新型勇者に契約破棄された魔法少女ですが、古代の勇者と無双します! ~落ちこぼれと型落ちで送る、超合体おとぎ話~   作:タナト

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EP21 力と知恵 前編

 

Side:翼

 

「鋼魔反応確認!数は2!」

 

管制室に響く声、私の聞きなれた危機を示す音。

 

「同時出現する数が増えてるな……侵攻が本格化してるってことか……いや、俺が考えてもしょうがないか、行けるな、プラネスフィア!」

 

陣屋さんの指示が飛ぶ。今までその危機立ち向かえるのは私とアルスの二人だけだった。

 

「やってやるぜ!」

 

「準備はできてる」

 

後ろから聞こえる頼もしい声。私たちはもう、孤独ではない。

 

「事前の打ち合わせ通り、今回は鳳条さんと篠宮さんのペアに私たちと出てもらう。碧乃さんと蕨野さんはここに残ってバックアップをお願い」

 

「はい!みんな頑張ってね!」

 

「了解しました。お気をつけて」

 

敵との相性は分からないが、新人二人の初陣を早く済ませておきたいと思い、決めさせてもらったメンバーだ。全員でかかるのが安全の面では一番いいのだろうが前回のこともある、控えは絶対に必要だ。

 

「ついにこの日が来たぜ!ぬかるなよ、アーシュ!」

 

「それはこっちのセリフだ!おそらく行けるだろうが戦場に絶対はない。調子に乗るな」

 

拳で手のひらを撃って、勇む方鳳条さんをパートナーが諫める。

 

「ねえ、パーツどれにする?智世」

 

「今回は最初だしAで」

 

デヴァリオンは換装パーツでマルチに立ち回る勇者だ。篠宮さんの指定した通り汎用型のAタイプがいいだろう。

 

「篠宮さん、予備パーツもお願い」

 

「了解です」

 

3人ならとれる手段も多い、おそらくは行ける。

 

「それじゃ、プラネスフィア出撃します」

 

カタパルトにつながるドックルームに移動しで一同は変身する。

 

「ブローミング・ドライブ!」

 

「ブローミング!ドライブ!」

 

「ブローミング・ドライブ……」

 

私とアルスには黄色、鳳条さんとアーシュくんには赤、篠宮さんとリオンくんには緑。それぞれのイメージカラーのエネルギーフィールドが渦を巻く。そしてそれが晴れた時……。

 

「天望愛齎シンセリー・テルス!」 「天巌勇者アルニギアス!」

 

「剛翼烈翔フォルテ・アクイア!」 「穿星勇者アーシュケリア」

 

赤と白で構成された燃えるような髪色とドレスのフォルテと灰色の地味な色合いの装甲のアーシュケリア。

 

「悠焔叡冠フルーデ・コロナ!」 「導賢勇者デヴァリオン!」

 

葉の生い茂る木のようなさわやかな緑色の髪色とドレス、どっしりとした深緑の装甲のデヴァリオン。

 4人とも美しく勇ましい、きっとその姿を見た人は一目でヒーローが来たと分かるだろう。

 

「みんな、気合入れて行こう!」

 

「押忍!」

 

「イェッサー!」

 

なんだろうこの高揚感、初めての感覚だ。隊長になってそれなりにプレッシャー感じてたはずなのにみんな と戦う、その事実に私自身も興奮してるのか?今までは私達が負ければ終わりだった。しかし、これからは肩を並べて仲間と後ろに控えている仲間がいるそれが精神的な余裕を与えてくれているのか。

 いいや違う、そんな堅苦しくて真面目なことじゃない。不謹慎かもしれないが私はこの状況にワクワクしている。それもしょうがないことだ。だってこんなに可愛くて、カッコよくて強いメンバーがそろっている。伝説だって作れるだろう、ワクワクだってしてしまう。

 

「野郎どもも気張っていくぞ」

 

「そのつもりです」

 

「頑張りましょう」

 

私の高揚がアルニギアスにも伝わっているのだろうか。彼ら勇者もテンションを高めている。

 

そして私たちは大空へと出撃する

 

 ※

 

「おかしい、姿どころか、気配も感じない」

 

巡航形態の勇者に乗って現場上空についた時、私は異変を感じる。破壊跡はあるが、魔力すらも感じない。2体の鋼魔獣が最初に出現したのはこの区域で間違いないはずだ。その証拠に今しがた鋼魔のフィールドで動けなくなっていた市民が立ち上がり始めている。

