催眠ポケモンメガカラマネロとの理想的なカラマれ方   作:あいいろ ののめ

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phase24『阻止』

―――…私の作ったホイップカレーがMZ団の皆にそこそこ好評を博してから数日が経った。

 

「お客さん、今日は何にする?」

 

「だいもんじローストで」

 

「あいよっ!いつも通りミルクも一緒で…」

 

「ああいえ、今日はブラックコーヒーを愉しみたい気分なので」

 

「そうかい?」

 

 今朝、私が選んだのはヌーヴォカフェ1号店。

 移動式のキッチンカーで営業するカフェで、珈琲の出来が良い。お店の看板ポケモンとも言うべきリザードンが居るのが特徴で、お店のメニューになっているだいもんじローストは彼のだいもんじによって珈琲豆をローストしている。

 炎を1度単位で調節できるほど熟練したリザードンだと聞いているが、その言葉に確かな裏付けを感じられる丁寧な苦味が特徴だ。

 

 珈琲豆のローストの香りを楽しみつつ、珈琲が出てくるまで思案に耽る。

 

(…流石にこのZAロワイヤルもGランクまで上がってくると、カラマネロ達の疲労が大きいな…。

 他のカラマネロやホロキャストロトムと手分けして負担を分散しているとは言え、単純に疲労回復の時間が足りていない…)

 

「うわっ!?やめ……!」

 

「なんだ、ケンカか?」

 

「営業中ですよ、店番に戻ってください」

 

 ヌーヴォカフェの店員が見物しようと遠くに視線を向けたところ、キッチンカーの中で珈琲豆をローストしていた物静かな店員が止める。

 

(…珈琲が出来上がるまでは、まだ時間に余裕があるな。揉め事ならば適当に対処しておくべきか…)

 

…と、そこまで思考してから私は異常に気付いた。

 

「ルミヤ…!?」

 

「武術の天才シロー!行かせて貰います…!」

 

「おや……?」

 

 私が視線を向けた先には、ミアレの大通りを向かいから全力疾走する巨躯の男が迫っていた。そして大男の背後からは影と呼ぶには小柄な人物…と言ってもそれはムクちゃんなのだが。

 

「ムクちゃん…?」

 

「ルミヤ!どんな方法でもいいからシローを止めてっ!」

 

(どんな方法…元々カラマネロを使うつもりだったが、知り合い相手は手段を選んだ方が良いだろう…ここは正々堂々、ポケモンバトルで止めさせて貰おうかな?)

 

「行きますよヘラクロス、あなたのジャスティスを見せてください!!」

 

「!…行くよ、ヘルガーっ!」

 

「行って、パンプジン…!」

 

 三者三様のポケモンを繰り出し、大通りの並木道沿いで突発的なポケモンが始まる。

 ムクちゃんに止めてと言われたシローさんが繰り出したのはいっぽんづのポケモンのヘラクロス、むしタイプだけど青い甲殻とその分類通りの立派なツノを持ったポケモン。

 

「ヘラクロス、ロックブラスト!!」

 

「だいもんじで迎撃してヘルガー!」

 

「パンプジン、ハロウィン…!」

 

 大きなヘルガーの身の丈に迫る大きさの岩石が連続して飛んでくるけど、大火力の一撃と爆裂した後の残り火でロックブラストを相殺する。

 私は視界の端で動くムクちゃんのパンプジンの動きを見てから声をあげた。

 

「パンプジン、ゴーストダイブ…!」

 

「ヘラクロス、強引に突貫しますよ!メガホーン!!」

 

「ヘルガー飛び退いて!迎え撃つよ、あくのはどうでッ!」

 

 ポケモンに指示を出しつつ、ムクちゃんの隣に並ぶ。それは『どんな方法でも』と言われた中で最大限の譲歩を含んだ提案をするためだった。

 パンプジンの攻撃は少しの間を空けて相手に命中するゴーストダイブ、なら作戦会議はいま提案するのがベスト!

 

「ムクちゃん!ムクちゃんのシャンデラの覚えてる技の最大火力の技は何!?」

 

「オーバーヒート。…シャンデラのオーバーヒートはジャスティスだから」

 

「分かった!じゃあいいタイミングでパンプジンと交代させて、メガシンカをお願いっ!動きは合わせるから!」

 

「…解った」

 

「ガルル…ガァッ!」

 

「ヘルガー!?」

 

 あくのはどうを受けても強引に抜けて突進してきたヘラクロスのメガホーンを受けたヘルガーが空中で回転しながらも、地面に着地する。

 僅かな思考時間を経てヘルガーに向かって声をあげる、。

 

「だいもんじ!!」

「ヘラクロス、かわらわりでとどめです!」

 

 殆ど同時に出た指示、選んだのは高温の炎を繰り出すだいもんじ。それがヘルガーの口から繰り出されようとした瞬間開けた街路を爆煙が包み、次第に晴れる中に黒い影に私は目を凝らす。

 

(ッ!ギリギリ間に合わない…!!)

