鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
時は、また僅かに遡る。
大衆
「…なんだ?アレ。」
大衆
「強っ。プロレス?」
大衆
「…あー、鴨志田卓ってアイツ?最近スポーツ紙に居たじゃん。」
大衆
「知らね〜…」
大衆達が、彼らを見上げている。
先程ベルベットルームを飛び出していった、2人のペルソナ使い。
立ち塞がるシャドウを片っ端からちぎっては投げている。
その光景を…私はベルベットルームの出口から見守っていた。
※ラヴェンツァ視点
鴨志田卓…コーチから、クラウンの名を付けられた者。
彼は私に真の姿を取り戻させ、
そして改めて、主へと
取引の了承を確認してすぐに外へと飛び出し、
パピヨン…
(彼は…大衆の素養。)
(大衆は…
…。
大衆は彼ら2人をちゃんと見ることができた。
しかし初めは、大衆からの関心は無かった。
奇怪な服装の青年を伴う、もっと奇怪で筋骨隆々の大男は、大衆に困惑として受け取られてしまう。
ただの体育教師。金メダルを取ったのはかなり前のこと。
娯楽の消化の早い現代では当然のように知名度を落としてしまっていた。
少しの細工で、認知から鴨志田卓を消してしまえる程に。
大衆は、まだ全てを群としている。
しかし。
川上貞代
「鴨志田先生ーっ!!三島くーんっ!!」
「頑張れーっ!!」
雨宮蓮
他に、呼べる協力者は居るだろうか…
ー
(セントラル街を探す)
(駅構内を探す)
(駅地下モールを探す)
(セントラル街を探す)←
(駅構内を探す)
(駅地下モールを探す)
ー
先程から、叫び続けている彼女によって…その名が大衆に思い出されていく。
異変を察知しいち早く集まった者が2人居た。
雨宮蓮と合流し状況を理解した女教師が全力で彼らを応援している。
吉田寅之助
「大衆の、怠惰か…耳が痛い話だ。」
「わかった。一人でも多く…目を覚ませてみせよう!」
岩井宗久
「『裏』で説得した奴らを掻き集めて来ればいいんだな?津田の居所には心当たりがある、任せろ!」
雨宮蓮…素養を奪われしトリックスターは、セントラル街に走り吉田寅之助と岩井宗久へ
…。
そんな中、2人の怪盗は上へ上へとひた走る。
何も合図も無しにクラウンが飛び上がれば、その手にはバレーボールがトスされる。
【金メダル級スパイク】が、その足場ごとシャドウを粉砕する。
着地の隙を付いたシャドウ、チェルノボグがその背中に剣を突き立てるも…筋繊維に絡まり貫通せず。
抜けない剣に焦っていた彼の頭蓋は、アスモデウスのフォークに串刺しにされた。
…。
大衆
「おー…ん!?!?」
男性
「な、なんだこれぇ!?」
女性
「きゃぁぁあ!!赤、水、何!?」
女性
「ちょ、ちょっと!人が!バシャって!」
大衆達の中に、自我の分離が起きる。
自己を認知する。惨状を、認知する。
そして雨宮蓮がスクランブル交差点に戻る頃には…新宿方面から、大宅一子と御船千早がやって来ていた。
同行者として、ニューハーフのアンジェラとジュリアナを伴っている。
雨宮蓮は知る限りの情報を彼女ら4人*1に与えた。
アンジェラ
「キャーッ!!カッコいいーっ!!」
「アタシの為に頑張って、スグルーっ!!」
ジュリアナ
「素敵っ!!抱いてーっ!!」
御船千早
「(横のオカマ2人を見る間) …っ貴方なら!どんな運命も抗えます、先生!」
大宅一子
「由輝っ!!!」
「アンタを見てる奴も、ちゃんと居る!!頑張れ!!」
混乱する状況の中、大衆を諌めようとする吉田寅之助から少し離れた場所で…彼女ら(配慮)は怪盗を応援し始めた。
