鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
「コーチ。貴様の計画に…落ち度は無いように見えた。事実、当事者は次々と救いを得ている。」
「貴様の智慧を使えど…大衆は、大衆の怠惰は、なぜ消えない?」
「悩む事、選択する事の苦痛に…なぜ抗わない?貴様らが啓蒙したとて、なぜ対岸の火事と認知するのだ。愚者共はなぜ自らの心に火を灯さない?」
「え、知らん。俺もマジでやばいと思う…」
「当事者意識みたいなの薄っすいっていうか、自分自身が危険になったときに考えたらいいやって感じの奴ばっかよな。しかも自分が危険になった事に気付きもしないのがタチ悪いわ。」
「そうか、やはり…」
「てかその疑問聞けるんだったら、俺らもーちょい良い関係なれない?案外このまま改心しまくれば大衆も影響されてきたりして。」
「クリスマスあたりに仕切り直さん?」
「…。」
「大衆は、未だ愚かなままだ。」
「管理者となり導くのが、我が使命…」
「ま、お前の成り立ちからしてそうなっちゃうか…注ぎ込まれた≪≪期待≫≫の内容に流されちゃうんだろ。」
「見てろ?鴨志田達の輝かしい活躍を。」
「お前の悩みは墓まで持ってく。好きなだけベストを尽くせば良いよ。」
「俺達も、全力で
「…ああ。」
※鴨志田卓視点
一色若葉の人形の効果でワープができるために、一旦入り口へと戻り、役目を終えた拘束具を置いていく。
メメントスの入り口にはこれまで、原作と同様にベルベットルームの扉が置かれていた。
ペルソナの合体もできず、トレーニングをするにしても別にメメントスに来てまでする必要は無かった為に形だけのものであったが…無くなると寂しいものだ。
(ヤルダバオトは双子を遊ばせておく気がないらしい。また会えるのは最深部に行ってからだな。)
今日潜入してすぐ、その変化を見た時は不安だったものだ。
シャドウ根島や刈り取るものにも何か変化があるかと疑っていたのだが…無事に終わって安心している。
明智吾郎
「何か気になる痕跡でも?」
鴨志田卓
「いや、前はベルベットルームの入り口がここに置かれてたんだよ。あの夢で呼ばれた場所のな。」
「働いてた…働かされてたって言うべきか。双子には本当に世話になった…」
坂本竜司
「そのまんま残してくれてりゃ楽だったのによ。」
喜多川祐介
「向こうも本気らしい。気を引き締めろ。」
…。
さて、これからの作戦についてだが。
こちらの手の内…俺が鴨志田卓以外も混ざっていた事を知られた上でヤルダバオトがどうするか。
ある程度の予測は立っているものの、俺とコーチでは完全に予測することはできなかった。
原作の人物たちの行動を知っているだけで、直接関わってパーソナリティを聞いたわけでもない。
それでコーチが考えたのが、『レベル上げしまくってステータスの暴力でどうにかしよう作戦』だ。
(アレだけゲームやっといてどんなネーミングセンスしてんだよアイツ。)
(…自分を棚に上げんな体育会系、なんて言ってくるんだろうか。)
心の中で会話ができる非日常が日常になってからかなり経つ。
久々に戻った静寂が生むのは、安堵とは程遠い感情だった。
…。
一行は何事もなくメメントス最深部に到着。
P5無印の【瞬殺】は経験値などが手にはいらない大変不便な仕様だったのだが、こういう兎に角早く進みたい時にはしっかり強いものだと実感する。
各地を走っていた電車の終着駅。ゾロゾロと大衆が降車し、赤く光る大扉の脇にある入り口へと足を踏み入れていく。
それを眺めながら大扉に近寄ると、こちらを迎え入れるように扉が開いた。
佐倉双葉
「これ、内側から開ける仕組みが無い…」
奥村春
「監獄って言うのに、開けても誰も逃げようとしてない…」
「自分から収監を望んでるって、そういう…」
新島真
「大丈夫。何が来ても…全力で抗うだけよ。」
気味の悪い光景。
この先に待ち受けると聞いている欲望とはまた違った人の醜さを想像してしまい怯む2人の肩を、元気づけるようにクイーンが叩く。
彼女の目は真っ直ぐ前を、正確に表すと…その先の聖杯を見据えていた。
モルガナ
「…行こうぜ。改心祭り、締めの大仕事だ。」
鴨志田卓
「事前情報と違う所があればすぐ教えて欲しい。警戒を怠るなよ。」
2人が掛けた号令に皆が頷き…慎重に、足を踏み入れた。
…。
入り口に入ってすぐ。大衆が自ら牢へと繋がれているのを見ていた時の事。
監視兵
「お前ら、なぜ出歩いている?拘束具の未着用は認められて居ない。」
佐倉双葉
「あー、ここからが拘束必須エリアっぽい。」
新島冴
「入り口の人集りは順番待ちなのかしら。」
「…出る手段が無いというなら、収容数は足りるのかしら?」
明智吾郎
「だから現実と融合したがってるんでしょう、きっと。」
刈り取るもの討伐によって満ちる力と、原作のような忍び込むスタンスではなく襲撃の意識の為に。
座った目で、指摘しに来たシャドウを堂々を眺めて会話する。
監視兵
「なっ…貴様ら!その態度はなんだ!」
「過ぎた夢など捨てて、身の丈にあった幸福を享受していればいいものを!」
「異分子は排除する!!」
言葉での交渉が不可と分かれば、あとは実力行使のみ。
シャドウが姿を変え、異端の救世者…メルキセデクの姿に。
金属の翼で宙に浮き、拳を構え飛びかかる!
