鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
※三島由輝視点
目の前に広がる、お目当ての部屋。
あの力を借り受けることができた、ロッカールーム。
記憶に焼き付いた、青一色の部屋そのもの。
三島由輝
「よっしゃ、ビンゴ…!」
朦朧とする意識にムチを打ち、気合で体を動かす。
認知のお陰なのだろうか?ちゃんと前に体が進んでくれる。
部屋が何度も揺れていた。
自分の目眩かと思ったが、実際にこの部屋が揺れている。
『どうして、お前を殴らなきゃならない!?あの偽神は、だからニセモノなんだ!!!』
その声のすぐ後に、一際強烈な振動が。
…クラウンの声だ。
声を聞くに、味方は居ない。
(やっぱり!!俺が来た意味はあった!早く、早く
ラヴェンツァ
「私の声が聞こえますか?」
「三島…由輝。」
知らない…少女の声。
振動とともにコートから聴こえる何者かの声とも違う声。
そちらを見やると、更衣室のベンチに鳥籠が。
中には、囚われた青い蝶。
…俺の仮面となってくれていた…あの蝶!!
三島由輝
「もしかして、俺の仮面の…っ!!」
ラヴェンツァ
「ええ。私はラヴェンツァ。貴方に力を貸し与えていた…引き裂かれた魂の残穢です。」
三島由輝
「貸していた…ありがとう!」
「先生がピンチなんだ!もう一回、力を貸してくれ!」
鳥籠に駆け寄る。
中にいる蝶…ラヴェンツァさんにずいと顔を寄せる。
青い部屋に自分の血がボタボタと落ちるのも気にせず、目の前の存在へと懇願する。
ラヴェンツァ
「…それは、できません。」
三島由輝
「っ、どうして!」
ラヴェンツァ
「我々が貴方に力を与えるのは…本来あってはならないもの。明智吾郎にへと情報を与えたペナルティとして…強引に成立させた契りです。」
「8月のあの日…私が道化師を強引に呼び寄せ命を繋ぎ止めた時。そのルール違反の罰として、いつでも私をこのようにできました。」
「元より私は…貴方を…クラウンの身代わりにするつもりだったんです。」
「素養を持たない、既にこの牢獄に囚われている貴方を…期待を持たせて打ち落としたのは、私なんです。」
このベルベットルームについて聞いた話では。
彼女達は、神に等しいような存在の筈。
ラヴェンツァ
「ここまでの、苦難を歩ませて…私は、私は何も…貴方に返せない…」
それがまるで、
神に懺悔するかのように。
蝶の姿で…
俺に、
頭を、
垂れてくる。
三島由輝
「…俺が、身代わり?先生の容体がアレで済んだのは、アンタがそうしたから?」
ラヴェンツァ
「…他者の助けもあり、彼は生還しました。」
「しかしその中に…貴方の犠牲を強要していたのは、事実です…。」
三島由輝
「…。」
ロッカールームのベンチに腰掛け、怪我を忘れたように目を閉じる。
俺が借り受けてはしゃいでいた力は、一切俺のものではなく。
メンバーの頭数が揃えば、本命を救うために切り捨てられるようなものだったと。
そう、ラヴェンツァは話した。
役者が揃った今、お前は居ても居なくても、変わらないと。
そういう解釈ができる話をした。
三島由輝
「そうか、じゃあ…」
目を開く。
三島由輝
「俺のお陰で鴨志田先生の命は救われたって事だ!」
解釈を変える。
我ながら、弾んだ声が出た。
ラヴェンツァ
「!?」
三島由輝
「ははっ、正直あの時…俺は全然救助に貢献してなくてさ。寂しかったんだよね。」
「それがまっさか一番のキーマンだったなんて!良いじゃん。」
満面のドヤ顔をラヴェンツァに見せつけてやる。