 

 煙の中から現れたシルエットに、心の中で舌打ちをする。

 ヘルガーのだいもんじがしっかり命中すれば相打ち以上に持ち込めると思ったけど、恐らく不完全なだいもんじが爆発を起こすだけに留まった。

 

「…!?」

 

 だけど、これで充分…!

 

「パンプジン、そのまま影打ちで決めて…!」

 

 煙の中の影に紛れたパンプジンがゴーストダイブからすかさず瀕死間際のヘラクロスに素早いかげうちの一撃を与え、なんとか一体を倒す。

 厳しい試合運びだけど、どうにか苦手な虫タイプを突破した今なら…!

 

「ムクちゃん今!こっちも本気で戦うよ、カラマネロッ!!」

 

「ヘラクロスがやられましたか。しかしここからですよカイリ…」

 

「いいえ!ここで貴方はもうお終いッ!!」

 

 私の狙いは既に最後の一手を打つのに充分な状況が揃っていた。

 

「シャンデラ、メガシンカでシローをぶっ飛ばすよ…!」

 

「そうだよね、このチャンスを待っていたんだ。カラマネロ、シャンデラに()()()()()()()!」

 

 メガシンカしたシャンデラ目掛けて、カラマネロのふたつの触腕から放出された怪しげな光が命中する。

 スキルスワップは自分と相手のとくせいを交換してしまう技、そしてシャンデラと交換したカラマネロの特性は『あまのじゃく』!!

 

「シャンデラ、オーバーヒート…!」

 

 本来、オーバーヒートはその威力の反動でそれ以降の火力が下がる技だけど…カラマネロの強さは決してメガシンカだけじゃない。

 むしろ本来なら支援役の方が輝けるはず、リフレクターにひかりのかべだけじゃなくてステルスロックだって使えるんだから!

 

「…それでも私が一番信頼するエースはカラマネロ!こっちも行くよ、メガシンカで…!!」

 

 メガシンカで特性を上書きすれば、この場にあまのじゃくは二体!

 シローさんには悪いけど、頼まれた以上2対1でも手加減はしない…!

 

 

 

 

 

 

 

―――…それで? 二人はどうして手当り次第にバトルを仕掛けてたりなんてしたの?」

 

「不思議な事じゃ無い。いつもシローは朝になってもZAバトルロワイヤルを続けてる」

 

「え!?」

 

 ムクちゃんの衝撃的な言葉に思わず声が出てしまい、頭に浮かんだ疑問を問い掛けた。

 

「朝になってもって…バトルゾーン以外にチケットポイントを集められるの?」

 

「そんな訳ない。…シローはただ朝になったのに気付かないまま戦い続けてるだけ、だから毎回止めるのに苦労する」

 

「ああ、そういう…」

 

 当たり前の答えに言葉が詰まる。

 

 と言うか、いつもはどうやって彼を止めてるんだろう…。

 私はムクちゃんの隣で注文を待つ間、少し遠くでポケモン達とスパーリングを行っているシローさんを眺めながらそんな事を思った。

 

「ってコトはシローさんとムクちゃんは昨晩から戦い続けてるの?」

 

「走り回ってるのはシローだけ、あたしは兄の道場で教えた後は普通に寝る。起きたらシローを止めに行く」

 

「……そっかあ…」

 

「あれ、ルミヤさん?」

 

「え?」

 

 不意に名前を呼ばれたことで振り返った先に居たのはMZ団のメンバー紹介のときに会ったピュールくんだった。

 

「あ、おはようピュールくん。カフェで出会うなんて珍しいというか、奇遇だね?」

 

「ええ、まあ…」

 

「良かったら隣に座ってよ。私の友人が一緒で困らないのなら、だけど」

 

 ちょっとした冗談のつもりで私はそう言ったのだけれど、ピュールくんの妙に歯切れの悪い返事に違和感を覚えてその顔を見つめてみる。

 

「ピュールくん?」

 

「あ…なんでもありません」

 

「……?」

 

 なにそれ?…気にならないと言ったら嘘になるけど、まあ良いか。それからしばらくはヌーヴォカフェで3人と一緒に過ごしていたのだけど……。

 

「あれ、ルミヤにピュール。カフェで会うなんて珍しいし」

 

「その会話の流れはさっきやりました…」

 

 ヌーヴォカフェを訪れたタウニーの表情はどこか浮かない、私にはそんな風に見えていた…―――

 

 

 

『ポケモン小説って何目的で読むのですか?』という作者さんが気になるだけで設置したアンケート

  • ポケモンが可愛い(等魅力)を求めて。
  • コレもZA作品なんだから熱いバトル!
  • ポケモンゲットのストーリー性
  • シンオウ神話のような設定が読みたくて
  • 推し(人間)のあれそれ
  • なんとなく開いた作品がコレ
  • その他   ...
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