鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
※三島由輝視点
スタッ、と。スマートに着地する。
クラウンが得たカッコいい衣装に目が吸われてしまうかもしれないが、新衣装って面では俺も同じ。
いやぁ〜皆の顔が楽しみ!
ワクワクしている心が顔に出ないよう注意しつつ…澄ました顔でキメる。
そうすれば、ヤルダバオトが頭ぶち抜かれて沈黙した近くに居た怪盗団の皆がこちらを見ていて…
俺を見たクイーンがこちらに走ってくる!!
仮面によって細かい表情はわからないが、こちらに手を向けながら、舞い戻った仲間に対して駆け寄ってやる事は1つ!
そう!!ハグである!!!
あんだけ俺が落ち込んでたのを気にしてくれてたもんな?
俺に話しかけなかったの、自分が力持ってる状態でどう声かけたらいいか分からないって顔に書いてたもんな?
緊張の糸が切れたのだろう。こんな最高のヒーローになれる機会を逃すな!全力で味わえパピヨン!
胸に飛び込んでくるクイーンに、なるべく爽やかな笑顔ではにかんで手を広げる。
いっや〜ペルソナ最高!!まっさかクイーンからハグしにくるなんてさ!
飛び込んだクイーンは流水のように俺の胸を掴んで下に引っ張り姿勢を下げさせて俺の膝に足を掛けてあれおっかしいな痛いぞクイーン抱きついてるのにいや違うこれ締めてる締めてる痛たたたたた!!!!!
三島由輝
「??????」
「クイーン!し、締まってる!」
新島真
「締めてんのよっ!!」
こ、これが現実の『当ててんのよ』なのか!?
えー、何故だがさっぱりわからないのですが。
クイーンにガチのコブラツイストで締め上げられています。俺結構頑張ったんだけど…
新島真
「無茶したんでしょ、絶対に!!」
三島由輝
「ほげぇぇぇぇっっ!!
新島真
「何よ、私が
三島由輝
「ひぃぃぃ!! 無自覚無効化だぁぁ!!」
奥村春
「お、おちちついて!」
佐倉双葉
「わかった!」
モルガナ
「ひゃんっ!」
三島由輝
「お、お乳突いてないで、助けて!!!」
「か、勝つ、勝つ算段はつけてたs」
新島真
「ついてるなら、言えっ!!」
三島由輝
「す、スイマセンんんん!!!」
…。
決勝戦の作戦会議にて前述したように、新島真は三島由輝という男の"力"への渇望を痛いほどに知っていた。
功に焦り暴走した自身の誘いに乗り、
犯罪者の巣窟へ共に挑み、
ペルソナを持たないのに異世界の中に入って、
自身をストイックに死地に追い込んでいた。
身を焼かれても構わず火に飛び込む蝶のように、
彼は彼女が持っている力を渇望していた。
だから、その
しかし再会した彼はすっかり力を取り戻したどころか立派な
〜
坂本竜司
「…締まんねーな。」
喜多川祐介
「締まっているぞ?」
坂本竜司
「いや、そうじゃなくて…」
明智吾郎
「はは、ソレがこの居場所の良さだろ?」
「俺達含めて…馬鹿の集まりだよ、全く。」
〜
…。
やり場のない感情。
鴨志田卓より受けた父性とはまた違う、同年代の異性へのその感情の名前を…
誰かから指摘などされない限り、
自分でも訳がわからぬまま、その感情を生み出す原因をギチギチに締め上げていた。
新島冴
「…止めたほうが良いかしら?」
鴨志田卓
「ここは、民事不介入で。」
※三人称視点
そうして痛めつけられるパピヨンを尻目に、呆れた顔のクロウがクラウンへ話し掛ける。
明智吾郎
「最後にトドメだけ掻っ攫って…それが教師のやる事かい?」
鴨志田卓
「…遅れてすまなかったな。」
「皆の活躍は、後で必ず聞かせてほしい。」
