催眠ポケモンメガカラマネロとの理想的なカラマれ方 作:あいいろ ののめ
―――…形容するのならそれは帽子のソンブレロに似た形状をしていた、ポケモンで表すならルンパッパ。
山の字を横回転させて出来上がったような。二段階で盛り上がった山脈のようなシルエットは、それだけで大きな迫力を伴っている。
その山脈の中央を覆う滑らかな河川には、じゃがいもににんじんや玉ねぎと、美味しそうな野菜がたっぷり。よく見ると中央の山形に盛られたカレーライスの山頂には、小さく刻んだハーブが乗っていた。
ただ……。
「どうしたの、ルミヤ」
「え? いや…」
「カフェスラロームの店長さんから聞いたよ?…ルミヤは料理もできるから新しいレシピの試食の感想も参考になるって。
だから、あたしが作った自信作のクロワッサンカレーの感想、聞かせて?」
「あ、あははは…もう、あの人そんなこと言ってたんだ…? アレコレあんまり期待されても、わたし困っちゃうんだけどなあ…?」
そう言いつつ、長テーブルの周囲を見渡す。
隣には圧を感じるタウニーちゃんが居て、テーブル席には他にも同年代くらいの子たちが三人座っている。けどその全員の視線がわたしに向いている中で感想を聞かれるのは流石に緊張しちゃう。
「この人が新メンバー?」
「そうだよ!だから今日のメニューは新メンバー加入祝いっ!」
「そっかあ、MZ団もだんだん賑やかになってきたよね!」
手で口を覆ってオーバーぎみな驚きを露わにする女の子と、対照的に静かな…多分男の子? そして、わたしがいつかの時に言葉を引用した博士を思い起こすようなお洒落な髪型の男の子。
「タウニーちゃん、先に自己紹介してもいいかな?」
「もちろんだし!」
「ではでは皆々さまお集まりのようなので、ご挨拶をさせて頂きます。
今日からMZ団の臨時メンバーとして参加する、ルミヤです!趣味は料理で特技はつまみ食い、好きな物は甘いもの!他には…カフェホッピングも好きかな?」
「カフェ巡り…!?」
私の自己紹介に反応したのは、さっきのオーバーリアクションな彼女。
私が改めてその姿を確認すると、その子は長い黒髪を左手で触る癖があるのか後ろ髪を首の横を通して片側に寄せていて、前髪は邪魔にならないように頭のてっぺんで結んでいる。
髪留めに使っているヘアゴムには、ポロックのようなデザインのアクセサリーが着いていて…お菓子のポロックでもうひとつ思い出したけど、デウロと呼ばれた女の子はそのポロックが有名なホウエン地方に多い顔立ちをしてる気もした。
(髪は長く伸びてて手入れもしっかりだけど、服装はかなりアクティブ寄りな雰囲気…?)
水色のパーカーを着ているけど、その下はスポーツウェアに近いように感じる。
「デウロさん、食事中にあまり大きな声をあげるのは良くないですよ」
「あ…ごめんねルミヤ、それとピュールも」
「ボクはついでですか…」
会話が丁度切り替わった所で、観察相手を切り替える。
いまデウロと呼ばれていた女の子にピュールと呼ばれた褐色肌の男の子は、微かに赤茶色の混じる黒髪をドレッドヘアにしているお洒落さん。
そのドレッドヘアは途中でオレンジ色のアクセントが加えられていて、後ろの低い位置でポニーテールのようにまとめられている。やっぱりお洒落さん。
白のパーカーの中にオレンジのニット、白いシャツに緑のネクタイ…厚着だから体のラインが分かりづらいんだね。
彼の着ている白いジャケットの胸元にはロゴマークなのか見慣れない『M』のようなデザインが象られていて、肩には作業用のポーチにハサミがバンドで固定されている…もしかして、髪型を自分で整えていたりするのかな?
「あんた…」
「ん?」
と、そんな思考に気を取られていた時。私が癖で相手の衣装を初めとした身なりを観察していた視線が交差してることに気付く。
こんなにまじまじと見るつもりは無かったんだけど、つい……。
「あんたの顔、どこかで…見たことがあるような…」
「え…?」
「何それピュール、もしかしてナンパ?」
「わあ、とても大胆だねえ!」
「…ナンパな訳ないでしょう」
タウニーとデウロが茶化す傍で、私はピュールに言われた言葉が予想外で記憶を遡るけど、思い当たる記憶は無い…と思う。
ミアレに引っ越してくる前の幼馴染じゃ無いし、従兄弟の知り合いとかでも無さそう。だとすればパパかママの事を知ってる、とか…?
もう一度改めて考えてみたけれど、やっぱり思い当たる節は無い。
考えを凝らしても判らない問題はどうしようもないので、諦めて残る一人に視線を向ける。
―――…ニコっ。
私が最後の一人の顔を見つめると、人懐っこさのある笑顔が返ってきた。
最後の一人は…さっきも思ったけど、髪型が何年か前ミアレに居た博士に似ている。
服装は白いシャツの上から黒と黄緑が独特な配色のジャケットを羽織っていて…目の下に少し隈がある、もしかしてここ数日寝てない?…いやいや流石にそんな事は無いか、ただ寝不足なだけ。
顔立ちは好青年なだけに隈が目立つし、どこか幸薄そうにも見える。
「それで、感想は?」
(…やっぱり答えなきゃ、ダメかな?)
