鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
※三人称視点
…。
原作にて、怪盗団がヤルダバオトへ贈った言葉。
「テメェで勝手に理想を押し付けて、勝手に失望してるだけ」。
それは、1つの解釈では事実なのだろう。
しかし…その「テメェの理想」も、大衆から生まれた理想であり。
モルガナを形作るような、人々の善く在ろうとする希望であり。
解釈を変えれば…彼の、「大衆に、そうであってほしくない」という意思だったのではないだろうか。
原作にて、怪盗団がヤルダバオトへ贈った言葉。
「神だっていうなら、人間を理想に導けよ!」
「それが出来ないから滅ぼすんだろ?」
それは、1つの解釈では事実なのだろう。
彼は…人々に理想を叶える願望器たれと望まれた。
その大衆の多くは、理想とは、怠惰たらんと唱えた。
大衆を監視するヤルダバオトには、人々の希望が見えていたのではないだろうか。
見えていた上で…怠惰から生まれた己では、
怠惰以外の『理想』を成すことができないのではないだろうか。
…。
ヤルダバオト
「ク、ククッ、クククッ……」
明らかに追い込まれた聖杯。
身を転じさせた後の戦い方も既に共有されている、あまりにも詰んでいる状況。
そんな中で、ヤルダバオトは笑っていた。
ただただ悲しみの笑い声。喜びも怒りさえもない。
ヤルダバオト
「ああ、そうだ、大衆は…」
「大衆の怠惰とは、斯様なものだった!」
ヤルダバオト
「モルガナよ、貴様は全て思い出しているのだろう!?」
荒ぶる神の声が、神殿の中に反響する。
大衆は、誰も聞いちゃいない。
モルガナ
「ああ。」
「ワガハイは大衆の希望…ほんの僅かな希望を
「目的は…大衆より生まれ出でし悪神を打倒する為。」
ヤルダバオト
「ならば解るだろう!?この大衆の、手の施しようが無い怠惰を!あれだけ変わるようコーチ率いる貴様らが働き掛けたものを無視し、娯楽に消費し!」
「あろうことか更なる堕落を提示されれば直ぐ様飛び付く!」
「これに失望せず何に失望する!?同じ人々の欲望から産まれた貴様に、理解できぬとは言わせんぞ!?」
モルガナ
「言わねーよ。」
「クラウンが朝ワガハイに全部話して…メメントスを見て、全部思い出した。」
「朝、クラウンに聞いたんだ。コーチは、お前の事も救いたがってるって。」
新島真
「!?」
フォックス
「この存在も、救うだと?」
モルガナ
「クラウンも、具体的な事は聞いてないらしいがな。」
ヤルダバオト
「そうだ!奴は全てにあの目を向け、あの手を伸ばす。」
「…だからこそ!我が、手に入れなければならない!!!」
聖杯が、激しく
大衆
「うおw」
大衆
「声デッカ…もっと静かに倒してよ〜…」
大衆のまばらな応援を受け、聖杯が変身を始める。
…。
ペルソナ5という作品において雨宮蓮は、運命の『囚われ』とされている。
それはヤルダバオトが用意していた破滅の運命のため。
しかし実際に起きたのは、怪盗団が与えた希望が実り、大衆がヤルダバオトを裏切って希望を思い出すという逆転劇。
その運命はすなわち成功の約束された輝かしい未来となる。
だから、ベルベットルームは鴨志田卓の過去に記憶のあるバレーボールコートの形を取った。
勝ち上がるための勝負の場であり…『既に勝った記憶』の現れ。
決して、運命に囚われた牢獄では無い。
で は 、
誰 が 代 わ り に 『 囚 わ れ 』 る ?
誰 が 抗 う 立 場 と な る ?
メメントスとは、何故牢獄の形をしている?
檻の中で怠惰の安息を得る為だけでは無いのではなかろうか。
自らの願いを叶える聖杯を…他の何処にも行かせない為では無いだろうか。
ペルソナ5、メメントスの最奥に鎮座する聖杯の3Dモデルには…
聖杯が、神殿に鎖で繋がれている様がハッキリと描写されている。
ヤルダバオト
「我は愚かな民を導く為に生まれた聖杯だ。我の救済を拒絶する者がいるのも構わん。だがッ!」
「変わらず我の救いを求める者が居る!」
「愚かな大衆を導けずして、何が神かッ!」
「見よ、大衆よ!汝らの
聖杯が音を立てて機構を回しだす。
ヤルダバオト
「貴様らの、『支配する神であれ』という願いを…聖杯は叶えて見せようぞッ!!!」
その黄昏の空に染まるように、ヤルダバオトの銀であるはずの身体はギラギラとした聖杯の金色のまま。
神殿が開き切る前に内部で蠕動を繰り返す、羽化直前のサナギ。
怪盗団が一箇所にまとまり安全を確保する中で…ヤルダバオトはその身の薄汚れた
徐々に開く神殿。周囲から、大衆らしき歓声が微かに漏れ聞こえてくる。
ヤルダバオト
「大衆は変わらない!変わる訳がない!我に心を与えた者共は…我に、全ての歯車を動かす動力たれと望む!」
ヤルダバオト
「貴様ら…理性無き獣の群れを!我が確かに粛清し!人として『更生』へ導かん!!!」
金色に輝くヤルダバオト。事前情報との相違に皆が身構える中で。
彼の者に…あり得るわけがない、
原作にて現実を侵食した時の青い光ではない。
どこまでも蒼い、反逆の炎。
完全に神殿が開き…大衆の歓声が鮮明に聞こえるようになる。
その声を、期待を全て受け止めんと神は手を開く。
彼が冠するアルカナ、【愚者】が表すのは…
『自由』、『可能性』。そして…
ヤルダバオト
「さぁ大衆よ!その愚かさを持って神に背く者共を嘲笑え!」
「世界が衰える道理を示せ!我が名は…ッ」
『新たな始まり』。
大衆は…
大衆達
「ゴーゴーレッツゴー、カーモシダ!」
大衆達
「ゴーゴーレッツゴー、カーモシダ!」
大衆達
「ゴーゴーレッツゴー、カーモシダ!」
神を裏切っていた。
ヤルダバオト
「ッッッ!?!?!?!?」
全ての力の供給が絶たれ、
ヤルダバオトの『
その体は見るも無残に黒ずんでいた。
飛んで火に入る夏の虫が如く、その炎の中に何がか飛び込んでいた。
『よし、最後の改心を始めよう。鴨志田先生。』
何処からともなく聞こえる、この場の殆どが知らない声。
この場に居るもので声を知るのはヤルダバオトと…
鴨志田卓
「…はは。流石だな、コーチ。」
「任せとけ。」
意外そうに空を見上げる、
神殿が開き眼前に立っていたのは、
空に浮かぶ期待の炎の中から…
ガッカリしましたでしょうか。落胆、しましたでしょうか。
それが、ヤルダバオトの抱いた感情です。