佐倉双葉
「後で334分の苦労話な!せんせー正座で!」
三島由輝
「な…阪…関…いだだだだっっ!!こ、今度こそ本当に腕もげちゃうっ!」
新島真
「じゃあ、腕がもげかけたって事?」
三島由輝
「あっしまっ、ひぃぃぃぃ!!」
奥村春
「本当…皆が無事で良かった。」
モルガナ
「ああ。…誰が欠けてもおかしく無かった。」
「ノワールやクイーンもそうだ。特にビショップなんて…」
新島冴
「んんっ。」
わざとらしい咳払い。ビショップによってモナの言葉は強引に遮られた。
新島冴
「子供に、大人の苦労を語るのは野暮よ。
鴨志田卓
「そうだな。『コレ』を見届けて…帰って休んだら、慰労会を開くか。」
坂本竜司
「おっさんくせーな、打ち上げだろ?」
喜多川祐介
「会場はルブランだな。俺もすっかりあのカレーに魅入られてしまった。」
佐倉双葉
「おっ!わかってるなおイナリ!女殴ってる癖に!」
喜多川祐介
「…その件は済まなかったと…そして斬ったが殴っては…」
明智吾郎
「…皆。そろそろ幕引きらしい。」
フォックスがナビに冗談交じりに弄られ、
締められ続けるパピヨンのHPが危険域*1に達した頃。
クロウの言葉の後すぐに神殿が崩れていく。
あわや自由落下といったところで、皆の背中に蝋でできた翼が生えて。
羽ばたき、地面へとそっと降ろされた。
皆を送り届けた翼はクラウンの背にあるものを含め、ヤルダバオトのもとに集まっていく。
貫いた断面を埋めるように蝋が張り付き、
ヤルダバオトが淡い光と共に天に昇っていった。
足元に溜まった水たまりがガラスを割るように砕け、
動作を停止した大衆達と共に消えていく。
奥村春
「これって…」
モルガナ
「ああ。世界が…元に戻っていってる。改心は成功したんだ。」
悪
…。
大衆に混ざった彼が、杯のなかに流し込まれることによって…
彼等は、1つに溶け合っていた。
聖杯
『嗚呼、起きたのだ…変革は、まさしく今、起きた…』
『イゴールの言葉は、絵空事では、無かった…』
聖杯
『最高のハッピーエンドをこの世界に齎すには、お前の力の残滓を誰かに再利用される真似があっちゃいけない。』
『メメントス…お前を囲う檻は、完全に消す必要があるんだ。』
聖杯
『…何故、貴様は裏切らん?』
『我は結局、大衆に裏切られた。このまま我を滅すれば、悪神を言葉巧みに謀ったトリックスターとなるであろうに。』
聖杯
『そりゃ、約束したから。』
『俺の敵は大衆であって…そのオタカラじゃなかった。…こんな、敗色濃厚な難しい挑戦をさせたんだ。責任とるよ。』
『2人で何か、世の中の為になる事でも出来るか試してみよう。こっから何処に行くかは知らないけどさ。』
聖杯
『嗚呼、コーチ…貴様はそうやって…』
『悪を、取り除くべきものではなく救うべき価値として見る。』
『合理を求めるように見え、それは究極の非合理だと言う事を…頑なに信じない…』
聖杯
『俺の考えは、最初から最後まで同じだよ。』
『プラスマイナスをゼロにしたら、そこは終わりじゃなくて…プラスを増やしていくスタートラインなんだ。』
『そこからが、人が持つ"可能性"なんだよ。』
『一緒について
聖杯
『そうか…我は、もう…
聖杯
『お疲れ、ヤルダバオト。』
歓喜を含み震える声を遺して。
ヤルダバオトは、メメントスと共に消え去る。
それについていこうと浮かぶモルガナをラヴェンツァは引き留めて微笑む。
そして彼女は鴨志田卓と目を合わせ、頷いていた。
長い長い1日が終わる。
大衆の改心は…これにて完了したのだった。
次回、エピローグです。