雨宮蓮を乗せて渋谷に向かい、雨宮を先行させ車を停め終えた佐倉惣治郎が彼の元に合流する。
佐倉惣治郎
「双葉は何処だ!?あの上か!」
雨宮蓮
ー
落ち着け
おおっお落ち着け
出来ることを探せ
落ち着け
おおっお落ち着け←
出来ることを探せ
ー
佐倉惣治郎
「…お前が落ち着け。」
「悪い、大人が取り乱しちゃ世話ねぇな。」
「ワケが分からねぇ状況だが…先生がああして戦ってんだ、動くぞ!」
…。
クラウンは、彼らからの期待を受けて駆け続ける。
今も、天使の放つ矢を腹筋で受け止めて肉薄し、その翼を引き千切って投げ捨てた。
ちぎっては投げ、というのは本当に千切って投げるのでは無いのだが。
天使の集団に青黒い光がまとわりつく。
その顔面を、三色に輝くクラウンが握り潰す。
三島由輝
「そんな楽々イケる?さっすが俺の
鴨志田卓
「慣れればイケるもんだ。褒められたモンじゃない、パピヨンは慣れない方が良い。」
三島由輝
「フ、嫌だね。明日からは筋トレを倍に増やすんだ。」
鴨志田卓
「…明日くらいは休めばいいんじゃないか?」
三島由輝
「1年の頃、何度も『練習以外じゃヘタクソは治らない』って言ってたのは誰だったっけ?」
鴨志田卓
「俺、だが…」
三島由輝
「そんじゃ、先生みたいなマッチョになるには筋トレあるのみってワケだよな?」
鴨志田卓
「うーん…」
狼狽えるクラウンをチャンスと捉えた天使が剣を構えるも。
いつの間にか『忘れられて』いた
三島由輝
「あっはは!先生やっぱそのくらいの方がいいよ。」
「また腐ったら背中ぶっ刺してやるからな?」
鴨志田卓
「…ああ、その時は頼むよ。」
全速力で走りながら息も切らさぬ2人。
天使の名を冠するものを容易く撃破していく。
…。
高校生
「ひぃぃいっっ!!赤い!赤ぁぁいっ!!」
中年
「何が起きてる!?何が!何が起きてる!?」
アラサー
「あの人達は誰!?あの応援は何!?」
吉田寅之助
「皆さん!上を!空にそびえる木をご覧ください!怪盗は今、戦っている!!」
「いつか起きる災害ではない!今!彼らは戦っているのです!」
駆け上がる2人を見上げて…大衆達に、徐々にその火が移っていく。
吉田寅之助
「この状況を解決しようと、戦っている!皆さんが散々ニュースで見て!話題にし!それだけで終わらせた、怪盗がです!」
事態を収めるための言葉ではない。
大衆の
吉田寅之助
「彼の名前は、鴨志田卓!日本が誇るバレーボール金メダリストの名前を、知らないとは言わせません!」
「彼の目的は、皆さんを、貴方を助ける事!そこのあなたも、そこのあなたも、全て助けようとしている!」
金髪の大学生*2
「お、おお…!」
プリン頭の女子*3
「鴨志田先生が…!?」
ベリーショートの女バレ部*4
「マジ!?怪盗って鴨志田!?」
自身に分けて貰い、育てた炎を皆に分けていく作業。
吉田寅之助という政治家は、大衆達が火を渡せば燃え上がってくれるものだと心から信じているらしい。
雨宮蓮からの要望を満たす演説で、大衆の混乱をまとめ上げていく。
吉田寅之助
「彼も、彼の仲間も今戦っている!中には若者も、力を持つからとその戦いに動員されている!」
「彼らの戦う理由は様々であっても、思春期の高校生が!世界の為の戦いに参加している!」
「大人が見て見ぬふりをしていい道理が何処にある!?皆さん!見てください!その目で、この現実を、見てください!!」
吉田寅之助が手を振り上げた先…2人の怪盗は、最後の天使と相対していた。
…。
