催眠ポケモンメガカラマネロとの理想的なカラマれ方 作:あいいろ ののめ
―――なんでもない朝、穏やかな陽射し。
「マーイーカー」
「…んんむ…」
「マーイーマーイーマーイー」
「ふぁ…ああぁ…」
「マーー!イカーーっ!」
「……、…わかったわかった。おきる、おきるとも…ふぁ…ぁふぅ…」
寝心地の良い枕に沈む私の後頭部がマーイーカの柔らかな腕に小突かれ、欠伸を抑えて身体を起こす。
「マイマイっ」
「……お腹が空いたの? いま準備するから待っていてね」
「マーイーー♪」
私はベッドから起き上がるとドレッサーテーブルの上に置いたヘアゴムで髪を纏め、料理をするためにマーイーカとヘルガーを引き連れてダイニングへと移動する。
「おはよう」
「ふぁ…おはよう」
「おはようございます!」
キッチンで顔を洗い、机に置き去りになっていたエプロンの紐を結びながら朝は何が良いかを考えてみる。
「…、…朝ご飯はアボカドグラタンでいい?」
「良いですね!アボカドもチーズも身体に良いですから!」
「…あたしはホイップカレーじゃないなら」
「いま作るから、待ってて……ふぁああふぁふ……」
たしかアボカドがちょうどよい頃合いだった筈。それにグラタンと言えばカロス地方なのだから、困った時にグラタンと言うのは定番だろう。
私が朝ご飯の準備を進めていると、静かな羽ばたきの音が耳に入る。
「モックロー」
「おはようモクロー、君は本当に私の頭に止まるのが好きだねぇ?」
「モッ!!」
「髪が乱れるから、今度からは肩に止まらない?」
「モッ!!!」「イカ!!!」
(ううん、頭と肩が重い…)
ポケモン達に構っていると、今度はダイニングからこちらに話しかける声が。
「ルミヤ、ニュースサイトは見た?」
「? ううん、見てないけど…」
「ルミヤの家も含めて、ここら辺一帯がワイルドエリアになった」
「だからマーイーカがこんなに居るんだね、カラマネロ?」
「…ネロ。」
「カラマネロ、まさか私に寝ぼけてるなら寝ろって言ってる?」
「カラネ」
カラマネロの真意は不明だけど寝惚けてると言われているように聴こえるのは癪なので、私はようやくダイニングで腰掛ける二人について考えることにする。
片方は一応見知ったムクちゃんだけど、もう一人の長い金髪の男性は私の記憶にない。少なくともムクちゃんがいつも通りなことからどうやら知り合いではあるらしい…。
(…筋骨隆々、その言葉がここまで似合う人物も珍しいかもしれない。なにかの格闘技を嗜んでいるのか道着姿でガタイのいい男性という情報を並べると、まるでジャスティス会を思い浮かべるが…)
「……!!」
「? ルミヤさん、どうかされましたか?」
「い、いや…ナンデモナイヨ?」
この男…何処かで既視感があると思えば、頭髪がメガシンカしたピジョットに酷似している……!
