催眠ポケモンメガカラマネロとの理想的なカラマれ方 作:あいいろ ののめ
「…え、パパ明日から海外赴任なの?」
ホロキャストロトム越しに浮かび上がったパパの電影は頭をかいて申し訳なさそうに返事をする。
『ああ、今度はうちの会社が意欲的に取り組むワイルドゾーンの参考としてガラル地方まで行かなきゃならなくてね…』
突然の宣告だった。パパとはついこの前ケンカしたばかりで、まだ仲直りも出来ていないのに…―――
―――…事は数日前に遡る。
「どうやらトレーナーが持つコレは『メガストーン』ではなく『キーストーン』と呼ぶらしい。
そしてメガカラマネロになるのに必要なそっちが『メガストーン』…その種類のひとつ『カラマネロナイト』と言うようだな」
小さくも輝く宝石のような…或いは子供心にサイコソーダから取り出して宝物と呼んだビー玉の如く日差しへとソレを翳し、その輝きを確かめてからカラマネロの方へと向き直る。
「さて、ここに来てひとつ問題がある。私のカラマネロなら解るな…?
…そうだ、このままではヒッジョーっに
「マネロッ!」
「ふむ、その指摘は尤もだ。しかし真似るにも残念ながらカラマネロのような吸盤を私は持たない。
そこでだ、今日はミアレの銀細工屋さんに行ってキーストーンを運びやすい装飾品を選ぼうと思う…どうだ?」
「カネ!」
「それについてはカラマネロ達のお陰でZAロワイヤルでおこづかいを稼いでいたからな、多少の余裕がある筈だ。カラマネロ用にも装飾品を見繕ってみよう」
カラマネロであれば触手に嵌める腕輪のような形状が好ましいだろうか。などと考えを巡らせ、私はドアノブに手を掛けた。
ミアレシティはカロス地方の中心、セントラルカロスに存在するだけあって様々な場所から人や物が出入りする。なので欲しい物があれば大抵はこの街中で手に入れることが叶うと言って良いだろう。
その中でも衣服に関しては他の地方の追随を許さないと断言できる、それこそ店が星の数ほどあると言って良い筈だ。
そうともなれば星の中からより強い輝きを放つ為、人だけに留まらずポケモンに焦点を当てたブティックなんかも存在している。
今日の私がカラマネロと訪れたのはそんなポケモンの為にも作ってくれる、オーダーメイドの銀細工屋『トリフォリウム』だ。
「本日はどのようなご要件で?」
「予約を入れていた『ルミヤ』です」
「ルミヤ様ですね。…確認も取れました、こちらへどうぞ」
予めネット予約で伝えていた私はお店に入るとすぐさま店員によって仕切りで区切られた席へと案内された。
「ふむ…」
腰掛けたソファが柔らかくて心地よい、出された紅茶も香りがしっかりと愉しむことが出来る淹れ方だ。
…紅茶のパートナーの菓子だけが多少の不満点だが、お店の好意で用意されたお菓子に文句を言うべきでは無い。
「本日はポケモンちゃんに合うアクセサリーをお探しと伺っております」
「はいっ、実はこのお店の噂でメガストーン用のアクセサリーをオーダーメイドで作っているとお聞きしまして…それで今日はカラマネロと一緒に来てみたんです!」
「そうでしたか。アクセサリーの希望はありますでしょうか、形状や意匠のサンプル画像をファイルにご用意してありますので、よろしければこちらを参考に意見をお聞かせください」
「私はカラマネロには腕輪型が良いかなと思っているのですが…」
ファイルの画像を参考に腕輪の表面に掘る意匠を中心に選ぼうとした所、店員さんから思ってもみない言葉を掛けられた。
「そうでしたか…本日はメガストーン用のアクセサリーをご希望とのことでしたが、その場合メガシンカの前後に対応したアクセサリーが良いかと思います。
ですので後ほどポケモンちゃんの採寸を行わせて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」
「なるほど…確かにそうですね? メガカラマネロだと腕輪のサイズが可変じゃない限り落としてしまいそう…」
カラマネロはメガシンカで腕が細くなる。それでは当初考えていた腕輪の案は銀細工では難しい、そうなると…。
「よし、コレが良いかなっ!」
「畏まりました。では採寸に移らせて頂きますので、ポケモンちゃんをモンスターボールから出してお待ちください」
「はーいっ♪」
道具を取りに行くのか席を立った店員さんに手を振り、私はカラマネロを繰り出す。
「……カラマネ」
「『賢さは時に幸福を逃す』…誰の言葉だったか、しかし真意を突くひと言だな。
カラマネロ、君がいくら怪訝に見つめようとも
そう言って私は乾いた喉をローズティーで潤し、ファイルを眺めてウィンドウショッピングをしながら優雅な待ち時間を過ごす事にする。
想定より費用が嵩みそうだが、しかし今後の予定を鑑みれば拘りを持って選んだ方が良いだろう。
「マーネっ♪」
私は片手間にカラマネロの下顎をさすりつつ、より良い一品を求めてファイルの次のページを開いた―――
―――思えばそれが発端だった。
「ルミヤ、ママ言ったはずでしょう…『ピカチュウはライチュウにならなくても可愛い』って」
「ライチュウにはライチュウの可愛さがある!」
「それは言い訳にはならないのよルミヤ。ライチュウはトレーナーを襲う怖いポケモンなのよ、でも雷の石さえ渡さなければピカチュウはずっとピカチュウのままなの」
「カラマネロはポケモンバトル以外で他の人に襲いかかったりしない!!」
「ハァ……ママは怪我をしたマーイーカだったから、特別に家で様子を見てあげてもいいって…元気になったら帰すって、そう約束したわよね?」
「それはマーイーカが『帰りたがっていたら』って話じゃん!!何年も一緒に居たのにいきなり『捨てる』なんて言って、何も思わないのッ!?」
「ええ。あなたのカラマネロはもう昔のマーイーカじゃ無い、海に帰ってもきっと一人で生きていけるわ」
家族なのに話が通じない。
私はただ、カラマネロとお揃いのアクセサリーを買ったのが嬉しくて、それをパパとママに見せたかっただけなのに。アクセサリーの完成予想図を見たママは血相を変えて怒り出したのだ。
思い返せば昔からそうだった、
元気になったマーイーカを見てママは『きっと海に帰りたがっているのよ』なんて言うのだ。
カラマネロが美味しそうにお菓子をクチバシで啄む姿を一度でも見たならそんな言葉が出てくるはず無いのに。
「……パパも黙ってないで、なにか言ったらどうなの?」
「え…ああ……ルミヤ…」
「パパもママの『味方』なの?」
それは苦し紛れの言葉だった。解っている、マーイーカを拾った時だってママの言葉に何も考えず『そうだね』とただなんの感情もなしにパパは言っていたのだから。
「…ルミヤ、ルミヤがライチュウにもライチュウの可愛さがあるって言ったみたいに。カラマネロじゃなくてマーイーカも可愛いじゃないか?」
―――だからカラマネロは捨てるんだ。
「……ッ!!」
パパの言葉の節々からはそう言ってるように思えてならず、信じられない言葉に私はカッと怒りが登り、何かを叫んでそのまま部屋に閉じ籠った。
枕を抱えて酷く歪んだ罵詈雑言を吐き出し、体内の水が干からびそうなくらい泣き続けて。
そして疲れから知らず知らず眠りについたその先に辿り着いた明日に……カラマネロのボールはなくなっていた―――
ZA発売したので更新するかー、まだメガカラマネロには会えてないがー。楽しいからまーいーかー。
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