとこれとは話が…第一、なんでそんな自殺行為に巻き込まれないとっ…」
言葉に詰まる。
俺や祐介の自殺行為に巻き込まれてくれたのは…竜司だったのだから。
その隙に、竜司はラーメン屋へと駆け出してしまう。
坂本竜司
「オラッ、今のうちに食券買って確定させんぞっ!」
明智吾郎
「ああクソっ!待て…っ!?」
「あれで膝イカれてんのか!?詐欺だろ!!」
コンビニの2人をどうするか迷った隙に、腐っても陸上経験者である陸上がぐんぐんリードを作っていく。
仕方無く、こちらも全力で竜司を追いかけるのだった…
…。
また、別日の話になるが。
彼は祐介と同じように新しいペルソナを得たということを教わった。
名前は【セイテンタイセイ】らしい。
…俺も、竜司にとっての釈迦如来になれるよう頑張って行きたいと思った。