鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
喜多川祐介
「吾郎!!!」
坂本竜司
「んぎっ…」
瀕死。
万全の防御姿勢を取った上で…クイーンが己の無事を諦めて【マハラクカジャ】を使った上で、クロウとビショップのHPは全損。
それが力を発揮する光景をヤルダバオトは見ていた。
だから、攻撃を多段ヒットに変えた。
ダメージ軽減を積み重ねた上で、その総計は650。
例えレベルをカンストさせたとしてもたどり着けない領域の、耐えようのないダメージ。
3人、声を出す暇もなく崩れ落ちる。
そのうち一人は、もうこの戦闘には復帰できぬほどの
しかし、彼女のお陰で2人は気を失う程度で済み。
坂本竜司
「テンメェ…っ!!」
目の前で核融合が起きたかのようなとてつもない損傷に対し、意識を保っていた。
気を失いそうになるのを、震脚を踏んで耐えていた。
それでボロボロになった
…。
ペルソナ5において、レベルをカンストさせた際のHP数2位は明智吾郎で588。3位は主人公の577。主人公はトレーニングによって多少上がることを加味しても…その値は600を越えないことが殆ど。
1位である坂本竜司のHPは、『675』。
作中にて隔絶したタフネスを持つ彼だけが唯一…神の御前に立つことを許される。
坂本竜司
「立て直し…!」
全員、この決戦に備えて武見妙謹製の強力な回復アイテムを配られている。
懐から、【タケミナトビオキール】を取り出して使うだけで良い。それだけで、奴の切り札は殆ど無駄打ちに終わらせることができる。
しかしそこに殺到するシャドウ達。
コダマとスダマ。ヒラヒラと的の小さい…しかし動けぬ者へトドメを刺す程度の力はある雑兵。
射撃や片手間のスキルで殲滅できず…手は、それらを殲滅する為の範囲魔法に割かれる。
ヤルダバオト
「退場者の命は取らぬ。ただ、そこの献身的な者のように舞台から降りて貰うだけだ。」
坂本竜司
「クソッ…クソがぁっ!!」
唯一のヒーラーであるモナはもちろん、回復アイテムを使うための人手として他メンバーも急行する。
当然ヤルダバオトはそれを妨害。
フォックスとモナには引き続き時間を稼げるヤマタノオロチを立て続けに向かわせる。
モルガナ
「まだ数は少ない!さっさと迎撃して…」
フォックス
「いや、いい。止まるな!」
モナが到着すれば【メシアライザー】によって全員のダメージも全て回復できる。
フォックスは守りを捨て、目の前の敵を最短で突破を試みる。
クラウンの戦い方を手本にし、立ち塞がるヤマタノオロチの頭部による鞭打を全て体で受け止めて胴体に刀を突き刺す。
脇腹に喰い付かれても、こいつを殺しきればシャドウは消滅する。
物理に耐性があり半減されるのなら、2倍斬ればいい。
突き刺さった大蛇の牙が塵となって消えれば、そこから細い線となって血液が噴き出す。
モルガナ
「無茶するなよ!」
フォックス
「スカルに言え!」
懐に仕舞う『ナオール錠100mg』を噛み砕き回復。負傷を意に介さず、
…。
残る、聖杯の砲撃リソース。
【光の矢】の狙いは全てノワールへ。
通り抜けた細胞を破壊する、脱毛レーザーの出力を極限まで引き上げたような光。
こみ上げる吐き気、倦怠感、虚脱感。
奥村春
「っぅ…皆っ!!」
佐倉双葉
「逃げる!捕まって!」
全速力で移動するネクロノミコンを【光の矢】が執拗に襲う。一本一本が200〜300ダメージもの威力を持った致命的なそれは単独に注がれるにはあまりに過剰で。
佐倉双葉
「うぅ〜っ、弾速すぎ!クソゲーっ!!」
ナビはネクロノミコンを使った【モラルサポート】でノワールを癒やしながら全力で操縦。
一発【マカラカーン】を使う間に、2本の矢がクリーンヒットする。
美少女怪盗は口からSサイズドリンクのコップを満たせる程の血を吐きながら、目の前の死に向かって手に持つ武器で必死に抗っていた。
矢面を張る者たちが崩れたということは、立て直すまでに時間が掛かるということ。
自身に戦闘力を持たないナビとペアを組んだノワールは今、最も
フォックス達が全速力でクロウ達の元に戻ろうとする。
ノワール達が必死に凌いでいる。
スカルが、ボロボロの肉体にムチを打って迫りくる後詰めを迎撃している。
…。
彼女は最もHPが低かった。
普段の働き詰めの毎日を乗り切っていたのは
むしろ休み無い労働で蓄積した疲労が体を蝕み、健康診断の結果は劣悪。
真の料理を食べているのだから悪くなる訳がないと妹に嘘をついていても、こうした窮地で体は正直だ。
肉体の限界。意欲に関係なくシャットダウンされた意識。
根性という面では、体育会系の未成年に劣るのかもしれない。しかし、この言葉で表される素養は…この場の誰よりも勝っていた。
