新型勇者に契約破棄された魔法少女ですが、古代の勇者と無双します! ~落ちこぼれと型落ちで送る、超合体おとぎ話~   作:タナト

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EP33 激突

Side:碧乃

 

 敵の砲塔がきらりと光る。

 

“ドガンッ!!ドカンッ!!”

 

一拍遅れて、2回の轟音が耳に響く。

 

「来る!散開!」

 

隊長の号令で私たちは四方に散る。

 

「うぅ……」

 

近くに水柱が上がり、爆風と水しぶきが来る。ハンドルを握って体勢を崩さないように耐える。

 

「フルーデは防御、みんなは攪乱して、マーシーを接近させて!」

 

隊長の指示でみんなは私を包むように配置につく。フルーデは一組に一つずつ、シールドユニットを付けてくれる。

 

「これ直撃しちゃうと一発アウトだと思う。ジグザク軌道を忘れないで!!」

 

フルーデが心配そうに言うが、シールドが一発しか直撃に耐えなくても爆風の余波を防いでくれるだけでずいぶんと楽になる。

 

「揺らすぞ!目を回すなよ!」

 

「私に構わず進んで見せて!」

 

ノクストスは山のような波を乗り越えるようにしながら左右斜め前に飛ぶ感じで前に進んでいく。

私が一発かまさないと何も始まらない。何としても近づかなくては。

近づいていく敵の影、フルーデ以外の他のメンバーは魔力弾を敵に飛ばす。陸地に着く前になるべく魔法少女の魔力を当てとかないと。

 敵が近づいてくる。近くで見てみると相手の体表は滑らかな鱗のようなモノが視える明らかに硬そうだ。

 

「艦船の装甲を流用していそうです!まずはヒビでも入れないと……」

 

イケートがすぐに相手の状態を分析してくれる。

 

「リスクはあるけど……相手の火力的にも長期戦は危険すぎる……フルーデ、相手の外装の強度を計って!それに合わせて勇者の火力も相手にぶち当てる」

 

「もうやってます!いまみんなに結果を送ります!」

 

私以外のメンバーは、データをもらえたのか攻撃態勢に入る。

 

「側面放射魔力砲発射!」

 

「魔導ミサイルランチャー発射!」

 

「ガドリング出せ!俺が狙う!」

 

中身の人たちに被害が出ないように調節した攻撃がみんなから飛ぶ。しかし、フォルテの射撃は当てられていないようだ。

 

「お前に射撃はむかん……近づくまで動くなよ……」

 

「うぅ……分かったよ」

 

フォルテとアーシュケリア君は本当に得意不得意が分かれているタイプのコンビのようだ。

そうしている間にも間近で次々と水柱が上がる。一発食らってしまえばバラバラになる。そんな緊張感が背中に走る。でも大丈夫だ、私には躱せなくても、私はノクストスに乗っている。彼なら躱せる。

 

「ガオォォォン!!」

 

ドレッドラに近づくにつれ聞こえてくる咆哮が大きくなる。

 

“ググ……”

 

ドレッドラが身をかがめてくる。

来る……。私にも分かったのだから、ノクストスはもっと早く気付いていることだろう。

 

“ガドンッ!!”

 

背中の一番大きな砲塔から強力な一撃を私めがけて飛ばしてくる。

 

「しっかりしがみつけ……!」

 

ノクストスは力を込めて海上を蹴り込む。一瞬早く空中に飛び上がったことで後ろで上がった大きな水柱と衝撃波に巻き込まれずに済んだ。

 

「うわ~~~!!!」

 

それでも風圧は殺しきれず、私とノクストスは空中で一回転することになる。私は必死にハンドルにしがみ付いて落ちないようにした。

 

「飛ばすぞ!」

 

「うん!」

 

 強力な一撃はドレッドラの巨躯をものけぞらせこちらに隙を晒すことになる。ノクストスはすぐに態勢を整えて、さっきよりも力強く、海上を蹴り込む。

 ググっと前方に進み交錯する味方の攻撃の射線を潜り抜けながら。相手の懐へ飛び込む。相手のぎらつく大きな眼がはっきり見える。でも怖がってちゃダメだ。私が決めないといけない。ノクストスは私をここまで連れてきてくれた。今度は私の番だ。

 

「フルーデ目印お願い!」

 

「……!?分かった!」

 

ここまで来たらとことんまで仲間に頼らせてもらおう。頭のいいフルーデは私が何を求めているのかすぐに理解してくれる。

 彼女は光る使い魔を飛ばし、私たちが目指すべき方向を示してくれる。みんなは機械的に方角が分かるのかもしれないが私はそうはいかない。しかし、失敗するわけにはいかなかったので分かりやすいイメージ対象を作ってもらった。

 

「行っけー!」

 

“パコンッ!!”

 

私はドレッドラの胸部をハンマーで叩く。瞬間、私の魔力が全身を巡る。地球の重力に加えて横方向の魔法的な重力が、敵に作用し始める。

重い……私は感覚的にそう思った。巨大な質量を動かすような巨大な力、それは反動として返ってくる。でも手を緩めるわけにはいかない私はハンマーに魔力を流し続け、敵を動かす力を作用させ続ける。

 

“ザザザザー!”

