サイバネティクス・ラブ   作:スナエ

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サイバネティクス・ラブ

不入斗伽羅(いりやまずきゃら)

「はぁい!」

「無免許運転」

「はぁい」

 

 銀京府警察署の巡査に、名前と罪状を読み上げられ、女性型サイボーグは返事をした。

 

◆◆◆

 

「えーと、職業は、デート喫茶のキャスト?」

「うん。ボク、今は体が女の子だけど、性別は決まってなくて、客の好みに合わせて換装してんの。お姉さん、デートしたくなったら指名してよ」

 

「あー別にいいかな。で、なんで無免許運転なんかしたの?」と、巡査のリョーコが訊く。

 

「それがさ、カス客が金払う前に逃げ出してね。で、追っかけたワケ」

 

 キャラは、思い出し怒りをした。

 

「あーそう。乗ってたのは、誰の?」

「知らない人」

「じゃあ、盗みもしてるね」

「非常事態じゃん!」

「そういうの通らないから」

 

 リョーコは冷静に返す。

 

「このデート喫茶は、アダルトなやつ?」

「まさか! ノンアダだよ!」

「そう」

 

 取り調べが終わってから、キャラを含む7人は、ミルキー☆サブウェイの清掃をさせられることになった。

 そして。

 

「うわ!? なになになに?!」

 

 突如列車が暴走をし、キャラたちは慌てた。

 

「なんでこんな目に遭うんだよぉ」

 

 泣き事を言いながら歩くキャラ。

 少しして、ゲームをしているサイボーグの男ふたり組に会った。

 

「…………」

 

「なんか見られてない?」とマックス。

 

「なんだよ? なんか用?」

「カートとマックス、だよね?」

 

「そう」と、ふたりの声。

 

「ボクは、キャラ。カートくんが好みなんで、よく知りたいんで、LAN直結してください!」

 

 首元から、ケーブルを伸ばすキャラ。

 

「は?」

「大胆~」

「ダメ?」

「……ダメだろ」

「泣き喚いていい?」

「その目じゃ泣けないでしょ」

 

 キャラの両目は、黒いバイザー型であり、瞬きしないし、涙も出ない。

 

「え~ん、え~ん」

 

 キャラは、両手で目元を覆い、泣き真似をした。

「カワイソー」とマックスが、からかう。

 

「いや、控え目に言っても変態だろ」

「変態じゃないし! ボク、こんなに可愛いのに~」

 

 チラッとカートを見た。

 

「好みじゃない」

「あー! クソ客の好みに換装なんかすんじゃなかった!」

「換装パーツ持ってるんだ?」

 

 マックスが訊く。

 

「まーね。ボクは、性別にこだわりないから」

「へー。好みの姿になってもらえば?」

「他人事だと思って……バカ言うな…………」

 

 3人がそんなやり取りをしているうちに、マキナたちがやって来た。

 カートとマックスは無関心である。

 

「ボク、暇だからついてこうかな」

 

「マジ? なんか弱そうだけど」とマキナ。

 

「弱くないわ!」

 

 その後。

 

「クソぉーッ!」

「やっぱ無理かも~!」

 

 マキナとキャラ以外が、排除くんに排除された。

 

◆◆◆

 

 カートとマックスが、排除くんを停止させた後。

 

「カートくん。お金払えば、LAN直結してくれんの?」

「……しない」

「キャラちゃんって、わりとなりふり構わない感じ?」

「あーそうだよねー。ごめん。ボクが悪かった。自分が身売りみたいなことしてるからって軽率でした。ほんとごめんね!」

 

 頭を下げるキャラ。

「身売り?」とふたりの声。

 

「ボク、お金もらえれば、誰とでもデートすんの。そういう仕事」

「…………」

「あーそうなんだ」

「ふたりが行くなら、ボクもついてく~」

「勝手にしろ」

「うん」

 

 こうして、みんなが先頭車両に向かって歩き出した。

 それから、マキナのフィルターから煙が吹き出し、男女別れてトイレに向かうことに。

 

「ボク、どっち行けばいい?」

「キャラって女じゃないの?」

 

 マキナが質問した。

 

「決めてないんだよね。こだわりなし」

「でも、今は女型じゃん」

「ん~。じゃ、女子トイレ行くわ」

 

 というワケで、キャラはそちらへ向かう。

 

「キャラさ、あのふたりと何話してたの?」

「カートくんとLAN直結したいなぁって」

「え、変態?」

「変態じゃないし!」

「いや、変態だし。有線で同期するってことっしょ? 変態じゃん」

「んだと、ヤンキー女!」

「喧嘩なら買うけど」

 

