新型勇者に契約破棄された魔法少女ですが、古代の勇者と無双します! ~落ちこぼれと型落ちで送る、超合体おとぎ話~   作:タナト

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やっとインテグレーション・ボディの活躍が書けました。自分の中では一区切りです。


EP37 神速

 

Side:碧乃

 

魔法が使える、ということはできる。私は魔法少女の武器を意識する。すると、20m台の身体にふさわしい大きさのステッキが出現する。

 

「よし、上手くいった!」

 

勇者の機械的戦力と魔法少女の魔法的戦力、その二つの完全な一体化がインテグレーション・ボディのつくられた目的の一つだ。

 

『マーシー、ノクストス、よく聞いてくれ。そのインテグレーション・ボディは不完全っだ。急ごしらえで1号機の腕部パーツが換装してある。だから、腕は正直あてにできない』

 

 最適化が済んだ後も、不安になることを神名さんは伝えてくる。

 

(つまり、当てにすべきなのは足ってことか……マーシー次は俺主体でやらせてくれ)

 

「……?分かった……」

 

ノクストスの言うことなら拒む理由はない。

 

「ギャオオオォォン!!」

 

ドレッドラは咆哮と一緒に対象のミサイルを私たちに向けて吐き出す。

 

「マーシー!」

 

着弾の直前こちらを心配する隊長の声をマイクが拾っていた。

 

“ドドドドドッ!!”

 

火薬の臭いが嗅覚を、煙が視界を、爆発音が聴覚を塗りつぶす。しかしそんな地獄に私はいない。

次の瞬間、私はドレッドラの背後にいた。それもかなり距離が開いている。これがノクストスの持つ神速の動き。これだけの巨体で再現できるとは、超絶的な技術だ。

 

「すごい……これがノクストスの速さ」

 

(次は踏みこむぞ!)

 

「分かった!」

 

私はノクストスのイメージする通りに魔力の刃を発生させたステッキを顔の横で構えて、踏み込むのと同時に振り抜く。

 

「ギャオォォォ!」

 

ドレッドラは振り返りながら反撃のためにその太い腕を振るう。怒りの乗ったその動きは当たりさえすれば相当なインパクトを生むだろう。しかし、私達はまた奴の背後に立っていた。

 

“ザシュ!”

 

「ギャアアァァァス!」

 

ドレッドラの胸から肩にかけてが大きく切り裂かれる。こんな居合じみたこと私だけでは一生かけてもできる気がしない。

 

“シュー!”

 

しかし、単純な切り傷などすぐに再生されてしまう。傷口が音を立てて泡立っている。しぶといやつだ。

 

(もっと全身一気にダメージを与えなきゃいけないな……)

 

ノクストスの言うような手段を私は一つだけ持っていた。

 

「えい!」

 

“バコン♪”

 

私はステッキをハンマーへと変化させ、足元を狙ってくる砲撃をジャンプで躱して、その勢いのままドレッドラの頭を打ち据える。さすがに等身大の時とは比較にならない鈍い音が鳴る。

 

“グググ……ズガン!”

 

ドレッドラの全身が震えだしたかと思うと、その両足が地面に埋まり始めた。生身の時に発生させられるのとは比べ物にならない重力が、奴の身体を押しつぶそうとしているのだ。

 

「グゥ……ガァ……」

 

ドレッドラは下半身が地面の下に埋まってしまい。上半身はうつぶせの状態になりながら地面を引っ掻いてもがいている。その50mに及ぶ巨体の大質量は、大きくなり続ける重力によって自らを潰す凶器に変わりつつある。

 体組織が聞き心地の悪い音を立てて、崩壊を始めている。

 

(長引かせない方がいい……とどめを刺すぞ!)

 

「うん……」

 

私は魔力の刃を再生成し、背中から胸のイケートの負わせた傷まで、貫通させんと突き刺してみせる。

 

「ギアアァァ!!」

 

ドレッドラが苦悶の叫びをあげるのを気にせずに、刃を命のすぐそばへ進めていく。

そして身体の奥まで進めたステッキの先で、私の力、ノクストスの力、二つの力を合わせたものを巨人の機能でさらに増幅することで形成する巨大な魔力。それをドレッドラの身体の中心で炸裂させた。

 

「ガアァァ!」

 

体内からの爆発にドレッドラは焼かれてしまい、断末魔の叫びが耳に入る。だが手を緩める理由にはならない。

お前の中には最後の叫びすら上げられなかった人たちがいる。その命で埋め合わせられるものではないけれど、今できることに全力を持ってあたる。それが私なりの弔いだ。

体内から、巨大な力に晒されたドレッドラの身体はボロボロになる。大量の金属片と液体状の金属が一帯へ飛び散る。それの中には人から作られたもののあるのだろうが、人に戻ることはもうない。許せないことだ。

 

「ギャオオオォォン!!」

 

 ドレッドラは最後のあがきをしてくる。残ったミサイルをすべて出し、重力で碌に発射すらできないまま爆発させる。

 

「う、ぐぅ……」

 

私達は爆発を至近距離で食らってしまい、左腕が吹き飛んでしまう。フィードバックで肩に激痛が走る。きっと装甲もボロボロになってしまったことだろう。だがステッキを握る

腕が残っている以上、気にせずにとどめを刺すことに集中する。

 

「これでぇ!ラストォ!!!」

 

“ドォーーーン!!!”

 

最後の魔力弾がドレッドラの中で炸裂する。その一撃は決定的で、奴の上半身をバラバラに吹き飛ばした。ダメージが限界を超えたのか残った下半身も、解けて消え始めた。

あとにはは塊のようになった3つの核があった。トリプルコアによって生まれた鋼魔、道理で手強いわけだ。傍らには墓標のように地面にステッキが刺さっている。

 

「ノクストス……」

 

(分かってる)

 

 ノクストスは私が何も言わずとも胸のハッチを開き、外に掌を用意してくれる。そしてそこに乗った私を下に降ろしてくれる。

 

「プラッテ・アドハック・アクア」

 

3つ分なので気合を入れてゼロ化を行う。

 

「マーシー!」

 

それが終わった時、みんなが私を呼ぶ声が聞こえる。

 

「隊長!私、やりました!」

 

「うん、とってもすごい!頑張ったね!」

 

駆け寄って来てくれた隊長が、魔力を使い果たしてよろける私を優しく受け止めてくれる。良い匂いだ。

 プラネスフィアは私を含めてみんなボロボロになっている。本当に激戦だった。

 

「これが、インテグレーション・ボディ……人類の新たな砦……」

 

ノクストスを見上げる隊長がしみじみと言う。私も同じところを見る。

そこには、ダメージを受けた様子でそれでもちゃんと大地に立つ巨人の姿があった。見た目はノクストスをメカニカルにした感じで、片腕だけがアルニギアスそれを大きくした感じだった。

 鋼魔の脅威には底が見えないが、きっと大丈夫だ。プラネスフィアと、この巨人がいるから。

 




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