 

ドレッドラの身体が波を割って、北に動き始める。水上では、踏ん張ることが出来ないので、奴はずるずると落ちるように北へ流されていく。

 

「いいよ、マーシー!少しだけで動けばいい!私たちも一緒に押し出すから」

 

「はい!」

 

私は隊長に言われた通り、弱くともやつに重力を働かせ続ける。

 

「みんなで圧力をかけ続けて!」

 

みんなは私とノクスの前に出て随時、左右に動きながら敵を押し込む方向に攻撃を加えていく。

 

「グアオオオ!」

 

自然にはない力に混乱しているのか、体勢を崩したドレッドラはロクな反撃もできなくなっていた。

やがて、目指すべき陸地、剣崎に近づいてくる。

 

「時間をかける理由もない、俺を足場にしろ!」

 

「いいんだな?手加減はしないぞ!」

 

「お前のパワーなら!決定打になるだろ!」

 

「はっ、そんなこと言われちゃあ決めるしかねえな!」

 

そんなことを話していた。フォルテペア。フォルテは跨っていたアーシュケリアからジャンプして一度離脱する。

 

「行くぞ!」

 

「ああ!」

 

人型に変形したアーシュケリアも飛び上がり、フォルテの後方につく。

 

「でぇーい!!」

 

フォルテは両足で、両手をクロスさせたアーシュケリアを蹴って、ロケットのようにドレッドラめがけて飛んでいく。

 

“ギュイィーーーン!”

 

フォルテは手足から魔力を更に放出してその反作用でさらなる加速を掛ける。

 

“バキンッ!!!”

 

「ゴガアァァァ!!」

 

“ドンッ!ガラララァァァ!”

 

フォルテはドレッドラの横っ面を思いっきり殴りつける。ドレッドラの質量は尋常ではないが彼女のパワーもまた尋常ではない。

 ドレッドラは水上から若干浮き上がりながら、ぶっ飛んでいく。そして入り組んだ地形になっている。剱崎の岩場に叩き続けられる。その音を合図に仕掛けられていたライトが起動し、ドレッドラの姿を闇の中から暴き出す。

 

「よっしゃー!……って大丈夫かよ」

 

着水したフォルテは雄叫びを上げるが、スパークを上げているアーシュケリアに近づく。

 

「ああ、左手が逝ったが折り込み済みだから気にするな。右手は無事だし、レールガンも使える」

 

「ん……無理すんなよ……」

 

フォルテはダメージをかえりみないアーシュケリアの戦い方に、複雑な顔をするのだった。

 

「見事な一撃ですフォルテ!私も続きます!」

 

今だ、身悶えているドレッドラにイケートが追撃を掛ける。

 

“シャク!”

 

彼女は左腕の右の砲塔にレイピアを突き刺す。

 

“シュー……ボロボロ……”

 

砲塔部分が煙を上げて、腐食して崩れ落ちていく。

 

「おっと……」

 

腐食部分から人間が数人分離してくる。イケートは落ち着いて彼らを掴んで飛びのく。

 

「フルーデ!」

 

「任せて……」

 

イケートの呼びかけでフルーデは使い魔を飛ばし、救出した人々をバリアで包んで確保する。

 

「まずい……この人たちかなり侵蝕がすすんでる……このままだと」

 

完全に取り込まれた人々が一体化してしまう。急がなければ……!

 

「ノクストス……突っ込んで……!」

 

「ああ!」

 

私とノクスは畳みかけるためにドレッドラに突撃し、ハンマーを振るう。

 

“パコン♪”

 

“ドゴゴゴ……!”

 

ドレッドラは更なる重力に押され岩場にめり込むようになる。

 

「でかした!いくぜぇ!おらぁ!」

 

“ドガッ!バキィ!”

 

「ゴクバァ!」

 

フォルテは今度は岩場を蹴ってドレッドに跳びかかり、その胸部の外殻を殴りつける。もろに彼女の打撃を食らったので、さらに岩にめり込んで血のような体液を吐き出す。胸の装甲には複雑なヒビが入り、ボロボロと崩れ始める。

 

「ポエナティヴ・メテロミー!!」

 

そのタイミングで隊長が固有魔法で強化された魔力弾をその弓から放つ。それは重力に拘束されたその魔力がドレッドラの体内に浸透したのか、その胸部が波打ちだす。

 

「まだ終わりません!」

 

そのイケートの言葉通り、まだ連撃は終わらない。続いてドレッドラの胸に飛び込んだ彼女はまた自慢のレイピアを胸に刺し、毒の魔力流し込む。

 

「グブッ……ゴハァ!」

 

命に近いところに毒を撃ち込まれ、ドレッドラの胸部がぐずぐずに解け、傷口から本当の口から人間を吐き出し始める。

本当にイケートの魔法は凄い。決まってしまえば一発で形勢決まる。

 水面に落ちる人々は、フルーデの使い魔のバリアで保護し、退避させる。

 

「よし、このまま……」

 

手を緩めなければ勝てるそう思っていた時……。

 

「ギャアアアァァァァッス!!!」

 

ドレッドラは上を向いて一際大きな咆哮を上げる。こちらが怯んでしまうほどの衝撃だった。

 

“ブクブク……”

 

ドレッドラの身体が泡立ってその体積が一回り大きくなる。

 

「間に合わなかった……」

 

絶望的な声がフルーデから聞こえる。取り込んだ人たちが完全にエネルギーに変えられてしまった。助けられなかった……私たちは……。

 

「悔しいけど、だからこそ怯んじゃダメ!私たちの……やるべきことは……変わらないんだから……」

 

隊長は気丈に、しかし怒りと悲しみを感じさせる声で一言一言、言葉を紡いでいた。

 

「……!」

 

そうだ、戦い抜くことそれが私たちの責任だ。

 




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