サイバネティクス・ラブ   作:スナエ

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サイバネティクス・デート

 デートの前日。キャラは、マックスと通信していた。

 

『マックスくん、ボクに、どんな見た目になってほしい?』

『キャラちゃんがなりたい姿がいいんじゃない?』

『えー優しいー! 好き~!』

 

 キャラは、初めてそんなことを言われたので感動してしまう。

 

『俺も好きだよー』

『ありがとう! 嬉しい!』

『……もう一回言ってもらってもいい?』

『ありがとう! 嬉しい!』

『キャラちゃんって素直だよね』

 

 マックスは、キャラの台詞を録音してから言った。

 

『あ、そろそろ出勤だ。じゃあ明日ね、マックスくん』

『うん。またね、キャラちゃん』

 

 通信を切り、キャラは勤務先のデート喫茶へ向かう。

 そして、翌日。

 賑わっているサイボーグ向きの店が並ぶ横丁の入り口で、キャラとマックスとカートが揃った。

 

「おい、マックス」

「なに?」

「コイツが来るなんて聞いてない」

「来ないとも言ってませーん」

「覚えとけよ……」

「ふたりとも、仲良しだね!」

 

 中性的なボディで来たキャラが明るく言う。

 

「はぁ……」

「じゃ、行こっか」

「うん!」

 

 キャラは、すっとふたりの間に入り、手を繋いだ。

「おい」と、カートがキャラを睨む。

 

「ダメ? 恋人繋ぎ」

「はぁ…………」

 

 カートは、簡単に振りほどけるはずのキャラの手を、何故かそうは出来ない。

 3人は、手を繋いだまま横丁へ入った。

 

「プライベートでデートすんの、久し振りだなぁ」

「そっか。キャラちゃんは、デートが仕事だもんね」

「うん。昨日なんかさぁ、クソ客がセクハラするわ、体触るわしてきてさぁ。ほんと腹立つ。うちは、ノンアダだっての。出禁にしてやったわ」

「それは殺した方がよくない?」

「それは殺せよ」

 

 マックスとカートが同時に言う。

 

「ボクは、そういう機能ないから」

 

「腕があるんだから、絞め殺せるだろ」とカート。

「毒とか持ってたら?」とマックス。

 

「ははは。ありがとう、ボクの心配してくれて。でも、大丈夫だから。いちいち殺してたらキリないし」

 

 そんなにクソ客がいるのか。客層悪っ。と、ふたりは思った。

 

「あ、なにか食べようよ」

 

 キャラは、食堂の前で提案する。

 

「うん」

 

 マックスとカートは、吸引式のものを。キャラは、キューブ状に成形された何かの肉を腹部から食べた。

 

「美味しい!」

「そうだね」

「うん……」

 

 栄養補給を終えた後、また3人で手を繋いで通りを進む。

 

「ふたりは、行きたいとこないの?」

「俺は特になし」

「俺も」

「そう。じゃ、テキトーに見て回ろうか」

 

 サイボーグたちは、パーツショップやジャンクショップを見て回った。

 

「キャラちゃん」

「ん? なあに?」

 

「武装しない?」と、マックスが武器屋を指差す。

 

「んー。まあ、見てみようかな」

「そうしよ」

 

 3人で店に入った。

 

「いらっしゃい。何かお探しで?」

 

 店員が訊く。

「この子に付けられる武器あります?」とマックスが質問した。

 

「お嬢さん……お兄さん? に合う武器ねぇ」

 

 店員は、キャラを見ながら考えている。

 

「これは? 最軽量の武器」

「針?」

「針だね」

 

「これなら、指や腕に仕込めるし、やろうと思えば、ほら、何かを塗ったり、ね」と店員はウィンクした。

 

「いいんじゃない? どう?」

 

「おいくらですか?」とキャラ。

 

「20円だよ」

「デート2回分かぁ。まあ、あり」

「キャラ、買った方がいいと思う」

 

 カートが、ぼそりと発言した。

 

「うん! 買います!」

「毎度あり。自分で装備出来るかい? 初回は無料だよ」

「お願いします」

 

 キャラは、右手の中指に針を仕込んでもらう。

 

「ボク、強くなった気がする」

「だからって、無理はするなよ」

 

 カートが忠告した。

 

「うん。ありがとう、カートくん」

「別に、普通のこと言っただけ……」

 

 カートは、そっぽを向いて言う。

 その後も3人で横丁を進み、やがて端まで来た。

 

「終点~」

「楽しかったねぇ。また3人でデートしようね!」

「うん。カートくんは?」

「……いいけど。ちゃんと事前に言って」

「オッケー」

 

 それから。名残惜しいが、3人は別れることにする。

「またね! ふたりとも愛してる!」と、投げキッスを送るキャラ。

 

「ありがとう、キャラちゃん。またね」

「じゃあ、また……」

 

 キャラは、ふたりに大きく手を振ってから去って行く。

 帰宅後。

 

「えへへへ」

 

 デートの一部始終をおさめたメモリを見て、ニヤニヤするキャラがいた。

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