催眠ポケモンメガカラマネロとの理想的なカラマれ方   作:あいいろ ののめ

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phase18『玉兎』

―――…夜のビルの屋上は冷たい風が吹いていた。

 

 普段は過ごしやすく雨も少ないミアレだけど、こうやって屋上から眺める街並みは肌寒さのせいか、どこか無機質で侘しい印象に思える。

 

「ルミヤ」

 

「さっきぶりだねタウニー、次回からはどこで待ち合わせするかもう少し詳しく教えてね?」

 

「いまは暴走メガシンカだし。見て、あそこに居るのが今回の目標」

 

 タウニーの言葉を聞いて視線を向けた先に居たのはミミロップ。二足歩行で茶色い肌とひつじみたいなもこもこの手や垂れ耳が可愛らしい、うさぎポケモン。

 

「そういえばタウニー知ってる? ミミロップはメガシンカする前後で毛並みの肌触りが全然違うんだって。

 暴走メガシンカだけど、余裕があったら触ってみようかなぁ…」

 

「メガミミロップはかくとうタイプだから近付くのはキケンだし」

 

「勿論。一番大切なのは、暴走メガシンカを鎮めてあげることだよね。ちょぉ〜っと手荒な手法だけど、許してね?」

 

 私はまだメガシンカしていないミミロップに謝りつつ、カラマネロを繰り出す。

 

(準備はしてきたけど、暴走メガシンカの相手をするのは数年ぶり…さすがに緊張しちゃうなぁ…)

 

「マネネロ」

 

 カラマネロの腕がぽんと私の頭の上に載せられたのを見上げて、ふふと笑い声を溢す。もしかして私の真似をしたの?

 

「…ん、ありがとうカラマネロ。大丈夫、メガミミロップは対策を立てれば攻略がし易いポケモンではあるから」

 

 ミミロップは元々好戦的なポケモンじゃ無い、だからそのとくこうはメガシンカしてもそこまで脅威になりにくい。

 なら対策が必要なのは物理攻撃面で、カラマネロであれば柔軟に立ち回れる。

 

「準備は良い?…と言ってももう暴走しそうだけど!」

 

「当然っ!」

 

 

 

 

 

―――…夜風が微細な電気を帯びたようにピリつく。

 

 びゅうと一際つよい風がビルの屋上に吹き、乱れる髪に意識を取られた次の瞬間、そこにはソレが立っていた。

 大きな耳はもこもこの毛で編んだ髪留めのようなもので纏められ、シルエットが全体的にスマートな印象を受ける。メガミミロップが戦闘用のメガシンカと言われるのも納得の風貌をしていた。

 

「それじゃあカラマネロ、リフレクターで宜しく!」

 

「チャオブー、グロウパンチ!」

 

 まずは様子見を行うためにお互い磐石な一手を選んだ。

 そう思ったかとチャオブーがとてとてと丸くて可愛い体でメガミミロップに接近した瞬間その姿が掻き消える。

 

「跳んだ!?」

 

 一瞬の空白に場が支配され、夜空を見あげようとした途端に傍に居たカラマネロのリフレクターに衝撃が走った。

 

「カラマネロ、サイコカッター!」

 

 サイコカッターはメガミミロップに相性のいい技、しかしリフレクターを蹴飛ばしたメガミミロップはその反動で再び飛び上がるせいでサイケデリックな斬撃の刃の隙間を縫って夜闇に紛れてしまう。

 考えごとをしようとすればまたすぐリフレクターに衝撃、考える時間は後、思ったより厄介かも…!

 

(グロウパンチは攻撃を相手に当てることで拳を硬くする技なんだよね…。だからチャオブーのグロウパンチを当てやすくするには…)

 

「…、…ジバコイル!相性は不利だから、カラマネロのリフレクターがあるうちに行くよ!カラマネロは私の近く!」

 

 モンスターボールからジバコイルを繰り出して、二体体制で暴走メガシンカに対抗する。

 メガシンカで脚力の増加しているミミロップは殆ど空を飛んでいるようなものだった。地面に降り立つのはほんの一瞬で、逆関節の脚がバネのように連続した跳躍を可能にしている。

 

(実際に飛んでいる訳じゃないから軌道そのものは読みやすいけど、純粋に速度が速い…)

 

「…!タウニー、こっちに来て!ジバコイルもボルトチェンジで集合!」

 

「え…どうして?」

 

「いいからっ!」

 

 土壇場で説明するよりも強引にやった方が早い。どうせリフレクターで守りは補助してるんだし、その分の補助はして貰うんだから!