終末の導き手
「己で臨んだ支配者を、己の刃で討ち取りに来るとは。なんと傲慢で救い難き生き物よ…」
三島由輝
「救えないって言わずに、まだ見捨てないの強いよね。」
終末の導き手
「貴様らのような存在が世を、秩序を乱す。」
「遂に神を産むほど大衆の大多数が結束したというに、貴様らの何処に正義がある?」
「己が信じた正義を貫く事が、どれ程の冒涜かをついぞ理解せぬ。貴様らが、人間に争いを与える!」
鴨志田卓
「悪いが、お前が嫌うその少数派の代表が俺達だ。」
「俺達を黙らせられないようじゃ、統治者とは言えないな。」
終末の導き手
「もはや…是非もなし!」
好意的な解釈と、立場の明示。
弁論を拒否した上で相手へのリスペクトを示す試合前の会話。
ミカエルの姿を与えられた大衆の意思が問答の無用を悟り、
…直後、背後に現れたパピヨンに反応して剣を振る。
三島由輝
「俺のこと見てくれんだ?ありがとう。」
終末の導き手
「っ」
パピヨンが
万全に力が籠もらなかった剣をパピヨンは短刀で受け止める。
そして背後を完全に振り向いた上に有効打を打てなかった終末の導き手は、完全な隙をクラウンへと晒す。
彼のペルソナ、アスモデウスに頭部を掴まれた。
天使が魔王に握り潰されていく。
苦痛に耐えて剣をアスモデウスに突き立てようとした所を、パピヨンに手を引かれる。
背後に現れたキチョウが終末の導き手に【マハラクンダ】。群れる蝶が膂力を下げ…剣の引っ張り合いに。
そうこうしている間に…アスモデウスの持つ金のナイフが終末の導き手の首に当てられる。
吹き出る生命を気にせずに、ギコギコと切り落としていく。
今際の際に放ったパピヨン狙いの【剣の舞】を、何も無い空間に空振って。終末の導き手は果てた。
三島由輝
「やっば掠った…!」
鴨志田卓
「行けるか?」
三島由輝
「誰に言ってんのさ!」
短い会話。神殿は、もう目の前。
大衆達は吉田寅之助の演説も力となり、続々と鴨志田卓の観戦者となっている。
…。
坪井和夫*5
「頼む!!何とかしてくれぇー!!」
最上夢子*6
「鴨志田先生ー!薙ぎ払え!」
本庄信平*7
「鴨志田ぁーっ!オリンピック見てたぞぉーっ!!勝てぇー!」
応援は鴨志田卓を応援する声ばかり。
大衆達は彼を選んだらしい。
彼に救われた者たちも続々と駆けつけ、その期待を託していく。
校長
「帰ったら、また食事に行きましょう。今度は他の先生も一緒に…盛大に。」
金城潤矢
「俺の居場所になるなんて大口叩いて、負けるなんてこたねーだろうけどよ。」
「ベストを尽くしてやったんだ、勝てよ!」
奥村邦和
「これなら、広告も効果が出たと言えるな。」
「娘共々世話になった。…どうかここで、終わらないで欲しい。」
高巻杏
「アンタにされた事は忘れない。」
「けど、その後アンタにしてもらった事も忘れてやんないから!」
次々と、彼を応援する者が駆け付けてくる。
鴨志田卓の、皆の集めた繋がりが、
鴨志田卓を応援している。
雨宮蓮
「鴨志田先生、聞こえるか!?」
功労者は、託すような…喜ぶような声で。
溢れんばかりの期待を、信頼する教師へと贈った。
雨宮蓮
「任せたぞ、怪盗団!!」
ラヴェンツァ
「…。」
そうして、大衆達の期待は…空に浮かび上がっていく。
希望に火をつけられた期待が、他の期待も巻き込んだ炎になって。
それを見て、私は喜ぶべきだ。
共に、人類の希望を託すべきだ。
下唇を噛んで、それを見上げる。
神殿が割れ、悪神が姿を現す。
大衆達
「ゴーゴーレッツゴー、カーモシダ!」
大衆達
