鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
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夕方
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まだまだ、改心すべき人間の在庫は多い。
ルブランに集合し、コーヒー片手に皆の到着を待つ。
具体的には、ルブランには双葉と惣治郎、雨宮に三島が居る状態。
モルガナは新島家にテイクアウトされお泊りだ。同はゲフンゲフン、2人仲良く合流してくる。
冴さんはシンプルに忙しく、次の参加は日曜日の深夜予定。
のんびりと雑談を行っていると、三島がこんな話題を投げ込んできた。
三島由輝
「なぁ、俺ってやっぱモブっぽい?」
佐倉双葉
「ちょうちょが?…確かに、言われてみればモブっぽいぞ。」
三島由輝
「そっか…」
鴨志田卓
「いや三島、ちゃんと聞け。双葉は『言われてみれば』って言ってるんだ。これまで思った事は無かったのか?」
佐倉双葉
「うん。スポ根やってる癖にネット厨ってだけで濃いし、明らかな褒められ待ちのニヤケ面自慢がきもいだけで、褒め所も沢山だ。」
「ラノベ主人公の友人ポジくらい?」
三島由輝
「…うぇっへへ。そうかな?」
佐倉双葉
「う〜ん、ラノベ主人公のライバルの弟?」
三島由輝
「ニヤけたら降格した…」
原作との違い。佐倉双葉のコープにて…三島由輝と初対面の際、モブやら二島やら言っていた状態と、明らかに違う声かけ。
その差が…三島由輝が成長した差に感じられてうれしく思う。
(…俺は、ある意味ズルをしてるんだ。ドブカスコミュ症陰キャが鴨志田卓とかいうムキムキボディに入ってる。)
(三島は…自力で、頑張ってるんだもんな。本当にすごいよ、本当に。)
時々…三島由輝が、自分と重なって見える事があった。
その度に、三島由輝は自分より余程『強い』心を持っていると思う。
そうこうしているうちに、春が来る。(人物)
奥村春
「マコちゃんも、もう少しで来れるって。」
「友達と勉強会してたみたい。」
三島由輝
「熱心だなぁ…」
奥村春
「大切な時期だからね。私も…できる範囲でやってるもの。」
佐倉双葉
「じゃあそろそろだな、パソコン持ってくる!」
佐倉惣治郎
「転ぶなよ。」
入れ替わるように双葉が佐倉家に引っ込んで行った。
なんの抵抗も無く店を一人で出入りする姿を見る惣治郎の目は、2,3ヶ月ほど経過した今でも心からの歓喜と達成感に満ちている…。
三島由輝
「やっぱ先生モテたんだろ?金メダルまで行けるスポーツマンなんだから、学生でも無双だったんだ。だろ?」
(だろ?って言ってる割に完全に決めつけてるじゃん)
奥村春
「恋愛の話?」
「確かに、『動ける』ってわかりやすく格好良いよね。」
三島由輝
「俺もこれからはさ、皆から期待される人生を送るんだ。それと一緒に色んな人からひゅーひゅー黄色い声援を送ってもらうってワケ!」
「…今はまだそんな事無いんだけどね。何故か。不思議な事に。」
奥村春
「バレーボール部のメンバーは三島くん以外も居るもの。分散するのは仕方ないよ。」
三島由輝
「そうなんだよ、ウチの主将に彼女できやがってさ!俺にも、誰かちやほやしてくれたっていいのに!」
ぷりぷりと怒っている三島に、なだめるように声をかける。
鴨志田卓
「期待されるのは良いことだ。けど、期待されていない状態も…悪いわけじゃあ無いんだぞ?」
三島由輝
「え?されたらされるだけ嬉しいもんじゃないの?」
鴨志田卓
「案外、そういうもんでもない。期待ってのは、すなわち責任になる。他人から勝手に渡される責任だな。」
自分の、誰からも期待されなかった記憶ではなく…鴨志田卓の、皆から期待され続けた人生から。
三島由輝という人物に向かって授業を行う。
鴨志田卓の語彙から湧き出てくる言葉の節々は…どこか俺自身にも向けられているようだった。
鴨志田卓
「期待を裏切ると、その期待は反転して悪い感情になる。妬み、恨みとかな。」
「『主将として優勝して!』とかの期待なら、何人からされても良い。全員まとめて叶えられるから、負けて裏切った時は怖いがいくらでも受け取れる期待だ。」
コーヒーを一口飲んで、苦い思い出を掘り返す眉間のシワを…コーヒーの苦味によるものだと誤魔化しながら。
鴨志田卓
「だが…『私と付き合って欲しい!』って期待は一人しか叶えられない。」
「例えば試合を見て付き合いたく思ってくれた女子が14人居たとして、一人と付き合ったら残りとは付き合えないし、ストーカーやら付き合った一人をイジメるやら大変な事になるだろ?」
「本人が、好意を見せてきた人達以外で好きな人が居る時なんて悲惨だ。」
「アプローチをしてることを察知した14人がそれぞれ逆上して…特に好きでもない男から言い寄られた上に、同性からは虐められてしまう女の子が出来上がる。」
「期待によって意図せず得た権力で、他人の人生を潰してしまえる訳だ。」
三島由輝
「うっひゃ〜…想像したことも無い。」
奥村春
「…少女漫画で読んだことがあったかも。学校の、イジメが題材の漫画。」
雨宮蓮
例えの人数が、やけに具体的だ…
雨宮蓮
実話?