「こっちは兄のシロー、あたしがここに来るって言ったら勝手に着いて来た」
「そういえば自己紹介がまだでしたね。自分ジャスティス道場の道場主!そして武術の天才!シローです!」
………。
「…そっか。どうりで見たことがあると思ったよ…本当だよ?」
「あたしは何も言ってない」
「………」
ムクちゃんの鋭い追及に閉口しながらも、私はまだ他にも気になることはあるのでそれを聞いてみることに。
「ところでムクちゃん」
「何?」
「どうやって家に入ったの? 私家の戸締りだけには自信あるけど?」
「ジュペッタに頼んで鍵を開けてもらった」
「……そっか。」
「ルミヤが勘違いしてそうだから訂正するけど。あたしはワイルドゾーンになったのが心配で来たら早とちりしたシローがルミヤの家の扉を壊そうとした、だから壊さないように開けただけ。
あと戸締りしっかりしてたら野生のマーイーカは入ってこない」
「マイ?」
「………。」
ムクちゃんの鋭い追及に再び閉口しつつも、私はまだ気になることがあるので二人へと問い掛けてみる。
「ところで
「カァー?」
私が見た方向に居たのは、くらやみポケモンのヤミカラス。そのポケモンは私の頭に止まるモクローがお気に入りの止まり木を占領して我が物顔で翼を手入れしていた。
「自分のポケモンではありませんね」
「…ルミヤのポケモンじゃ無いの?」
「まさかモクロー、あの子に居場所を取られたから私の頭の上に居る?」
「クロッ!!!」
…どうやら黒らしい。
私は頭の上で威勢よく羽ばたきを効かせるモクローを宥めつつ、野生のヤミカラスの近くに向かった。
「ヤミカラスさん、そこは私のモクローのお気に入りの止まり木なのだけど…貴方は仲間のヤミカラスさんと一緒じゃないの?」
「ヤカラっスッ!!」
どうやら敵対心は無いらしい、それともただ単純にふてぶてしいだけだろうか。すると頭に居たモクローが肩の高さに降りてきて、抗議のような鳴き声を上げる。
「モッ!!」
「ヤッ!!!」
「モー…」
ヤミカラスはその両翼を大きく広げて威嚇し返して来て、モクローは私の頭の上へと戻って行く。
普段からポケモンバトルをするような子でも無いから争い事が苦手なのは解るけど…モクローがちょっとだけ不甲斐ないと思ってしまった。
「ヤミカラ〜」
そうこうする内にヤミカラスは止まり木から飛び立ち、器用に窓から外へ帰っていってしまう。気が済んだのだろうか、私は一瞬そう思いかけた…。
「…? あのヤミカラス、何かを咥えて」
「っ!?
ムクちゃんの言葉でヤミカラスの後ろ姿を追いかけようとするも、黒い影は既に視界の彼方。
「何か取られたの?」
「キーストーン!」
私はムクちゃんの問い掛けに短く答え、パジャマのままであることも気にせずに飛び出そうとして、思い出す。
「ムクちゃんはオーブンのアボカドグラタン見てて!後は焼き上がるの待つだけだからっ!」
「モクロモっ!」
「私を敵に回すと言う事、その意味を教えてやる…!」
「モックロっ!!」
―――…まだ朝日の昇って間もない早朝、私はモクローを肩に乗せて家の近くの路地を駆けていた。
大昔から補修を繰り返してきた伝統的な建物の外壁、フェンスに取り囲まれた青いバトルコート、つい昨日までカフェだったと思わしき無人のテラス席。
そこにはまるで小規模な
(急速なワイルドゾーン設置の結果か、建物の外壁沿いには作業用の足場が組まれたままになっている…)
それはミアレで有名な工務店が建てた『足場アスレチック』なる一見不安定に見えて案外しっかりと組み立てられた建物補修用の足場だ。
工務店は何故かソレをアスレチックとしてミアレシティの各地に置いているらしく、邪魔にならないのかといつも疑問を抱くが、工務店の仕事の脅威的なスピードから考察するに例え邪魔になったとしてもすぐに片付けられるのだろうと思った。
(いずれミアレシティ中がここのようになってしまうのか…っと、そんな事を考えている場合では無いな)
私がこうして早朝から駆け回っているのは、家の中に迷い込んできた野生のヤミカラスに大切なキーストーンを盗られてしまったからだ。
このままではカラマネロをメガシンカさせることも出来ない、私にはZAロワイヤルで勝ち上がらなければならない目的がある以上このままにしておく選択肢は無い。
「…! 居た…!」
そのヤミカラスは誰もいない無人のバトルコートの真ん中に降り立ち、何度も私のキーストーンを嘴で咥えたりして…眺めているようだった。
見間違えようがない。ピンクと若草色のリボン、植物のツタを象った金属製の髪留め。
(周囲の警戒が薄れている。今なら、やれる…!)
今話からという程でもないのですが、大体毎週木曜に更新できたらなと思ってます。次回もお楽しみにっ!
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