新島真
「過ぎた夢を、捨てる?」
クロスカウンター。
監視兵
「ぁがッ゙…」
前に出たクイーンが、相手の勢いを右腕一本で受け止めた。
運動エネルギーを全て、メルキセデクの顔面にへと集約させる。
拳を乱暴に振り抜き、敵は首を致命的に折り曲げて消滅した。
新島真
「それが…どれだけ辛いか…っ。」
溢れそうになる感情を、ため息と共に吐き出していた。
新島真
「敵は…この下に居るのよね?」
「行きましょう、皆。」
鴨志田卓
「ああ。」
佐倉双葉
「了解!!」
闘志を燃やすクイーンが突き進み、常に最前列に身を置くべくクラウンも走る。ナビもそれにぴったり付いていく。
その後ろで。
明智吾郎
「…クイーンって、パピヨンとの関わりはモナに次いで長いのか。」
奥村春
「力を手に入れた時も、一緒に行動してた時なんだよね?『あの覚醒のお陰で助かった』って、マコちゃん何度も話してたな…」
坂本竜司
「嫌いじゃねーんだろ。アイツら、あの時も2人でビックバンバーガー買ってたし。」*2
喜多川祐介
「Likeの関係ではあるのだろう。…良い仲だな。」
モルガナ
「腸が煮えくり返りそうなのは、ワガハイ達も同じだ。」
「怒りで目的を見失うなよ。行くぞ!」
クイーン程では無くとも全員、パピヨンが三島由輝に戻ってしまった事について怒りを抱いている。
三島は怪盗団という特別なコミュニティに参加できた喜びと、自身も
全員に仲間として気安く話しかけ、笑い、怒り、悲しんでいた。
…。
明智吾郎
「ここは…」
シャドウ獅童
「『退行の牢獄』と呼ぶらしい。」
道中の煩わしいギミックを暗記で突破した俺達。
巨大な聖杯の鎮座する神殿まであと少しといったところの、大きな檻と封鎖された扉がある区画にて。
大衆に紛れ、同様に足に枷を付けた獅童正義と再会する。
明智吾郎
「っ」
シャドウ獅童
「牢獄と名は付いているが…誰もが、最高の自由を得られる場所だ。」
「自分で悩み、考える事から解放される。言わば、『選ばなくて良い自由』だ。」
一歩、歩み出てくる。
パレスが潰れたあと、この牢獄の一員となってしまった男が。
シャドウ獅童
「斑目なら、残念だがいないよ。」
「死んだ者は…流石にどうしようもない。」
喜多川祐介
「…。」
「言われなくとも、分かっている。」
「牢獄に居て良かったな?そこならば、殺められ廃人と化する危険も無いだろう。」
シャドウ獅童
「その通りだ。出る杭は打たれる…この世の摂理だ。」
どこか達観しているようにも解釈できる、愚かな大衆達の中に埋もれてしまった獅童正義のシャドウ。
(コーチの言ってた、
鴨志田卓
「お前達は、言わば出戻り組だ。」
「脱獄囚…ここで大人しくしてられない奴が、飛び出してパレスに閉じ込められる。だろ?」
シャドウ獅童
「よく、知っているな。」
「改心させられて…心から感謝している。ここへ戻って来られたんだから。」
その言葉は、原作にて
そう、
新島冴
「ここは大衆のパレス。」
「道中に居た看守達は大衆を抑えつけるんじゃなく、大衆の望みを叶えるのが目的…いや、抑えつけられる事自体が目的って所かしら。」
ビショップが、
その言葉に対して大きく頷いた。
鴨志田卓
「大衆自身が、管理やら収監を望んでるんだ。」
「食えないホームレスが犯罪やって刑務所に入ろうとするアレの極めつけみたいな物だな。」
奥村春
「そんなの、間違ってる…」
シャドウ獅童
「間違っていると思わない者も居る。民主主義の国の主は『大衆』であり…民主主義では、多数決で国の舵を取るものだ。」
ノワールが漏らした感想に、シャドウ獅童は目を閉じてそう返す。
シャドウ獅童
「かつての時代の国民たちは、絶対的な権力による統治に抗い争いを繰り返していた。しかし今の国民は…疲れ切ってしまっている。」
「大衆の
(あながち創作の物語にはありがちな終着点だとコーチは言ってたが…確かに真の世界平和といったものを考えると、こういった管理は本人が望んでるなら合理的とも言える。)
(寝る前にアイツが見ていたアニメでも、確かにそういう手合いは居た。アレに比べて…大衆達自身が大衆を管理する存在を作ったのはまだマシなのか? まぁ、管理を望まないものからすれば溜まったものじゃあ無いが。)
坂本竜司
「どこが美しいんだよ!」
スカルが吠える。
自分の意思を持って、明日へと進む者。
…
坂本竜司
「どうせメメントスが消えたらコイツらも消えんだ!行こうぜ!」
モルガナ
「おう!」
「だんだん道も思い出してきた…ワガハイが完璧に送り届けてやるからな!」
士気は万全。一行はそのまま先へと突き進んでいく。
牢獄を見渡す。
メメントスのターゲット達はちらほら見かけるものの…獅童正義以外、パレスを持っていた顔ぶれはこの牢獄に居ない。
そう、俺はここに…
(原作でも、冴さんのシャドウはここで描写されていなかったらしい。つまり、ペルソナを持ってない奴ら全員がここに居るってわけじゃない。)
(素養こそ無くとも…皆、脱獄したまま逃げ回ってる。足掻いて、藻掻いて、自分の意思で罪と戦ってる。)
(…応えてみせる。)
決意を胸にして、聖杯が待つ神殿に足を踏み入れた。
コーチの知る原作の怪盗団が事前情報無く飛び込み…聖杯の在り方を知って敗北した場所。