『負けん気』。
新島冴
「ここで崩れたら、負ける…っ!」
スキルではない。
世界を歪めるほどの、勝ちへの執念。
目の前に転がっているのは…
※新島冴視点
閃いた、たった1つの冴えた賭け。
リボルバーを拾い上げ、6つ『ハズレ』が入ったシリンダーから弾を1つ抜いて『アタリ』を創る。
シリンダーをくるくると回転させ…手首の反動で弾いて仕舞う。
銃口を、己のこめかみに当てた。
モルガナ
「ビショップ!?」
喜多川祐介
「何をする気だっ!!」
新島冴
「…無茶は、子供の専売特許だと思ってるなら、ハァ…大間違い。」
「ペルソナは、心の力の具現化。心の、成長が…即ちペルソナの成長となるなら。」
「
簡単な数学だ。
1/6は、約17%。
ヤルダバオト
「試合に負けようと、命は取らぬと言った。貴様らに『死』という終わりは用意されていない。」
「何故そうも、自ら死線を渡る?」
新島冴
「ごちゃごちゃうるっさいわね…」
「
映画で見たその引き金は、悍ましいほどに重かった。
映画で見たその
しかし躊躇は無かった。
引き金に、指を、
…。
その行為は、奇しくも
車輪の再発明。
ロシアンルーレットの結果は。
カチッ。
弾は出ず、シリンダーが回る音。
一拍遅れ、頭部の反対側から…
神殿を照らす、輝く結晶が溢れ出した。
…。
審判というアルカナが持つ意味は…『復活』、『再生』、
そして『覚醒』。
最後の審判…世界は、彼女を見放さなかった。
ニイジマ・レビアタン・サエ
『「私の、勝ち。」』
声が重なる。
死への覚悟、決意、勇気。
安堵、歓喜、勝利を称える快楽物質。
心が、燃料を輸送船ごと放り込んだかのように大爆発をする。
今更けたたましく鳴り響く己の動悸が、今はメダルの払い出し音にしか聴こえない。
全能感のままに指を鳴らせば…神殿が、
足が疲れぬカーペット、小粋なBGM、壁面を彩る装飾。
そして…その認知の変化は大衆の囚われた檻にまで及んだ。
…。
流れる
原作にて、
ヤルダバオト
「無駄な足掻きだ。」
「どれだけ突出した個であろうと、愚かな大衆の束には勝てぬ道理よ。」
そこで、変化が終わる。
ヤルダバオト
「…ただ少し、内装が変わっただけだ。一世一代の大博打のつもりだったか?」
「神に賭博で敵うとでも?」
成果を嘲笑うように、ヤルダバオトは嗤っている。
独房から送信された大衆からの願いを啜り、シャドウを聖杯より生み出そうとしている。
ニイジマ・レビアタン・サエ
『「いいえ?」』
私の笑みは、崩れない。
だって、もうシャドウなど産まれないのだから。
佐倉双葉
「! シャドウ出てこない!傷も治ってない!」
【光の矢】が止まり、余裕のできたナビが解析結果を皆に伝える。
ヤルダバオト
「…貴様、何を。」
ニイジマ・レビアタン・サエ
『「
その変化のターゲットは…神殿内の、全ての檻の中に置かれた無線送信機だった。
小さな箱状の機械は今、全てがスロットマシンに変化している。
スロットが、小気味良く音を立てて回転する。
絵柄が揃う。
ジャラジャラとメダルが吐き出される。
メダルをまた、スロットマシンに入れる。
スロットが、小気味良く音を立てて回転する。
ヤルダバオト
「…。」
聖杯たるヤルダバオトには、鳴らす喉も慌てて振り向く顔もない。
しかしその無言が、聖杯の確かな心の動きを表していた。
大衆
「おおーっ…」
大衆
「いけっ!7!7!…あっーっ!!」
大衆
「ふひ、大儲け…」
大衆
「いい設定の台だな〜…」
大衆
「ただリール回すだけでなんでこんな面白いんだろう…」
ヤルダバオト
「…貴様らの、統制への望みはどうした?」
スロットマシンに外見が変化しても、
その機械はなんら問題なくヤルダバオトに想いを送信できた。
なのになぜ、聖杯の傷は治らないのか。
シャドウを生産できないのか。
大衆
「あー…、お任せします。」
大衆
「なんも考えねーでいいギャンブル最高〜。」
大衆
「これやって暇つぶししてるんで、どうにかしてくださ〜い。」
大衆の怠惰が、遂に自らの悲願の成就までも怠惰してしまったから。
奥村春
「はぁ、はぁ、皆…良かった…」
モルガナ
「よく耐えたぞノワール!ほいっとな!」
沈黙する聖杯、潤沢に稼がれた時間。
フォックスやノワール達は既に結集を終えており、モナによって全員が万全に回復。
クイーンもまだ動けはしないものの意識を取り戻し、ビショップに抱き起こされていた。
佐倉双葉
「うわぁ…」
明智吾郎
「哀れだね。」
「獅童でも、もう少しまともな支持者が居たよ?」
坂本竜司
「…やっぱ、ギャンブルってクソだな。」
「ああいや、作戦としては最高だぜ?」
ナビとスカル…身内に賭博に狂った阿呆が居る2名がドン引きする間に。
聖杯は、何も
最終局面は近い。