「ゴーゴーレッツゴー、カーモシダ!」
大衆達
「ゴーゴーレッツゴー、カーモシダ!」
ヤルダバオト
「ッッッ!?!?!?!?」
大衆達の応援…しかし過半数はその
ヤルダバオトが纏っていた青い火種は、期待を焚べられ燃え上がることなく
愚かな"大衆"たち
「鴨志田卓が居れば安心だ!」
愚かな"大衆"たち
「これからは全部、あいつに改心してもらえばいいんだろう!?」
愚かな"大衆"たち
「俺たちの期待に応えてくれっ!鴨志田!」
希望の導き手としての期待は確かに存在する。
しかしそれ以上の…過半数の、怠惰の期待が飲み込んで。
新たな
誰かに統制を任せようとするのは怠惰だ。
そして。
当事者意識を持ったとて、
紛れもない怠惰だ。
(悪神…いや、ヤルダバオト。)
(貴方を産んだ大衆達の罪は、これほどまでに重い…)
雨宮蓮を選んでいれば、何も不都合は無かった。
あの力を使えば、ヤルダバオトを滅する事は容易い。改心は成る。
大衆の悪
大衆は自分自身の毒によって自分自身を癒す事になる。
しかし、その歪んだ期待の炎は…ワイルドの素養を持たない彼の器には大きすぎる。
あの青年だから、大罪を神を穿つ弾丸へと
己の身に過剰なペルソナを手に入れた者がどうなるか。
制御できないペルソナを振るった者がどのような末路を辿るのか。
多数の想いを束ねて『宇宙』に至った青年が、どのような『命の終わり』を迎えたか。
私達は知っていた。
なのにソレを、この事態への対処法として選んでしまった。
(ああ、本当の罪人は、私達…。)
(人間を救う為に、
その後に起こる対価の支払に、目を閉じてしまいたい欲求に耐え。
服にシワが付くことなど気にも留めずに、胸元で左手を握った。
コーチ
『俺が最初から狙ってた…どうしょうもない
ラヴェンツァ
「!?」
大衆の
叫び慣れていない、裏返った陰気な声。
コーチ
『お久しぶりっ!!手伝ってくださいます!?』
ラヴェンツァ
「っ…はい!」
〜〜〜
ラヴェンツァ
『我は汝…汝は我…』
『汝ここに、心の盃へ堅牢たる絆を浮かべ得たり』
『強き意志の宿る絆は』
『神の血を甘美な美酒とせん』
『今こそ汝、【道化師】の究極たる秘奥に目覚めたり』
『無尽の力を汝に与えん…』
〜〜〜
ーーー
人形召喚 15SP
絆を深めた人間の認知存在を、
人形として杯の中に浮かべることができるようになる。
人形次第で様々な強化を受ける。
ーーー
ーーー
召喚可能な人形
・雨宮蓮
→Technical発生時、対象がDOWNする
・三島由輝
→獲得経験値が増加する(異世界から帰還するまで有効)
・武見妙
→自陣営に即死効果発生時、自動発動。それを無効にする。
・新島真
→炎上・凍結・感電の付着率が50%上昇する
・佐倉双葉
→佐倉双葉のペルソナにロケットブースターが装着される。佐倉双葉が勝手に発動できる。
・川上貞代
→川上貞代の疲労が、全て消える。
・校長
→攻撃力上昇、激怒の状態異常が付着
・金城潤矢
→周囲に居る味方は防御力が上がり、狙われ難くなる
・一色若葉
→セーフルームか入口から、別のセーフルームか入口に移動する
・奥村邦和
→相応の賃金を支払い、社畜ロボを召喚する。
・明智吾郎
→相手の各耐性を全て見抜く。
・ NEW!!
→覚醒し、神話上の
ーーー
鴨志田卓の頭上に、その炎は在った。
その期待の形が、急速に組み替わっていく。
憑依転生者が既に溶けている、新たなる期待の内部へと。
コーチ
『よし…最後の改心を始めよう。鴨志田先生。』
鴨志田卓
「…はは。流石だな、コーチ。」
「任せとけ。」