鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
第76話、第142話と同様の表現なのですが、登場人物が2名しか居ない為に、
憑依転生者を「」、アスモデウスの姿をとる鴨志田卓を『』とし、双方心の声での会話でヤルダバオトには聞かれて居ないものとします。
〜〜
深夜
〜〜
※
「…なぁ。良かったら、コーチって呼んでくれよ。」
『ハハ、良いぞ?呼ばれたかったのか?』
「まぁ、その、うん。」
深夜のメメントス。
8月ももうすぐ終わる頃…俺
治癒促進スキルで疲労を取りながらの徹夜にはすっかり慣れてしまっている。
暇なときでもあまり物事を考えしすぎないようにして、脳ミソの疲れを溜めないようにするのがコツなのだと。
「いやぁ、一色葉司がまさか混乱稼ぎに使えないなんてな。」
『ウィキ見てるんじゃないんだ、人の記憶には限界があるだろうさ。』
『原作じゃいないシャドウも多数
1人で潜り、2,3人ターゲットを改心させた後…お目当ての、混乱しやすいシャドウを見つけており。
座ってじっくり、
『明日から始業式か…ヤルダバオト仕留める算段、上手くいくと思うか?』
「バレてないウチに攻めれれば最高、けど攻める途中でバレる可能性が甚大、ならばバレるギリギリまで鍛えまくってバレても問題ない程度まで成長しとけばいい!」
「…って発想、ヤルダバオトが何してくるか次第で大分変わるからなぁ。」
コーチはそう言うと、声や表情を外に出さないように内心でだけううむと唸って。
「ひとまず俺の方は問題ない。明智も既にP5ラスボスどころかP5Rラスボス殴りに行けるパワーだ。」
「味方を刈り取る者と戦える耐久力になるまで育てられれば、後は刈り取る者を俺と明智を軸に数体狩れば良い。」
『皆、頑張ってるからな。戦力は足りそうで良かった。ゲームのステータスとして測ると問題なく勝てる力なんだろうが…ゲームみたいな殴り合いに相手が応じてくれるだろうか。』
「応じさせてみせる。なんたって、金メダリストの鴨志田卓が抗ってるんだ。」
俺の価値は示してるし、好意的に接してもいる。ヤルダバオトは絶対に取引を提案してくる筈だ。それで身柄やら忠誠やら適当に交換条件にして、正々堂々とした殴り合いの場に持ち込めば勝ちってわけよ。」
「…まぁ、引き続き
詳細は煮詰めて居ないものの、コーチは既に大筋を押さえていた。
素人ながらも、原作知識による相手の解像度の高さによって地雷原を歩いて見せたこの男は…素人だからこそ、負担をかける先に負い目を感じている。
『水臭いこと言うな。汝は我、我は汝なんだろ?俺の身体は、お前の身体なんだ。』
『コーチの身体が俺の身体になってないのはまぁ良いだろ。』
「それはそう。もう既に医者から色々文句言われるようになってたんだよなぁ…」
『はぁ、ちゃんと野菜は…食ってたか。あれだけ料理出来るなら。運動か?』
「いや、自分の為の料理がからっきしやる気でなくて…社会人になってからは、作って写真を取る以外は全部総合栄養食ばかり…」
『お前なぁ…さてはこの体は俺のを操作してるから大切に…なんて思考してんだろ?』
「…。」
『ったく。薄々、そうとは思ってたんだよ。』
食事なり、風呂なり美容なり…
自分自身をそれなりに大切にケアできている現状を。
鴨志田卓は人から与えられた体だと認知することによるものだと見抜く。
前々から怪しいと思っていた。これ程までに自己肯定感が低い者が何故継続的に自分を磨けているのか。
これだけ管理ができているなら容姿も整い友人も作れていただろうに…と。
つまりこのままでは、何かの拍子で自分の体に戻ろうものならすぐに不健康な生活に戻ってしまうだろう。
そう、俺は考えていた。
『自分を大切にする、って表現がよくあるが…コーチは、大切にするしないの前に、自己肯定感が足りない。三島を見てみろ。力を得て、それを自分の力だとウッキウキで振るってる。お前はどうだ?』
『
「う〜ん…」