 

「来たけど、どうするんだし!?」

 

「そのまま!動かないで!」

 

 私は逃がすまいとタウニーの肩を掴み、体を引き寄せる。そしてそのままカラマネロに指示を繰り出した。

 

「カラマネロ!一撃だけ私達を護って!」

 

「……、…カラマッ!!」

 

 空を見上げ、小さく映る高速の影を見つめる。

 再び迫り来るはずのメガミミロップの動きを見極めて、ジバコイルに作戦通り指示を繰り出す。

 

「ジバコイル、電気技の準備!…狙いを引き付けて……エレキネット!!」

 

 全員を一箇所に集めることで狙いを最大限に絞り、ミミロップが地面に足をついて再び跳躍するまでの瞬間、そのバネの縮む僅かな隙を狙い撃つ!

 

「ルミヤ、カラマネロがっ!」

 

 耳に聞こえたその言葉は私とタウニーを護ったカラマネロがメガミミロップの蹴りを受けてリフレクターでも防ぎ切れずに吹き飛ばされ地面に叩き落とされたことに対する言葉だった。

 

 けれどもこれで良い、だって…―――

 

「カラマネロ!」

 

「ネロロロロ……!」

 

 背後を振り返った私の目に映るのは、鋭く睨むカラマネロ。その視線の先に居るのは…片脚に絡まったエレキネットで動きの鈍ったメガミミロップ!

 

「ロォォオップ!!」

 

「タウニー、メガミミロップの動きを抑えた今がチャンスだよ!」

 

「!…チャオブー、もう一回グロウパンチ!」

 

「カラマネロ、馬鹿力で能力を仕上げて行くよ!」

 

 グロウパンチもダメージを与えつつ攻撃力を上げられる、効率的な技だけど…私のカラマネロが使う馬鹿力はグロウパンチとは比較にならない威力を誇るのが最大の特徴。

 

(本来の馬鹿力はその威力の反動として攻撃と防御を犠牲にする技…だからこそ(・・・・・)カラマネロ最大の武器となる!)

 

「ネロロロ…!」

 

 ムクちゃんと戦った時にも切り札のひとつになった馬鹿力。カラマネロは『天邪鬼』だからこそ、馬鹿力で本来低下するはずの攻撃と防御の低下現象を逆転させ、パンプアップする…!

 

「タウニー!メガシンカの準備はできたよね!?」

 

「まだだし!そっちはもう溜まったの!?」

 

「じゃあお先に切り札を切らせて貰うね!」

 

 私はカラマネロに視線を向け、お気に入りの髪留めに付けたキーストーンに触れる。

 虹を閉じ込めたビー玉のような球の中から七色の光が溢れだし、光の軌跡がカラマネロの持つメガストーンから出て来た光と繋がる。

 

「今こそサイケデリックに未来を切り開く瞬間!…カラマネロ、メガシンカで更に輝いてっ!!」

 

 メガシンカの瞬間ポケモンの周囲に発生する球体状の障壁を、カラマネロがその能力を行使するために使うピンクと黄緑のサイケデリックな触手が突き破って現れる。

 普段より二割り増しでパワフルな見た目をしたメガカラマネロだけど、メガシンカ前に必要だったとは言えダメージを負っているので、短期戦に持ち込むことにした。

 

「カラマネロは馬鹿力で更に能力を磨き上げて!

 ジバコイルはボルトチェンジで交代!行くよヤミカラス、追い風!」

 

 ヤミカラスの作り出した追い風に乗ったカラマネロはその足としても使われるイカエンペラーの先端からミサイルのように飛び出し、未だエレキネットによる痺れが残るメガミミロップに馬鹿力の攻撃を仕掛ける。

 追い風の速度に馬鹿力による物理面の超強化、暴走メガシンカポケモンは強大な相手だけど…私のカラマネロなら充分に殴りあえるはず。

 

(………。)

 

 カラマネロの戦いを眺めつつ、メガミミロップの動きを観察した。

 追い風もあってカラマネロは速さで勝っているけど、ミミロップの緩急のある動きに翻弄されている。馬鹿力も命中しているけど、掠っているという方が正しい気がする。

 

「っ…避けた!?」

 

 エレキネットの妨害は確実にその動きを鈍らせていた。それでも圧倒的な跳躍の機動力によってカラマネロの攻撃を飛び交わしたメガミミロップは反撃とばかりに飛び膝蹴りでカラマネロにダメージを与え、反動で逃げおおせてしまった。

 

「だったらもう一度エレキネットを…!」

 

「待ってルミヤ、メガミミロップの周囲を見るんだし!」

 

 タウニーの声で静止し、メガミミロップの周囲を注視する。

 

「…!?…毛玉が歩いている!!」

 

 わたげポケモンのメリープのようなモコモコの毛玉。

 それがメガミミロップの周囲に集まるような形で自ら動いていたんだ…―――

 

 

『ポケモン小説って何目的で読むのですか?』という作者さんが気になるだけで設置したアンケート

  • ポケモンが可愛い(等魅力)を求めて。
  • コレもZA作品なんだから熱いバトル!
  • ポケモンゲットのストーリー性
  • シンオウ神話のような設定が読みたくて
  • 推し(人間)のあれそれ
  • なんとなく開いた作品がコレ
  • その他   ...
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