 だからこそ今動きがみられないことがとても不気味に感じている。

 

「隠れているか、もしくはそういう能力を持ってるかっすね」

 

「そうだね。篠宮さんが来たら探してもらうとしてそれまでは周囲を警戒しつつ、避難中の市民を守ろう」

 

重装タイプのヴァリオンは到着が数分遅れてしまう。観測に長けた彼女の固有魔法を当てにしたいところだが。

 

「そーっすね」

 

「隊長、俺は上の方で見張ってますね」

 

鳳条さんを乗せたアーシュケリアが提案してくる。彼は遠距離攻撃特化の勇者だ。高いビルの上なんかで狙撃の準備をしながら周りを見てくれているのが良い。

 

「そうしてくれると助かる」

 

「了解」

 

「ここで飛び降りるからそのままビル行けよ」

 

「お、おい、まだ高いぞ!ちっ、イノシシが……」

 

アーシュケリアはフォルテを心配するが彼の心配をよそに彼女は地面に降りる。着地直前に魔力を足から放出してふんわりと着地した。

 

「あー!あなた魔法少女?カッコいい!」

 

私達の到着したことで動けるようになったであろう、幼い女の子がフォルテに近づいてくる。

 

「そ、そうなんだが、今はまだ危ないからとっととシェルターに行きな!」

 

急な出来事にフォルテはどうしていいものか困惑しているようだった。

 

「……っ!?あぶねー!?」

 

フォルテは女の子に跳びかかり救い上げるように抱き上げた。

 

“ドーンッ!”

 

女の子の立っていた場所のアスファルトに、クレーターとヒビが入る。やはり何かがいる!?

 

「アーシュケリア!」

 

「分かってる!」

 

フォルテが叫ぶのと同時に、ビルから狙いを付けていたアーシュケリアが最初の一発を発射する。

 

“ベチャア!”

 

フォルテの近くのアスファルトがオレンジ色に染まって、そこに入る何かの姿を浮かび上がらせる。ペイント弾だ。このくらいのことは指示なしでもできるのは頼もしい。アーシュケリアは陣取ったビルの屋上から専用のスナイパーライフルを構えている。

 

「でけえ!?」

 

フォルテがそう驚愕するのも分かるほど、そこにいる鋼魔は巨大だった。塗料は相当広範囲に塗りつけられていたがそれでも全貌が見えない。四肢の先に巨大な構造体があることは間違いない低く見積もっても高さは5m以上はありそうだ。

 

「うわぁ!」

 

周囲の市民が恐怖から悲鳴を上げる。

 

「叫ぶくらいなら、とっとと走れ」

 

フォルテは焦り気味に女の子や周囲の市民に檄を飛ばし避難を促す。

 

「アルニギアス、お願い。フォルテを手伝って」

 

「了解!」

 

私が手近なビルへ飛びのくと、アルニギアスは敵に向かって落ちていく。

 

「フォルテ!アルニギアスが足止めするから民間人を逃がし……えっ!?」

 

アルニギアスが着地したタイミングで敵の姿がまた掻き消える。

 

「光学迷彩とかならあれで見えなくなるわけねえだろ……」

 

フォルテが驚きの声を上げるどんな原理で消えているのか。

 

「ゴあっ……!」

 

次の瞬間、フォルテが何かに敷かれたように倒れ伏したと思ったらその姿を消してしまった。

 

「フォルテ……!?」

 

一瞬彼女がやられてしまったと焦ったが、フォルテはそうヤワではなかった。

 

「なぁんかいっるーーー!」

 

そんなことを言いながら自分の姿を隠していた何かを持ち上げてフォルテが現われる。

 

「アルニギアス!」

 

「ああ、分かってる!」

 

私の勇者に補助に入ってもらいフォルテを敵の下から脱出させる。

 

「まっ、まずいですよ隊長!?俺じゃなきゃ死んでました!」

 

フォルテの頼もしくも危機感を煽る言葉に冷や汗が出てくる。とは言えどうする?相手の全貌を暴かないと私もアーシュケリアもなんともしがたい。

 

「お待たせしました!」

 

「フルーデ、デヴァリオン、現着」

 

やっと来てくれた。玉座のようにデヴァリオンの巨大な上半身のパーツに座っている。彼女の声が聞こえる。

 

「これより、周囲の観測、解析に入ります」

 

 




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