新型勇者に契約破棄された魔法少女ですが、古代の勇者と無双します! ~落ちこぼれと型落ちで送る、超合体おとぎ話~   作:タナト

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 更新を停止してから、だいぶ経ちますが変わらず見て頂けているようで本当にうれしいです!感謝感激です!
前話に軽い修正を加えたので気になる方はご覧ください。


EP70 最悪の出会い 前編

さっき会った時は気づけなかったが、危機的状況と、家族のために立ち上がった闘争本能、魔力の源である意志の力、その高まりに反応したと言ったところか。

 

「あ、ああ……お母さん……お父さん……」

 

さすがに目の前の光景を見て、戦意を喪失しているようだ。

ここで契約して、応戦するという線は危険。この妖精の安全確保が優先し、一旦離脱するべきか。

 

“ア゛ァーーー!”

 

女の両親を吸収し終えた鋼魔獣は、彼女自身に標的を変えたようだ。

 

「イヤ……!?」

 

 鋼魔の顎が彼女に迫る直前、間に跳び入って刀を抜いて下顎をはじき上げた。金属同士がぶつかり、高い音と火花が弾ける。鋼魔の名にふさわしい、異常な硬さが腕部に伝わってくる。

 

「あ、あなた……!?」

 

女はまだ現実を受け入れられていないような表情をして俺を見た。俺に縋るでもなく、かといって死を受け入れている様子でもない。どこか光を宿した目、だがその時の俺にはそこに宿った力の意味が分からなかった。

 

「逃げるぞ」

 

「え?」

 

俺は有無を言わせず、女の腕をつかんだ。

 

「ゴォォォオオオーーー!」

 

何かを察したのか、火を噴いた。

 

「きゃぁーーー!」

 

俺は叫ぶ彼女をマントで覆って抱え、火炎放射を避けながら飛び去った。

俺は少し離れた場所の物陰に隠れて、奴がこちらに興味を失うのを待った。幸いにも俺は認識阻害魔法の類が得意になるように造られていた。それを周囲に展開し、やり過ごした。

 

「ウ゛ゥ…………」

 

奴はしばらく俺たちを探していたようだが、やがてほかの妖精たちに狙いを変えて、飛び去った。

 

「みぐぐぅー!……っぷは!?」

 

女がマントを取り去って、あたりを見渡す。

 

「こ、ここは……?あの化け物は……!?」

 

「落ち着け……ここは安全だ。怪我の方も大したことはなさそうだし、簡単にだが治癒魔法もかけておいた」

 

状況が呑み込めていない様子の女を落ち着かせる。

 

「安全って……そうだ、お母さんたち!あなた、ハンターなの?だったらお願い!あの鋼魔獣と戦って!あいつらに食べられても、素早く倒せば助かる場合もあるって……!」

 

消化の前、ハンターの魔力でもそれで倒せば分離できる事例があると聞くが……それを目的にするなら話は早い。この女と俺の目的が一致するなら、こともスムーズに運ぶ。俺の目的は契約者の確保であの鋼魔獣の討伐は必須事項ではないが、この女の戦う理由になるならば好都合だ。

 

「ならば、お前にはやってもらうことがある」

 

「わ、私に……?私、戦ったりできないよ!?さっきも吹き飛ばされちゃったし……」

 

「お前に立ち向かう意志さえあれば、この石がお前に力を与える」

 

俺はそう言って、アミナ・ピースを差し出す。

 

「こ、これ秘石?だから私はハンターじゃないから……」

 

「これは、ただの秘石ではない。特別な術式が刻まれている。この石に俺とともに鋼魔と戦うことを誓え……」

 

「は、何言いだすの?」

 

「言うとおりにしろ。そうすれば俺との魔法契約が成立し、お前と俺に強大な力をもたらす」

 

俺は要点に絞って説明する。しかし、彼女はなかなかに理解しない。

 

「いいから、これに想いと魔力を込めながら俺の背中に嵌めるんだ」

 

「そんなこと言ったって……できっこない!?」

 

女は覚悟が決まらないようだ。ならばいい当、初の予定通りこの女を連れて、安全圏まで離脱するだけだ。

 

「なら逃げるぞ」

 

「……待って!」

 

俺は、女の腕を掴んで抱えようとしていたが静止してくる声に、自然と動きが止まった。不思議な感覚だった。それは、だた選択を先延ばしにするための言葉ではない。明確な意思をはらんだ声である気がした。

 女の様子を見ると、町の一角で女の両親と同じように食われている妖精の姿を見ていた。

 

「……あなたに従えばお母さんたちを、みんなを助けられる?」

 

「……ああ……そのための最善手だ」

 

俺は不思議と自己矛盾のようなものを感じて言い淀んでしまった。この方法を使っても、必ず助けられるとは限らないからだ。おかしい、打算を含んだ選択で、この後事態がどう転ぼうとも、この女と契約することができればそれでいいはずだった。なんなのだろう?……この思考の中にある重苦しさは。

 

「じゃあ、やる。どこにこの石を嵌めればいいの?」

 

覚悟か決まったのか、震えていた女の声が落ち着いていく。

 

「ここだ……」

 

「な、何なのよ!?あなた……!?……いいえ、今は何でもいいわ!お母さんとお父さんを助けるためだもの、なんだってやってあげる……!」

 

女は一瞬、俺の展開した背中に驚くが、すぐに持ち直した。

 

「誓ってあげる……!みんなを傷つけたあいつを許せないから!あなたと一緒に鋼魔と戦うよ!」

 

そう言って彼女は、俺の背中のくぼみにアミナ・ピースをはめ込む。

 

「…………!?」

 

「…………っ!」

 

 瞬間、互いの脳に電流が走るような感覚があった。なぜお互いにそうだと分かったのか?それは精神リンクが始まったからだ。

リヴァリエ・ト・ジェルナーレ、それが女……いや、俺の契約者の名前か……。だがその名前はこの場においては重要じゃない。彼女には今ここで、戦士としての名が新しく与えられるからだ。

彼女には、秘石から術式の情報が流れてきたことで、この儀式において自身が何をするべきかを理解する。

 

「ブローミング・ドライブ……」

 

一種のトランス状態に入った彼女が変身呪文を唱える。ここまでくれば、あとは流れに身を任せるしかない。

俺と彼女の周りに魔力が渦を巻き、さなぎのように変身が終わるまで守る。俺も社会になじむための変身魔法が解け、戦闘人形としての本質があらわになる。

 

「愛深清彩マーシー・ノア……!」

 

 魔力の壁が晴れた時、そこには花が咲いていた。俺に、詩的な比喩をするような能力はない。それでもそう思ったということは、そうとしか言いようのないほどそのままだったんだ。

花弁のように広がるスカートの桜色のドレス、過剰に飾り立てるようなことはせず、文字通り花を添えるようなリボンの装飾……ドレスと同じ色のグラデーションの入る肩までの髪……全体を見て、一輪の花が咲いているように見える。そんな可憐な存在がそこにいた。

 彼女が俺の契約者……魔法少女……!

 




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