「ええと、俺が言いたいのはそういうのじゃなくて、ただ鴨志田のことを心配してただけで俺がどうとか…」
『まぁ待て。』
『今、お前が考えているのは…俺が言った話が正しいか正しくないかじゃなくて、俺の言葉に
「…。」
「…申し訳ない、嫌いなタイプのレスバ厨になりかけてた。」
『気にすんな、社会人でもザラに居るもんさ。』
思考のなかで、ため息をつくような間をつくる。
一つ区切りをつけて、説教の類ではない事を示しつつ話を続ける。
『そんな考えになるのに指摘されて謝れちゃ、相当自信が無い証拠だ。俺が言えたことじゃないが…もうちょっとくらい、自分で自分を許していいんだぞ?』
『俺って最高の反面教師が居るんだ、自分の欲をもっと出しゃ良いのに。』
俺の体へとやって来た来訪者は…少し考え迷った素振りを見せた後に、絞り出すように話し始める。
「…なら、相談になっちゃうんだけどさぁ。」
「少しは、自画自賛できる事もあるんだよ。料理のレパートリーやら、ゲームの上手さとかさ。」
「けど…人と壊滅的にコミュニケーションが取れなかったせいで、それに他人からの評価が伴わなくって。誰も、俺の事を『すごい』って言ってくれないんだ。」
「今はこうして、鴨志田卓って器にはいって…皆が、俺由来の要素の部分も『すごい』って言ってくれてさ。救われた気分なんだ。」
「けど、どこか根底で…鴨志田卓という
長年の悩み事なのだろう。誰かに、聞いてほしかったのだろう。
先程のテンパりはどこへやら…コーチの言葉は良く纏められていた。
だから、こちらも的確に言葉を返してやれる。
『その悩みは、そうだな…結論から言うぞ?』
『
「…え?」
『仮にもコーチって名乗るんだ、指導した結果生徒が得たものは、自分の手柄と考えても良いって事だよ。』
「コーチは別に、そういう意味のコーチってわけじゃ…」
歯切れの悪い、反射的に出てきた反論は無視して続ける。
『お前が遊んだ、この世界とそっくり同じゲームじゃ…改心したのは、斑目や金城、奥村本人の力だったのか?違うだろ?』
「…違う。」
『そうだ。なら、俺が…こうやって人の悩み相談を聞いてやれるくらいにまで更生した実績を、もう少し誇れ。』
『俺が更生させてやった男なんだから、美味しい所貰っちゃっても良いって思え。尊大にな。』
「…。」
「そう、か…」
『最初、鴨志田卓という存在が急に変化したのを…コーチに目を覚ましてもらったからって話してただろ?』
『嘘が真になったんだ。間違いなく…俺を改心させたのはお前だよ、コーチ。』
「っ。」
成人男性になっても、嬉しさで涙は出るもんだ。
『そんで、自信をつけて…俺の中に持ち込んできた、お前由来の物も…胸を張って誇れるようになればいい。』
『何かの拍子でこの関係が終わったとしても、ずっと誇り続けられるようにな。』
「そう、だなぁ。」
「…ありがとう。」
『気にすんな。この生活にも慣れてきた、好きなだけ使え。』
「…うん。」
夜は更けていく。
この歳になってから新しくできるとは思っていなかった、同年代の友人と共に。
…。
以降は、また男同士の汚い会話の為に割愛させて頂こう。
…マシな部分を少しだけ抜粋するとこうなる。
「
『…おい、最後までカッコつけさせろよゴラ。』
『あぁ!?一瞬乗っ取って川上と武見同時に家に呼び付けてやろうか!?』
「ああっ最強の脅し過ぎる!?!?」
『というか、よくお前下半身に支配された考えを微塵も見せないな?下品な言い方だが、お前の大好物のキャラクター達だろ?』
「そ、そりゃあれよ。俺なんかが恋愛関係になるなんか解釈違いっていう気持ちと…最初はドギマギもしたけど、なんか『俺は教師だ!』って実感湧いてきてから生徒に性欲や恋愛感情はなくなったんだよな。ただひたすらに可愛いんだ、教え子として。」
『…秀尽の壁に貼れ、その言葉。』
このコーチが言う『原作』の世界には、彼より余程長く教員をやっている癖してその感情が欠けてる者が男女一名ずつ居るだろうに…