本当にただの例え?
うっひゃ〜…
雨宮蓮
実話?
本当にただの例え?
うっひゃ〜…←
鴨志田卓
「雨宮も気をつけろよ。顔立ちも良いし話術やなんだで色々と器用なんだ、好感度が上がりやすいだろ?」
(本当に気をつけてくれよマジで!この世界ゲームじゃないんだからコープキャラ以外であろうと顔も声もあるし恋愛も可能なんだから…っっ!!)
雨宮蓮の事をまるで感染症かのような警戒をしてるそこそこ失礼な憑依転生者。
…。
当然のことながらこの妙に具体的な例え話は憑依転生者由来のエピソードではない。
憑依転生者が今、もっとも身近な友から聞いた話だった。真偽は分からないが、辛そうに話すのもあり深く聞くことは避けていた。
初めて、勝手に自らへと集まる『権力』を自覚した時の話。
まだ歪む前、それを『責任』だと考えられていた頃の話だ。
奥村春
「そうだよね。この前も肥料を運ぶのを手伝って貰ったけど…その後にお手入れもやってくれて。一度教えただけのはずなのにすっかり上手だったし…好感度上がっちゃったかも。」
三島由輝
「お、俺は?水やりならできるよ?」
奥村春
「…三島くんは、トスを上げるのがすっごく上手だよね。」
三島由輝
「ど、ドリブルが上手い構文…」
がっくりとうなだれる三島。
鴨志田卓
「大丈夫だ。逆に恋愛において、今モテてないって事は…アタックする人を選べるメリットがある。」
「考えてみろ。三島が誰かを好きで付き合ってくれと言ったとして、『私を差し置いてあんな女と!』ってキレて包丁握りしめる女の子居ないだろ?」
三島由輝
「…そりゃあまあ、そうかも。」
鴨志田卓
「恵まれた環境ゆえに自分の意志で進むことが難しい人と違って、険しい道の代わりに好きに行き先を決められるんだ。貴族と比べた平民のメリットとも言える。」
「スタートラインが遠い分、何処に向かって走っても良いだけ。何も、自分を責める必要はないものだ。」
奥村春
「うん。本当に…難しかったな。小さい頃なんて、普通の家ならどうだったか…沢山考えてた。」
三島由輝
「あー…成る程。言いたいこと分かった気がする。」
自分の苦労と重ねて遠い目になる春を見て、三島は俺が伝えたい事を理解してくれる。
『期待されていない時』の、自由さ。
ある種、空気として扱われている時のメリットとも言えるかもしれない。
誰かからは羨ましい環境として見れる側面もあるということ。
三島由輝
「
…。
発想の転換。
それはちょうど、坂本竜司にも話した考えだった。
嫌なことに直面して、どうしようもないとき。
ペルソナに覚醒するとか非現実的な強行突破ができない様な人が身につける大人の防衛手段。
趣味の時間に没頭できる。
人の都合に影響されることが無い。
収入の使い道を大きく絞れて金が貯まる。
…憑依前の転生者が唯一、人に教えられる程に身につけていたものだった。
鴨志田卓の失敗談を使って、より伝わりやすく。
三島へ、その学びを教導していく。
(俺は…ある種の諦めや強がりとして、これを使ってた。)
(けど、まだまだ若い三島になら…これを、前に進む活力みたいに使える筈だよな。)
…。
佐倉惣治郎
「まぁ…望みが完全に無ぇ道を突き進むのも辛いもんだ。男磨いて損はしねぇよ。」
「せっかくだ。ちょいと古いかもしれねぇが、たまに話術でも教えてやる。」
三島由輝
「ええっ、いいんですか!?」
佐倉惣治郎
「双葉の居ない時にでもな。」
雨宮蓮
俺にも!俺にも!
必見だな
頼んでも教えてくれなかったのに
雨宮蓮
俺にも!俺にも!←
必見だな
頼んでも教えてくれなかったのに
佐倉惣治郎
「お前は駄目だ。…悪用するだろ、目で分かる。」
(ナイス観察眼過ぎるぜそうじろう!そこに痺れる憧れる!!)
(ランク5の魅力に伊達男テクニック入ったら鬼に金棒与えるどころか幾万の真言と勝利の雄叫び与えるようなもんだ、カレーとコーヒーと親子愛だけ学んだらいい。そうだそうだ。)
雨宮を厳しい目で見た後に、三島に視線を戻して。
佐倉惣治郎
「代わりに、双葉とこれからも仲良くしてやってくれ。乱暴な扱いをしてるが、晩飯の時…お前を弄った事を楽しそうに話す事があんだよ。」
三島由輝
「ああ、正直萌え声インドア妹属性から放たれる暴言はご褒美だから気にしてないっていうか…むしろありがとうございます。」
奥村春
「…そういう所を言わない所から始めよう?」
三島由輝
「ハイ」
そんなこんなで怪盗団が揃うのを待ち、渋谷に現地集合してくれている父親やばい組と合流してから今日もメメントスへと潜入した…
もう皆かなり板に付いており、当初よりターゲットの人数が減っているのもあってかかなり迅速に完了することができた。
チームの成長を実感できて…教師冥利に尽きる。