「えーっと…正直に言うとね、タウニー?」
「うん、何?」
「カレーのルーはコクのある感じだね、クロワッサンを食べた時にも思ったけどバターのアクセントがルーの味わいに深みを出してる。だけど…」
「だけど…なに?」
「だけどちょぉ〜っと私には量が多いかなぁ!? クロワッサンは一つでいいし、カレーライスもこの半分…いや五分の一でもお腹いっぱいになるよ…?」
私の言葉を聞いたタウニーは目を見開いて、それから私に何か言うと思ったら、私を挟んで隣の席にいるピュールへと声をかけた。
「ピュールもルミヤの言葉を聞いたよね!…あたしが作ったクロワッサンカレー最高って!」
「いえ、そこまでは言ってませんでしたけど」
どうやら、ピュールはタウニーのクロワッサンカレーが好きでは無いらしい。味が嫌いなのか他の要素が気に入らないのかは分からないけど、ピュールが食べているのはごく普通のサンドイッチに見えた。
「そもそも僕が言いたいのはクロワッサンカレーの味ではなく、組み合わせの問題です。ルミヤさんが言ったようにバターとバターを組み合わせてどうするんですか」
タウニーが少しムッとしたのを視界の端に捉え、板挟みにされる私はすかさず口を開いた。
「じゃあ今度のお祝いは私がカレーの担当をするから。ピュールもタウニーも、取り敢えず今日はお祝いなんだからこのぐらいにしておこう?」
「僕は…いえ、構いませんけど…」
「ありがとうピュール、今度私がカレーを作るときはとびっきりのを用意するから、期待して?
あとタウニーも、ピュールが味は美味しいって言ったのは伝わったでしょ?」
タウニーはやや不満げながらも、すぐに表情を切り替えるとさっきのクロワッサンカレーの量についての話題に引き戻した。
「…でもさルミヤ、このクロワッサンカレーはホテルZの看板になるメニューとしてあたしが考案したんだ。看板メニューって言うぐらいなんだし、ドカーンと大迫力なクロワッサンカレーが良いと思うんだけど?」
「看板メニュー…かぁ、成る程…うーん…どっちの量のメニューもあれば良いんじゃない?…私みたいに少食な人はこの迫力だと残しちゃいそうで頼みづらいかもしれないよ?」
タウニーはそれを聞くと無言で考え込んではクロワッサンカレーをひと口頬張り、考え込んでは食べるを繰り返していた。
私がなにか声を掛けるか迷っていると、テーブルの向こうの席からデウロちゃんの声が。
「ルミヤって意外と気が利く?」
「意外とって言われるのはなんか心外だけど、私は従兄弟がいっぱい居るからね。これぐらいならまだまだ可愛いものだよ?」
「そうなんだ…あ、今度一緒にカフェ行かない?」
「良いね!今度チョコタルトが美味しいカフェに行こうよ、この前は食べ損ねちゃったんだ。ピュールくんと…キョウヤくんも行く?」
「お断りします、ボクはカフェを一人で楽しむのが好きなので」
「俺もパス、新しいワイルドゾーンの調査を頼まれてるんだよね」
「二人とも新メンバーが来ても相変わらずだねえ」
MZ団、まだ会って間もない状態で判断するものでもないかもしれないけど、賑やかで自由で案外悪くないかも。
そんな、夕飯の時間はすぐに過ぎ去ってしまって。MZ団のみんなに挨拶をしてから帰ろうとした所、タウニーに声を掛けられた。
「ルミヤ、この後ヒマしてる?」
「なにそれタウニー、ナンパ?…大胆だねぇ?」
「フフっ、さっきのデウロの真似やめて?…これからちょっとMZ団としての用事があるんだけど、付き合ってくれる?」
「この後は…うん、大丈夫だよ?」
「良かった、じゃあこっちのロビーラウンジに集合!」
「はーいっ」
MZ団としての用事って事はAZさんのお手伝いって意味だろうし、話ぐらいは聞いておいた方が良さそうだもんね?
Tips『ルミヤ その2』
所属:『MZ団』
zaロワイヤル:『Nランク』
手持ちポケモン:
『カラマネロ、ジバコイル、ヘルガー、ヤミカラス』
性格:『むじゃき・れいせい』
趣味:『料理・食べること・ランニング』
得意なこと:『ダブルバトル、機械のクラッキング、猫をかぶること』
困ってること:『意外にも少食で、カフェ巡りは困難を極める。
なので一緒に食べてくれる人がいると色んなものをシェアして食べられるし、色んな料理を作れるので、とても助かると思ってる』
『ポケモン小説って何目的で読むのですか?』という作者さんが気になるだけで設置したアンケート
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ポケモンが可愛い(等魅力)を求めて。
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コレもZA作品なんだから熱いバトル!
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ポケモンゲットのストーリー性
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シンオウ神話のような設定が読みたくて
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