「買ーわーなーいーでー!」と、チハルがマキナを止めた。

 アカネがマキナのフィルターをつけ直した後、トイレに閉じ込められる。

 チハルは、ドアに挟まれた。

 チハルの心配をきっかけに、マキナが、カナタがカートとマックスにいわゆるBLめいたことをされてるのではないかと言い、アカネが騒ぎ出す。

 

「ボクもあっち行けばよかったぁ」

「キャラも、止めるの手伝え!」

 

 無理矢理ドアを開けようとするアカネを諌めながら、マキナが呑気なキャラを怒鳴りつけた。

 少しして、ドアは開く。

 

「カナターッ!」

 

 走って行くアカネを追う3人。

 男子トイレでは、3Pみたいな体勢の男たちがいた。

 さっと、録画するキャラ。

 まあ、3Pは誤解だったのだが。

 

「カートくん、腕どしたの?」

「肩のバッテリー切れ」

「お疲れ様~」

「…………」

「固形物食べられる?」

 

 キャラは、キューブ状のお菓子を取り出した。

 

「いや」

「キャラちゃん、経口摂取出来るの?」

「いや、発声だけ。噛めはするけどね。お腹に直接入れる」

「へー」

 

 そうこうしているうちに、リョーコから電話がかかってくる。

 しかし、すぐに切れてしまった。

 カートとマックスが、O.T.A.M.ちゃんが黒幕だと見抜く。

 

「カートくん、カッコいい~!」

「キャラ、黙れ」

「えー!? 初めてボクの名前呼んでくれた!」

「うるせぇ……」

 

◆◆◆

 

 O.T.A.M.は、社会不適合者を殺害してきたAIであった。

 口々に喋り、臨戦態勢になる社会不適合者一行。

「みんなで戦えば怖くなーい」と、キャラが呑気に言う。

 キャラは、キーを運ぶ側に回り、チハルたちと走った。

 皆で敵を倒したが、マキナが撃たれてしまう。

「デウス・エクスプレス・マキナちゃん!?」とキャラが叫ぶ。

 マキナが、人格バックアップをミルキー☆サブウェイに差し込み、巨大ロボのようになって帰還した。

 

「リョーコちゃん、ただいま~」

「一体なにがあったワケ?」

 

 チハルが一部始終を説明している間に、キャラはマックスに話しかけられる。

 

「キャラちゃん、カートのどこが好きなの?」

「顔」

「即答だね」

「怖そうな顔してて好き~」

 

「コイツ、悪口言ってない?」と、カート。

 

「俺は、キャラちゃんのこと好きだけどなぁ」

「えーっ!? そんなこと言われたら、好きになっちゃう…………!」

 

 マックスの突然の告白に、キャラは頬を染めた。

 

「軽っ」

 

 カートが低い声でツッコミをする。

 

「でね、キャラちゃんと俺とカートで付き合えばいいと思うんだよね」

「うわ、天才!」

「はぁ?」

 

 両手を上げてはしゃぐキャラと、マックスを睨むカート。

 

「賛成の人~?」

 

 キャラとマックスが手を挙げる。

 

「はい。多数決で決まりです」

 

 マックスが楽しそうに言った。

 

「横暴だろ……」

「カートって俺のこと好きじゃん」

「それとこれとは……」

「3人でLAN直結しようね!」

「キャラは、変態だし」

「変態じゃないよ! ね、マックスくん」

「ごめん、それは変態だわ」

「え~ん」

 

 泣き真似をするキャラ。

 その後。チハルが何度目かの説明を終えた。

「今の話でだいたい合ってる?」とリョーコが尋ねる。

 

「合ってるよぉ」

 

 キャラは、そう返した。

 そして、各々が日常に帰る。

 

「キャラ、指名入ったよ」

「はぁい」

「オーダーはコレ」

「了解でーす」

 

 キャラは、男性体に換装し、強化人間の女性とデートをした。

 

「キャラくん、今日は、ありがとう。会えてよかった」

「ボクも会えて嬉しかったよ。またデートしてねぇ」

 

 店に戻る途中、マックスから通信が入る。

 

『はぁい。キャラだよ』

『なんか声が低い』

『今、男だから、少しね』

『なるほどね~』

 

 ふたりは、しばし近況報告をした。

 

『キャラちゃん、今度デートしない? カートは騙して連れてくから』

『嬉しい! 絶対行く!』

 

 キャラは、口角を引き上げる。

 頭上には、綺麗な星空が広がっていた。

 3人のサイボーグの恋路は、まだ始まったばかりだ。

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