蝶の表情なんてわからないけど、これ絶対困惑してるね。
三島由輝
「もう一度聞くけど、力はもう貸せないんだよね?」
ラヴェンツァ
「…はい。」
三島由輝
「おっけ。じゃあ行ってくるよ。」
肉体のダメージなんて無いみたいに軽やかな声が出る。いやなんなら体もそうだ。
痛みはある。頭が割れそうだし、骨見えてる片腕の感覚なんて無いし、ゲロ吐きそうだ。
けど、なぜか軽やかに動くんだ。
よいしょ、なんて声を出しながら立ち上がる。
ラヴェンツァ
「待って!この先にいる男は…鴨志田卓です!」
三島由輝
「知ってるよ?」
ラヴェンツァ
「違います!」
「彼の心には…とある同居人が居ました!4月からの彼は、その者が動かす別人だったんです!」
三島由輝
「…。」
ラヴェンツァ
「コ
当人と、当人をそうせしめた者しか知らない…真実の通告。
それに対して浮かんだ言葉がある。
口に出すことにした。
三島由輝
「ははっ、恨むだって?」
「
何度も何度も、部屋は揺れていた。
ずっと、先生は戦っている。
ロッカールームの外に。
先生が居る、コートに出ていこうとする。
ラヴェンツァ
「いけません!貴方は生身…それにそんな負傷で!自殺行為です!」
三島由輝
「元よりここに来ることが自殺行為だったんだ。帰りも生きて帰れるかわからない。生きて帰っても具合悪くなってそのまま御陀仏かもね。」
「なら、誰かの前で死んだほうがドラマチックで得だろ?」
「それに、力は…今手に入れればいいんだ。」
…。
そう言い、彼は確かな足取りで歩いていく。
コートに向かって進む姿はまさに。
これから試合へと出場する選手の背中そのものだった。
…。
その扉が開くのと同時刻。
メメントス最深部の牢獄の中で…シャドウが一人、姿を消した。
空気が1つ消えただけ。
そんなもの、誰も気づかない。
…。
そして、今に至る。
鴨志田卓
「教え子が
先生と、目が合った後。
そんな事を言って、先生は少し横に歩き道を開ける。
ジュスティーヌ
「…止まりなさい。これ以上来るようなら、貴方を外敵と判断せざるを得ません。」
カロリーヌ
「ペルソナも、力も何も無いものが来る場所じゃない!己の身の丈を見誤った愚者め!」
三島由輝
「…はは。口悪っ。」
鴨志田卓
「許してやってくれ。2人は逆らえない命令に縛られてる。」
「…けど、2人の言うとおりだ。お前には、お前に合った活躍場所があるのに。」
「今ちょうど、現実がメメントスに融合し始めているんだと。大衆は混乱してる。状況を理解してるお前が落ち着かせて先導してくれたら、ヤルダバオトの力が削がれて俺達が有利になる。」
先生はまた、俺に「特別」な役割を与えてくれる。
確かにそれなら、ペルソナが無くても皆に助力できるだろう。
しかしそう言う先生の顔は…どこまでも穏やかで。
これから俺が始めようとしている事を予期しているかのようだった。
カロリーヌ
「我らの命は"鴨志田卓の排除"だ!」
「死にたくなければ、そこで指をくわえて見てる事だな!」
任せればいい。されるがまま力を剥がされた後に、
されるがまま役割を全うすればいい。
出来ないことは割り切って、任せれば良い。
…そんなわけ、ないだろうが。
三島由輝
ー
(『期待』に従い、ここから避難する。)
(『期待』に抗う。)
(『期待』に従い、ここから避難する)
(『期待』に抗う。)←
ー
それは…主人公に与えられる、
三島由輝
「嫌だね!」
「俺はまだ、この場所で!」
『幸せな夢を見ていたい!!』
示される、反逆の意思。
黄色に光る瞳。やっと出てきた青い炎。
三島由輝の、長い長い夜が、遂に。